佐藤優のレビュー一覧
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ネタバレ本書の題材となっている一連の事件が起きた当時は、今のようにはソーシャルメディアが発達していませんでした。だからというのは言い訳にならないですが、鈴木宗男さんは確実に悪いことをしていると信じていました。マスコミの報道は真実だと信じていたからです。
しかし、アラブ諸国民主化の流れを見ても、ソーシャルメディアの発達が旧態依然としたマスコミのウソや怠慢を明らかにしています。そしてこのコミックの内容は、僕たちがソーシャルメディアを通して見て感じた現実と合致していることがわかります。堀江貴文氏や小沢一郎代議士への対応を見ても、検察がいかに横暴で傲慢な組織であるかがわかります。そしてこのコミックは、その事実を詳細に裏付けてくれます。
情報リテラシーを身に着けることの重要性をさらに気づかせてくれる秀作だと思います。 -
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これは筆者が旧ソ連のモスクワ大学で教鞭をとっていた頃とソ連科学アカデミーに出入りしていた頃の記録です。『ソ連崩壊』を歴史、神学、思想の面から考察されていて非常に面白かったです。彼らの事を知る為の一冊。
これは、『外務省のラスプーチン』こと現在は作家の佐藤優氏が外務省入省後、旧ソ連のモスクワ大学哲学部で教鞭をとっていた頃と、ソ連科学アカデミー民俗学研究所に出入りしていた頃の記録です。『ソ連崩壊』を歴史、神学、思想の面から考察されていて、非常におもしろかったです。筆者はこれを日本の大学生に読んでほしいと書いておりますが、個人的な見解だとこの本を読みこなせる日本の大学生はいいところ5%いるかいないかではないかと思っております。その理由としてはやっぱり難しい。特に民族問題にかかわる箇所は単行本の『甦る怪物(リヴィアタン)』だったときも含めて今回で3回目になりますが、いまだに理解できないものがありますし、大学生は恋愛なども含めて楽しいものや出来事がいっぱい回りに溢れておりますから…。
それはさておき、最近、プーチン氏が大統領に再選され、原油や天然ガスの高騰を背景として定刻として復活を遂げ、不気味な存在感が増してきたロシアですが、この本に出てくるモスクワ大学の学生は現在、国家の中枢として屋台骨を支えているという現実から考えてみても、彼らのことを知るための一冊として、是非オススメしたいと思います。
今回、新装版として文庫に書き下ろしで収録されてある『文庫版あとがき』は非常に濃ゆいもので、彼がロシアの地で明日のエリートを担う学生たちと真摯に向き合ってきたことを読みながら連想してしまいました。そのときのことが筆者のの専攻であるプロテスタント神学を機軸としてモスクワ大学の彼が教えた学生たちとの対話が描かれる前半部、最初に描かれるのはアフガンからの帰還兵あるベルトとその婚約者のレーナ。彼が筆者に告白する自身のアフガンでの体験は漫画『憂国のラスプーチン』に描かれてもいるのですが、よくあれを漫画化したもんだなと読んだときは度肝を抜かれ、アルベルトが『佐藤先生、僕は救われたいんです』という言葉がいかに切実なものであるかが本当によくわかりました。
閉鎖極秘都市出身の学生であるナターシャは成績優秀な学生で、将来有望な研究者となるはずでしたが、ソ連崩壊の混乱から彼女が選んだ選択肢も、また僕の心の中に重いものを残してくれました。
さらに筆者は『ソ連科学アカデミー民俗学研究所』に『院生』として出入りすることになります。ここは旧ソ連の超エリート期間で、後半部に延々とユーラシア大陸の複雑な宗教や民族問題がつづられ、セリョージャやチシュコフ、アルチューノフなどのまさに『精鋭』とも呼ぶべき『頭脳』との対話は非常にスリリングなものでありました。
『バクー事件』では「民族問題を力で解決した」ということで、ここからソ連は崩壊への坂を転げ落ちていくことを暗示し、『主権宣言』では宗教とマルクスと民族・領土問題をハイレベルな意見交換をセリョージャと交換し、彼から筆者は『境界線上の人間』といわれ、これが筆者の今後の作家活動の『視点』につながっていくのだな、ということを感じました。
ゴルバチョフ大統領がクーデターがおき『ぎっくり腰』で政権が取れないという騒ぎになっていたころに筆者はマルクスへ立ち返ることの必要性と意味を問い直すところで単行本では終わっておりました。しかし、あとがきとして追加収録されてある『プーチン論』ではふー鎮台跳梁が2012年に大統領に再選され、『甦る怪物』として21世紀に強大な『帝国主義国家』として存在感を増しつつあるロシアとプーチンとを、彼がかつて教えていたモスクワ大学の学生や政治家のゲンナジー・ブルブリス氏との対話を基に考察されていて、そのあまりのディープな世界にのけぞりつつも、これを読み解くことが重要なことだなと思って、ここに紹介する次第です。 -
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著者の佐藤優氏は、2002年の鈴木宗男氏の事件に連座する形で現場を追われるまで、ロシア外交のキーパーソンの一人として活躍されていた方です。一線を退いてからは、ご自身の経験やインテリジェンスをベースに魅力的で読み応えのある著作(『国家の罠』や『自壊する帝国』、『日米開戦の真実』etc)を精力的に出されています。
本書では、その佐藤氏がソ連崩壊後の1992年9月から、日本の外交官として初めてモスクワ大学で教鞭をとられた時の経験を横糸に、崩壊前後にまたがって人脈のあったソ連科学アカデミー民俗学研究所との政治思想についての議論を縦糸に、ロシアが近代国家として甦っていく過程の要素が綴られています。文中からは、大学生などのこれから日本を背負っていくであろう若い世代に向けたメッセージを強く感じました。
- ロシア人の祖国、学問、さらに超越性に対する真摯な姿勢から学んで欲しい。
そこから日本の復興を、類比の方法を用いて学んで欲しいのである。
こう呼びかけているのは、氏が20年前にモスクワ大学で出会った学生達が、復活した今のロシアを支えていると、強く感じているからではないでしょうか。
氏の担当講座はプロテスタント神学のため、それをベースとした論旨の展開は神学的素養を持たない身としては観念的についていけずに、正直難しい部分も多くありました。それでも、一つの国家が壊れていく過程とその結果、その後の復活の萌芽が連綿と綴られていく様子に、今の日本では失われてしまった「古き良き価値観」をも感じ、非常に興味深く読み入ることができました。当時、崩壊直後で国家として混乱の極みにあったにも関わらず、次のような資質の強さ、恐ろしさは、、
- モスクワ大学の学生たちは、エリートとしての自負を強くもっていた。
そして、自らの能力を、自己の栄達のためだけでなく、
世のため、人のために使いたいという意欲を強くもっていた。
現在、プーチン氏の下で一つの結果、ナショナリズムの煮詰まった「エトノクラチヤ」として実っているようにも見てとれます。
これだけだと旧来の帝国主義国家としての復興ともとれますが、個人的に興味深く感じたのは、
- ファシズムに対する耐性をつけるためには知的訓練が必要だ。
その意味でマルクスの知的遺産が重要だ
この観点が氏の講義の軸にあったとの点です。ここ数年、エネルギー危機や経済危機などで揺れている世界状況は、先の第二次大戦前夜に非常に似て、混沌としてきています。その過去と同じ穴にハマらないためにも、内部的にその相克はどうなっていったのか、超克出来たのかどうかを、丁寧に読み解いていく必要があると感じました、日本を甦らせるための一助としていくためにも。
本書は、文庫版帯の「日本の大学生に是非読んでもらいたい。」との言葉が示す大学生だけではなく、佐藤氏のロシアへの思いの強さを差し引いても、今現在中核世代である(はずの)30-40代にも響く内容だと、そんな風に感じた一冊です。 -
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"功利主義"と言うとどこか堅苦しく考えてしまいますが、平易に考えると、
自分自身にとって必要な知識を抽出し整理する、位のニュアンスになりますか。
- 読書には、大きな罠がある。
個人的には、読書をすること≒考えること、との認識ですが、
この辺りは基礎学問である歴史学の影響が強いと感じています。
- 経済発展の背後には、精神力があるということが再認識されている
- 自由な討論に基づく公共圏を回復することで、
国家の横暴を規制するという気構えが残っている限り、
大衆民主主義は、他の政治体制と比較してよりましな制度なのである
知識として吸収した上で知恵として昇華し、自己の成長につなげる。
これはまさしく、"地頭"を育てるとの観点でしょう。
そしてそのつながりが、"国家"という組織の構成員としての立ち位置も明確にしていく、
福沢諭吉の言う「国を支えて国を頼らず」との観点にいう、自立、になるんでしょう。
ん、以前はその観念的すぎる内容から挫折した"資本論"や"新約・旧約聖書"、
いい機会ですしリトライしてみようかなぁ、なんて。 -
Posted by ブクログ
まず読んであらためて感じたのは、ここ数年の日本を取り巻く状況が、
70年前の第二次世界大戦前夜に非常に酷似しているということ、でしょうか。
- (支那が)四億の人口を擁することは、欧米列強にとって無二の市場であります
- 国際連盟は言うまでもなく世界旧秩序維持の機関であります
- アメリカの帝国主義政策は「オレンジ計画」に結実した
"歴史は繰り返す"とは大分手垢のついた言葉ですが、それでもやはり、
学問として学んだ一人としては、その傾向がなくなることはないと、折々に感じます。
そして、歴史は勝者が創るものであって、敗者にその権利はないと。
個人的に、アメリカという国はそんなに好きではないですが、一番信用できる相手と思っています。
先の大戦時には見事に分断されてしまいましたが、今回はその二の轍は踏みたくないところ。
なんてことを考えると、麻生さんの「自由と繁栄の弧」の秀逸さをあらためて感じます。
安倍さん&麻生さんのコンビの復活が待ち遠しい、、あの時の外交は冴えていました、ほんと。
- 個人は国家を通して人類の文化の建設に参与する事によって永遠に繋がる事が出来る
"地政学"、やはりどこかで体系化しておきたいですね、自分の中で。
ん、5年後、10年後を考えようとした際、何かしらの思考のヒントを見出せる、そんな一冊。 -
Posted by ブクログ
この人の本はどれも読み応えがあって面白いです。一度読んだ本でもまた違った読み方ができて面白かったです。特に、綿矢りさの『夢を与える』の書評には「ウーンそんな読み方があるんだ」とうなってしまいました。
この本は佐藤優氏による「実際に役立つ」という観点からピックアップされ、本人は書評を書く訓練はしていない、と謙遜しつつも、ロシア分析で培った『相手の内在的論理』をつかむという筆致で描き出された本の中身の論考についてはやはり、参考になる部分が多かったと思います。『資本主義の本質とは何か?』『大不況を生き抜く智慧』『人間の本質を見抜くテクニック』など、非常に刺激的なタイトルのあとに、一見「この本がいったいなんの役に立つの?」と首を傾げたくなるようなもの。たとえば、『論戦に勝つテクニック』というところで上げた本は酒井順子の『負け犬の遠吠え』と石原真理子の『ふぞろいな秘密』をあげております。
その理由は『ふぞろいな秘密』では事実を淡々と記すことによって相手の男性がいかに不誠実であるということを浮き彫りにするのに最も効果的である、ということ。『負け犬の遠吠え』では結婚して子供もいる『勝ち犬』と仕事に自分磨きにいそしみつつ、まだ未婚の女性は全て『負け犬』と断じることで、筆者いわく「アリストテレス論理学」を実践して論戦で徹底的に相手を打ちのめす方法を伝授しているのだそうです。僕は以前、「負け犬の遠吠え」を読んで「ふーん、あ、そう」という感想しか持ちませんでしたが、こうして読んでみるとまた違った読み方が出来て楽しかったです。ちなみに筆者は現在全面戦争状態にある外務省を相手にこの2冊に使われている方法を存分に応用しているのだそうです。
僕が一番興味を持ったのはやはり『資本主義の本質とは何か?』というところに取り上げられているマルクスの『資本論』とっこれはコミックスになりますが伊藤潤二という方の『うずまき』でした。僕はこの人の本を読んで原著のあの迷宮のような文体で書かれてあることを概要ながら理解することが出来ましたし、マルクスが以下に的確に資本主義の本質を捉えていたかということに感動すら覚えました。そして『うずまき』では直感的に捕らえられた「うずまき」の存在がそれがそのまま資本主義のシステムそのものだ、という筆者の主張にこれもまだ未読ではありますが、どうにかして手に入れて一読をしたいと思いました。
一軒役に立たないもの、これをまた違った角度から見ることによって「見えない世界」が浮かび上がってくる。僕はここに取り上げられた文献をほとんど読んではいませんが、機会があればおいおい、手にとって見たいと思います。とりわけ「テンペスト」という沖縄を扱った小説はドラマ化されておりますので、ぜひ最優先で読んで見たいと思っております。 -
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「週刊SPA!」にて絶賛好評連載されている佐藤優氏の人生相談の連載です。その「復興編」です、ここでも筆者は相談者からの人生相談に数々の角度から答えており、彼の辿ってきた人生の片鱗を感じさせます。
相談者「妻が放射能に怯えて沖縄に逃げました……」
佐藤優「私は東京にとどまるが、他人に強要はしない」
相談者「放射能汚染にまつわる差別が悲しすぎる」
佐藤優「差別を克服する活動は真に愛国的だ」
相談者「熟女とのSEXの意義をどう考えますか?」
佐藤優「『熟女もの』以外の官能小説を読んでみる」
この本は『週刊SPA!』にて絶賛連載されている佐藤優氏による人生相談の連載に加えて、さらにウオトカを片手に相談者と『サシ』で質疑応答をする『マンツーマン人生相談』を含めた67本の人生相談が収録されております。
僕も今まで『人生相談』という分野の本は数々読んでまいりましたが彼をして『ロシア裏街道』と称する対ロ外交で現地のタフ・ネゴシエーターを相手に丁々発止をしていた外務官僚時代に加え『小菅ヒルズ』にて512日泊513日間の拘置所生活を経験した筆者にしか出来ない回答のオンパレードで、あるところでは大声を出して笑い、ある箇所ではすさまじい下ネタの連発にくらくらしながら、彼の類まれなる人生経験と、必ず紹介される本の幅の広さと深さに、驚嘆してしまいました。
それでも筆者いわく、どれだけ的を外れた相談でも相談者の味方としてともに解決策を探っていく、という姿勢は全体を通して貫かれており、たとえば『コロンビアで男の器を磨きたい!』という男性相談者の相談にも人間には2種類の後悔があって「あのとき、あんなことをしなければよかった」という後悔と「あのとき、思い切ってああしていればよかった」という二つの後悔がある、ということを話して、自らの体験を踏まえつつ、もし、行くのだったら語学の訓練をきちんとした先生について習えば、あなたの冒険が成功する可能性が高くなる。と結んでおり、自分もかつて似たようなことを思いもし、またここまでのスケールとは行かなくても実行した身の上では、なんともいえないものがありました…。
この本は何処を切っても魅了的な回答に満ち溢れていて、読む人それぞれによって受け取り方も違うでしょうし、面白いと思うところも違うと思います。ですが、彼の人生相談は彼の持つ学識や類まれなる人生経験から導き出されているものだと思いますので、読んで損はないものだと思います。 -
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悩みがある人とは
自分の中に脱出口を探し出せず、だだっ広い迷宮の中をただ闇雲に彷徨い続ける事への不安に怯える人の事を言うのだろうか?
本当にそうだろうか?
いや、もしかすると名案はすでに用意されていて、
自分はただそれを認める決意をするだけで、『悩み』には終止符が打てる事を知っている。
そして望んでいるのは
それを後押ししてくれる『一言』
その一言を相談相手に求めているのではないだろうか?
深刻な悩みから、我儘だなー、自己中だなー、と思える悩みに至るまで、
その相談内容を読んでいると、フッとそんな風にも思えてしまったが。
しかし、それに対しての著者の解答は決して『後押し』では無かった。
まず、『模範的』とか、『同情、憐れみ』類の感情は一切無し。
お行儀の悪い言葉を使えば、
尻に火をつけ、悩みの穴から脱出させた上で
本当の意味で悩みと対峙させる。
そうして、冷静になった時点ではじめて、
いくつかの脱出方法があることを示唆している様に思えた。
よって、
その悩みの持ち主では無い、ただ対岸の読者である私でさえも、
いつの間にか、うんうんと頷きながら、
悩む人の頭上から射す眩しい言葉に思わず魅了されてしまった。 -
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ソ連の結末は日本の結末か-。ソ連崩壊を内側から見たラスプーチン・佐藤優に、突破者・宮崎学が聞く、という全8回の講義録を一冊にまとめたものです。圧倒的な情報量と文句なしの面白さが凝縮されています。
『突破者』でおなじみの宮崎学さんが主催する研究会が『外務省のラスプーチン』こと佐藤優さんをゲストに呼んで8回にわたって語った内容を書籍化したものです。出版された時期が小泉純一郎が政権を握っていたことで、日本に関することはここに書かれているよりは若干、変わっていますけれど、主題である『ソ連崩壊に見る国家の崩壊』というのは実際にその舞台の中にいた人間の生々しい話がてんこ盛りで、これは正直、面白いことは面白いけれど、万人受けはしないなという考えにたどり着きました。
旧ソ連が崩壊したのが、もはや古い歴史となり始めている中で、あれほどの超大国でもあっけなく崩壊するのだという現実が、私たちにいったい何を教えてくれるのか?というテーマに関して、格好のテキストであると思います。さらに、この本が優れているところは周辺の多民族国家や少数民族の細かい心情や内在論理についても鋭い考察が展開されていて、
特に僕が驚いたのはチェチェン人の男には『血の報復』という掟があって、彼らは物心がついたころには七代前までの先祖の名前を覚えさせられ、そのうち誰かがもし、殺される形で生涯を終えていたとするならば、自分が七代前までさかのぼって復讐する権利が与えられている。というものや、あまりここではかけませんけれど、佐藤優がロシアのモスクワ大学で教鞭をとっていたときの教え子で、アフガンの元兵士が語った凄惨な現実もものすごくショックだったことを覚えています。
この本を読んでいると、近くて大きな存在であるロシアがどのような歴史をたどって現在に至るかということが駆け足でありながら理解できる反面、自分のあまりの無知さに打ちのめされるものでありました。ひとつの国家が崩壊するということはいったいどういうことなのか?この本が、そして旧ソ連が僕たちに今教えてくれることは、決して軽んじるべきではないと僕は考えます。 -
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ソ連邦の消滅という歴史の大きな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか?。筆者が今の日本はこの時期に非常によく似ているという意味が読み終えてなんとなくわかりました。『文庫版あとがき』もいい。
この記事を書くために再読しました。非常に面白かったのですが、やっぱり難しいです。この本は『外務省のラスプーチン』こと佐藤優さんが在ソ連日本大使館の外交官として赴任したときに 見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る回顧録です。
筆者は『蘇る怪物』を詳しくは参照してほしいんですが、モスクワ大学で教鞭をとっていた時期があり、そこで知り合ったミーシャという学生を介して、多くの重要人物を仲介してもらったり、自身の体質でウオトカを一日に数本飲んでもあまり二日酔いになることはない、という利点を十二分に発揮して『日本以上に酒を強要する』といわれるロシア人高官を相手にウオトカをガンガン飲みながら自身のルーツであるキリスト教はプロテスタントを基礎とした神学の教養を武器に彼が今でも『師』と仰ぐゲンナジー・ブルブリス氏をはじめとする人間たちに受け入れられていく姿はすごいなと素直に思わずにいられませんでした。
そして、『大使以上の人脈を持っている』といわれる情報網を駆使して1991年のクーデター未遂事件にも正確な情報をいち早く掴み取って、『ぎっくり腰で政務ができなかった』といわれるゴルバチョフ大統領(当時)の生存を重要人物から聞き出したシーンがいまだに強い印象を僕の中に残しています。
そのほかにも読んでいて面白かったのは食事、行動原理や習慣にわたってロシア人のことを細かく観察・描写されてあって、食事や飲酒の場面。そこで供される豪奢な料理。筆者と彼らが交わした言葉の一つ一つにもそういった事がにじみ出ていてロシアおよびロシア人がいったいどういう人なのかということや、あの当時、現場でいったい何が起こったのか?筆者が最近、今の日本がこの時期のロシアにそっくりだという理由がこの本を読むと本当によく理解できるかと思われます。非常に読んでいて骨が折れる文献だとは思うんですけれど、それに見合った対価は保証できる本だと思っています。 -
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インテリジェンスの視点から切り込んだ異色の人物論集です。濃ゆい筆者が本当に鋭いまなざしで濃ゆい人たちの意外な姿を映し出してくれています。特に橋本、小渕元総理の話は面白かったです。
佐藤優さんによるディープな人間観察による人物評論です。書いている人間も濃ければ、取り上げられている人間たちも非常に濃ゆい方ばっかりで読んでいてげっぷが出るほどです。しかし、面白い。国際的な外交の駆け引きで培われた筆者の人間に対する冷徹なまなざしがその筆致によって如何なく炙り出されてくるようです。
取り上げられている人たちを上げていくと、 福田康夫 安倍晋三 小泉純一郎 森喜朗 小渕恵三橋本龍太郎 鈴木宗男 田中眞紀子 村上正邦 米原真理 エリツィン プーチン ブルブリスセルゲイ・イワノフ ニャゾフ リトビネンコ ゾルゲ マタハリ ラスプーチン 後醍醐天皇 大川周明 蓑田胸喜 星飛雄馬 金日成 スターリン ヒトラー 有末精三 アドルノ ティリッヒ イスカリオテのユダ イエス・キリスト──。その他多数総勢150余名。というそうそうたる人間たちです。
僕はロシアにはあまり詳しくはないのでエリツィンとプーチン。そしてラスプーチンぐらいしか理解できませんが日本の政治家、特に橋本龍太郎元総理や小渕恵三元総理の持つ苛烈までに激しい内面や鈴木宗男氏の北方領土返還にかける思いの強さ。果ては後醍醐天皇にまで思いをはせるというのは佐藤優さんにしかできない仕事でしょう。
しかし、この本の元になった連載が掲載されていた雑誌はあの名物編集長・中瀬ゆかりが率いていた当時の「新潮45」だけあって「ロシア人のセックスは最低集に16回がノルマ」ですとか。イエス・キリストは幼少期のころにめちゃくちゃな不良少年だった話。金日正が残したといわれる秘伝のレシピにいたるまで、硬軟織り交ぜた多彩な筆致で僕らを最後まで楽しませてくれる本です。内容に大笑いをすることができて、知的な好奇心も満たすことができる。こういう本を書ける方は現在非常に少なくなっているので、そういった意味では名著であると、個人的には思っています。 -
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「個人名以外はほぼ実話」といわれる外務省を舞台にした官能小説です。彼らのすさまじい生態に大笑いしつつも、「国民の税金を使っていったい何をやっているんだ」という怒りも読み終えてからこみ上げてきました。
この本は「外務省のラスプーチン」として一躍有名になった元外交官の佐藤優さんによる初めての小説です。しかし、あまりにあまりの内容で、実際に内容をここで書くと、場合によっては掲載を拒否されるようなシロモノで、個人的には大変面白く、そして怒りをこみ上げながら最後まで一気に読み終えてしまいました。
「全篇、個人名を除いてほぼ実話」
と銘打たれてある3編の小説は、いずれもある国会議員の恐るべき夜の「海外実態調査」に始まり、外務省の中においては「殺人以外のあらゆる犯罪に手を染めた」といわれる男が外務省に入省したばかりの美人新人研修生に対して「英語の特別指導」(これ以上は書けません)と称した痴態や、その後に飲み食いした金を経費―要するに国民の税金で落としているというなんともあきれた姿に半分は大笑いをし、もう半分は
「ふざけるなこの野郎!」
という怒りでいっぱいになりました。
詳しくは本書を読んで確認してほしいんですけれど、彼らが海外に行くと、給料のほかに、唖然とするほどの諸手当や自由に使えるお金があったり、はたまた省内でコトに及んでいる人間がいたりとさながら旧約聖書のソドムとゴモラに書かれているようなことが実際に繰り広げている、ということに唖然とするやら笑うしかないのやら…。という複雑な読後感を得ました。さすが某政治家をして「伏魔殿」と言わしめるだけのものがあるようです。そして、霞ヶ関では昔から
「自殺の大蔵(財務)、汚職の通産(経産)、不倫の外務」
といわれているそうで、いやはや…。僕は言葉もありませんでした。
最後のほうで、書き下ろしで収録されている「家事補助員は見た」という小説で、筆者がモデルとされる人物が活躍するので、それもまたひとつの見所だと思っています。内容がものすごい下ネタと性表現のオンパレードなので万人に進めることはできませんが、一読していただけると外務省の実態はこういうところなのか、そして、勤めている人間の精神はこういうものなのか、という意味で新しい視点を得ることができるかもしれません。ただし、その結果がどうであろうと僕は責任を取れませんので、あしからず、とだけは最後に一言申し上げておきます。 -
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ソ連の崩壊を見届けた外交官
難しかったけどすばらしい作品
作品の紹介
ロシア外交のプロとして鳴らし、「外務省のラスプーチン」などの異名を取った著者の回想録。在ソ連日本大使館の外交官として見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る。
「もともと、人見知りが激しい」という著者だが、モスクワ大学留学中に知り合った学生を仲介に、多くの重要人物と交流を深め、インテリジェンス(機密情報)を得る。ウオツカをがぶ飲みしながら、神学の教養を中心に幅広いテーマで議論を交わし、信頼と友情を勝ち取る。その豊富な人脈と情報収集力を1991年のクーデター未遂事件でも発揮、ゴルバチョフ大統領の生存情報をいち早く入手した。
出世競争が最大の関心事であるキャリア組とは大きく異なる仕事・生活ぶりで、外交官の本質を考えさせられる。