大野和基のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
アルクのサイト(GOTCHA!)で、この方のコラムを読んで、興味を持ちました。書いてあることは、そのコラムとほぼ同じでしたが、もっと細かく網羅されていて、でもしゅるしゅるーっと読めてしんどくなくて良かった。通勤時などの空いた時間に気軽に読む本としておすすめします。
著者の言う「英語圏の人が書いたものをテキストにした方がいい」というのは、実際に私もつくづくそう思います。
文法ですら、英語圏の人が英語学習者用に英語で書いたものの方がはるかに私には分かりやすいです。
特に時制。私の学生時代の時制の教え方はひどかった。日本語の発想がベースになった教えられ方で、まったく意味不明でした。今の子たちは違う方法で教えられていると信じたいです。(知らないけど)
仕事で毎回ちょっとしたしょーもない連絡文書を書くだけでも英英辞書でニュアンスの違いやフォーマル度を調べまくりなので、もっと早い段階で、この本が言っているようなことが重要だと知っていればなぁ、とすごく思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクルーグマンで、言っていることはクルーグマンだから変わんないんだけど、なんかインフレターゲットというか、健全なインフレってのが何を意味するのかやっとわかった。クルーグマンのすごいところは、(だめなところも多分おんなじなんだろうけど)経済の成長ということを疑わないところ。普通にうまくやってれば経済というのは未来になればよくなる。なぜなら生産性が上がるから。ってところ。ここは動かない。インフレーションによって現金の価値が下がるということは経済の縮小を意味することはない(彼にとっては)なぜなら健全な経済であれば成長する。ということは、4%のインフレをターゲットにすると、経済活動のうちの4%(+成長部分)は新しい産業やセクターによって入れ替えられるということ。その入れ替えによって世の中がよくなるっていうことだと思う。
-
Posted by ブクログ
ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン氏の著書。大変、分かりやすかったです。アベノミクスに対しては満足げな感じです。デフレよりも、インフレの方が良いと言う点が、根底にあります。そして、継続的に実施するという政府の姿勢と、財政緊縮でなく、金融緩和が大切だという。消費増税もいけないとのこと。
デフレの方が、手持ちの現金の価値も上がるし、資源も安くなると思ってきましたが、適度なインフレも雇用への貢献や金利低下による政府債務の削減に貢献すると知りました。結局、デフレでもインフレでも、きちんとした政策を取り、実施する仕組みが必要かなと感じました。中途半端が一番駄目ですね。
他にも、アメリカのシェールガス革命や、中国、ブラジル、EUについても少しずつ触れています。平時でない時には、学者出身の人が日銀などのブレーンになるべきだと言うのは、官僚出身の人が多く頂点についてきたことを考えると新鮮でした。 -
Posted by ブクログ
「暗黒啓蒙主義」という、現代のリベラル民主主義を批判し、権威主義的なトップダウンによる政治体制を支持する思想の代表的な論客がカーティス・ヤーヴィンである。彼は、第二次トランプ政権で副大統領となったJ.D.ヴァンスや、シリコンバレーを代表するピーター・ティール、イーロン・マスクらにも思想的な影響を与えている。本書は、ヤーヴィンへの単独インタビューに成功した日本人翻訳家の大野和基氏が、その内容を一冊にまとめたものである。
現在では、「民主主義」という言葉は非常に響きがよく、社会を支える大前提として一般に信じられている。しかしヤーヴィンによれば、現代の民主主義社会も、実際には能力主義・実力主義を背景とした一部のエリートによって支配されているという。彼は、この支配構造を、中世のキリスト教会が社会に大きな影響力を持っていた体制になぞらえて「大聖堂」と呼ぶ。大学、学界、大手メディア、文化・教育機関、官僚機構などが知的中枢として結びつき、社会の価値観や認識を形成しているというのである。
このような状況のもとでアメリカ社会の分断が加速しているが、ヤーヴィンは、民主主義に代表されるボトムアップ型の制度では、現在の社会の分断や混乱を収めることはできないと考える。
では、この状況をどのように打開するのか。ヤーヴィンは、政府を一つの巨大なシステムとして捉え、そのシステムをITやAIなどのテクノロジーによって「ハック」し、再設計することが可能だと考える。シリコンバレーのテクノロジーを利用すれば、政府という巨大なシステムそのものを一気に変革することも可能だというのである。
ここで興味深いのは、民主主義を信奉する人々が、もし本当にそのような大変革に直面したら、どのように反応するのかという問題である。普遍的な真理に基づく民主主義や法の支配による政治体制が永続するという考えも、実は、人々の「習慣的服従」と「正統性への信頼」によって支えられているにすぎないのではないか。そして、その二つが同時に崩れれば、巨大な政治制度であっても驚くほど脆く崩壊してしまうという。
例えば、東ドイツが崩壊する直前の1985年の段階ならば、社会主義国家の官僚たちは、「社会主義の正統性」を信じ、それを守るために最後まで抵抗すると考えるのが当然だった。しかし、1989年に実際に体制が崩壊したとき、ほとんど抵抗する姿は見られず、多くの人々は新しい体制に比較的早く適応していったという。1945年の日本の敗戦による社会の大変革にも、これと似た面を見ることができる。
つまり、現在、法の支配と民主主義を社会の大前提として疑わない人々も、政治システムが一気に変わってしまえば、新しい体制を「当たり前の制度」として受け入れ、やがては以前の体制を忘れてしまう可能性があるというのである。
民主主義の「あるべき姿」と社会の実情とのギャップが大きくなり、分断と混乱の中にある現在のアメリカ社会。ヤーヴィンの主張にそのまま賛同することはできなくても、彼の議論は、私たちが当然のものとして受け入れている民主主義や法の支配も、決して永遠に続くことが保証された制度ではないということを考えさせる。
民主主義とは何によって支えられているのか。そして、社会を支える制度が大きく揺らいだとき、人々はどのように行動するのか。本書は、テック右派思想を代表する論客の考えを知るだけでなく、今後のアメリカ社会の行方を考えるうえでも、非常に興味深い一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を読みながら私が考えたのは、数学は公式を解く技術というより、曖昧な状況を見抜くための道具なのだということだった。『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』は、統計、ゲーム理論、確率、リスク、論理、微積分、最適化を、日常の場面に引き寄せて語る本として読める。
はじまりの印象
最初に強く残るのは、数学への態度が反転する感覚である。数式をたくさん覚える本ではなく、選挙速報、オークション、宝くじ、投資、会食の店選び、ダイエット、旅行ルートといった具体例を通して、「考えるとは何か」を見せる構成になっている。
この本のよさは、難しい理論をひけらかすのではなく、私たちが普段なんとなく流している判断の裏側に数学が潜んでいると気づかせるところにある。数学は遠い学問ではなく、むしろ思い込みを外し、状況を整理するための実用的な言語なのだと感じた。
刺さった章
特に印象に残るのは、統計とゲーム理論である。統計は世論調査や当確判断のように、限られた情報から全体を読む技術として描かれ、ゲーム理論はネットオークションや交渉のように、相手の行動を含めて意思決定する考え方として示される。
また、確率論やリスク分析の章は、結果が一回ごとに揺れる世界をどう扱うかを考えさせる。宝くじや投資の話は、単なる当たり外れではなく、長期的な視点や期待値の感覚を持てるかどうかが問われているように読めた。
自分への引き寄せ
この本を読んで、私は「知っているつもり」の危うさを改めて感じた。モンティ・ホール問題や囚人のジレンマのように、名前は知っていても説明しようとすると理解の浅さが露呈するものがある。逆に言えば、本当に身についた知識だけが、現実の判断に使える。
ソフトウェア開発や運用の文脈にも、ここでいう数学的思考はつながる。だが本書の核心は、そうした応用先そのものではなく、情報が不完全でも、相手がいても、制約があっても、どう考えればよいかという姿勢にある。そこが単なる数学入門書と違って面白い。
読み終えて
結局この本は、「数学ができる人のための本」ではなく、「曖昧な世界で少しでもよく考えたい人のための本」だと思う。知識を増やすというより、判断の質を上げる読書だった。
マーカス・デュ・ソートイの専門性と、大野和基の聞き手・訳としての整理が合わさることで、抽象的な話が実生活の手触りを持って届く。数学を苦手としてきた人ほど、この本で見方が変わるはずだ。 -
Posted by ブクログ
この本は2018年に出版されており、ここで読むとされた近未来に到達している。
で、世界はどうなるとみられていたのか。
資源を巡り、文明の崩壊が起きる。
近い将来、役立たず階級が大量発生する。
AI万能時代が訪れ、働き方は根本的に変革する。
テクノロジーは中流階級を豊かにしない。
北朝鮮は核開発をあきらめない。
社会的階級が民主主義を変える。
アメリカは分極化の波にさらされる。
知の巨人たちにはこの程度のことはお見通しだったか。インタビュー本なので難しい論理的説明や豊富な情報に基づく分析、深い洞察といった話はない。軽い口調で話されている感じで読みやすいが、とても恐ろしいことの数々をこともなげに述べられている。
サブタイトルは、AIと格差は世界を滅ぼすか。トップが総取りする構図がどんどん進む世の中において、平民の我々はなすすべもないのか。 -
Posted by ブクログ
「一体何者なんだ?!」
その印象で購入してみました。
この本はdark enlightenmentの思想をインタビュー形式で話してる形式である。
正直、彼の思想はすべては同意はしないが、一部同意と勉強になった箇所ありました。
同意できるところ
①テクノロジー世界を制する
→テクノロジーつかえないともはや戦えない。
②カラデラルという構造
→見えない社会構造の存在。
特に官僚制の解体。
ここは多いに同意できる。
特に日本では。
勉強になった点。
→戦後の日本の歴史解釈
彼の戦後の日本史の解釈、天皇制についての見識は正直、驚いたし、解釈も非常に勉強になった。
今後非常に注目すべき人物であると改めて認識しました。
#読書
#読書ノート
#読書垢
#ネオ君主論 -
Posted by ブクログ
「つながり過ぎた世界で、人は何を基準に考え、判断するのかを問い直す本」。
コロナ以後の世界を背景に、効率や成長、数字だけを追いかける資本主義は限界に来ている、と著者は言う。
では人間は何を軸に社会をつくるのか。
その答えとして示されるのが、倫理と「意味を考える力」だった。
印象的だったのは、人間は正解を出す存在ではなく、問い続ける存在だという考え。数字だけでは測れない「それって本当に良いこと?」を考える力が大切になるのかもしれない。
仕事やニュースを見るときに、
「どんな意味を生み、どんな価値観に立っているか」を一度立ち止まって考えるようになれると良い。
つながり過ぎた世界で、考える力を取り戻す一冊。