あらすじ
世界的な右傾化、排外主義のなかで、私たちは「愛国心」どう向き合えばいいのか。本書では、古典的な書籍をもとに「国家」や「国民」の概念を整理しつつ、ウクライナ戦争やトランプ大統領、日本の参議院選挙など、具体的な諸問題を取り上げる。21世紀の新しい「愛国心」論をテーマにした、佐藤優の7時間にわたる講義録。
【目次】
ガイダンス なぜ「愛国心」なのか
1時間目 国家とは何か
国家の定義/社会・民族の定義/唯物史観とは何か/トランプ大統領のジェンダー観/なぜ産業社会に国家があるのか/国家と社会が一体化する時代/資本主義に終着点はあるのか
2時間目 国民とは何か
臣民から国民(ネーション)へ/なぜ日本人という国民が生まれたのか/道具主義と原初主義/スターリンは民族をどう変えたのか/言語と国家/出版資本主義が国民を作る
3時間目 民族とナショナリズム
アーネストゲルナーの「否定神学」/民族に対する4つの「否定」/階級と民族/スミスの民族理論/エントロピーとは何か/なぜ人間は差別をしてしまうのか…など
4時間目 レーニンの『帝国主義』でウクライナ戦争読み解く
第一次世界大戦を別の視点で捉えていたレーニン/レーニンの『帝国主義』/価値観戦争に見せかけた帝国主義戦争/ロシアは国境を面で捉える/帝国主義戦争の舞台となっているウクライナ
5時間目 トランプによって世界はどう変わるか ―エマニュエル・トッド『西洋の敗北』を読み解く―
トランプ大統領とは「動物との付き合い方」をする/愛国主義はコスパがいい/トランプ大統領の根底にある理論/「宗教ゼロ」状態の21世紀/進行する「政治不信」の正体/人間はみな同じか?
6時間目 日本人にとって愛国心とは何か
外交を分析するための「3つの体系」/「価値の体系」から見る日本の対応/ウクライナ戦争に戦略的に深入りしなかった/歴史的にも日本は「面従腹背」外交をしてきた国/帝国の「亜周辺」/日本人の変容という仮説
7時間目 間違えるナショナリズムとどう向き合うか
右傾化する世界/支持を集めた参政党/反ワクチンと排外主義は結びつきやすい/『健康帝国ナチス』/自然派だったナチス帝国/愛国心はどうあるべきか/分断を避けるために必要なこと/憲法愛国主義という提案
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
愛国とは即ち郷土愛。
ネットに蔓延る「愛国マーケティング」に騙されないために。この本を読んで感情的に煽るポピュリズム、Loser達の最後の拠り所として機能してしまう排外主義的な保守を相対化する視点が得られる、知識人に向けた必読書。
この本と出会って読破した人が多ければ多いほど、そして彼らがちゃんと異議を唱えることで、この国は方向を見失いにくくなると思う。
高校の教科書に載せるべき、唸らせる良著。
佐藤優の筆は強い。。。毎回喰らってしまう。
Posted by ブクログ
佐藤優流の、現代の国、民族を解説した本。
この本でアメリカへの怖さが増した気がする。
外交も政治も現実的に考えたうえで、相手との対話を大切にするという原点に立ち戻る必要があるのだなと感じた。
Posted by ブクログ
「愛国」という美名がいかに人を縛るかを問う一冊である。
国を思う心は尊いと誰もが疑わない。
だが著者は、国家と個人の距離を誤れば、その情熱は容易に利用されると指摘する。
外交と情報の現場を知る筆者の体験は、正義が時に権力の装置となる現実を浮かび上がらせる。
愛するとは従うことか、問い続けることか。感情に流されぬ理性こそが真の愛国を支えると迫る。
Posted by ブクログ
講義形式で分かりやすく、最近の世界的な愛国主義的な流れを知ることができた。
工業社会にはマニュアルを読むため識字率を高める必要があり、そのために国家が必要となる。狩猟採集、農業では必要ない。
日本の外交はロシアウクライナ戦争の際のウクライナに肩入れしない立ち回りや、アメリカの言いなりになり過ぎない動きを含めてよくやってると分かった。
愛国主義には「社会に根差す愛国心」「国家に根差す愛国心」の二つがある。社会に根差すと排外主義など思想にまつわる方向に行ってしまうが、国家の仕組み自体への愛国は理論的に行動することができる。これからの日本には憲法遵守など国家に根差す愛国心が求められる。
とは言うけど、国家への愛は日本人無いだろうなー、税金持ってったり不満抱えてる人多いし。社会への愛国の方が何も考えなくてもその気になれるしね。社会に根差す愛国を語った自民党が大勝した日本、これからどうなるんだろう。