【感想・ネタバレ】妻は忘れない(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

私はいずれ、夫に殺されるかもしれない。義父の弔問に訪れた前妻の佑香。夫は彼女とよりを戻したのではないだろうか。苦悩が募る中、通勤バッグにある物を発見してしまう(表題作)。日常を一本の電話が切り裂いた。大学生の息子哲生から元交際相手傷害事件について話を聞いている。刑事がそう告げたのだ(「戻り梅雨」)。平凡な家庭に潜む秘密を鮮やかに浮かび上がらせる、五篇の傑作ミステリ。(解説・千街晶之)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

久しぶりにとてもおもしろい小説に出会えました。人物描写が的確なため、「こういう人ならそういうことはしないだろうな」「こういう人ってそういうことしちゃいそうだよね」というイメージが湧き、物語に入り込めました。どの言葉にも無駄がなく、実際の文字数以上の世界に引き込まれていきました。あっという間に読めるのに、長編小説を何冊も読み終えた感覚になりました。

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2023年05月06日

購入済み

作家さん買いします!

マザーマーダーではまって矢樹純さん3冊目。今回も大変面白い短編集でした。家族、を描くのが上手いなぁ。とてもリアルでゾクゾクしながら読みました。3冊短編集読んで一つもハズレがないなんてすごい。

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2022年06月26日

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ネタバレ

自分の妻と被る内容があるか楽しみに読んだ。すべてインパクトのある内容だったけど、残念ながら妻と被るお話しは無し。一番インパクトがあったのは表題通りの「妻は忘れない」。義父が急死する。そこで別れた妻が現れた。今妻VS別れた妻。旦那は別れた妻とちょくちょく会っている模様。今妻は旦那を信じられるか?これは厳しいね、疑心暗鬼になる。結局、別れた妻が義父の子どもを妊娠した!という訴えがあり、今妻は反撃に出る!DNA鑑定せい!!さすがに今妻は強し。旦那は今妻に事前になぜ事情を説明しないのか(怒)、でも面白かった。

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2021年08月22日

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日常に潜む不穏な空気や秘密をテーマにした短編集
お話はどれも一筋縄ではいかず、どんでん返しとまでは言わなくても、見事に予想と違う展開が待ち受けています
満足度の高い短編集でした

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2025年10月06日

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ざわざわと胸に不安が広がっていく。

「妻は忘れない」「無垢なる手」「裂けた繭」「百舌鳥の家」「戻り梅雨」
毛色の異なる5話収録の短編集。

前作『夫の骨』で騙される快感を味わい期待して待った本作にもしてやられた。

ごく身近な日常の中でふと感じる違和感、不安、猜疑心、嫌悪、自省、それらの感情が複雑に絡み合いながら終盤まで二転三転する展開にざわつきが止まらない。

5話それぞれに趣があって面白いが、中でも不穏でイヤな感じが延々と続くママ友の行動を描いた「無垢なる手」はその心理描写が秀逸。

ホラー要素を含んだリアルミステリー。

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2023年02月16日

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非常に楽しめる短編ミステリーが5本.「避けた繭」はあまり感心しない主人公誠司の話だが、その他は意外な事象が最後に飛び出して、思わず読み返すことがあった.佑香の仕組んだ企みが頓挫してしまう表題作も楽しめたが、若い母親の心の探り合いがテーマの「無垢なる手」は認知症がキーワードかな.「百舌鳥の家」は母親の病気で姉妹の過去の出来事が露呈するものだ.「戻り梅雨」は哲也の行動を把握しきれない母の思いや姉の葛藤がうまく描写されていた.

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2022年09月10日

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前作の『夫の骨』も良かったけれど今回も先が気になり一気に読み終えた。短編だけれど読み応えは充分で切れ味がいい。どんでん返しもありで読み返しても楽しめる。

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2022年06月19日

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ネタバレ

短編5編

「妻はわすれない」
思いやりの空回りとも言えるかも。もしくは、思いやりという優しい言葉を隠れ蓑にして、面倒な対話を避けた結果の更なるややこしい事態。
とはいえ、最後は主人公夫婦にとってハッピーエンドなのでよかった。
あれだな。今は妊娠中に、リスク少なく親子関係調べられるんだから、怪しいときはまずは科学の力を借りるべきよな。

「無垢なる手」
一言で片付けるなら、人との距離感が全く違う人との付き合いとゆーか。(それだけでは片付けられない、不気味さがさらにあるけど)
ずかずかと(なんとゆーか、精神的な?)パーソナルスペースを侵してくるママ友が不快なのはもちろんだけど、夫の行動も個人的にはしんどい。他人に対するパーソナルスペース?の取り方は人それぞれ違うってことを念頭においえておかないといけないよな、と思ったり。特に夫婦という関係は元々は他人のはずなのに、あまりにも近い関係になる結果、相手は自分と同じ価値観を持っていると信じて疑わなくなってしまうのかも。気を付けないと

「避けた繭」
怖い。怖い、怖い。
引きこもりの主人公?は、ほんと今すぐ精神科受診すべきだわ。
引きこもりやニートと、精神疾患ってかなり密接に関係してると思うけど、それがなかなか周知されてなくて、結局医療に繋がらず最悪なことに……って、現実でも起こっているであろう怖さ

「百舌の家」
私はこの姉みたいな人間が好きじゃないから…読んでてしんどかった。
悪気がないからしょうがない、みたいな言葉ってホントは一番たちが悪いよなぁ。だってわざとじゃなくて、性根からって、どうしようもないやん。

「戻り梅雨」
最後のオチが、そーきたか!!て感じ。
犯罪が起きたときに、よくその家族(被害者側も、加害者側も)まで槍玉にあがるエピソードを見ると、家庭を持つって本当に怖い。自分の行動は自分の責任でコントロールできるけど、家族のことまではコントロールできないから……

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2022年03月13日

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ネタバレ

初めての作家さん。
何だかモヤモヤする感じが残りつつ、女はやっぱ怖いなーと思いつつ(私も女性だが)
ママ友のやつは、はっきり言えばいいのに、あーゆーコミュニティは言っちゃいけない空気とかあるんかなー。

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2021年10月08日

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ネタバレ

スッキリ3割
イヤミス7割

…ってところでしょうか。
特に『裂けた繭』はグロテスクな描写があるので
苦手な方は要注意。
(殺人鬼フジコの衝動みたいな)

読後感が良かったのは
表題作の『妻は忘れない』と『戻り梅雨』だけど
全体的に最初に勘違いさせるような描写のあと
ひっくり返される所謂どんでん返しの趣向があり
読んでいて楽しかった。

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2021年07月22日

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家族をテーマとしたどんでん返しミステリー、ノンシリーズの5作品の短編集。
よくありがちな家族設定からはじまり、彼らが抱える悩みや疑念が除々に大きくなり、あれよあれよという間に小気味良いオチが待っている。『私の骨』で、してやられた感があったが今回もたっぷりやられて楽しめた。

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2021年06月13日

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ネタバレ

“妻は忘れない”というか“女は忘れない”が集まった短編集。
どこにでもいる普通の人々が主人公だけれど、いったいどうなるんだとドキドキさせる展開と予想できない着地点に落ち着く意外性がおもしろかった。
「無垢なる手」のママ友のズレた感覚、「裂けた繭」の母親の正常な感情の麻痺、どれも真正面からくる直球の怖さではないが、胸のざわつきがいつまでも残るイヤな感触の怖さ。
平穏な母と息子の日常が脆く崩壊する苦さを味わい、その分ラストの安堵感が倍増する「戻り梅雨」を終わりに持ってくる構成が巧み。

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2021年01月07日

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5編のミステリー短編集。

日常にある思い込みやすれ違いがドラマになる。
相手の些細な言動から
「こういう意図なんだろう」
「相手は自分のことをこう思っているのだろう」
……と(勝手に)感じることは日常茶飯事。
かなり細かいことでも気になったりする。
しかも、確かめる術がなく、結果的に
結構な悩みやストレスにつながることもある。

この短編集には、上記のように
思い込んだり、悩みを持つ人物が複数登場し、
共感できる部分が多かった。

個人的には、最後の『戻り梅雨』が一番好き。
ミステリー度が高く、犯人捜しの楽しみもある。

ほかの作品も読んでみようと思う。

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2020年12月21日

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矢樹純『妻は忘れない』新潮文庫。

5編収録のミステリー短編集。『夫の骨』が面白かったので、本作も読むことにした。

5編共に女性の強かさや内に秘める恐ろしさ、表と裏の二面性を描いている。表題作の『妻は忘れない』と『戻り梅雨』の2編が面白かった。

『妻は忘れない』。表題作。短編の中に起承転結とミステリーとがバランスよく配置され、小気味良く読める。バツイチの夫と結婚して数年後、夜の夫婦生活が途絶え、悩む妻・千絋が主人公。義父の通夜に弔問に訪れた夫の前妻の佑香。それを境に頻繁に外出するようになった夫の通勤バックに見付けたスタンガン。夫は自分を殺し、前妻とよりを戻そうとしているのか……

『無垢なる手』。全体に漂うベタついた雰囲気の保育園のママ友の話。女性同士なら簡単に意気投合するかと思えば、背負っている家庭の事情や子供たちへの教育のこともあり、見えないところでバチバチと火花を散らすようだ。『妻は忘れない』と同じパターンの結末なのが残念。

『裂けた繭』。サイコミステリーっぽい短編。10年間も自室に引き籠る誠司には、もう一人《みゆな》という女性の人格があった。実際に過去に起きたよく似た事件をベースに凄惨な結末が待ち受ける。

『百舌鳥の家』。母親が手術のため入院したことから、久し振りに帰省した沙也は姉から母親が死んだら相続を放棄してほしいと告げられる。父親の死の真相と忘れていた過去が……

『戻り梅雨』。本作の中では一番ミステリー性の高い短編。二転三転の展開が面白い。7歳年上のシングルマザーの佐山美玲との交際を諦めたはずの哲生が、美玲が自宅で頭部を殴打され、倒れているところに居合わせる。警察に参考人として拘束された哲生は美玲を襲った犯人なのか。

本体価格590円
★★★★

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2020年11月01日

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ちょっと無理矢理な話もあるけど、基本的にはどれも面白い。
「超イヤな気持ち!!」ではないけど、「あぁ、なんかモヤモヤするな…なんかイヤかも…」ってのが全体的に漂うお話達でした。

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2025年11月25日

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妻をはじめとする家族ってある感情を抱いたときに他人とは違う心の動きをする。大変なことでも家族だからゆるせる、些細なことでも家族だから許せない、そんなことが詰まった話たちを読むととの作品でも「自分だったら」と考えてしまう。

作品としては「百舌鳥の家」が印象に残った。姉の性格や思考、行動が常識を超えていて、家族でも(家族だからこそ)理解できない、受け入れられないところが気持ち悪い。

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2025年09月12日

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あっという間に読めた短編集。
家族の話。
家族って、生々しいし互いへの思い込みも多いし、重たいわりに逃げられない。

いろんな短編があって、思い込みだけのミステリーかなと思ったら、わりとちゃんと事件が起こる話もあり。
個人的に、好きなのが「戻り梅雨」、面白いのが「無垢なる手」、ぞわっと顔が歪んだのが「裂けた繭」

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2025年07月18日

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どんでん返し系短編五篇。夫が元妻とよりを戻して自分を殺そうとしていると思う『妻は忘れない』、急に接近してきたママ友と夫の仲を疑う『無垢なる手)、死体処理をする引きこもり男が母親の死体を見つける『裂けた繭』、長年帰っていなかった田舎で姉の本性を知る『百舌鳥の家』、息子がストーカー殺人を犯してしまった『戻り梅雨』。

『戻り梅雨』は、結果、息子は殺人を犯していないのだけれど、母親が夫のDVで離婚をしていて、それが影響して息子に暴力的な面があるのではと思わせるところなど、うまいなーと思った。保育園の給食室での仕事の様子とか、地味だけどリアリティがあって読ませるし、そこにもちゃんと伏線を仕込んでいる。

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

夫婦や親子、姉妹など家族関係からなるミステリ短編集、どれも面白かった!
どの話も心理描写とか、(主人公の視点での)人に対する見方とか、すごく分かる感じ。

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

イヤミスの系統だと思っていると、所謂胸糞な展開はあまりなく、結末でカタルシスのある話がほとんど。オチのインパクトもほぼ想定内と言ったところ。読みどころはそうした部分より、キャラクターの細密な心理描写だろう。リアルとはもしかしたら少し違うのかも知れないが、異様な説得力があって、表題作や「無垢なる手」での、自分で自分を追い込んでいくような、一人称は読んでいて息が詰まる。

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2022年11月25日

Posted by ブクログ

『味がすべて違う飴玉5個セット』みたいな短編集。
どれも見た目は似通っているが、味わってみると全然違う。

一番最初の話、妻が忘れないことってどうしても恨みがましい方の意味に捉えてしまう。
ストーリーもちょっと不穏な雰囲気だし。でも最後まで読んてみたら「そういう忘れないってことなのか。。。なるほどね」となり、タイトルからイヤミスだと決めつけた自分を恥じた。
さて、そんな気持ちで次のママ友の話を読んだら「あれれ」と2回くらいクルクルと翻弄され、やはりこれは後味悪い系の短編集と思い直し、その次の自宅監禁を題材とした吐き気を催す気持ち悪い話を読み。。。

読んでる間は面白く読めるのだが、終わってしばらくするとすべて忘れてしまう。
そんな本だった。

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2021年12月23日

Posted by ブクログ

表紙がもっと可愛いといいのに。中身はもっと魅力的でした。
2作目、無垢〜は、なんともゾクゾクするイヤな感じ。
でもそういう人いるなあと、思う。

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2021年12月23日

Posted by ブクログ

妻は忘れない
矢樹純さん。

初めましの作家さん。
日本推理作家協会賞短編部門賞受賞作家。

短編ミステリー。

おもしろかったー!!
一人読みながら、
えーっ!!マジか!!と、
声が出ちゃった。

おもしろかったー!!


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2021年07月07日

Posted by ブクログ

日常の中で、簡単に陥ってしまいそうな罠。
他人が仕掛けた罠だけでない。
自分自身でがんじがらめにしてしまう罠やら
愛情のボタンの掛け違えからくる罠やら色々だ。
自分にも起こる可能性だってあるかもしれないと思うから、
ちょっと怖いのよね、、、

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2021年06月21日

Posted by ブクログ

表題の妻は忘れないは、女性の勘の鋭さと
それを表面には出さず夫と普通に過ごす
妻の裏の顔が見えて、女性はいざとなると
恐ろしいと思った。
ママ友を題材にした、無垢なる手は
日常何処にでもありそうなリアル感で
人の心に無邪気にスルリと入り込んで
ずっと剥がれない溶接剤の様なべっとりとした
最後まで後味の悪いママ友。
どの短編も、何気無い生活の中に潜んだ狂気が
感じられる作品。

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2021年06月17日

Posted by ブクログ

短篇集
女性の視点で日常から起きてもおかしくない事件が次々と。主人公は一編づつ変わる。
どんでん返しもあり、思っていた展開と違った展開になる編もあった。よくできているが、欲を言えばひねりがもう 少し欲しい。

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2021年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

5編の短編集ですが、どれも面白かった。

それぞれ当初の思惑通りに完結することなく、少し意外な結末に終わるので、次の話が楽しみであっという間に読み終えました。

勝手に相手が自分に悪意があると決めつけてかかってもその逆だったり、いい人だと思っていてもそうじゃなかったり、現実にもこういうことありそうで怖いと感じた本でした。

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2021年03月25日

Posted by ブクログ

突然、普通の人々に訪れる日常生活の歪み。平凡な家庭に潜む秘密を鮮やかに浮かび上がらせる五篇のミステリー。日本推理作家協会賞短編部門受賞後第一作。
作品内に漂う雰囲気が、ただただ異質さを感じる。いつもの日常と変わらないはずなのに、何故か違和感を覚えるほど気持ち悪いものはない。この表現力は現代作家随一かもしれない。

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2020年12月08日

Posted by ブクログ

不協和音というか、黒板をキーッとと引っ掻くような不愉快さ。
こういう人、いるいる。
こういうことあるある。

そんな日常にふっと起こりうる不愉快な事件の数々。

展開は面白いが、もう一回読むのはその不愉快さゆえにちょっと勘弁って感じ。

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2020年11月27日

Posted by ブクログ

傑作短編ミステリだと思われるが,いまいち好きになれないタイプの話が多い。

ラジオの書評で知って買った。

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2020年12月17日

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