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長期戦となったウクライナ戦で国際政治は大きく塗り替えられる。「第三次世界大戦は始まっている」との見方もある中、現下の危機を克服するために戦略的思考を取り戻すことが期待されている。世界のパワーバランスと日本の生き残り戦略をインテリジェンスの第一人者が説く。
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Posted by ブクログ 2022年11月29日
ほぼ類似本で読んだ内容なので新鮮味はないが、特にウクライナ戦争では多面的な視点での見方が重要であることを再認識させていただいた。
Posted by ブクログ 2023年06月25日
本書が出版されたのが2022年10月、あれから間も無く9ヶ月が経とうとしている。22年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻からは既に17ヶ月になる(2023年6月末時点)。一時期はニュース報道やインターネットも日々ウクライナの戦況を解説する様な番組で目白押しとなっていたが、自分の関心が薄れたのか...続きを読む、現実取り扱う番組も減ったのか、中々毎日は見なくなってしまった。 未だ終わる気配は無いが、それでもこの1ヶ月は大きな進展があった可能性もある。ドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、南部ヘルソンと昨年のロシア侵攻以来同国に占領されている地域に対する、大規模な反転攻勢が開始されている。数ヶ月の膠着状態を経て、恐らくウクライナ側は西側からの追加供給された兵器等の使用訓練を終え、ロシア側の雇い兵であるワグネル撤退を待っていたのだと思う。西側の強力な武器と共に今もなお、占領地奪還を目指して、二国間で激しい戦闘が行われているはずだ。またここ数日騒ぎになった、ワグネルによるモスクワ進撃もあった。結局25,000の兵と共に進撃中にあったが、ベラルーシのルカシェンコ大統領とワグネルトップのプリゴジンとの電話会談後、急遽進撃を中止した様だ。中東から集まった雇い兵からなる集団だから、確かにプリゴジンが言う様にロシアの体制に関心があるもの等少ないと感じる。何らか金銭的な解決があったと推測するが、実際のところはわからない。ただ重要なのはプーチンの求心力低下につながる出来事で、西側の士気に好影響を与えた事は間違いない。 未だ混迷を極める状況だが、本書はこの終わらせ方について言及する。我々西側陣営が考える単純な背景ではなく、ロシアにはロシアの、ウクライナにはウクライナの、そしてアメリカにも戦う理由が存在する。ロシアやウクライナは旧ソ連崩壊後にそれぞれが持つ歴史観を作り上げて、国民がそれを当たり前の様に考えてきたから、いずれも正当性を主張するだろう。ロシアにすればウクライナに虐げられる東部住民の救出とナチズムの破壊、ウクライナは当然2014年に奪われたクリミア含むロシアによる占領地の奪還だ。勿論戦争の長期化によるロシアの弱体化を狙うアメリカも、武器供与や金銭供与の形で戦争(アメリカ得意の代理戦争)を継続させている。 更に範囲を広げれば、当方拡大を狙うNATO、ロシアのエネルギー依存を復活させたいドイツ、原発資源となるウランの安全な確保を狙うフランス、そして北方領土問題やサハリン1、2の利権を確保したい日本と、様々な国の思惑が交差し、終決点が見えづらいのも間違いないだろう。 本書頭の記載によれば「価値の体系」「利益の体系」「力の体系」があり、そのバランスが崩れる、どれか一つ突出すると国を誤るとのこと。かつての日本が大東亜共栄圏の構想のもとアジア開放を掲げる様な「価値の体系」が突出した様な状態は容易に国民を戦争に導いた。世論も新聞も知識人も「その様な風潮」を後押ししてしまった。結果、日本はボロボロの敗戦を迎えるわけだが、今回のロシアが「価値」のみならず、「利益」「力」の何も有した形で侵攻している事を考えると、そう簡単には屈しないはずだ。西側の経済制裁は効果ありとの報道ばかりがされるが、現実的に資源や生産力に溢れるロシアに本当に効き目があるのだろうか。元KGBのプーチンが短絡的に準備もろくにしないまま始めた事ではない。 ソ連崩壊からアメリカは戦略的思考を止めてしまった。だから場当たり的な対応ばかりが目立つが、プーチンはソ連崩壊のあの日から考えているのだ。現時点でもプーチンの描いたウクライナ侵攻シナリオの上で各国は踊らされている様にも思える。 果たしてアメリカ国民始め西側諸国の支援疲れが先か、ロシアの周到な占領作戦の成就及びクリミアの維持が勝つか、はたまた自国の経済や利益を優先する西側諸国からロシアに寄りそう国が飛び出すのが先か。傍観を続ける中国が動き出すのか。兎に角西側諸国は力による現状変更はその後の中国による台湾、尖閣、沖縄侵攻に繋がる恐れがあるから何としてでも防止したい。この我慢比べの下でも確実に兵士や民間人の死者が日々発生していることだけは忘れてはならない。
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