矢樹純のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
書物、人形、恋ごころ。人の噂も燃え盛る。炎ゆらめく25編!
『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』『だから捨ててと言ったのに』『新しい法律ができた』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第六弾!
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25編からなるショートショート集。
Mephisto Readers Club(MRC)が贈る大好評シリーズ第6弾とのこと。第1~5弾までは未読。とりあえず最新作から読んでみようと思い手に取った。
最初の一文は必ず「それはそれはよく燃えた」で始めなければならない、という括りがある。
25編、つまり25人の筆者の作品が掲載されており、予想通り玉石混交といった感じ。面白そうな作者を発見するためのカタログ的な一冊として読んでみた。全25名中、他の作品も読んでみたいな、と思わせてくれたのは以下の9名。
米澤穂信
須藤古都離
神林長平
潮谷験
多崎礼
市塔承
似鳥鶏
恒川光太郎
皆川博子
このうち神林長平と皆川博子は既に他の作品も読んでおり、好きな作家でもある。
不遜な書き方かもしれないけれど、残りの作家も決してつまらないわけではない。ただ、オチが読めてしまったり、ベタな内容だったりで、それほど心には残らなかった。
最初の1行が決められていること、そしてショートショートという分量の制限があることを考えると、この1冊で作者の力量を判断するのは難しいとも感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ息子が失踪するまでは設定の説明と単調なドラマ撮影の描写が続くので、テンポが悪くもたつく。
事件が起こってからはサクサク読めたものの、「呪われた一族が祀っていた呪物」という、作品の要があまり怖くなかった。
「鬼の鏡」や「鬼眼」、「天眼」などといったそれっぽいワードは出るしミステリ要素もあるしで、盛りだくさん。しかし全体がとっ散らかった印象を受ける。
(ここから心のツッコミ)
それにしても昴太くん、可哀想な赤子を1人で探しに行くなんて小6男子とは思えない行動力と推理力、そして良心を持っている。夢の人物をこいつ園長やんけ!と特定して即本人に電話確認するの、有能すぎない??霊感設定もあるので鋭い子なんだろうが…本人がそう語った訳ではないので、失踪した理由は厳密には分からないのだけど…
それだけ賢い子なら自分1人で行動すれば周囲に迷惑をかけるということに気付かないはずがないので、すでに何かしらの影響を受けた状態だったんだろうなあ、鬼の鏡の障りに。
しかし鬼の鏡くんも、雑に祀った瞬間に人質を返してあげるとはギブアンドテイクを徹底している呪物である。
主人公は幼い頃世話をしていたとはいえ、ここまで心身を削って他人の子供を探すのにはやや違和感があった。他の言動をみても単純に真面目でいいひとなんだな、という結論。
便利(有能)なオカルトオタク・阿南がいなきゃ詰んでいたこの事件。まあ大体のミステリは探偵が登場しなければ迷宮入りだとは思うんだけど…
みんなちょこっとつつけばペラペラとプライベートなネタを喋るので驚くシーンがいくつかある(精子提供とか…。身元の知れない若い男相手に警戒心が低い。いま、令和という大SNS時代だよ)。 -
Posted by ブクログ
ごく短めの短編集。全七編。
個人的に好きだったのは『嘘つきと犬』とタイトルにもなっている『罪の棲家』。
『嘘つきと犬』
中学受験に失敗した私は住んでいる地域とは別の学区の公立中学に入学した。一から新しい友達を作らなければならないという緊張感の中、本当は友達になりたくはなかった前の席の逢坂さんと話すようになる。
彼女は昔から嘘つきで有名だったらしい。特徴的なのはその嘘がいつも中途半端なことだった──。
逢坂さんの刹那的な行動や嘘のつき方が なんとも気持ち悪くまた少し不憫でもあった。
『罪の棲家』
三人姉妹が亡くなった父の遺品整理で実家に集まった。そこに三女がいきなり不動産屋を連れてきた。財産分与にあたり家屋の査定をしてもらうという。三十年前に離婚して実家に戻ったあと両親と暮らし老後の面倒もみてきた長女は家を手放すことを反対し三女が帰った後
「もしもこの家が人手に渡ったら、お父さんの過去の罪が暴かれることになる」
と次女に涙声でそう告げた──。
犯罪のにおいしかしなかったのだが結末は……
師走の気忙しいなか 大掃除の呪縛に苛まれながら読むには適当な短編集。
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Posted by ブクログ
「新しい法律ができた」
の一文から始まる25個のショート・ショート。
25人の作家たちが各々の世界を作り出していく。ほっこりするものやかなり作り込まれたトリックを忍ばせているもの、思わず肝が冷えるものなど、"新しい法律"というテーマをどう使うかが如実に表される。新しい読書体験だった。
「Touch law if you can」 名倉編
途中まですごく楽しい話だと思っていた。
「ある死刑囚の回顧録」 真梨幸子
最後の最後にタイトルを読むと本当に肝が冷える。あまり他人事とは言えないのだ。
「もう、ディストピア」大沼紀子
何故人を殺してはいけないか。その問いに、殺人が許容されている国ではどう答えるのが正しいか。 -
Posted by ブクログ
スマホでそこそこ細かいネタバレを書いていたらデータが飛びました。メモ使って書かないとこんなことになります。PC使わないとダメだな。
本自体は面白かったけど、もう気力がないのでざっくり。12月に読んで途中で止めて今は4月。もう話の内容が思い出せません。
「べらの祠」
主人公の姉は、亀の刺青をした男と付き合い、覚せい剤使用で逮捕される。
姉は初犯だったため、執行猶予がつき、叔父の住む青森のP集落で暮らすことになった。
主人公と姉は電話でやりとりしていたが、姉が電話に出なくなる。伯父によると姉は「べら様の祠」に日参しており、べら様に取られてしまったという。
主人公は美大に合格したこともあり、姉を訪ねて青森県へ行き、「べら様の祠」で姉と会う。姉は「あの家のわらしは、膨れで死ぬぞ。」と予言する。4日後、その家の子どもが水死体で発見される。
姉の予言を伯父に話すと、伯父は姉を閉じ込める。姉は「めはしぇは」になったという。
以前、この集落にめはしぇはになった者がいたため、伯父はその親族「佐藤さん」の元を訪ねる。
めはしぇはになった姉を訪ねて、標準語を話し、仕立てのいい背広を着た男がやってくる。
姉はまた予言をし、「嫁が割けて死ぬ」「主人公は縊って死ぬ」と告げる。
地元の郷土史家によると、P集落にはもともと「名前を言ってはいけない神である創造神のヤハウェ」が祀られたため、ヤハウェの神社を⚫️神社、まる神社と呼んだ。それを恐れた者が「べら様」を祀る祠を作ったという。べら様とは悪魔ベリアルのことで、めはしぇはは呪いをかける魔女だという。魔女の呪いは気にしなければよいが、気になるなら殺すしかないという。
主人公は庭のトリカブトを潰し、その汁を西瓜に塗る。
部屋に入ると、姉は目隠しされていたが、姉の眉のあったあたりから別の頭が生えていて主人公を見ていた。姉は「結婚するので明日家を出ていく」と話す。主人公は姉に西瓜を渡す。目隠しされたままの姉は涙声で「ありがとう。美味しいよ」と言いながら西瓜を食べる。それを見届けて主人公が立ち去ろうとすると立ち上がれない。主人公は這って逃げ出すが、その耳に姉の慟哭と嘲笑う別の声が聞こえていた。
次の日、姉は毛布でぐるぐる巻きにされ、担架に乗せられてワゴン車に運ばれた。迎えに来たのは以前にもやってきた、仕立てのいい背広を着た男だった。
男は「当代も喜んでおります。家に迎えられるのは20年ぶりのことですので」と笑う。
伯父は「姉っちゃは嫁入りする」「嫁入り先は立派な家だから心配いらない」と言った。
以来、主人公は姉を見ていない。
その後、姉から女の子が生まれたことを知らせるハガキが届くが、ワープロ印字で姉が書いたものかわからなかった。
数年後、主人公は病気で視力を失い、絵を描く道は潰えた。美大を中退したが、まだ死にたいとは思わない。
「うず山の猿」
子が死産で生まれたことをきっかけにアルコール依存症になった「先生」と呼ばれる男「私」は、治療のためにP集落の山奥でひとり暮らしている。外界との繋がりは、食料を運んできてくれる、亀の入れ墨をした男、川辺だけ。
川辺は、この山にはどんな病気も治してくれる猿がいると話す。
祠にひょうたんに入った酒があるのを見つけた私は、家に持ち帰る。明け方、猿がやってきた。猿はひょうたんを追ってきたらしい。
猿は酒を含んで、私の唇に舌を入れてきた。その酒の旨さに、私は猿の舌を吸った。
川辺は人を殺したので逃げることになったといい、立ち去る。
数日後、再びあの猿が現れた。猿は自分が産んだらしい子猿の死体を置いていく。その子猿は私と同じ、特徴のある耳をしていた。
私は子猿の死体を隠そうとするが、川辺を追う人間に家探しされるのを恐れ、子猿の毛を剃り、全部を鍋で煮て食べた。子猿の耳も脳も。とてつもなく美味だった。
どうやら私は妻に保険金目当てで殺されるところだったらしい。
あれからどんな酒も飲めなくなった。
ここから感想
猿との関わりに、妻と重なる描写があって意味深(死んだ子を抱く 耳をさわる 突き飛ばした時と同じ悲鳴)だが、最後まで読んでも子猿の頭に何があったのかがわからない。
河童の皿かと思ったけど、悲鳴をあげるならもう一つの頭か?
「がんべの兄弟」
ここだけ毛色が違い、なんだかいい話。
※※※
もううろ覚え。タイトルもわからない。中身も信頼できない。
女性が神社に登っていく途中で小学生くらいの女の子が話しかけてきて、犬とか自分の妹の欠点についての話をし、その神社に返したら欠点のない状態の異形(口がないとかだった?)であるべきところに戻ってきたと話す
そして女性に、女性堕胎した子がお腹に戻ってくることを暗示させる話をして終わり。
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Posted by ブクログ
本書を読んで改めて思ったのは、昔ならではの風習というものは、やはり理解しがたく、不気味なものだということだ。
ただし本書は不気味ではあるものの、なぜか惹きつけられる魅力があり、一気に読み終えてしまった。
ホラー要素は強くなく、幽霊やジェイソンのような殺人鬼が登場するわけではないので、いわゆる「怖いもの見たさ」とは異なる不思議な引力があった。
また、物語の舞台はタイトルの通り“ある集落”だが、短編集としてそれぞれの話が独立しながらも、ほどよく繋がりを持っている。そのため、一篇読み終えるたびに前の物語を思い返してしまう構成が非常に巧みだった。
タイトルや表紙の写真から漂う不気味さほど、内容は不快ではなく、意外と読みやすかった。ホラーが苦手な人にも勧められる一冊だと思う。