佐藤優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
超したたか勉強術
会社だけの生活に行き詰まっている人へ
著:佐藤 優
朝日新書 510
勉強術といっても、章ごとに、体系的にまとまってはおらず、19の思考のポイントをキーワードとしているので、なかなか理解できませんでした
著書の放った、印象ぶかい一文を拾ってきました
日本を覆う、「反知性主義」に対抗していくためには、自分の頭で「したたか」に考え続けるほかはない
感情論ではなく、どんな立場の人とも議論ができる最強のインテリジェンス思考法を伝授とあります
気になったことは以下です
・さまざまな物事について自分なりの視座をもつこと
そのための技術を身につけること
・ビジネスを取り巻く状況は、刻一刻と変化している
その変化を察知し、行方を予想して身の処し方をアップデートしていく必要がある
・新たな声を聞くためには、歴史、哲学、思想、宗教、文化、経済、数学など、が必要だ
それだけでは十分ではない、テーマになっている事柄に関連する基礎教養を運用して、情報を組み直す思考力を備えて初めて、新たな声が聞こえてくる
・自分なりに視座をもつために最低限必要な要素を整理してみよう
①基礎教養を身につける
②情報収集
③基礎教養と収集した情報の運用
④内在的論理を探る
・社会人としての根幹を作る必須の基礎教養のひとつは、近現代史である
国民国家の輪郭が明確になり、相争い、ときに協調してきたのが近現代の流れなのだ
・逆説的だか、人の命を奪うような政治に対しては、どんなに弱い立場に置かれた人間であっても、抵抗し、最終的には弱き者が勝つのだということを教えてくれる
・インテリジェンスの要諦のひとつは、公開情報の読み解きである
・交渉の場において、譲歩はしても決して迎合しない
★思考のポイント1 アナロジーで考える
・トッドは移民に大きく2つの類型を認めている
①同化型 異質である限り、社会の成員として認めない
②寛容型 移民が出身国、地域の文化や言語を保持することに寛容で、同化を強要しない
★思考のポイント2 敷衍して論を発展させる
★思考のポイント3 正反対の人物をイメージする
★思考のポイント4 共通点と相違点を探す
★思考のポイント5 歴史的事実を使って規定する
・日本を取り戻す、心の問題(ポエム)を公共圏に持ち出す首相、それを指摘できない与野党議員、詩の朗読がまかり通る現在の政治の姿は、法治主義、民主主義が根底から崩れていることを物語っている
★思考のポイント6 情念面からもアプローチする
・同時多発的な事象間に何らかのつながりがあるか否かを見極める習慣を身につけておくことは大切だ
ビジネスの現場において、複数の懸案事項の背後関係がつかめれば、問題解決へ向けての有効なアプローチとなるだろう
・同質性が高いとみなされている場所でナショナリズムが暴発すると恐ろしい
★思考のポイント7 アイデンティティに注目する
★思考のポイント8 第三の立場から考える
★思考のポイント9 別の概念にあてはめる
★思考のポイント10 さらなる謎に迫る
★思考のポイント11 他人事と捉えない
★思考のポイント12 他の選択肢の可能性を探る
★思考のポイント13 価値を相対化する
★思考のポイント14 立ち位置に目を配る
★思考のポイント15 感情的な要素を排除する
★思考のポイント16 ルールの数はしぼる
・日本はいまも帝国である
★思考のポイント17 効果的に敷衍を使う
★思考のポイント18 双方の立場から立証する
★思考のポイント19 裏返して考える習慣をつける
目次
序章 「生き残り」のための技術を磨く
第1章 「したたかさ」を身につける
第2章 多様なものの見方をする
第3章 「失敗」と謙虚に向き合う
第4章 複雑な問題を分解して考える
第5章 「あてはめ」で可視化する
第6章 不動とされる価値を疑ってみる
第7章 物事を考えるときのルールを決める
第8章 「思考の鋳型」は組み合わせて使う
第9章 自分の考えを自分で否定する知力をつける
終章 いま置かれた立場で「生き残る」
あとがき
ISBN:9784022736109
出版社:朝日新聞出版
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:760円(本体)
発売日:2015年04月30日第1刷 -
Posted by ブクログ
寓話や昔話は幼少期に散々読まされ聞かされた。小学校くらいまではそれを真面目に受け止めて、あぁこれはやったらバチが当たるななんて思っていた。
しかし中高で記憶が薄れていき、同時に幼少期ほど話を間に受けないようになってくると、なんであんな話を信じてたんだと思って、教訓を教えてくれたなどとは全く考えずむしろ大人が私を躾ける一環だったんだなんて考えに行き着いていた。
しかし数年前に岩波のイソップ童話を少し読んだときに、教訓を得るとか以前にこれは読み物として面白いのでないかと思った。それからまた数年経ち、上司が読んでいるというので読んだのがこれ。
寓話っていうのはこんなに自由に読めて、なんなら違うストーリーのverがあったりすることを知った。小さな寓話でも童話でも読者がどう考えるかでいくらでも変わるんだね。 -
Posted by ブクログ
両人の非常に多い著作はどれも「読みやすい」「必ず新たな気づきがある」/半藤は長年の調査によって日米戦争に至った内情を/佐藤は『日本の一番長い日』英訳を各国大使館に配って好評だった/米軍は東京など都市部大空襲を重慶爆撃の報復として正当化。太平洋戦争で日本が風船爆弾に毒ガスを使ったら?「必ず数百倍の報復があっただろう」/日露戦争の成功体験が海軍を束縛/「通商破壊」有効性を軽視、船団護衛のため陸軍は独自に空母まで作った参謀本部の企画立案は実質下級官吏が行い、評価は内部で行うので「決断の責任」「失敗の反省」がない。悪弊は外務省に継承されている、と佐藤は語る。
日本独自の「優位」としては、三八銃は半殺しにする優れ物、「負傷者は三人付き添って後方へ送る手間がかかる」 -
Posted by ブクログ
二人が持つ広く深い知識に裏打ちされた問題意識を共有し、我々一般人に問題提起している。基本的に似たような問題意識を持った二人ではあるが、佐藤優が提起して、池上彰が噛み砕いて整理して読者に届けることで意識を高めるという設定がとても上手くはまっていると思う。
民主主義が絶対的なものではなく、意識して育て、守っていかないと全体主義の方向にスライスしていく可能性を多分に含んでおり、コロナ禍における各国の対応に表れたように、その傾き、ズレは少しずつ生じている。
日本は、民主主義を勝ち取ってきた国とは少し状況が異なるが、だからこそ日本型民主主義を守り、育てていかないといけないのだろう。
終戦直後に書かれた民主主義関連の本も読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
宇野弘蔵『経済学方法論』をもとに資本主義に関する分析を、とりわけマルクスが深堀しなかった「国家」を本書では扱う。宇野弘蔵の思想としては原理論、段階論、現状分析の「三段階論」がベースとなる。原理論は、19世紀半ばのイギリスといった自由主義国をモデルに資本主義の論理を明かしていく。段階論は、重商主義から重農主義、さらに資本主義から帝国主義というように、段階を経ていくという考え方である。現状分析は、現実にいま存在する資本主義を分析する。以上が宇野弘蔵の三段階論の特徴であり、これを念頭に資本主義をひも解くと、たとえ恐慌が発生したとしても崩壊せずに、むしろ資本主義の力が強まることがわかる。
また本書では当時ベストセラーとなったピケティ『21世紀の資本論』に触れる。著者によると、ピケティの主張は国家の機能を強めることとなり、それはまるでファシズム体制のようだと批判する。本書で説明されるが、ファシズムとは、資本主義社会で生じる問題を、共産主義革命以外の手法で解決するという考えである。資本主義を否定せずに克服しようと試みたのがファシズムである。ちなみにナチズムについては、アーリア人を主軸とした人種神話、民族神話であり、単なるイデオロギーにすぎないと指摘する。 -
Posted by ブクログ
CIAを含めて、インテリジェンスには「芸術」と「技術」のいずれか、あるいはその両方が求められる。たしかに、インテリジェンスは理性や論理だけでなく、直観が時には必要となる。しかし、本書で提供されるスキルにはそのような才能は不要である。言い換えると、一定の訓練さえすれば、誰でも技術的に再現可能なのである。したがって、どのような組織に所属した人でも十二分に使える。
現在、インターネットの発展で、おおよその情報は得られる。とはいえ、なかには情報が一般的には公開されない、秘密裏のものもある。では、これらの情報をいかにしてする収集のか、それは直接的に人間から情報を得るのである。これはある特定の人物との会話から得るもので、事実、諜報員はこのスキルを駆使して協力者を作り上げる。
しかし、そのためには他者に対する尊敬と信頼関係が欠けてはならない。もちろん人間関係を良好に維持し続けることは難しいし、いつ相手に裏切られるかはわからないが、それでも他者に敬意を表して接しないと、対人関係の構築はそもそも始まらない。たとえ敵だとしても表面上は良い雰囲気を作らなければならない。これ以外にも実践的なスキルが載っているが、いずれにせよ人間関係に関しては避けて通れない。 -
Posted by ブクログ
ウクライナ戦争について、一般的に民主主義対権威主義の戦いだと言われているが、実は西欧世俗キリスト教対ロシア正教という宗教戦争だという視点。
西側の民主主義における“人権”は“神権”が変異したもの。つまり“人権”は実は西側の世俗化キリスト教の価値観。それを押し付けられたプーチンが西欧の同性愛やLGBTQをサタニズム(悪魔崇拝)だと言っているのがその表れの一つ。
もともとはウクライナ東部にすむロシア系住民をネオナチから救うのが目的の戦争が、アメリカ、西欧が価値観戦争と位置付けたため宗教戦争になってきている。
単に領土の取り合いなら妥協点も見出しやすいが、価値観戦争は双方が譲るのが難しい。
この戦争の終わりが見えず、世界の行方が見えないという事が理解できた。 -
Posted by ブクログ
ウクライナとロシアの戦争についてこれほど的確な見識を述べた書物は少ないと言える。メディアや一般の作家から出てくることはウクライナが善、ロシアか悪と描かれているが本当は異なることがこの作品を読むとよく理解できる。ウクライナ東部でのウクライナと親ロシア派の対立が、この戦争を引き起こしたことは明らかだが、それ以前の歴史を紐解けば結論を急ぐべきではなかったのである。犠牲になるのは平和に暮らしていた民衆達で、悪は権力を握るウクライナ政権の中枢の人々そしてアメリカである。プーチンが行っていることには賛成はできないが、これに関してはロシアに大義があると個人的に考える。