佐藤優のレビュー一覧
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著者大橋武夫は陸軍参謀第二部所属ではなかったものの、優れたインテリジェンス能力を持っていた。戦後そのノウハウを企業経営に活かした。本書『謀略』では著者が明石元二郎、リヒャルト・ゾルゲ、戦国武将それぞれの工作を具体的に見ていくが、その中でも特に現代人が読むべき箇所は(七)謀略を考える、であろう。こちらの箇所は作家佐藤優が具体的な解説をしているが、地政学リスクが叫ばれる昨今だからこそ、諸外国とどのような関係で付き合うべきかを考えさせられる。
まず「謀略」と似た用語に「諜報」があるが、これら用語は明確に異なる。諜報とは、単に相手の状況を知るだけであるが、それに対して謀略とは、自身の実力をなるべく -
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東京に長いこと暮らしている実感として、周囲には資本主義に包摂されアメリカ的フィルターを通した物の見方に染まった人が大多数だ。対して、保守・復古的価値観に意義を持つ人も散見するし、やれ風の時代だ、直観が大事だ、大いなる力だ、闇の権力者だとスピリチュアルや陰謀論に染まる人もやたらと多い。こちらはいずれも反知性主義的傾向が強く、ナイーブすぎる。
認知バイアスがある以上、情報をバランスよく、現実的に受け取ることは難しい。それでも真摯に、丁寧に情報を集め、主体的・柔軟に思考を積み上げることで強くしなやかなビューを持つことができると私は信じている。
世の中には南:北、リベラル:保守、先進国:途上国、民主 -
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家族形態から世界を読み解く本!ちょっとあっち寄り トッドは人類学者、歴史家、地政学者として名高い。特に家族システムをベースに様々な社会現象を読み解くのが得意だ。この本は「我々はどこからきて、今どこにいるのか。」の解説書と考えてもよいだろう。
核家族は古い家族形態で、日本の直系家族の方が新しい家族形態ということを初めて知った。女性の地位も時代が新しくなるにつれ低くなるのだそうだ。ユーラシア大陸の中央部で新しい家族形態が生まれたが、大陸周辺部は古い核家族が残っているのだそう。ただ、核家族の社会は「革新」を得意とする。だからイギリスから産業革命が生じたのだと。
家族形態を切り口としてウクラ -
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グローバルサウスとは西洋民主主義に対する対抗概念。冷戦後世界に広まった西洋的民主主義と自由主義の概念は急速に力を失いつつある。
今世界は大きく変化しており、今までの常識で測ると情勢を読み誤る。
・グローバルサウスの特徴として、国際的協調より自国第一主義、民主主義より権威主義でも強力なリーダーシップ。
・G7のGDP比率1986年68%が2022年には42%に低下。グローバルサウスの存在感が高まっている。
・ウクライナに対して明らかに侵略行為を行ったロシアへの非難決議に中国、インドを初めアジア、アフリカ、南米の多くの国が棄権した。
アメリカ、ヨーロッパ先進国に対して明らかに距離を取る動き。
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ネタバレ橋爪さんはアカデミックながら柔軟に思考を展開できる人。佐藤さんは時々ぎょっとすることを言うので、話は割り引くようにしているが、タブーのない思考実験をする人だと思う。そんな二人の対談集。橋爪さんがテーマをまとめ、佐藤さんが捕捉していく感じで、経済・科学技術・軍事・文明という4つの切り口から大きく変わろうとしている時代の局面をとらえている。
経済ではアメリカ一強時代が終わり、中国が激しく追い上げている。脱炭素・量子コンピュータ・核融合といったテクノロジーの世界では激しいつばぜり合いや合従連衡が起こっているが、それはこれらの新技術を押さえることが次世代の覇権を握るのに大きく利するからだ。米中対立は -
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ネタバレ・現代のトランプ現象やBrexitという言葉を知りそこから行き着いたファシズムの概念についてわかりやすく解説してある本。政治に明るくない自分でも十分読める内容にしてくれている。
・またヒトラーのナチズムや第二次世界大戦後の経済的回復の背景にもファシズムが関わっているとわかり大変勉強になった。
以下覚書
・新自由主義的なグローバリズムが進行すればするほど、ファシズムへと接近していく。
・グローバル資本主義とファシズムのいずれにも陥らないためのシステムを描くと、私たちはユートピア主義に陥ってしまう。すなわちユートピアを目指した社会主義、共産主義、アナーキズム(無政府主義)がうまく行った例はない。 -
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一般市民が犠牲になり、憎しみの連鎖が止まらない。なぜハマスはテロを起こしたのか、そしてイスラエルはなぜ一般市民を巻き込んででも徹底的に攻撃するのか。日本に住む我々には理解が難しいが、2人のインテリジェンスの専門家が平易に説明してくれる。
読めば読むほど解決が難しい問題。これが第三次世界大戦の引き金にならないことを切に願う。
以下、個人的メモ。
イスラエル、特にネタニヤフ首相の内在的論理。
・全世界から同情され死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る。
・ハマスはユダヤ人という属性を持つものを抹殺するという姿勢を持っており、テロ攻撃ができなくなるまで決定的に掃討を徹底する。
ハマスの内 -
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12人との対談をまとめたものなのでそれぞれのボリュームは控えめ。
また2017年から2023年までの間の対談がまとめられているので、会話の前提にある時事ネタには時差がある。
対談されている相手の専門が大きく異なるため感想もそれぞれについて違ってくる。
全体を通しては、「専門性分野の深堀りと浅くも広いその周辺知識を兼ね備えることがとても重要」というのが私としての感想になる。
これはある意味大澤真幸氏が本書の中で言っている、「人生を豊かに満たすには、やはり自分の井戸を掘り進めて、現実の世界である地下水脈まで掘りつくす覚悟がいる思う」や、同章で佐藤優氏がいう「周辺知識が乏しいと局所的に専門知識に