垣根涼介のレビュー一覧

  • 極楽征夷大将軍

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    第169回直木三十五賞

    垣根涼介さんの歴史小説を初めて読んで圧倒された。
    史実を元に緻密に練り上げられた壮大な物語で、武士一人一人が丁寧に描かれていた。
    極楽殿と呼ばれた足利尊氏は、御家人たちから毒気を抜いてしまう愛嬌ある人柄で、読者もきっと好きになってしまうと思う。
    前半は優秀な直義と師直の力によって、意図せず活躍してしまうところがおもしろい。
    普段は周囲が道理を説いて導けば従う盛り立てやすい当主だけど、直義に危機が迫れば誰の声も聞かずに駆け出す兄弟愛に胸が熱くなった。
    尊氏が髷を切ってしまった為に、敵兵から守るために周りもそれにならい、ざんばら髪の騎兵集団で直義の援護に駆けた場面は笑って

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    2025年11月26日
  • 蜻蛉の夏

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    異能力バトル系の完全フィクション時代小説かと思いきや、史実に見事に溶け込んでいた。最高です。歴史の部分も分かりやすくて、大満足。

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    2025年11月24日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    戦後間もなく始まった移民政策。
    しかしそれは移民とは名ばかりの口減らしの棄民政策だった。国家に裏切られ絶望のまま異国の土に還っていった家族や仲間のために、過去への復讐が始まる。

    上巻は移民した当時の話で、絶望的な状況を必至で生き抜こうとする人々が描かれており、政府への怒りと犯人への共感を覚える。

    下巻は恋愛あり、アクションありのエンターテイメント色が強い。ケイと貴子の掛け合いも笑える。

    復讐劇なのだがケイの能天気なキャラクターもあり読後感は爽快で、万人に勧められる作品だ。

    ただ前作も感じたが、やはり車などのマニアックな描写は人を選びそうだ。私はもうちょっとタイトにしてほしかった。

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    2025年11月19日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    あまり、歴史的になじみのない応仁の乱前であるものの、とにかく人物描写が巧みで、主人公のとある少年の成長が、手に取るように明瞭に現れてくる。何でもっと早よ読まんかったんやろ。
    すぐ、下巻読む!!

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    2025年11月12日
  • 蜻蛉の夏

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    天下統一へ向け着々と歩みを進める織田信長。あまりの残虐さに、水の平四郎、月の桂月、火の平助が立ち向かう。身を捨て命を削って、厳しい修行を重ね身につけた力を発揮する蜻蛉の夏がやってくる…。歴史物ではあるがこの作者さんには珍しいジャンルのエンターテインメント作品。

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    2025年11月09日
  • 極楽征夷大将軍

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    とても面白かった。壮大で深い。
    長いけど、長編だから出せる人間の深みと面白さだと思った。
    古文書から人柄を読み取る著者の凄みを感じる

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    2025年11月05日
  • 光秀の定理

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    ここまで本能寺の変に触れない明智十兵衛光秀とは…意外に意外。ですが新九郎と愚息という架空人物の起用によって、光秀の人となりがよく出ていた(知りませんが)のだと思います。面白かったし、さらに明智光秀が好きになりました。近いうちに信長の原理も読まなきゃです♫

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    2025年11月04日
  • ギャングスター・レッスン ヒート アイランドII

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    垣根涼介さん順番読みの4作目。タイトル通り、現代の日本で実際にギャングになるためのドタバタをシンプルに楽しませてくれます。身体感覚総動員で世界を捉えると、こういう小説になるのかも。

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    2025年10月24日
  • クレイジーヘヴン

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    垣根涼介さん順番読み6作目。単発もので主人公は表社会の人間だけど、薬物とか裏社会の要素がバンバン出てくる。だけど良い方にも悪い方にも気取ってないフラットな世界観が信頼できる。ジャンル分けが無意味な垣根さんだけの世界です。

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    2025年10月24日
  • サウダージ ヒート アイランドIII

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    垣根涼介さん順番読み5作目。おなじみの三人と新しい登場人物のあれこれを、タフにクールにそしてフラットに読ませてくれる。けれん味のなさが好きです。ブォンと車が走り去っていく場面が本物みたいに目に浮かぶ。

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    2025年10月19日
  • 君たちに明日はない(新潮文庫)

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    キャラが魅力的で物語もサクサク!
    首切り交渉部隊をとりまく人間ドラマが読んでて心地よかった。

    一般論ではなく自分がどうしたいかが大事。

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    2025年10月19日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    日本政府に"騙され棄てられた"戦後ブラジル移民1世・2世の衛藤、ケイ、松尾。彼らの復讐にテレビ局ディレクターの貴子、警察の岩永らが絡み合い、壮大なスケールの物語となっている。最初は少し重苦しかったけど、途中から一気読み。素晴らしい本でした。

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    2025年09月28日
  • 光秀の定理

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    垣根先生の一風変わった時代小説。
    姉妹小説の「信長の原理」ではパレートの法則を扱ってますが、こちらはモンティ・ホール問題。四つの椀の話です。時代小説とは一見関係のない法則論を自然に絡めて書いてくる垣根先生の絶妙な書きぶりが最高です。わたしは垣根先生なら、普通の時代小説より、こちらのタイプの方が大好きです。他にないオンリーワンな感じです。

    こちら読み終わったのは大分前なのですが、お気に入りで何度も読み返してます。愚息と新九郎という架空の人物と実在の明智光秀を中心に話が進んでいくのですが、この愚息と新九郎がいいキャラしてるんです。その分、光秀には少々イライラしながら読んでいたものですが、何度も読

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    2025年09月17日
  • 信長の原理 下

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    「光秀の定理」もそうだったが、自然科学の法則をからめて歴史の謎を解き明かすような作風がユニークで引き込まれる。それに加え、登場人物それぞれのキャラクター描写が緻密で、「真実はそういうことか」と思わせるリアリティがある。

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    2025年09月08日
  • 午前三時のルースター

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    垣根涼介さんの本を順番に読んでみようかと思って、まずはサントリーミステリー大賞のデビュー作から。独特の乾いた文体とリズムが心地よくて、一緒にドライブしてるみたいに楽しく読めました。

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    2025年08月25日
  • 涅槃 上

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    名前は聞いたことあるけれど、生き様は知らなかった。でも、読む手が止まらないほど面白かったです。宗教・哲学的な思考も併せて描かれていて楽しかった。下巻も楽しみ!

    ※性描写は生々しいので苦手な人は注意かもしれないです。辛く重いシーンではなかったのでわたしは楽しく読みました!

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    2025年08月14日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    この巻の話、どれも好き。
    なんか印象的な言葉が多いんだよな。
    経営破綻によりリストラされた証券会社のOBと面談(?)する『ノー・エクスキューズ』が面白い。
    時代なのか人柄なのか想定外の意見連発で、リストラ面接官である真介が困惑するのも頷ける。
    でも「もう必要とされなくなった場所に居てはいけない」って簡単には割り切れないけど…実際そのとおりだよねえ。
    表題作は、真介との面接と過去の出来事をきっかけに自分のやりたい事に気づいていく過程が良い。
    最後の『リヴ・フォー・トゥデイ』がイチオシ。
    ファミレスの超優秀店長・森山の仕事に対するスタンスには共感しかない。
    「意外に、お金の屈辱は消えない」という彼

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    2025年07月27日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    世界観の壮大さ、物語のスピードに乗せられてすいすい読めてしまう程の文才、筆者が読者に伝えたいことが明瞭かつ強いものであること、これが私の好きな本の特徴で、この本は正しくこれを満たすものだと思った。
    この本を好きな人にはジェノサイド(高野和明著)、また、桜の国で(須賀しのぶ)を勧めたい。

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    2025年07月26日
  • 光秀の定理

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    愚息と新九郎、二人の存在感が圧倒的で、生真面目な光秀との対比が絶妙。四つの椀の話も興味深く、それが合戦の戦術に繋がっていく流れも鮮やか。一気に読ませる面白い物語でした。

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    2025年06月15日
  • 君たちに明日はない(新潮文庫)

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    仕事、とその後、を考える今日この頃の自分には良いタイミングの本だったかも。陽子さん、素敵ですね。「相手の立場になって付き合えるかどうか」。共感性の高さ。確かに。

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    2025年05月22日