あらすじ
私はいずれ、夫に殺されるかもしれない。義父の弔問に訪れた前妻の佑香。夫は彼女とよりを戻したのではないだろうか。苦悩が募る中、通勤バッグにある物を発見してしまう(表題作)。日常を一本の電話が切り裂いた。大学生の息子哲生から元交際相手傷害事件について話を聞いている。刑事がそう告げたのだ(「戻り梅雨」)。平凡な家庭に潜む秘密を鮮やかに浮かび上がらせる、五篇の傑作ミステリ。(解説・千街晶之)
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Posted by ブクログ
自分の妻と被る内容があるか楽しみに読んだ。すべてインパクトのある内容だったけど、残念ながら妻と被るお話しは無し。一番インパクトがあったのは表題通りの「妻は忘れない」。義父が急死する。そこで別れた妻が現れた。今妻VS別れた妻。旦那は別れた妻とちょくちょく会っている模様。今妻は旦那を信じられるか?これは厳しいね、疑心暗鬼になる。結局、別れた妻が義父の子どもを妊娠した!という訴えがあり、今妻は反撃に出る!DNA鑑定せい!!さすがに今妻は強し。旦那は今妻に事前になぜ事情を説明しないのか(怒)、でも面白かった。
Posted by ブクログ
短編5編
「妻はわすれない」
思いやりの空回りとも言えるかも。もしくは、思いやりという優しい言葉を隠れ蓑にして、面倒な対話を避けた結果の更なるややこしい事態。
とはいえ、最後は主人公夫婦にとってハッピーエンドなのでよかった。
あれだな。今は妊娠中に、リスク少なく親子関係調べられるんだから、怪しいときはまずは科学の力を借りるべきよな。
「無垢なる手」
一言で片付けるなら、人との距離感が全く違う人との付き合いとゆーか。(それだけでは片付けられない、不気味さがさらにあるけど)
ずかずかと(なんとゆーか、精神的な?)パーソナルスペースを侵してくるママ友が不快なのはもちろんだけど、夫の行動も個人的にはしんどい。他人に対するパーソナルスペース?の取り方は人それぞれ違うってことを念頭においえておかないといけないよな、と思ったり。特に夫婦という関係は元々は他人のはずなのに、あまりにも近い関係になる結果、相手は自分と同じ価値観を持っていると信じて疑わなくなってしまうのかも。気を付けないと
「避けた繭」
怖い。怖い、怖い。
引きこもりの主人公?は、ほんと今すぐ精神科受診すべきだわ。
引きこもりやニートと、精神疾患ってかなり密接に関係してると思うけど、それがなかなか周知されてなくて、結局医療に繋がらず最悪なことに……って、現実でも起こっているであろう怖さ
「百舌の家」
私はこの姉みたいな人間が好きじゃないから…読んでてしんどかった。
悪気がないからしょうがない、みたいな言葉ってホントは一番たちが悪いよなぁ。だってわざとじゃなくて、性根からって、どうしようもないやん。
「戻り梅雨」
最後のオチが、そーきたか!!て感じ。
犯罪が起きたときに、よくその家族(被害者側も、加害者側も)まで槍玉にあがるエピソードを見ると、家庭を持つって本当に怖い。自分の行動は自分の責任でコントロールできるけど、家族のことまではコントロールできないから……
Posted by ブクログ
初めての作家さん。
何だかモヤモヤする感じが残りつつ、女はやっぱ怖いなーと思いつつ(私も女性だが)
ママ友のやつは、はっきり言えばいいのに、あーゆーコミュニティは言っちゃいけない空気とかあるんかなー。
Posted by ブクログ
スッキリ3割
イヤミス7割
…ってところでしょうか。
特に『裂けた繭』はグロテスクな描写があるので
苦手な方は要注意。
(殺人鬼フジコの衝動みたいな)
読後感が良かったのは
表題作の『妻は忘れない』と『戻り梅雨』だけど
全体的に最初に勘違いさせるような描写のあと
ひっくり返される所謂どんでん返しの趣向があり
読んでいて楽しかった。
Posted by ブクログ
“妻は忘れない”というか“女は忘れない”が集まった短編集。
どこにでもいる普通の人々が主人公だけれど、いったいどうなるんだとドキドキさせる展開と予想できない着地点に落ち着く意外性がおもしろかった。
「無垢なる手」のママ友のズレた感覚、「裂けた繭」の母親の正常な感情の麻痺、どれも真正面からくる直球の怖さではないが、胸のざわつきがいつまでも残るイヤな感触の怖さ。
平穏な母と息子の日常が脆く崩壊する苦さを味わい、その分ラストの安堵感が倍増する「戻り梅雨」を終わりに持ってくる構成が巧み。