佐藤優のレビュー一覧
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体調面から外出に不自由していたタイミングで再読。
佐藤さんは「『何でよりによってオレが・・・・・』という思い」(P.62)を抱きながらも、冷静に自らの状況を俯瞰し、できる範囲でできること(勉強や公判に向けた準備)をしっかり行う。自分自身の逆境もあって、非常に励みになりました。
「キリスト教神学では『何事にも時がある。時が満ちて初めて、次に進むことができる」という時間概念があります。今はじたばたしても仕方ありません。『時が満ちる』のを待って、ひたすら潜在力を付けることが賢明と考えています。他人を憎んだり、人間としての優しさを忘れ、自己中心的になるのではなく、あくまでも人間として崩れずに、『時が満ちる』のを待ちます。」 -
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21世紀の独裁:民主的な選挙で選ばれたはずの大統領が、自国の憲法と法令に従わず、皇帝や王のように振る舞う
p. 233 キェルケゴールは『死に至る病』において、「何かをめぐって絶望しているうちは、まだ本来的な絶望ではない」、「絶望の最低度」は「それが絶望であることを知ってさえいない状態である」と述べています。今の日本人は(中略)没落する日本と、それを感じ取れていない自身の現状を、等身大に直視しなければなりません。
p. 240 独裁者の嘘を見抜くには読書をはじめ、不断の自己研鑽が必要である。ニヒリズムつまり自分で針路を決められない「破れかぶれ」の心境では、無批判に指導者に従ってしまうからである。 -
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<目次>
まえがき佐藤優
第1章明治篇-近代国家形成の歪み
祭2章大正篇-モダニズムの光と闇
祭3章戦前篇-挫折した近代の超克
第4章戦後篇-大量消費文化の終焉
第5章現代篇-コロナがもたらす大転換
あとがき危機からの再出発 富岡幸一郎
2021/3/22第1刷
歴史、神学、小説の論評を通じて、150年を考える
対談本。2019/12-2020/12群像で掲載したものの
まとめ本。富岡氏の発信を知りたかったので購入した
もの。「あとがき}を読むと全体が理解できる。
以下、抜粋。
p212戦時中の雑誌文學界昭和17年10月号掲載された
座談会近代の超克」は、明治維新から80年に及ぶ
この国の近代の歪みと脆弱さを明るみに出そうとした~
p213戦後になると、戦争とファシズムに同調した知識人
や文学者に発言として、指弾された~議論の遡上にも
のぼらなくなった。
p215日本人と日本は、この近代の価値の転換点に直面
している。~近代の超克が問われている。~300年に
及ぶ西洋文そのものにはらむ危機が顕在化している。
p217近代の超克論は、したがって未完のままである。 -
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本書で紹介されていた幼児向け本を
息子に見せてみたら、興味ある様子。
幼いうちから論理の力をつけること
が大事。
論理エンジンシリーズがいいそう。
学習面で大きな武器になるとのことでした。
角田光代さんの小説『八日目の蝉』
を題材にした座談会も掲載。
その中で出てきた
『子どもを産んだだけで母親になるものではない。夢中で育てているうちに徐々に母親らしくなる』
という言葉に深く納得。
また、最後に、
教育の究極の目的とは?
という話題で、信頼が大切と結論。
とりわけ、親と子の信頼関係が大切。
10年以上前の本だけども
大切なメッセージに
新しい古いは関係ないなあと感じました。
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買った当時に紙の本で買って、読んだ。出たのは2009年とのことだから、もう15年くらい前になるのか。歳をとると、感覚がおかしくなるなぁ。つい2、3年に読んだくらいのつもりだった。
そんな昔に読んだ本だから、ほぼ忘れている。
今回、読み返して次のところにラインを引いた。
「
知的な基礎訓練を受けた人たちが、物語を読み解き、また場合によっては物語ができるようになる必要があります。そうじゃないと、世の中で流通していることの物語性がわからなくなってしまう。物語だからいいかげんなところがあるのは当然なのに、人々が物語を唯一の真実と信じてしまうようになると、社会も国家もとんでもない方向に行ってしまうと思うんですね。
」
これは佐藤氏の言葉だ。
立花氏と佐藤氏で神の存在とか、相いれない部分はありつつ、それを踏まえて知的な人同士の議論というのが楽しく読めたね。議論というのは、別にお互いが同意しなくてもいいんだよね。相手はどう思っていて、自分はそれとは意見を異にするんだけど、それはそれで尊重するよ、って。 -
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本書は、人生の折り返しを過ぎた世代に向けて、残された時間をいかに使い、自らの経験や知識をどう活かしていくかを考えるための指針を提示する書物である。著者は、50代に差しかかったとき、人は若いころのように時間が無限であるとは思えず、残りの人生を戦略的に構築する必要があると説く。重要なのは、過去に培ってきた「武器」、すなわちスキル、人脈、蓄積された経験を整理し、それを最大限に発揮できる場を選び取ることである。
本書は六つの観点、すなわち「残された時間」「仕事の向き合い方」「職場での人間関係」「お金」「家族や人間関係」「自己研鑽」に分けて論じられている。最初のテーマである「時間」では、人生の残りが限られていることを前提に、漫然と新しい学びに取り組むのではなく、目的や実際の活用を念頭に置いた選択を行うことが求められる。たとえば新しい語学の習得など、労力の割に実用性が見えにくいものには慎重であるべきだとし、自分が「やりたいこと」と「やるべきこと」を書き出し、その交差点にあるものを優先して行動すべきだと述べる。こうした手法は、行動に明確な軸を与え、残り時間を有効に使うための思考整理につながる。
次に「働き方」では、若いころのように全力で走り続けるのではなく、50代以降は選択と集中が鍵になるとされる。無理に転職や独立を急ぐのではなく、むしろ会社員という安定基盤を維持しつつ、自分の次のステップに必要な準備を重ねることが賢明だという考えが提示される。頑張りすぎるのではなく、自分の体力や知力に応じてペースを調整し、効率的に成果をあげることが推奨されている。
「職場の人間関係」においては、50代が直面する世代間のギャップや組織内での立場の変化が取り上げられる。若手社員との価値観の違いや、自らの言動が時代錯誤と見なされてしまう危険性もある。こうした中で重要なのは、関係を広く浅く広げるよりも、信頼できる人と深く結びつきを築くことだとされる。また、強引に自己主張するより、時には「待つ力」を発揮して状況を見極めることが有効な戦略になるとも述べられる。ラインから外れた人に対する周囲の見方はシビアであり、自分は以前とは違う立場で再スタートするわけですから、新人になった気持ちで、周りに迷惑をかけないよう、与えられた仕事を黙々と地道にこなすことに集中するよう読者を諭す。そして、役職定年で給与が下がったとはいえ、比較的自分は恵まれているのであり、それまでのキャリアや肩書きなんて、どうでも良くなるともいっている。また、自分がいくら部署をうまく回していたとしても、部下の一人がふとしたときに大失敗や不祥事を起こしてしまったときは、一旦リセットして、ゼロからスタートしたほうがよいとしている。
「お金」の章では、健康の維持と収入の確保が不可分であることが強調される。病気や体調不良は直接的に収入を減らし、医療費増大という経済的負担ももたらす。したがって、健康管理は経済的安定の基盤であると位置づけられる。また、定年後の生活を「蓄えた資産で暮らす」か「働き続けて収入を得る」かという二つの選択肢を早めに検討しておくべきだと説かれる。
家族や人間関係については、50代で顕在化する夫婦関係や親子関係の変化、あるいは独身で高齢期を迎える場合のリスクなどが論じられる。特に、関係を壊す大きな要因として「性」と「お金」が挙げられ、これらの問題に誠実に向き合う必要があるとされる。人とのつながりを保ちつつ、価値観のずれを調整し、将来を見据えて備える姿勢が求められるのである。
最後に「自分磨き」では、外面的な若さの維持よりも、知性や内面を豊かにする取り組みが強調される。教養とは単に知識を積むことではなく、相手の立場に立って考える思考力や言語化の力を養うことであるとし、さらに自己の中に潜む弱さや負の側面を直視し、それを乗り越えることの大切さが語られる。著者はまた、再学習の方法として高校教科書の活用を挙げ、基礎から知識を整理することの意義を指摘している。表面的な若返りよりも「頭の若さ」を保つことが優先されるという主張は、本書の刺激的な提言の一つである。
全体を通して佐藤は、50代は劇的な転換を求める年代ではなく、むしろ自分がすでに持っている資源を最大限に活かすことで、安定と充実を両立できると説く。過去に経験した挫折や逆境も、振り返れば新たな武器となり得るとし、自分の立場を冷静に見極めたうえでの行動こそが「人生後半戦」の戦略になるのだと強調している。
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新共同訳聖書(日本聖書協会, 1987/2003)
コヘレトの言葉 3章1〜11節
何事にも時があり、天の下の出来事にはすべて定められた時がある。
生まれる時、死ぬ時
植える時、植えたものを抜く時
殺す時、癒す時
壊す時、建てる時
泣く時、笑う時
嘆く時、踊る時
石を放つ時、石を集める時
抱く時、抱くことをやめる時
求める時、失う時
保つ時、投げ捨てる時
裂く時、縫う時
黙する時、語る時
愛する時、憎む時
戦いの時、平和の時。
人が労苦してみたところで何になろう。
神がなさることはすべて時にかなって美しい。
神はまた、人の心に永遠を与えられた。
しかし人は、神のなさる業を始めから終わりまで見きわめることはできない。
出典:日本聖書協会『聖書 新共同訳』(1987年初版, 2003年改訂) -
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ヒトラーが書いた『わが闘争』の危険な論理を“ワクチン”として提示し、現代日本の格差・ネット陰謀論と響き合う点を具体的に示した本。
ヒトラーが「生存圏」「生産性」を武器に弱者を巻き込み敵を内側に作るレトリックを追っていく部分は、扇動の手口を実地で学べるという意味で興味深い内容でした。ただ、大衆がナチスを受け容れた心情の分析では、体系的にまとめられているエーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』の方が腑に落ちるかなと思いました。また、講演調で読みやすい反面、外交官時代の逸話や雑誌論争への脱線が多く、焦点がぼやける箇所もあった気がします。
一方で、著者の断定的で分かりやすい語り口は、一見リベラルに聞こえる「子育て支援」や「高所得層への重税」が優生思想と地続きになる危うさを突いており、その指摘は非常に面白かったです。何より、『わが闘争』そのものは論理の飛躍が多く、自分の考え方に都合のよい思想をつぎはぎしたような感じで読みにくいため、その危険な本質を読み解くための優れた入門書として、十分に価値のある一冊でした。