大野和基のレビュー一覧
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本書は時間・自己・幻想という3つのテーマを置いて、「新実在論」を唱えるドイツの天災哲学者、マルクス・ガブリエル氏と作家で国際ジャーナリストの大野和基氏の対談形式から生まれた書籍である。哲学という響きからは理解が難しく、近寄り難い雰囲気が漂ってくるが、ガブリエル氏の様々な出来事や事例を挙げて明快な解答をしていく内容はわかりやすく、読みやすいものとなっている。とは言えベースは哲学であるから、ある程度頭をクリアにした状態(特に起きたばかり、朝の時間帯)で読む事を勧める。
今回はその様なガブリエル氏の主張の中に西洋哲学だけではなく、「東洋哲学」が深く影響している点を詳しく説明している。とは言っても東洋的な考え方が、まるでそのまま同氏の考え方に一致するというわけではなく、東洋思想に見られる考え方や、行動(修行や坐禅、掃除から祭事まで)について、自分なりの解釈を加え、より深い位置で理解しようとする同氏の試みの成果である事を理解できる1冊だ。西洋哲学が「物事の不変的な真理」を追求して、これ以上細分化できない本質まで分解していくのに対して、東洋的な考え方には、常に変わらないものなどこの世には無く、「変わらないものがあるという幻想」とみなしている点。一見すると相容れない思考の方向性に見えるかもしれない。だが、仏教が全ての欲望を捨て無我の境地に至るため、静かに座禅を組んだりする事自体、「無」を欲するという欲求がそこには見られると喝破する。仏教は知的活動に不可欠な「大脳新皮質」の機能を低下させる事を目的とするが、ガブリエル氏はこの大脳新皮質を最大限活性化させることこそ、我々人間の新たな知的好奇心による幸福に結び付けられると言う。前者が意識レベルを極限まで押さえつける事で、身体的な機能を融合させることが可能であると解くのに対して、後者(ガブリエル氏の考え方)はいずれも高次のレベルで最大限発揮させようとするものである。とは言え、ガブリエル氏自身が自身の最大の発見とする「新実在論」は仕事に忙殺され、鬱状態にあった時期の湯船に浸かっている際に思いついたという話もあり、いかにも脳が疲弊し、それを回復させることが必要な状態=リラックスと思考が無に近い状態、に感じられるのも不思議なエピソードであった。中々こうしたガブリエル氏との会話の中から、今日明日すぐにでも使えるスキルや考え方が身につくわけでは無いが、要するにこうした書籍を読みながら、頭を使うという行為自体が大切なのでは無いかと感じさせる。そして、そうした考え方に至るまでのプロセスは常に自分の頭の中の「知りたい」という好奇心と、知ろうとする「意思」が生み出しているわけだから、だから私はこうして存在している、という事に気付くのである。 -
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主に生物学に対するトピックをまとめた書。生物を専門とする人向けというよりは、専門ではない人間が生物のトレンドを知る際に有用な書という印象。
クリスパー・キャス9により任意のゲノムの編集が可能になった今、その将来の展望について語ってくれる(倫理というよりは生物よりの視点)。
また、進化論についても新しい視座を与えてくれる。生物は環境によって大枠を決定されていて、多様性は細部の偶発的な変異によるものと唱えるコケル氏と、環境への適応方法は多数あり、その適応方法が多様性を生んでいるという主張のロソス氏の対比は面白かったが、ロソス氏の意見に対するコケル氏の反論を聞きたかったところ。 -
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Audibleにて。
イグノーベル賞にあった惹かれ合う者同士の心拍や発汗の同期は、Zoomによる関わりでも起こりうるのだろうか?著者は、「他者を知るには相手の匂いを感じる必要がある」と述べる。五感(六感も含む)で知ろうとするからこそ同期は生じるのだろうか。
実感としてはそちらのほうが強いな。電話のカウンセリングが一番抵抗感が強いのは 、分からないことが増えるからだしな。
「他者の社会的な仮面を超えた所に人間性を見る必要がある」
→これも我ー汝につながっていくものかな。自分ごとのように他者を考える…利他のためではなく、それが人間の幸福にとって必然だからそうする。社会的望ましさゆえでなく、そうしなければ「私」は顕現し得ないし、その先の幸福もないから。あくまで自分自身のために我ー汝を考える。そのための対話。
これを教育により理解して貰う必要がある。
「民主主義服務」の考え方は面白いな。今のままだと偶然そういう環境に行くくらいしか、自分と違う社会的な状況にある人と対話する機会は得られない。可能なのは、せいぜい読書くらいだが、好みによる選別が入るし、匂いを感じるまでには至らない。そういう機会を増やすしかないな。
「肌の色は意識にフォーカスされるのに、耳の長さに対してはそうではない。」
→社会的な意味、コンテクストが意識の着目点を作る。これが付与されていないものは自然と「黙過」される。黙過は「社会的な文脈によって共創造されるもの」とも言えるか。黙過は個人の歴史によって否認・抑圧されるだけの現象ではない! -
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外国人から「お前の名前は?」と突然聞かれたら、日本語がよくわからない外国人だなと思いますが、日本語をそこそこ理解出来てるのに終始こんな感じだと、品がない人だなと感じるに違いありません。
英語での会話も同様です。特に、ビジネスなどのフォーマルなシーンでは注意すべきです。
本書は、今流行りのグロービッシュ(簡単な単語だけでとにかく通じればいい)では、下手をすると大事な顧客や人間関係さえ壊しかねない危険性を指摘しています。
ってことで、日本人が間違いやすい言葉(suspect とdoubtでは真逆の意味になる)、差別を避けるポリコレ言葉、下品言葉の代替語(damn→darn、bullshit→garbage、it sucks→it stinks、asshole→jerk、shit→snap)などを紹介。
さらに、便利なフレーズ(what if節の動詞の過去形)、立食パーティでの話しかけ方や切り上げ方など、知っておけば重宝しそうな言い回しも多数紹介されています。
ネイティブとの共著なので内容的にも信用出来ます。 -
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<目次>
はじめに
第1章ジャレド・ダイアモンドいま人類が直面する危機
第2章ブランコ・ミラノビッチ2つの資本主義が世界を覆う
第3章ケイト・レオワース世界中の人をドーナツの中に入れる
第4章トーマス・セドラチェック倫理と経済、どちらが先か
第5章レバッカ・ヘンダーソン資本主義を再構築する
第6章ミノーシュ・シャフィク社会契約をつくり出す
第7章アンドリュー・マカフィー資本主義は脱炭素化する
第8章ジェイソン・ムーア生命の網のなかの資本主義
あとがき
機関紙”kotoba”(集英社)の2021冬~2022秋まで8回
のインタビュー記事の完全版。大野氏のインタビュー。
①p17正しい選挙が行われないならば、民主主義の
終わり。アメリカは民主主義はなくなり独裁国家になる
可能性がある。
①p33もっとも警戒すべきは、新興感染症である。
②p442つの資本主義とは、政治的(国家)資本主義
と、リベラル資本主義である
⑤p119パンンデミックによって各国とも格差が具体化した -
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ウクライナ危機後の世界
以前読んだウクライナ紛争とは別の論考で非常に興味深い論考でした。
特に印象深いのはこのウクライナ紛争が民主主義の衰退を表している、コロナとウクライナ紛争による脱グローバリゼーション
、世界的インフレなど今問題になっていることが取り上げれている。また国際政治情勢も非常に理解できます。
ただ、一つ驚きが結構日本を美化しているのはちょっと驚いてます。
ここにかかれている今後起きる問題を日本の政治家や日本人がどれだけ理解しているかが心配です。
ここにあげられている方はかなり有名なので、興味ある方は読むことを薦めます。
私はジャックアタリの本は結構すきです。
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日本人のインタビューアによる、マルクス・ガブリエルのインタビュー。audibleで聴く。
ウィルス学者が統治してはいけない、力を持っていけない、というのは、本当に良い意見であると思う。日本のコロナ対策は、専門家チームをまとめる尾身会長がかなりの発言権を持ってしまった。そのことが、東京オリンピックを史上初の無観客によるオリンピックにしてしまった。このときに、日本にマルクス・ガブリエルのような人が、専門家チームの意見が力を持つような状況に声をあげて議論をしていけば、無観客を避けられたかもしれない。そういったことを考えてしまう。
トルコをEUに加盟させないのは、EUの最大の過ちという。なるほど。
人間の本質は、「答え」ではなく、「問い」なのです。良い言葉である。 -
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わかりあえない他者と生きることを主義、考え方について突き詰めたわかりづかくはない哲学の本だったなぁと思います。マルクスガブリエルは好きで何冊か読んでおり、倫理資本主義という考え方もすごくいいなと思っています。一方で、マザーテレサはもっと人生を楽しむべきだった。彼女はそうではなかったと思うという話が出てきましたが、それは本人に聞いてみないとわからないのではないかなぁと思いました。作中断言されることが間々出てきますが、私はこれが解です。というよりもものごとはコインのように裏表があり、シーソーのように絶えず揺れ動いていて時代や環境や感情によってあらゆるものは常に変化しているのかなと思います。そうであるのであれば、今現在自分が納得できる選択を積み重ねていくのが1番メインになるのかなと思います。たまに納得できなくても進まないといけなかったり将来のこと考えてあえてそうでない方をとることもあるだろうからやっぱり100%これがってないのかなと。
作品のタイトルに対する唯一の解である”対話する”については、しないよりはしたほうが良いと思うけれど、結論を待ったなしに出さないといけない選択の場合は対話はその答えではないのかなと思ってしまいます。そこまで切迫してなくてもみんな日々の暮らしに必死だからなかなか難しいのかな。でも対話したほうがよいと常に思っておきたいです。 -
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新書でインタビュースタイルなのであっと言う間に読めました。理想を言えばケヴィン・ケリー自身が時間をかけて執筆した本を読みたかったとは思うのですが、本書からもケリーの主張が良くわかるので、その意味では良書だと思いました。率直な印象を述べると、内容自体については60~70%共感したという感じではあったものの(これは読者によって大きく違うでしょう)、議論の進め方、読者の印象に残るような語り口は本当に秀逸だと思いました。
ケリーは5000日(約13年)という単位を一区切りに歴史を語りますが、これが記憶に残りやすい。いまから5000日前を振り返ると、SNSがよちよち歩きをし始めた時期であるという話をします。そして今後5000日の間に次のプラットフォームである「ミラーワールド」が全盛期を迎えるだろうと言うことで、彼の大きなコンセプトが提示されるわけです。ミラーワールドは、もう少しなじみのある言葉でいうとデジタルツインと言ってもよいかと思うのですが、ではミラーワールドの世界では人々の働き方はどうなるのか、企業組織あるいは新たなコラボレーション組織が生まれていくのか、といった議論が次に展開されます。「ミラーワールド」という概念自体に共感するかは別にして、このような議論展開は非常に頭に残りやすく、さすがケヴィン・ケリーという印象を持ちました。
インタビュー本ですので、深くは記述されていませんが、確かに表紙に書かれている「すべてがAIと接続された・・・」という箇所が最も重要ではないかと感じました。すべてがAIに接続されると、経済や社会はどう見えるのか、人間の行動・価値観はどう変化するのか、どんな拒絶反応が生まれて規制が行われるのか、そのあたりは読者のみなさんがさらに想像力を膨らませてください、ということかもしれません。知的好奇心と想像力を刺激される良書でしたが、本人の執筆本ではないので星は3つとさせていただきました。