佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イマドキ、野中さんですか?という感じだけれど
これがどうして、とても面白い。野中さん自体は過去の人でもあるが、
今、議会で跳梁跋扈している人の名前も多数。
(特に小沢一郎の動きは中盤の見どころですね)
(あと、小渕が想像以上にかわゆい)
今読んでも、日本議会の流れ、についていくらかの視野を与えてくれる。
時局上の問題だけでなく、
この本はあるタイプの政治家についての示唆も行っており、
野中のような媒介タイプの政治家の威力と限界を検証しているものとなっている。
(とはいえ、そのような道筋でしか、彼は出自の問題故に政治家たりえなかっただろう)
総じて、ネタとして面白く、かつ時期を過ぎても
政治についての思考材料として十分耐用に足るものだと言える。
ただ、正直に言えば最後の対談で
「野中がこの本を不快に思いつつ、訴えれば勝てるだろうに訴えないことが、この本の内容を保証し、彼が一流であることを証だてる」
という内容のことを言っているがこの内容は文章にして書くのは厭らしすぎる。
この佐藤という男はおそらく魚住君より下品である。
そして、最後に佐高君という先輩的な人物が
解説という名前の要約を書いているが、しがらみというしがらみは
議院などとは関係なく、社会のすみずみにあるということを証明している。 -
Posted by ブクログ
この本は著者が下獄していたときのノートや手紙を元に編みなおした記録です。今回この本を読むのは三度目になりますが、その圧倒的な思索の量と質に驚きをかくせません。
どうも最近、こういう本ばっか読んでます。僕がこの本を読むのは今回を含めてちょうど三回目のことになりますが、読むたびに作者の強靭さと知識の深さ、量と。思索の緻密さに改めて舌を巻いたしだいでございます。この本は著者が当時、外務省のアフガン支援NGO問題に端を発したもろもろの政治事件に絡んで東京拘置所に下獄していた514日間の記録です。その間に自分のすべてを記録したノートを五分の一に圧縮したそうですが、それでもものすごい量で、これだけのことを獄中という特殊な環境でつづり続けたという事実は、作者の精神の強靭さと、辿ってきた外交官人生が以下に過酷なものだったかということを示すものだと思います。
もし、自分が信念を持って取り組んでいた仕事のために国や自分が所属する組織から裏切られてこのような境遇に自分がなってしまったときに、果たして彼のように『誠実』であることができるのだろうか?そんなことを自分に問いかけながら活字をずっと追っていました。でも、獄中の中でこれだけの思索ができるのは本当に見事としか言いようがありません。
作者は出獄後に論壇や文壇でその恐ろしいばかりの知識を使って、多彩な執筆活動を展開していくのですが、それが小菅の東京拘置所の中にその萌芽があったということに僕は驚きを隠せません。彼が読んでいた神学書や哲学書に関しては、相当難しいのでまだまだだなと自分を振り返りたくなりました。人はどんな境遇でも自分を見失わずにここまでのことができるのだと。そういう事実をこうして残してくれた筆者に、感謝します。 -
Posted by ブクログ
政治家人生の後期(晩年?)しか知らなかったし、テレビを通しての印象としては権力を笠に着たたぬきジジイという印象だったのが、少し変わった。
出自への同情ではなく、上り詰めるというあくなき執着は一般の社会人に置き換えれば「向上心」とも言えると思う。ただし、その手段が何でもあり、ポリシーも一貫してない、というところにやはりずるさ、汚さを感じてしまう。
政治家としては基盤をもたない中フィクサー的役割を演じられたすごさと最終的にはよりどころがない故に足元ををすくわれて賞味期限が来てしまったというわかりやすい話だった。
手法、目的の是非はあれば野中とか亀井とか古賀とかが暗躍しながら「推進力」と「実現力」があった時代の政治だったらいまの原発対応はどうなったのかはちょっと興味がある。
そして、著者の魚住さんはノンフィクション作家としてはやはりピカイチだと思う。 -
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3.11以降に書かれた本が、チラホラと出始めてきている。目立つところでいうと、本書と大前研一・著の『日本復興計画』である。いずれもネット上で話題になった記事や映像をベースにしており、本としての書き下ろしではない。まだ、序章といったところだろうか。
しかし、本書の切れ味は鋭い。あの状況下で、自分の身の回りのことをケアしながら、よくぞここまで国家的な視点に立って、冷静な提言ができるものだなと思う。本書は3.11以降の激動の三週間、時々刻々と状況の変化する中で、佐藤 優氏がネット記事、新聞・雑誌へ寄せた論考の数々を取り纏めた一冊である。
数ページめくると「翼賛」、「大和魂」、「ファシズム」、「超法規的措置」など、戦時中を思わせるようなキーワードがやけに目立つ。マスメディアや論壇で強い忌避反応をもたらす、このような言葉を用いることで、読者が自分の頭で考えることを余儀なくさせることを狙っているそうである。
今回の3.11による「戦後の終焉」という言葉は、よく見聞きする。著者によると、具体的には戦後の社会システムを構築してきた「合理主義」、「生命至上主義」、「個人主義」の三つの思想が終焉したということを意味するとのことである。とりわけ、一つ目の合理主義崩壊の意味するところは大きい。今回の震災でわれわれが皮膚感覚で理解したものとは、人間の力では絶対に及ぶことのできない超越的な「何か」があるということなのである。合理的な想定を超えたことが起きるという現実は受け止めざるをえないのだ。
そして、これからの時代を乗り越える道標として、著者が何度も執拗に引用しているのが、明治天皇の御製(和歌)「しきしまの 大和心の をゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」というものである。この大和心の「をゝしさ」の引用を持って、過去のシステムを超克すべしという提言は、各論におけるその具体性と比べ、ずいぶんと漠とした印象を受ける。
つまり、この点こそ、各自で考えよというのが、著者からのメッセージであるのだ。そのためのヒントが、本書には随所に散りばめられている。これからの時代を考えるうえでの突破口になりそうな一冊である。 -
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このルポの凄いところは、「抵抗勢力」「闇将軍」「影の首相」と呼ばれた野中広務を丸裸にしている点だ。あんな強面の政治家がまさか部落出身者であるとは。田中角栄をミニ版にした感じの、政治の舵取りがとてもよく理解できた。両者に共通するのは、金作りのうまさ・多数派工作の巧みさ、そして意外ことに、と言うよりも、両者の出自から当然のことだが、弱者に対する優しさがある。この作品の中でハンセン病患者たちの厚い信頼が紹介されているが、小泉政権がやったかのように思えた政府の方向転換も、野中氏の仕事を小泉が美味しい処取りしただけだった。よく考えたら、小泉や安倍のように出自の良い二世・三世首相はもともと権力側なので,何でも思い通りが当然の政治家たちなのである。苦労が無い分、優しさも無いということか。ただ如何せん野中氏は田中角栄と違い、政治の方向性・理想型・ビジョンが無かったのが悔やまれる。
(日頃は威勢が良いことばかり言うが)麻生太郎のような出自の良い政治家には、偽物のニオイがぷんぷんする。口先だけの「国民」「政治」「国家」。この本は野中広務という土着な、いかにも日本を体現する一人の政治家を追いかけるとともに、政治のありよう、国家の品格、真に国民中心の政治のまだまだ遠いことを知らせる一冊である。文庫版には元外務官僚の佐藤優氏と筆者の対談が収録されていてお奨めである。
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Posted by ブクログ
過日、テレ東だったか、佐藤優氏の出演を見た。フレッシュな姿としては久々感があったし、本人もテレビ出演は久しぶりで、基本的に断ってるという。以前一生分出たからだとも。
その以前というのは逮捕された話であろうが、2000一桁年の話、もう20年前だし、詳細は知らないが、アンタッチャブル感満載だった反面、それだけに国際情勢の識者としては唯一無二感もあり畏敬なお方である。
本書は手に取りやすい棚にあった。図解が多く、分かりやすい、これを機に佐藤氏から多いに学びたい。
時はロシア、中東がなかなか終わらず、東アジアでもミャンマー内戦が続く。しばらく言われている台湾有事があれば日本も一大事どころか熊本には長射程ミサイルも配備され、九州の戦禍も危ぶまれるし、沖縄からは退避せざるを得ないだろう。微力ながら国際情勢の把握に努めたい。
氏は時代と共に戦場の変遷を説明されており、現代はサイバー空間を越えて認知空間が戦場という。ディープステート、フェイクニュースなど、米中でのAI競争は当にそれであろう。
他にも、エンペラーの称号が現在は世界に1人しかいない等、多くの気付きがあった。 -
Posted by ブクログ
佐藤優氏の著作はこれまでもいくつか読んできましたが、本書もこれまでの著作と通底する考え方が示されています。
いわゆる「こう生きるべきだ」という人生論ではなく、著者自身の経験や読書から得た知見をもとに、現実の社会をどう生きていくかを考えさせてくれる本です。非常に実践的で、等身大の内容だからこそ、納得感があります。
特に印象に残ったのは、人間関係における「2:6:2」という考え方です。どれだけ努力しても、自分を好きになる人が2割、普通に接する人が6割、どうしても自分を嫌う人が2割程度になるというものです。
これは、人間関係で悩んだときにかなり有効な考え方だと思いました。どれだけ歩み寄っても、根本的に分かり合えない人は一定数います。そうした人にまで理解してもらおうとして、無駄にエネルギーを使う必要はない。そう考えるだけで、ずいぶん気持ちが楽になります。
また、ヨブ記をもとに、「理不尽な運命そのものは受け入れるが、その運命から逃れるために自分の良心を売り渡すことはしない」という考え方にも強く惹かれました。人生には自分ではどうにもならないことがありますが、その中でも自分が何を守るのかは、自分で決められるということです。
挫折についても、それを単なる失敗ではなく、自分自身を振り返る機会として与えられた「贈り物」と捉える考え方には納得しました。振り返ってみれば、うまくいかなかった経験から学んだことのほうが多いようにも思います。
そして、読書とは単に知識を増やすことではなく、さまざまな本から得た断片的な知識を自分の中でつなぎ合わせ、「総合知」にしていくことなのだという点も改めて感じました。
著者の本を何冊も読んできましたが、本書を読んで、これまで読んできたものが一つにつながったように感じます。
世の中の理不尽さをなくすことはできません。それならば、それをある程度受け入れたうえで、自分の良心を失わず、目の前のことに全力で取り組む。ひとまずは、そういう姿勢でやっていこうと思いました。