【感想・ネタバレ】トッド人類史入門 西洋の没落のレビュー

あらすじ

世界の混迷の起源がわかる!
トッド理解の最良の入門書にして、主著『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』を読み解くための最適なガイド。政治学、経済学ではわからない現代の混迷(「西洋の没落」)を人類学が解き明かす。「世界」がそれまでとは違って見えてくる! 世界で物議を醸した仏フィガロ紙インタビュー「第三次世界大戦が始まった」も特別収録。

『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』
―「21世紀の人文書の古典だ」(佐藤優氏)
―「読めば読むほど味わい深い」(片山杜秀氏)

内容
1日本から「家族」が消滅する日――「家族」の重視が少子化を招く E・トッド
2ウクライナ戦争と西洋の没落――「露と独(欧州)の分断」こそが米国の狙いだ トッド+片山+佐藤
3トッドと日本人と人類の謎――「西洋人」は「未開人」である 片山+佐藤
4水戸で世界と日本を考える――日本に恋してしまった トッド
5第三次世界大戦が始まった――弱体化する米国が同盟国への支配を強めている トッド

●エマニュエル・トッド
1951年生。フランスの歴史人口学者・家族人類学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、「ソ連崩壊」「米国発の金融危機」「アラブの春」、さらにはトランプ勝利、英国EU離脱なども次々に“予言”。著書に『老人支配国家 日本の危機』『第三次世界大戦はもう始まっている』など。
●片山杜秀
1963年宮城県生。思想史研究者・慶應義塾大学教授。著書に『11人の考える日本人』など。
●佐藤優
1960年東京都生。作家・元外務省主任分析官。著書に『佐藤優の集中講義 民族問題』など。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

実は「西洋の敗北」に興味があって、そちらを読もうとしたけど、金額の高さと、もしかしたら難解かもしれないと思ったので、まずは「入門」とついているこちらを読んだ。意外にもわかりやすく、またいまの世界の見方が変わってしまうような衝撃をうけた。一番ショックを受けたのは、日本は軍拡はせずに、核装備をして時間稼ぎをして、じっくりと考えるべきだという件だ。核なんてもっての他だと思っていたが、少し心を揺さぶられた。さて次は「西洋の敗北」に挑戦してみよう。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

アメリカ型のものの見方では世界の見方を誤るなぁとトッド氏の書籍を読むたびに感じる。この本はインタビューや対話の寄せ集めではあるがトッド氏の考え方の入門として読みやすい。これを機にトッド氏の著書にチャレンジしてみたい。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

新鮮。目から鱗。濁った視野を爽快に洗い流してくれる。そして思いもしなかった視座を提示してくれる。新書で、しかも佐藤優と片山杜秀の対話型解説(贅沢が過ぎる)ということも手伝って、キャッチーに吸引力が凄い。良かったぁ。

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2023年05月12日

Posted by ブクログ

題名の「トッド」とは、フランスのエマニュエル・トッドのことである。独自な研究で世界を語るという感のエマニュエル・トッドである。近年『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』という人類の歴史を鳥瞰しながら、幾分掘り下げて行くという、長きに亘る研究の集大成的な本を上梓している。日本語版も登場して然程の時日が経っていない。この本の内容を念頭に、片山杜秀、佐藤優の両氏が「トッドの論点」で最近の話題等も掘り下げて論じるという感の一冊である。
本書は、トッド自身のインタビュー、トッド、片山杜秀、佐藤優の3氏による鼎談、片山杜秀、佐藤優の両氏による対談というような体裁の各部、5つの纏まりから成っている。各々に興味深い。が、個人的には「ウクライナ戦争と西洋の没落」、「第三次世界大戦が始まった」という部分に殊に引き込まれた。
「ウクライナ戦争と西洋の没落」、「第三次世界大戦が始まった」という部分に在る論点は、これまでにエマニュエル・トッド関係の本で論じられているモノに触れている内容と被る。それに佐藤優関係の本で論じられているモノも加わり、鼎談として内容が交差しながら掘り下げられている。
色々な経過を辿った人類の経過の中、現在に至って「第三次世界大戦」とでも呼ばれるようになって行くかもしれない事態に「踏み込んでしまっている?」ということに「気付かなければならない?」ということが本書では示唆されていると思う。
ウクライナの戦争に関して、本書の中では「思いも掛けぬ長期化」という見立てが色濃いかもしれない。他方に、1年程度の期間で何らかの収束が図られるかもしれないという見立ても在るのかもしれない。「あんた個人が如何思おうと、何ら関係無い…」とでも言われてしまうかもしれないが、それでも個人的には「人々の生命が擦り減らされるようなことを少しでも早く停めて頂きたい…」というように思いながら、この事案に纏わる情報に触れている。
そしてトッドの研究の出発点でもあるような「家族」という問題を論じた部分も興味深い。表層的に然程の影響が無い様で在りながら、しぶとく影響力を行使し続けるような文化を「ゾンビ〇〇」と本書の中では呼んでいる。「ゾンビ儒教」とでも呼ぶべき、深く浸透した儒教の影響を免れ悪い地域の国々では、「子どもの面倒を」、「親の面倒を」と何でも背負い込むような感が在り、現に要る老いた親の面倒を見る関係で、未来を担う子どもに関する事柄を推し進め悪い側面が否定出来なくなるという論が展開されていた。日本もここで言う「ゾンビ儒教」という域内に入ってしまう。少し考えさせられた。
初出が雑誌という部分が殆どなのだが、本書は何か「読み応えが在る記事を集めて一気に通読」という感じでもあると思う。本書のような、大著の内容を念頭に、その「触りの議論」へ一般読者を誘うような本は、なかなかに好いと思う。

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2023年04月12日

Posted by ブクログ

この本は、トッドの大作『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』を読むための入門本と冒頭で紹介されているけど、それ以上の面白さ。

前述の大作の面白いところをギュッと紹介してくれるだけでなく、現代社会の抱える様々な課題や疑問を家族制度の観点で説明するところにフムフムと読み入ってしまう。
ところどころに見える刺激的なフレーズがまた良い。

意図的に極解した切り取り
■日本やドイツは長男を頭とする直系家族社会。英米の核家族社会とは根本から異なる。
■日本は長男が家を継ぎ、老いた親の面倒を見て家が社会福祉を担った。英米は成長した子は親元を離れ、老いた親の面倒は社会税制が担った。
■日本が硬直化しやすく、英米が変化への対応が速いのは家族制の違いにルーツがありそう。
■大学はいまや人々をランク付けする不平等製造マシン
■宗教は死につつあるが死に果てていないゾンビ
■米国の地政学的基本スタンスとは「我々は正しいし負けない。大西洋と太平洋があるから侵略などされない」
■英米の正義とは絶対正義ではなく金にモノをいわせた訴訟による。米で裁判に負けたら広い国土のどこかに行けばいい。
■米の国土は広いのだから、地道な農地改良や資源節約などそもそも馴染まない。米国な旺盛な個人消費とは、長年培われた浪費主義だ。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

オーディブルで

エマニュエル・トッドの著作は以前いくつか聴いたことがあるのだが、これは「我々がどこから来て、今どこにいるのか?」の邦訳の出版後に、それを読み解き、さらにはその後の特にウクライナとロシアの情勢を受けての世界の現状をどう考えるかについて、トッド氏と、片山杜秀、佐藤優両氏の対談、トッド氏についての片山、佐藤両氏の対談、フィガロ紙のトッド氏に対するインタビューなどなどを載せている。基本、対談やインタビューがベースのものなので、わかりやすいものになっている。

「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」もオーディブルに入っているので、聴こうと思っていたが、こちらはちょっと気合を入れないと難しいかな?
次は「西洋の敗北」から聞こうかな?

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2025年05月22日

Posted by ブクログ

欧米中心主義ではないとは、どういうことか
ウクライナ戦争にしても、アメリカやイギリスの裏の思惑がなんとなくわかり、ロシアに対する見方もちょっと変わった

西洋の栄光が相対化されたとき、日本はどうあるべきか、、

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2025年04月30日

Posted by ブクログ

エマニュエル・トッドは社会の根底を見据える思想家である。彼の視点は地域や人種といった分断を越え人々の文化や家族構造に光を当てる。時に鋭く時に冷静に歴史の流れを解き明かす彼の分析は我々が持つ固定観念を揺さぶる。だが我々は報道の恣意性に常に注意を払う必要があるとともに判断も委ねられている。事実をどう伝え、どう受け止めるべきか――現代における課題を浮き彫りにする。多様な視点を持ち真実に近づく努力を忘れないことが思考の深まりにつながるだろう。

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2024年12月09日

Posted by ブクログ

ソ連は共産主義、反植民地主義で勢力を拡大したが、基本的には外婚制 共同体家族の地域に限られた。今のロシアは父権的で伝統的な保守主義を掲げており、イスラム世界を含むより広くアピールする事ができるとの事。実は世界の75%は父権制社会である。ロシアは孤立していない、味方を変えると西洋社会が世界から孤立しているとも言える。
トッド氏の「我々はどこから来て、今どこにいるのか」に挑戦したい。

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

エマニュエル・トッドとの対談

ロシアとウクライナ
日本や西洋の立場でなく、非西洋的な立場から見れば違った視点が見えてくる。
進んでいると思われた西洋の家族のあり方。
ロシアから見たら西洋による侵略からの防衛戦争
アメリカによるドイツの国力低下を狙った武器許与
ロシアのGDPでは測れない軍事力

義でなく、ここにある現実を知ることの大切さ
もちろん、殺戮が決して許されることではないけれど、そろそろ、冷静に2つの国の立場を確認することも大切なのかなと思いました。

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

トッドの知性は現在世界の知識人の中でも、ずば抜けて信頼がおけるということを再認識した。

トッド自身の語り口の妙は相変わらずだが、トッドの集大成ともいえる「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」の読みどころを論じる片山と佐藤による対談も勘所をよく押さえていて、良いおさらいになった。

ウクライナ戦争が「政治的価値観の対立」であるのは表面的なことであって、(そして経済的な動機もあくまで一面であって)より深い次元では「人類学的価値観の対立」であり、したがって意識的なレベルのことに尽くされないということを明晰に教えてくれる。

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2023年06月18日

Posted by ブクログ

家族の形を分類して考察するところが目新しく、面白かった。日本は長男が家を継いでいく的な直系家族だというのは今の時代たしかに違うけど根底として残っていると感じているし、ドイツが同じような家族形態であったこと、さらに直系型であるが故に社会が安定・硬直しがちで、英米の核家族型社会の破壊的創造と対比されるところはなるほどだった。
また、ウクライナ戦争についてプーチンの方が多様性を重視していて西洋側が文化を押し付けようとしている、という部分は日本メディアでは聞かない話なのでもっとちゃんと知りたいと思った。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

トッドさんの最新の見解を対談形式を通して確認できるのでとても読みやすかった。またその見解が他国よりもここ日本で比較的受け入れられているというのは日本人の柔らかさなのかなと思う。
そして距離人種如何に関わらず争いの早期終結を心から願っています。

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2023年03月28日

Posted by ブクログ

『西洋の敗北』がとても面白かったので、理解を深めるために本書をAudibleで聴いた。『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』などからの引用が多く、そのたびに出典の書名も音読されるのが非常に苦痛だった。

本の分量は少なく、さらっと聴くことができたし、内容自体も理解を定着させるという意味では良かったと思うが、それ以上ではない。

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2025年05月29日

Posted by ブクログ

2024.07.01
確かに西洋は没落するのかもしれない。しかし、それは日本が興隆するというわけではない。その答えが見えない時代だという認識が必要なのはわかった。答えは自分で探さないといけないのだ。

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2024年07月01日

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