垣根涼介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリーズ第五作、最終巻。
シリーズ始めから数えれば10年以上経つな。
本書の主人公はリーマンショックの就職氷河期に働き始めたリストラ請負人のコンサルタント。
働くということは、何か。
どの世代にも通じる投げかけだが、その時代時代、個人によっても縷々変わりゆくテーマだな。
かつて、勝ち組だ負け組だと、大手広告出版社が多くの民を引きつけたキャッチフーズがありましたね。
戦後から数十年、高度経済成長期を経て、終身雇用制度や年金制度の瓦解。
生まれ落ちて、良い大学を卒業し、大手一流企業に勤め、定年60歳以後悠々自適というのが良しとされる時代がありました。
しかし、今や価値観が根底から覆る。
一時、日本でも非正規社員、派遣切りが世間を賑わせた時代もありました。
今や、働くってのが、いわゆる経済(賃金=等価交換)ってのが時代に適さなくなってきたように思う。
グローバル社会とはつまるところ、多国籍企業が現地の文化だの何だのを無視して植民地化することを指すわけだ。
一つの書籍が10年を超えるシリーズになり、自分の齢をそれだけ経て読み返した時何を思うか。楽しみ。
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Posted by ブクログ
『君たちに明日はない』の感想でほぼ書き切ってしまったのだが、二年後になって、その続編として本書が発売された。前作は、なんと山本周五郎賞を受賞してしまっているのだが、もちろん本書も同じレベル、同じ空気、同じ筆圧で書かれた一冊である。
というよりもむしろ、リストラ請負という稼業に徹するプロフェッショナルな主人公という設定だけで、よくぞ書き続けているものだと思う。
二冊とも、連作短編集である。雑誌「新潮」では個々に読み切り作品として隔月連載されてきたようだ。だから、いつもリストラの対象法人も違えば、リストラの理由やリストラ対象者たちも違う。しかし、どの作品でも退職希望を募るという主人公・村上真介の側と対照的な立場として、独りのゲスト主人公が登場する。
彼、または彼女たちは、必ずしもリストラを会社が希望している人間ばかりではない。時には、部署全員と面談をして希望退職者を募らねばならないために、企業側としては本意ではない彼、または彼女への面談も決行しなければならない。しかし、いずれにせよ、勤めてきた会社の中で、いきなり早期退職の選択肢を提示させらた場合、彼、または彼女たちは、その局面での自己分析を試みることになる。この作品集で取り上げられる数々のドラマは、そうした様々な人間の抱え込んだ個の問題に光を当て、読者の側にある普遍的なテーマを突きつけてくる種類のものなのである。
退職、または転職の可能性を示唆されたときに、安定していたかに見える生活基盤がぐらりと揺らぐ。仕事のために毎日をあくせくしてきた身にとってその仕事がなくなる可能性を示唆された場合、依存してきた時間や場所が失われる不安定な現実に、生きているその事実の断面を見せられたような気分になる。
堅固なものと思われていた日常が脆くも崩壊しようというところのドラマを捉えたのが本作品集の眼のつけどころなのである。読者の側も、こういう小説に出くわすことで、己の日常を振り返らざるを得なくなる。私を含め、転職経験のある者であればなおのこと、他人事とは言い切れない何かを見出す。
南米に材を取ったもともとが非日常を描くことの多い冒険作家である垣根涼介が、なぜここにきてあまりにも身近な日本の企業小説といっていいような作品に取り組んだのか、そのきっかけのイメージは掴みにくい。でも小説が日常から非日常的なるものへすっとスライドしてしまう瞬間を捉えるものであるのならば、この題材はある意味着想としての成功であったのかもしれない。
逆にこうした身近な小説を通して、垣根涼介の世界に触れていただき、ついには「ワイルド・ソウル」「ヒート・アイランド」といった彼の真骨頂エンターテインメントへ辿り着いてもらうのもいいのかな。この作者の引き出しの多さには、正直誰もが途惑うと思うけれども。
(2007/12/30) -
Posted by ブクログ
ヒートアイランドシリーズ4作目。2019年1月で最新ですね。もう続編はないのだろうか。
かなり面白かったです。
4作目になるので、主人公たちの性格・特徴は知り尽くしているので、その期待感をもって読みました。
今回は、1作目でコンビを組んでいた薫がでてくる。
やはり1作目が魅力的に夢中にされるから、そのストーリーをからめてきて、懐かしさを感じ、面白かった。
1作目の作品もかなり個性的なキャラクターが多かったので、4作目もかなりよかった。
そんな過去に暗い影をもっている人たちが集まるものだろうかっと思ったり、気が強すぎる女性はそんなに勇敢に首を突っ込んでくるのか?っと思ったりもする。
200kmオーバーのカーチェイスは、小説だけだよね?
そんなことやっている人たちいるのかな?
垣根さんの作品は少しヤンチャなイメージがあるので、そういう経験があるのだろうかっと感じる。 -
Posted by ブクログ
「君たちに明日はない」シリーズの第5話。そして完結編。
最終的に主人公もリストラされる側になってしまうというお話。
短編小説で一シリーズずつが別会社の話になっていて、各業種のキャリアをしれて勉強になる。
また、各人の思いや、退職へのアプローチ方法の話術など、面白い内容を含んでいる。
ただ、やはり短編は記憶に残りにくいなっと思う。
一冊読書後、どんな話があったかというのが記憶に残りにくいな。
また、最終話の最後のシーンは何を思わせていたのかな。
山下の行動がよく理解できなかった。
今後の展開が想像つかないというか、???っという状況。
シリーズとして面白かっただけに、個人的に少し残念。