垣根涼介のレビュー一覧

  • 借金取りの王子-君たちに明日はない2-

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    第一弾が面白かったので、第二弾も読んだ。やはり面白い。実際自分に置き換えて考えると、面白いだけでは済まないけど。
    SSEというアンケートは、やってみたら自分はどのように書かれるだろう、誰に対してどんな評価をするだろう、と考えた。

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    2020年08月16日
  • 張り込み姫-君たちに明日はない3-

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    ネタバレ

    4.5
    シリーズ第3弾。真介は1の33歳から35歳に。相変わらず各業界の状況もわかり中々面白い。英会話業界、旅行業界、自動車整備士業界、雑誌記者の話。特に、車好きの個人的な顧客を持つ自動車整備士宅間の話は特に面白い。マツダの自動車を愛し真摯に向き合う姿勢は胸を打つ。それを慕って自動車好きが宅間を指名する。仕事の合理化でそういった仕事を受けられなくなりこのまま仕事が嫌いになるよりはと辞める決心した宅間に、真介の友人でもある山下を始めとする宅間ファンが集まり開業試算も含めて助けにくる。人に愛され、求められる仕事。そして、みんなの力。とても素敵で泣ける。

    英会話業界はそんなに明るい感じもないらしい。オンラインの台頭や個人的なネット交流など。28歳の女性講師武田優子。とことん色んな仕事を経験して自分が満足できる仕事と待遇を探す。ボブディランの心のままに生きよ、ビューティフルドリーマー夢想家、虹を追いかける人。うまくいかないことも出てくるだろうが、虹を追いかける=色んな仕事を経験すること自体が快楽なのだから仕方ない。こういった生き方もあるのだろう。実際派遣を渡り歩く人もいる。その途中で天職を見つけることもあるだろうし、そうでない人もいる。
    旅行代理店の中途入社古屋陽太郎。仕事はできるがやる気熱意が感じられない。実は執筆活動をしており新人賞を受賞する。
    旅行代理店業界を除く全ての業界の平均粗利が3割程だが、旅行代理店業界は1.2割程度らしい。個人旅行から団体旅行まで手間暇かけて扱うこの業界では人件費が厳しい。東証一部の大企業で社長が社用車も持たずに電車通勤なのは旅行業界くらいらしい。中途採用面接での「一生働く気はないがいる間はちゃんと働く。ちゃんと働くとは、給料の約三倍がその社員にかかっている人件費、福利厚生費、オフィス比などを含めた維持経費。仕事では最低その3倍分は売上ではなく収益を出します」はなかなか面白い。垣根作品ではこの話はよく出てくる印象。「今の会社」「うちの会社」という表現でその人の帰属意識が分かる。単車は危険な乗り物という自覚を常に乗り手に強いる。油断すれば命を落とすという感覚は生きている実感に繋がる。
    高学歴=優秀な人材とは限らない。学歴で証明できるものは、迅速な事務処理能力と答えの確定した事象への理解力、全般的な知識及び一般教養の高さ。大事な局面に立った時の判断力、ファジーな問題に対する洞察力、自らの進退を賭けたときの決断力は、個人のポテンシャルや気質に拠る所が大きい。それらの要素は、自分が生きていくうえでの仕事という主題をどういう風に捉えているかの一点に尽きる。

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    2020年08月12日
  • 借金取りの王子-君たちに明日はない2-

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    ネタバレ

    5
    君たちに明日はない第2弾。連続短編の形式は変わらないが、前回の続きとして時間が流れており続編として楽しめる。色んな企業での場面が垣間見えて面白い。今回も、職場測定アンケートSSEが活躍。8歳年上の陽子との関係も随所に。特に、題名になっている消費者金融の話は何度読んでも泣ける5の由来。男勝りの池口と優しい宏明。池口の暗い過去、猛アタックと美佐子の決意、親の説得とタンカ。「一生ヒロを食べさせていく覚悟と自信と証拠がある」言い訳せずストレート、時折素直な池口に感動させられる。陽子の話の「人にやさしく」の引用も〇。

    百貨店の斜陽の外商部でトップの女性の話、女性コンプレックスから生保レディのまとめ役ができずの保険会社社員の話、消費者金融の男女の純愛ストーリー、旅館の仲居の話、陽子の事務職探しの話。
    人間は受け入れがたい現実は受け入れない。不本意な将来には目を塞ぎ、自分の都合のいい未来だけを信じる。いつか仕事で成功して大出世する、こんなとこ辞めて年収800万の仕事につけば家計もすぐに楽になるはず。
    なぎさが困っていると何かと世話をやいてくれるし、他の男のようになぎさの営業成績を羨ましがることも嫉妬することもない。おまえはそれだけ頑張っているんだ。当然だろ。そんな人間が困っていたら、手助けするのは当たり前だ。
    外商トップのなぎさの転職先など山ほど。無数の優良顧客データを持っておりそのネットワークを活かした仕事ならいくらでも。外車のディーラー、画廊、生保。一方で、会社もそんな優秀な社員を辞めさせたくないし、それなりの見返りを用意するのだということを示したい。

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    2020年08月08日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    ついに完結してしまったシリーズ小説。読み終わってしまうのが惜しいとここまで思うのは稀でした。終わり方も、絶妙の一言。決まった結論を求めない、このシリーズらしい。
    「あなたにとって、仕事とは何ですか?」と問いかけ続けるこのシリーズ。将来に悩みや不安のある全ての人々に猛烈に勧めます。
    「その時点その時点でのチョイスを、死ぬまで繰り返していくしかない」「変わらないものがあるとしたら、結局はその本人自身の気持ちだけ」「お金は必要だけど、でもやっぱりお金のためだけじゃ、チト辛い」……死ぬまで楽しく働き続ける生き方、これからも探し続けて行きたいものです。

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    2020年06月28日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    早くもシリーズ4作目。読み進めていく上での安定感が半端ない。残り1作で完結してしまうのが惜しい、長編でこの感覚は久しぶり。
    話が進むたびに、「人生人それぞれ」「価値観人それぞれ」というメッセージ性が強くなっているように感じる。そしてそれらが、おそらくは誰もが直結する「働く」ということ。自分にとっての働くとは何か、楽しいと感じるのであればどういうことに対してか。何かのタイミングでそれを掴むことができれば、おのずとその後の生き方は変わってくるのだろうし、そのタイミングでってやっぱり仕事を変えるタイミングなのだろう。自分は一度そのタイミングを少し実感できたので、あと一歩という感じかな。
    いずれにせよ、最後に出てきたお釈迦様の言葉は印象的でした。「過去を追うな。未来を願うな。過去はすでに捨てられた。未来はまだやって来ない。ただ今日のすべきことを熱心になせ。誰か明日の死のあることを知らん。」これまで少なからずそうしてきた自信はあるし、これからもそうしていきたいなと改めて。

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    2020年05月07日
  • 張り込み姫-君たちに明日はない3-

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    安定の面白さ。色々な職業とその悩みを追体験してる感覚が得られるのが本シリーズの良いところ。
    そしてタイトルになってるだけあって、「張り込み姫」は今作では特に示唆的。後悔しない人生などない。何が良いかを決めるのは、結局は自分。自分が「したいこと」と「できること」をいかに天秤にかけて折り合いをつけていくか、これこそが人生である。

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    2020年04月19日
  • 借金取りの王子-君たちに明日はない2-

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    それぞれの立場。それぞれの境遇。それぞれの人生。あまりにサクサク読めてしまうのは何でかな……と思っていたら、解説の「嘘っぽい設定がないからその世界に一気に身を委ねられる」という言葉で腑に落ちました。

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    2020年04月05日
  • 張り込み姫-君たちに明日はない3-

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    君たちに明日はない シリーズの三作品目!

    リストラ受託会社で働く村上真介が様々な業種で働く人達を面接していく。

    リストラ会社と聞いて冷たさを感じるかもしれませんが、そんな事はありません。
    今回は自動車の整備士の話(第3話 みんなの力)が秀逸でした!

    ずっと続いて欲しいシリーズです!

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    2019年09月23日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    リストラ面接官第4弾。今回1と4はリストラ面接だけど対象者を引き止めるのが仕事。でもどっちもやめられちゃうのね。パレートの法則は聞いたことあった。真介がが知らないのが意外。高橋社長の過去は結構色々あったのね。

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    2019年08月18日
  • 南米取材放浪記 ラティーノ・ラティーノ!

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    今から13年前に出版された、南米取材記。
    著者ー垣根氏作品『ワイルド・ソウル』を
    執筆するための取材も兼ねた旅行の中から、
    自分の感覚を呼び覚ますようなエピソードを
    地方独特の人間模様を交えながら
    やけに細かく綴っている
    本のカバーに小さな写真達がずらりと並んでる
    それらを眺めながら読み進めると
    今でいう、SNSのインスタグラムを眺めているようで
    とても興味深い
    時代の先取りをしていたのだろう
    小説とはまた違う味がして
    著者の人間性が表れていてよいと思う
    おすすめの本
    すぐ読めるし…

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    2019年07月24日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    心に残った言葉。「唯一変わらないものがあるとすれば、それは、おそらくは誰かを大事に思っているという、その気持ちだけだろう。その気持ちをお互いに持ち続けられる人間関係だけが、かろうじて生き残っていく。」「ここで上がりっていうような一生安楽な人生は、官僚にでもならない限り、今の時代にはもう来ないよ。折り合いというより、むしろ、その不確定な未来を含めて今を楽しめるか、その気持ちというか、覚悟の問題だと思う。」「変わらないものがあるとしたら、結局はその本人自身の気持ちー何か好きなら、状況が許す限りやり続ければいい。これまでだと思えば、自身の選択において、納得して止めればいい。」
    話は、どれも結構感動的、いいですよ。

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    2019年07月07日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    リストラ請負人、村上真介のお仕事小説、最終版。
    今までの4作品とはやや趣が異なる。
    最初に読んだときは、第5弾にしてストーリーの息切れ感あり、残念ながらそろそろネタ切れなのかと思ったが、2回目読んでみると、コレはコレで味わい深かった。
    リストラ云々というより、仕事とは?というところに焦点が絞られた作品。特に、あとがきは人生の教訓的な記述でもあり、何度でも読み返したいし、君たちに明日はないシリーズの締めに相応しい文章であると思う。

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    2019年05月05日
  • ヒート アイランド

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    あぁ、すばらしい。
    緊張感漂う描写、男の世界。筋書きは複雑だがわかりやすい。
    「面白い」と力強く言い切れる作品。

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    2019年04月14日
  • 真夏の島に咲く花は

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    フィージーを舞台にした、いつもの垣根作品らしく幸せとは何か、楽園を求めてを掘り下げた作品。登場人物が丁寧に描写されていてとても奥行きのある出来。エログロ表現が出てこないこともあって個人的にはかなり好きな作品。

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    2019年02月21日
  • ボーダー ヒート アイランドIV

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    ヒートアイランドのその後のカオル篇。何といっても「午前三時のルースター」の慎一郎とのコラボがうれしい。シリーズの中で一番面白かった。

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    2019年01月19日
  • 張り込み姫-君たちに明日はない3-

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    シリーズ第3作。今回は一層リストラされる側がメインだ。感動した。特に「みんなの力」「張り込み姫」の2作は泣ける傑作。文庫本の東山彰良氏の解説込で必読だ。

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    2018年11月14日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    リストラ請負人、村上真介主人公のお仕事小説第4弾。
    相変わらず様々な職種に切り込み、物語にわびさびあり、心地よい。

    第1巻君たちに明日はない、の頃と比べると、会社員と面接官の1対1の心理描写が少なくなったのは、若干物足りないが、もっと大きい括りでリストラとサラリーマン人生を語りはじめている。勝ち逃げの女王、以外は、今までと違う。違うけど、悪くない。

    CAをテーマにした勝ち逃げの女王、定番な感じ。

    だいぶ前に、現ヒューマンリアクト社長の高橋により、山三証券をリストラされた昭和のサラリーマン2人から人生を学ぶ、ノーエクスキューズ。各論感がないが、染み入る。

    永遠のディーバ。プロのライダーを目指した村上、プロのミュージシャン、サッカー選手を目指した男、そして才能豊かな歌姫とその再生。コレも各論感がなく、今までと違うけど、染み入る。

    一流大学をでた男が、学生の頃からの継続でファミレスで働く、リブフォートゥデイ。コレも悪くない。

    今までのシリーズとは、趣が異なる作品だけど良い。

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    2018年05月01日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    全体としてこれまでのリストラ屋の村上のトーンから、大分に変わった感じ。
    今回は前半と後半で話が変わっている。
    前半はこれまでのリストラ屋の村上の物語。後半は村上の会社が時代を反映してなくなる件から、再就職について色々と考えるところが描かれている。
    前半はなんだかサラリーマンの応援歌のように感じて読んだ。特に迷子の王様はストーリーはともかく、元研究職の父親との会話がよかった。親父として「やるな」と感じた。
    後半は村上と社長の高橋の会話が面白い。その会話の具体的な行動が後半に描かれ、そしてかつて自分がリストラした人から再就職の話をもちかけられる。
    一方でこのシリーズで一番思い出に残っている「借金取りの王子」のその後が出てくるところも、とてもよかった。泣ける!
    こんな風になれたらとも思うが、もう無理かな?
    とりあえずは「よかった」といえる内容で安心した。

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    2017年12月08日
  • 月は怒らない

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    ひとの救いのない絶望感に焦点を当てて記述し、しかし前向きな希望のある読後感で、もっとこの作者の悩みの産物である作品を味わいたいと思った。

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    2017年11月20日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    大好きなシリーズが終わるのは、残念です。生き方、働き方の示唆に富んだ作品で、それでいて読み疲れない語り口が良かったです。ところどころおしゃれな雰囲気も良かったです。

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    2023年11月27日