大野和基のレビュー一覧
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マルクス・ガブリエルのインタビューを基にした本で、著作物よりは読みやすい(その分軽い)。世界史の針が巻き戻る、というテーマを中心に、政治、新実在論などの哲学、テクノロジーなどを批判的に語っている。現在多くの人が常識のように思っている科学的世界観などを批判し刺激的ではある。我々はGAFAにただ働きされている、など刺激的な言葉が多い(よく理解できなかったが)。科学を自然主義として、これまで最も多くの人を殺してきたものとして批判し、一方新実在論を役に立つものとして宣伝。具体的にどう役になっているかはよく理解できなかった。
こういう著書を読んでつくづく思うのは、学校で教わるようなことは様々な世界観のうちの1つでしかないということ。学校で教わるのはここでいう自然主義だろう。それが絶対的に正しいというわけではない、と気が付くのは重要だと思う。それは学校では教えてくれないので自分で読書するしかない。そういう意味で、読書って大事だな、と改めて思う。 -
Posted by ブクログ
学生時代は数学が苦手というより、数字に苦手意識があった。数学大好きな父親からなぜ私が生まれたのか疑問で、小学生は6年間算盤も習っていたから暗算は早い。中学あたりから徐々に苦手意識が芽生え、気付けば高校大学は完全に文系。母親の超読書家の血が目覚めたのかもしれない。その様な数学大嫌いの私が本書を手に取った理由は、そろそろ苦手と言わず触れてみようという(今更の)興味本位と、表紙に小さく書かれていた「数式は一切なし!」に惹かれたのは間違いない。
ページを捲ると、確かに数式で解くのではない、数学的思考の在り方や、日常的な利用できるシーンのヒントに溢れている。例示が特に分かりやすく(日本語訳がわかりやすいからか)、すぐに数学的思考の世界に入り込み、(勘違いにしても)まるで自分が数学的思考をしているかの如く心地よさまで出てくる。
筆者マーカス・デュ・ソートイとは一風変わった名前に聞こえるが、イギリスの数学者、数学啓蒙家であり、かの一流大学オックスフォードの数学研究所教授という、これまた(よくわからないが)超一流な人物だ。表紙裏の筆者の経緯だけで、内容の期待感が膨らむが、期待を裏切らない一冊となっている。中身は選挙速報を題材にした統計学、ネットオークションの勝ち方指南にもなるゲーム理論など、その手法自体は誰もが耳にしたことがありながら、いざ説明を求められたら、正しく答えられないようなものを分かりやすく解説している。確率論に出てくる「モンティ・ホール問題」などは何度も繰り返し読み返しては頭の疑問を整理している自分に気づく。そのまま、リスク分析や論理的推論などは日常生活で迷ったり悩んだ際に応用できることを理解する。気づけばあっという間に最終ページになっていて、こんなに数学が楽しかったのかと、今までの長かった学生時代、特に長く感じた数学の時間が今更ながら勿体なかったと感じさせてくれる。勿論これまで教えをこうた先生方への申し訳なさもあるが、こんな授業なら私もついていけたのではないかと感じさせる。社会人になって随分年月を重ねてしまったが、今からでも遅くない。早速今この瞬間から使っていきたい内容であった。数学は面白い。 -
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定期的に読みたくなる種類の新書。最新状況の確認というか、自分の認識のアップデートとしてのルーティンみたいなもの。世界の知性と言われ、リーダーたちのメンターとしても一目置かれている方々。哲学、経済学、人口学、物理学などの各分野から、社会や政治、技術がどうなっているかを解説してくれている。共通しているのは、「現代」が将来から見たときに、分岐点だったと言われる時代ではないかということ。民主主義、資本主義、宗教などの変化や、AIの台頭などで、過去100年より驚異的なスピードで格差が広がっているということ。もう一つは、フラット化しつつあるにもかかわらず多くの国々が独自の価値観をより重視し、配慮なく振る舞う傾向が強まっていること。ある点では手を握るが、別の点では激しく対立する、などが表面化している。日本の外交は、良くも悪くも曖昧戦略と言われるが、このようなご時世、案外これは生存戦略としては効いてくるのかもしれない。
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AID(非配偶者間人工授精)で生まれた子どものインタビューと、遺伝上の親を知る権利の現状について書かれた本。
そういう話は聞いたことがあったが、実際のインタビューを読んで、例え、育ての親にどんなに愛されて育っても、埋められない苦悩があること、そして子どもの視点で権利を行使することが当たり前になることの難しさをを痛感した。
不妊治療費用の助成が増え体外受精を利用しやすくなったのと、ドナーの心理的ハードルが上がったことで、AIDのニーズは減ってきているのかもしれないが、精子バンクを利用するハードルも下がっている。提供側、受ける側、そして生まれた子どもにもきちんと説明・理解ができる体制を作ることは大切だと思う。 -
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知の好奇心を煽られた。
でもなかなか理解できないこともあり。
著者が語る新実在論。
脳が受信機であれば、同じ受信機ではない。
だから人それぞれ、少しずつ見ている番組が違う。
そして放送されている番組(=現実)は単一の番組ではない。つまり世界は存在しない。
「私たちは現実をあるがままに知ることはできるが、現実は一つではない。よって世界は存在しない。
その現実とは、さまざまな断片の集まりだから。
※つまり世界とは、ひとつに繋がっている物語でないといけないのに、断片的であるから、存在しない、ということ?
※確かに東洋哲学だと 断片 を重視している。つまり、過去と現在と未来につながりはない、と。
で、あればやはりニーチェの指摘のとおり、「仏教はニヒリズム」であり、そのニヒリズムからの脱却は難しいのでは?(それこそ超人以外は)
そして「世界は存在しない」のなら、なぜ著者は「もはやGDPを擁護する人はいない」といった経済学や「ウクライナへの戦争は、政治の問題ではなく宗教問題」などの国際情勢に首突っ込んで語るのか?
存在しえない世界を語っても、仕方ない、のでは?
でも一冊しか読んでいないし、私がよくわかっていないのだと思う。 -
Posted by ブクログ
読んだと思ったのに本棚になかった。二重登録かもしれないけれど書いておく。
新実在論は未だによく分からないが,思弁的実在論やOOOとは違うらしいというのは分かった。新書ばかりでなくちゃんと著作を読まなければなりませんね。
死刑反対の議論があって,これを覚えていたので読んだと思っていたのだが,他の著作でも言ってるのかもしれない。
①「尊厳とは,「人間はときには人間存在の概念に基づいてその人生を送っている動物である」という事実」
②「他の人の尊厳を減らす人は,自分自身の尊厳も減らしている」
③「尊厳がゼロになることはありません。ゼロになれば人間でなくなります。」
④「もしその人を殺せば,その人の尊厳はゼロであるとみなしていることになる」
この論証が腹落ちしないのは多分②だと思う。
これと,新実在論で言う倫理的事実という概念がどう関係するかも課題。
そもそも倫理的事実がよく分からない。