佐藤優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
戦争を煽るのは大衆ではなく知識人
東アジアで有事が起こってもアメリカは守ってくれない。日本は起こさないための外交交渉に力を注ぐ。
北朝鮮の脅威を排除するためには国交を樹立すること。その後に拉致問題を解決する。
核兵器を持っている国には現実を見て対峙しないといけない。
東アジアのパワーバランスは変化して日本は国力から考えて後退戦に入らざるを得ない。リアリズムで対処。
日本の生き残りの道はインドネシアとミャンマー。将来経済大国になるインドネシアと中国のインド洋への道、現代の援蒋ルートを封鎖できるミャンマーは極めて重要。
日本の核武装は構造的、理論的に無理。アメリカは太平洋戦争の記憶は残り、日本を本質的に信用しないので絶対に持たせない。
自由、平等、平和の概念は極めて脆く、他国に押し付けると戦争が起こる。
平和がないと自由と平等はない。平和のためには防衛力が重要で共同体を守る意思は教育で強化。ただし国家を守る意識を過剰に植え付けるイデオロギーには警戒する。 -
Posted by ブクログ
「郵便番号を書かない」反合理化闘争、異次元すぎる。今のAI時代でもそのような思想が残っているのだろうか?
昔の左翼や労働組合にとって作業の分業化や機械化によってもたらされる仕事の合理化は、人間から仕事を奪い、人間を本来あるべき労働から疎外させる絶対悪だったからです。
「メディアがエリート化しているから、彼らが世の中に異議申し立てしても、腹の底からの言葉でない、とってつけたような批判」に同意。
結局、思想がないんですよ。眼の前で繰り広げられる椅子取りゲームに勝つことしか興味がなくて、その場その場をどう振る舞えば自分にとって得になるかを考えている。 -
Posted by ブクログ
『なぜ、男たちは彼女の『毒牙』に次々とかかっていったのか?―』本書は「稀代の婚活詐欺師」「平成の毒婦」と呼ばれた木嶋被告の100日間にも及ぶ裁判の傍聴記録を筆者からの『女性からの目線』で綴った物です。
彼女の事件については朝や夜のニュース番組で断片的に少し知るくらいでありました。裁判のイラストでの木嶋佳苗の着ている服ですとか彼女の赤裸々なまでの『ヰタ・セクスアリス』についてですとか、『男性からお金をもらうのが、当たり前だと思っていました』などの発言を聞くくらいで、特に関心は払っていなかったのが正直なところでございました。
しかし、こうしてまとめられたものを読むと事件の裏にある男女の深い『業』といいますかなんと言うのか…。ノンフィクション作家の佐野眞一氏は『名前以外は全てがウソ』と切り捨てつつも『東電OLを超える存在』とうなっていた理由がなんとなく判るような気がしました。
事件のあらましは肉体と結婚をちらつかせて男たちから1億円以上もだまし取り、3人の男を練炭で殺害したとして死刑判決を受けた木嶋佳苗被告。本書は彼女の100日間の裁判の様子を傍聴した記録です。
「稀代の婚活詐欺師」「平成の毒婦」と呼ばれた木嶋被告とは、どんな人物なのか。それを同じ女性からの視点を軸として裁判の様子と彼女の故郷である北海道別海市への取材を重ねた上でかかれており、すらすと読めはするのですが、男女問わず誰かもが思っているであろう疑問『決して美人とはいえない容姿で、何人もの男を手玉に取れた理由』は結局わからずじまいでありました。
しかし、彼女に『籠絡』された男たちには同じ男として大いにシンパシーを感じつつも、まるで蟷螂の交尾よろしく『がんばって』いるオスを頭から食い殺すがごとく、自分の性をはじめとして料理のスキルからなにから使える武器は全て使い、『自分を大切にすることとはカネを出すことだ!』といわんばかりにキャッチセールスのクロージングのように自分と交際を迫る(お金を引き出す)手練手管の数々には、正直言って度肝を抜かれました。
さらに、北海道別海市に飛んで木嶋香苗被告家族及び18歳までの生育暦になると、『保守的で排他的で閉鎖的な環境』からなにが何でも抜け出したいという叫びにも似た欲求と家族や周囲との不協和音。そして早熟な彼女の『性』に関するうわさ…。
心底彼女は生まれ故郷が嫌いだったんだなと。そこから抜け出して二度とそこへ戻らないために自分の『性』を商品化して「デイ・トリッパー」よろしく男から男へ…。というなりふり構わない人生へと突入したのではなかろうか…。
彼女がとった手段に関して決して同調できませんが、おそらくはこういうことなんだろうなというのが現段階の彼女に対する『思い』です。
そして、驚いたのが『東電OL』のときもそうだったように彼女の生き方に『共感』を覚える女性が一定数存在してこと。これにはしばらくの間腕組みをして考え込まざるをえませんでした。本書の最後の方で、フェミニストで有名な上野千鶴子女史が彼女の事件を評して
『援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋香苗だったのね』
とおっしゃっていたのがとても印象に残っております。
彼女の起こした事件は今後も繰り返し扱われると思いますが、彼女への理解は別として、この本にはぜひとも一度は資料としても目を通す価値はあるかと思われます。
※追記
本書は2017年9月13日、講談社より『佐藤優対談収録完全版 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 (講談社文庫 き 63-2)』として文庫化されました。 -
Posted by ブクログ
再読だ。
読み返してみたら、思ったより覚えていた。
そういえば、本書を読んで、俺は『政治家の本棚』を読んだのだった。
名前を知る政治家、政党の党首がどんな本を読んでいたとか、なかなか楽しかったんだよね。
小泉純一郎が、本の感想もざっくりして浅い、とか、長く共産党の委員長を務めていた志位和夫が、意外なほどの読書家でインテリだったとかね。
日本の政治家、官僚のようなエリートは諸外国に対して、あまりにも本を読んでいないという話だった。
例外もいるんだけど、細川護熙とかは一般人はまず読まない古典まで造詣が深かったといいつつ、政治家としては・・・という話になっていたから、まぁ本を読んでいたらいい、というものでもないのだろう。
あとがきの方で、日本の政治家や経済人はよく本を読んでいる、もっとも小説、ビジネス書、エッセイなどが中心で、学術書の類はあまりない、という話が出てきた。
本書でいわれていた本を読んでいない、とは、専門的に深い学術書のようなものを読んでいないというのが察せられる。
そういわれると、俺も本を読んでいるようで、学術書なんてそうそう読んでいない。
本を読んで、何を得るか、何を求めて本を読むか、だろうな。
大平正芳や石橋湛山、吉田茂といったインテリ教養人政治家の読書というものも出てきた。
大平正芳なんか、金曜日に本屋さんに行って本を買い込み、週末それを読む耽ることを楽しみにしていたなんて書かれていた。
大平正芳の記念館の本は、難しい本ばかりっぽい。この人は何を楽しみに読書していたんだろうという疑問もわくくらいだけど、自分の求めるものを得られると思うからこそ、読書は楽しいんだろうな。
無敵の読解力というタイトルながら、読解力というよりも、本にからめた時事を扱った本だった。菅義偉なんて、今なら出てこない。
とはいえ、出て数年たつはずだし、時事としては古くなっているはずだ、かつ再読でもあるんだけど、楽しく読めた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・むしろ教育的な見地で、意図的に怒鳴っている場合が多いんです。
・芸術には昔からそのような作用があった。ニーチェは処女作「悲劇の誕生」という本で、「悲劇を見ることによって観客は自分たちの内面の不条理やそこから来る悲劇的な結末を昇華する。それがギリシャ悲劇の目的であり、ひいては芸術全体の目的でもある」というようなことを述べています。
・一連の軍事的な行動はそのためのものだという相手の内在的論理が分かれば、必要以上に恐れることはなくなります。
・様々な経験をしておけば、何かにビビるような場面に出くわしたでも、「この人は前に会ったあの人に言動が似ているな」とか、「今の状況はあの本に書かれていたあの状況にそっくりだ」と対象を冷静に分析できます。
・仕事は結果が求められるので、どんなに自分を飾って大きく見せても、時間が経てば必ず結果として自分の実力が明らかになる。 -
Posted by ブクログ
【第1章 ロシア・ウクライナ紛争の行方】
p. 73 陸続きの大国ゆえ、ロシアは伝統的に、自国の周囲にバッファーゾーン(緩衝地帯)を設定しようとする。ロシア、ウクライナ戦争の原因の1つに、こうしたロシアの『恐怖』に基づく世界観があることは間違いない。(奥山真司『世界最強の地政学』)
p. 74 ロシアにとってウクライナ南部は黒海への出口だっただけに、ウクライナの西側への接近は死活問題。
【第2章 ガザ戦争に潜む殉教と報復の論理】
p. 100 イスラエルという国ができた背景には、第一次世界大戦時のイギリスの三枚舌外交があった。「バルフォア宣言」を根拠として、第一次世界大戦後にユダヤ人はパレスチナへの帰還を始めた。その後ナチスドイツのユダヤ人へのジェノサイドを受け、第二次世界大戦後にパレスチナへの帰還はさらに本格的になっていく。
p. 102 パレスチナ問題は、議論のスタート地点における立場設定が非常に重要です。この問題は、イスラエルの生存権を認めるか、すなわちユダヤ人の帰還権を認める立場に立つか、認めない立場に立つかで、完全に変わってくるのです。(中略)
しかし、イスラエルはヨーロッパにいたユダヤ人が作った植民地であると言う立場の場合、ハマスの戦闘行為もテロも、パレスチナに住むアラブ人による植民地解放闘争と言うことになり、ユダヤ人はパレスチナに住んではいけないと言う結論に至ります。つまり、本来の自分たちの母国であるヨーロッパに帰れと言うことです。
このように、パレスチナ問題を考えるにあたっては、立場設定が最も重要だと言う点を最初に理解しておく必要があります。
p. 111 もう一つ、ジェノサイドによって植え付けられたユダヤ人の意識があります。(中略)ドイツを始めとするヨーロッパ各国の人々は、ユダヤ人をジェノサイドから積極的には救わなかったと言う歴史的事実があるのです。このような状況から、ユダヤ人が「他者をあてにしても無駄だ」と言う考えを抱いたとしても不思議ではないでしょう。ユダヤ人は祖国を持つ必要性だけでなく、多くの敵対勢力に囲まれたときにどうするべきかを考えるようになりました。要するに、「自分の身は自分で守るしかない」ということです。
このように、今回のイスラエルによる徹底したガザへの攻撃も、ユダヤ人の歴史とイスラエルの地理的背景による内在的論理がわからなければ、理解することは難しいのです。
p. 112 イスラエルの内在的論理を考えていくと、今回のガザ地区への軍事作戦実施は、イスラエルにとっての“自衛権”どころか、さらに根源的な権利である“生存権”を守るための軍事作戦であることがわかります。かつてホロコーストを経験したユダヤ人にとっては、「全世界から同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」というのが本音であり、信念なのです。いってみれば、これこそがイスラエルの論理であり、国是なのです。
p. 119 日本にやってきたガザの画家の言葉が紹介されています。
日本で日本人が生きているこの暮らし、これが人間が生きるということであるなら、ガザにおける生、それは決して、人間の生などではありえない。自分はこれまでひとたびも人間として生きたことなどなかった。自分は日本に来て初めて人間となったのだ、だから、私の歳は7日なのだ。
p. 132
要するに、イランはイスラエルに何らかの報復をしないと国民にも示しがつかないため攻撃を仕掛けましたが、本格的な戦争になる事は望んでいなかった。その後、イスラエルの報復攻撃があることはありましたが、現在両国が戦闘状態に入っていないことからも、これはそう理解できます。相互に以心伝心でやったプロレスだったのです。こうした国家間の駆け引きを理解しなければ、中東情勢を大きく見誤ることになります。