【感想・ネタバレ】イスラエル戦争の嘘 第三次世界大戦を回避せよのレビュー

あらすじ

◎内容紹介
パレスチナ・ガザ地区を支配するハマスが、突如イスラエルに5000発のロケット砲を放った。イスラエル軍も徹底した報復攻撃で応酬し、多数の死傷者が出ている。「病院」まで標的にするイスラエルの内在的論理は何か。インテリジェンスの大家二人は、ネタニヤフ首相と情報機関に生じた溝の深さを読み解き、ガザの地から上がった戦火は、核戦争のリスクを孕みながら推移していると警告する。この戦いに背後にいる米、露、中の本音を見抜け!日本は独自外交の道を探るべきだ。

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Posted by ブクログ

ウクライナ戦争よりもイスラエル戦争の方が複雑で分かりにくい印象。オスマン帝国崩壊後の混乱が現代まで続いていて、何が正しいのか安易に判断できないなというのが率直な感想。日本の新聞やニュースだけに情報源を頼っていてはいけないなと思う。

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2024年08月20日

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博多から佐世保への高速バスの旅の道連れの本
イスラエル戦争の嘘、米露中の打算と野望に巻き込まれるな!日本には停戦に導く力がある。

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

日本を代表する稀代のインテリジェンサー(こんな言葉はないか)お二方の対談は、どの上梓作も蒙を啓かされる。本作も同様で、イスラエルとテロ組織ハマスとの紛争について、歴史からの学びとそれぞれの内在論理を喝破し、グローバル世界の今後の進路を示唆する羅針盤のような提言を繰り出す。バカな新聞や御用学者の言説など読まなくても、本作を読むだけで世界情勢の今がわかる。ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つものだが、昼日中に飛び立っていると思わせる迫力ある分析力だ。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

とてもわかりやすかった。けど、やはり中東問題は、難しい。状況が理解出来ても、言葉が見つからない。いつもと違って強い感情が出ている佐藤優さんが印象的でした。

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2024年05月30日

Posted by ブクログ

一般市民が犠牲になり、憎しみの連鎖が止まらない。なぜハマスはテロを起こしたのか、そしてイスラエルはなぜ一般市民を巻き込んででも徹底的に攻撃するのか。日本に住む我々には理解が難しいが、2人のインテリジェンスの専門家が平易に説明してくれる。
読めば読むほど解決が難しい問題。これが第三次世界大戦の引き金にならないことを切に願う。

以下、個人的メモ。
イスラエル、特にネタニヤフ首相の内在的論理。
・全世界から同情され死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る。
・ハマスはユダヤ人という属性を持つものを抹殺するという姿勢を持っており、テロ攻撃ができなくなるまで決定的に掃討を徹底する。

ハマスの内在的論理
・ネタニヤフの政策で、ガザ地区が天井なき牢獄にされ、電力が慢性的に不足、劣悪な生活環境、失業率上昇などで住民の不満が沸点に達していた。住民たちはネタニヤフに憎むと同時に、期待したのに改善してくれないハマスにも怒りの矛先を向けつつあった。
・ハマスとしてはイスラエルと戦う姿勢を見せる捨身の奇襲作戦をせざるを得ないところまで追い込まれていた。
・今回の戦争のきっかけはイスラエルがパレスチナ、ハマスを追い込みすぎて招いたテロが発端になっているとも言える。
・そこにサウジとイランの国交回復、そして次にサウジとイスラエルの国交回復交渉が始まったこともハマスを焦らせた。このままではジリ貧になる。イスラエルから100倍返しがくるのは分かった上でもやるしかなかったのしれない。

もっと歴史を遡ると、WW2後の相次ぐ中東戦争、WW1時のイギリスの三枚舌外交、もっと言えば2000年前の出エジプト記まで遡る話で複雑に絡み合って何が正しいとか何が原因だとかを簡単に言えるものではない。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

本書で言及される「嘘」とは、イスラエルとパレスチナの紛争に関する国際社会やメディアの表層的な理解に対する誤解のことで、「嘘」は言い過ぎだという気もするし、「さすが佐藤ラスプーチン」「情報ソースは言えませんけどね」みたいな身内ノリが目立つ。割に既知の内容も多く、両氏のファンとしては、居酒屋トークな感じが少し残念。

例えば、パレスチナの国家承認問題だが、いわゆるイギリスの三枚舌外交は有名な話。また、ハマスの攻撃の背景には、住民の不満をイスラエルに向けさせる意図があったともされる。対してイスラエルの報復行動が過剰であるとの批判があるが、佐藤優は、イスラエルがハマスを完全に中立化する目的に対し戦闘を簡単には止められないと述べる。

ガザ地区の情勢はいまだイスラエルとハマスの間で断続的な衝突が続いており、民間人の被害は収まらない。国際社会は双方に自制を求めているが、明確な解決策はない。

佐藤優と手嶋龍一という二人の碩学の対話。国家や正義とは何か、それを部外者がどのように理解し得るのかを問うような内容。国際社会における「承認」とは、理想や正義の問題ではなく、徹頭徹尾パワーポリティクスであることを、インテリジェンスの二人は冷徹に指摘するのである。

理想も正義も主観である。第三次世界大戦を回避するためには、適切な距離感を再確保し、いかに保つか。しかし、物理的な土地に絡んでの悩ましい問題である。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

「イスラエル戦争の嘘」。このタイトルと著者の佐藤優氏の名前を見れば、本書の内容はイスラエルによるパレスチナ侵攻をイスラエル側立場で正当化する様な内容ではないかと若干構え気味にページをめくっていった。確かに現在発生しているイスラエルのやり方、病院施設への攻撃や民間人を巻き込んだ爆撃などは、国際法の観点からも決して許されるものではない。然し乍らそうしたニュース映像で流れる表面的な事象ばかりを見て、全体を悪か善かで判断し悪として非難することも危険だ。物事の本質を見なければ、今目の前で繰り広げられる、やりすぎとも思えるイスラエルの姿を理解することはできないだろう。そうした意味で、イスラエルの諜報機関に関係を持ち、自らもイスラエル建国の日に、イスラエル外交で逮捕に至った佐藤氏の説明は説得力があり、かつ単純にイスラエルばかりを責めてはいられない、彼の地を含めた世界とイスラエルの関係性を理解するのに役立つ。
本書は2024年4月に出版されたものであるから、このレビューを書いている2025年4月は丁度一年後に当たる。未だ未だ収束の兆しは見られず、民間人の被害状況が改善したとは言えない。寧ろ度重なる爆撃、食糧物資の支援も不充分で、世界最悪の飢餓状態に向かっている様な事態に陥っている。なぜ一年後に読んでいるかと言えば、状況が改善しない現状を知るためには、始まった理由をしっかり認識する必要があると考えたためだ。その時に本書タイトルを見れば、容易にその背景を知る事ができるのではと思った。
冒頭に書いたが、佐藤氏と外交ジャーナリストの手嶋氏のタッグであるから、イスラエルの内在的論理と各方面からの情報に基づく分析は見事で、現状のイスラエルの姿を鮮やかに描き出している。そして、ハマスやファタハ、フーシ派にヒズボラとイスラム勢力の価値観や行動を重ね合わせる事で、パレスチナの地を巡る争いの経緯をあたかも氷が溶けていく様に紐解いている。この手の本を読む度に、歴史的な流れについてはよく理解できるのだが、イスラエル側に内在する徹底した姿勢「全世界に同情されながら滅びるよりも、全世界を敵に回してでも戦い、生き残る」からくる行動を理解するには、表面的に得られる情報だけではなく、その内側の心理を理解しなければならないと改めて気付かされる。
決してイスラエルの行動を同情の目で見て是認してはならないし、民間人を不幸にするやり方を正当化してはいけない。だが解決の糸口を見つけるには、彼ら(イスラエルと周辺諸国、そしてその原因を作ったヨーロッパ諸国)を行動に至らせた真の理由を把握しなければならないだろう。対談形式で読みやすくお勧めしたい一冊だ。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

佐藤優氏の本は多く読んでいるが、対談相手に誘導されたり振り回されている佐藤優氏を見るのは新鮮で面白かった。作家であり、またインテリジェンスに精通している手嶋龍一氏なればこそで良い組み合わせ。手島氏が佐藤氏を持ち上げたり詰め寄ったりとドラマを感じさせる演出がある。
ただ佐藤優と、例えば池上彰氏との対談本なのでもそうだが、対談でありながら読者への解説を二人でもって淡々と進めていくスタイルには妙な面映ゆさを感じてしまう。その解説の恩恵に預かっている身ではあるが。

改めて宗教・信仰の負の面を強く認識させられる。本来人々の苦しみを取り除き豊かに暮らすために生まれたものなのに、妄信するあまり排他的・攻撃的になってしまう。
科学、哲学などの教育が対立の打開策となると思われるが、宗教にはそういった他の知識や考え方を取り入れること自体をタブーとするものもあるので一筋縄ではいかない。
強硬で排他的な信仰・宗教が消え去らない限りは、現実的には剛柔併せて「なぁなぁ」な落としどころを探っていくアプローチになるだろうし、現状もそうなのだろう。

必要な情報を適宜集め、対話の道を塞がずに落としどころを見つけ出していくインテリジェンスの存在、技術は欠かせないというのがよく分かった。

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

この本の中で、いくつも知らないことや、ハッとさせられることがあった

イスラエル政府はハマスの襲撃について「属性排除」の論理に基づいたものだと見ている。この「属性排除」とは人種や民族否定、つまりホロコーストと結びついてしまう。

イスラエルを建国する際の国是「たとえ全世界を敵に回してでも、自国が生き延びる道を選ぶ」という覚悟をイスラエルは持っている

これらを考えた上で、イスラエルの成り立ち、周辺国や世界の勢力図、国際機関の限界を合わせて考えるととても難しい問題なんだなと思う

しかし一方でユダヤ教の教えには「わたしが報復し、報いをする」と主が言われる・・・というのがあるそうです
自ら報復する手を止め、教えに従い冷静になって欲しいと願うばかり

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2024年07月28日

Posted by ブクログ

マッドマンセオリーと、アンチテーゼ。

サイクスピコ協定、パレスチナの地区向け。
フサインマクモホン協定、アラブ民族向け。
バルフォア宣言、ユダヤ人向け。

超大国を率いる者にある、資質。アメリカ民主主義に対する揺るぎない信念を有すること。

他の価値は全て無効なのか。これは、AI時代と、とても相性がいいよな。

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2024年06月30日

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