あらすじ
「本物の知性をなめるなよ。」
現代を分析するときに必要とされるのは「読解力」である。そこで役に立つのは古典をはじめとする書物だ。万巻の書を読み卓抜の読解力を有する二人が、仕事論、米中対立、オリンピック、リーダー論、日本人論を縦横無尽に斬る。その無敵の斬れ具合を玩味すること以上の知的な興奮はない。
第一章 人新世から見た仕事論
第二章 米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か
第三章 オリンピックはなぜやめられなかったのか
第四章 愛読書から見るリーダー論
第五章 日本人論の名著を再読する
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
テーマを決めて読むべき本を挙げて、池上氏
佐藤氏の二人が、そのテーマとその本の内容
を絡めつつ、著者の言いたい方向性を導き出
す高度な対談です。
新しい資本論、米中対立、東京オリンピック
の振り返り、リーダー論、日本人論などにつ
いて議論を重ねます。
現代の知の二大巨人だけあって、非常に知的
レベルの高い会話が展開されます。
本当に無敵と言っていい読解力が身に付く一
冊です。
Posted by ブクログ
何冊目かカウントするのも忘れた対談シリーズ。今回は読解力を駆使して、さまざまな書籍の内容を読み解いていく。「リテラシー」とか「情報を鵜呑みにしない」というと、あれもこれもフェイク扱いで全否定するムーブをとる人がネットには多いが、「批判的に見る」という行為とは本来、この2人がおこなうようなものである筈だ。感心することばかりの一冊。
Posted by ブクログ
再読だ。
読み返してみたら、思ったより覚えていた。
そういえば、本書を読んで、俺は『政治家の本棚』を読んだのだった。
名前を知る政治家、政党の党首がどんな本を読んでいたとか、なかなか楽しかったんだよね。
小泉純一郎が、本の感想もざっくりして浅い、とか、長く共産党の委員長を務めていた志位和夫が、意外なほどの読書家でインテリだったとかね。
日本の政治家、官僚のようなエリートは諸外国に対して、あまりにも本を読んでいないという話だった。
例外もいるんだけど、細川護熙とかは一般人はまず読まない古典まで造詣が深かったといいつつ、政治家としては・・・という話になっていたから、まぁ本を読んでいたらいい、というものでもないのだろう。
あとがきの方で、日本の政治家や経済人はよく本を読んでいる、もっとも小説、ビジネス書、エッセイなどが中心で、学術書の類はあまりない、という話が出てきた。
本書でいわれていた本を読んでいない、とは、専門的に深い学術書のようなものを読んでいないというのが察せられる。
そういわれると、俺も本を読んでいるようで、学術書なんてそうそう読んでいない。
本を読んで、何を得るか、何を求めて本を読むか、だろうな。
大平正芳や石橋湛山、吉田茂といったインテリ教養人政治家の読書というものも出てきた。
大平正芳なんか、金曜日に本屋さんに行って本を買い込み、週末それを読む耽ることを楽しみにしていたなんて書かれていた。
大平正芳の記念館の本は、難しい本ばかりっぽい。この人は何を楽しみに読書していたんだろうという疑問もわくくらいだけど、自分の求めるものを得られると思うからこそ、読書は楽しいんだろうな。
無敵の読解力というタイトルながら、読解力というよりも、本にからめた時事を扱った本だった。菅義偉なんて、今なら出てこない。
とはいえ、出て数年たつはずだし、時事としては古くなっているはずだ、かつ再読でもあるんだけど、楽しく読めた。
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池上彰と佐藤優の対談集ですが、どちらも読書家で話のレベルが高いので読み応えがあった。特に政治家の愛読書について批評している章があり、人は愛読書によって判断される場合もあるという事がわかった。興味のある本もたくさん紹介されていた。
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このタッグの本は何冊か読んでいるが、内容よりも2人の読書量が気になる。
聞いたことのない著者の聞いたことのない題名の本を読んで当たり前のように言えるのはどれだけの本を読んできたらそうなるのか。
とても追いつける気はしないが、この本で紹介されていた本で気になったものは読んでみようと思う。
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第4章が特に面白かった!
本棚って、それだけでその人がどんな人か、なんとなくバレちゃうので、怖いですよね(*_*)
古典って、やっぱりちょっと苦手なんだけど、読んだ方がいいんだろうな(^_^;)
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この二人の対談本はいつも興味深いけれども、もう少し話を深掘りしてほしいと思うこともしばしば。
個人的には、一番の読みどころは第四章。現代の政治家たちがめった斬りにされていくのは読んでいて痛快だし、日頃から薄々感じていた政治家(のみならず現代日本人全般)の「薄さ」が言語化されていて腑に落ちた感じがした。
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タイトルには読解力とあるのだが、内容は、現在の社会課題に関連した内容を扱った本をお二人が紹介したもの。少し表現は悪いが、自分はこんなに知識がある、本を読んだということを(やや自慢げに)語ったものといえなくもない。
ただ、「おわりに」で佐藤優さんが、日本の政治家、経営者は本は読むが、脚注のついた学術書を批判的精神をもって読むということをしないので、彼らのスピーチを聞いても感情に訴えるエピソードを語るものばかりで、聞き手に知的刺激を与えないと語っている。これこそは書名にある「読解力」の本質を突いたご指摘だろう。「おわりに」は2ページしかないのだけど。
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豊富な知識を持った二人が、テーマに沿った書籍について、縦横無尽に評を述べていく対話形式。読んだばかりの『実力も運のうち』、『人新生の資本論』も第1章で出てきたので、のっけから充分に楽しめた。同じ書籍を読んでも、ここまで感想や考え方に深みが異なるのか、と痛感した。
日本の政治家の愛読書という、今まであまり考えたことがないような切り口のテーマも秀逸。政治家がなぜ哲学書や思想書を読みたがらないのか、その根幹への想像も説得力があるもので腹落ちした。とはいえ、「菅義偉の『君主論』が愛読者」に対して、衒学的な傲慢さも少し垣間見れたのは残念。
「タイトルは変えた方がいい」との意見も見られたが、「読解力を育むことで、こんなふうに物事や人物の本質を考えることができるよ!」というように、読解力の必要性を訴えかけるいいタイトルになっていると思う。
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本書は「読解力を育てる」というよりは、著者の読解力を用いた書評である。
著者の対談についてはすでに何冊も本が出ているが、いずれも知的刺激が得られる良書。今回も時事問題を取り混ぜながら、「書籍」を軸に論が展開されているところが面白い。
「組織の不条理」など、取り上げられていた中ですでに読んだ本は何冊かあるものの、今回の対談以上のものを私自身が読み取っていたか自信がなく、良い意味での反省点となった。もう一度再読してみようと思う。
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対話形式で読みやすかった。
ただただ池上、佐藤両氏の読書量と質に驚くばかり。
台湾有事を必要以上に煽ることが実現性を高めてしまうこと、均質な中国人化を進め国民国家を目指す中国の悲哀、東京オリンピック2020と日本軍の失敗は同じ根っこの限定的合理性によるもの、日本の舵取りをする方々の愛読書と教養の低さの相関性、たびたびブームになる日本人論のカラクリはどれも俯瞰してものを見ない視野狭窄によるのかなと感じた。
両氏とまでは難しくとも普遍的な価値や知識には触れておくべきで、それはやはり古典と呼ばれるものを熟読する必要を感じた。
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本の読み方は人それぞれ、修行のような人もいれば、ただただ娯楽としてという場合も多い。知識を得る、論理を紐解く、ストーリーを追う。そのためにも、行間と文脈を理解する必要がある。文字通りにしか理解できないのがAIの弱点だと、ロボットが東大に入れるかを考察する新井紀子が解説していた。多義的な文章を一義的に解釈できるには、経験や共感、想像が必要だからだろう。
では、佐藤優と池上彰の言う〝読解力”とは。
本質を見抜き、いやそれを悠々と突き破り、文章以外の連想から著者の言外を広げる力。二人の対話が知的にスリリングだと感じる程、面白かった。対話本の相互に忖度するような予定調和ならウンザリだが、もはやその次元ではない。後半、政治家の本棚を嘲笑する様はやや悪趣味だが、言いたい事は分かる。
もう一つ。オマケのようだが、この本で、斎藤幸平論やディープステート論について二人の考え方が知れた事も収穫。ー 公式なルートではなく、属人的なネットワークで難問が解決される。日本なら、麻布、開成、筑駒。そうした現象は増えてきていて、ディープステートと本質は変わらない。まさに、その通り。
Posted by ブクログ
知の巨人と言われる2人が対談形式で、名著に触れながら各テーマで論じる。学術書は手に取りにくいけど、娯楽小説ばかりでなく、ここに上がった本のいくつかは手に取ってみたい。オリンピックのところで、日本の街はかつてゴミが溢れており、タン壺まであったとあり、びっくり。