垣根涼介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ気がつけば読み終わっていた、そんな表現が似合う引き込まれる作品だった。
本作は5つの短編で構成されており、それらは繋がっているが、きちんと区切りが存在している。その上でひと息に全体を読んでしまったのは、疑いようなくこの作品のパワーに因るものだった。
この作品の色は、巻末の解説にも触れられるが、フィクションを素知らぬ顔で通せる表現力にあると考える。
「リストラ請負会社」、「偶然に繋がるファンドとの縁」、「企業の創設メンバーの首を斬る仕事」、「業界団体へのステップアップ」、こうして言葉に並べるとあまりにも都合のいい舞台設定が、いざ読んでみると違和感なく納得できる。
結果、都合のいい舞台は一貫性のある文脈を生み出し、最終的に作者の世界観、ないしメッセージ性を簡明に理解させる。極めて読後の満足感、本作を味わい尽くせたという納得が得られる作品だった。
敢えて苦手な点を挙げるのであれば、官能的な表現・展開が作品の骨子に流れている点だろうか。社会人の生き方の根幹にこうした性愛が存在するという作者の価値観だろうと思うが、ここの中々爛れた人物像は少し難しい部分ではあった。
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Posted by ブクログ
戦後間もなく始まった移民政策。
しかしそれは移民とは名ばかりの口減らしの棄民政策だった。国家に裏切られ絶望のまま異国の土に還っていった家族や仲間のために、過去への復讐が始まる。
上巻は移民した当時の話で、絶望的な状況を必至で生き抜こうとする人々が描かれており、政府への怒りと犯人への共感を覚える。
下巻は恋愛あり、アクションありのエンターテイメント色が強い。ケイと貴子の掛け合いも笑える。
復讐劇なのだがケイの能天気なキャラクターもあり読後感は爽快で、万人に勧められる作品だ。
ただ前作も感じたが、やはり車などのマニアックな描写は人を選びそうだ。私はもうちょっとタイトにしてほしかった。
まあ、そんなことはどうでも良いくらい文句無しに面白かった。 -
Posted by ブクログ
垣根先生の一風変わった時代小説。
姉妹小説の「信長の原理」ではパレートの法則を扱ってますが、こちらはモンティ・ホール問題。四つの椀の話です。時代小説とは一見関係のない法則論を自然に絡めて書いてくる垣根先生の絶妙な書きぶりが最高です。わたしは垣根先生なら、普通の時代小説より、こちらのタイプの方が大好きです。他にないオンリーワンな感じです。
こちら読み終わったのは大分前なのですが、お気に入りで何度も読み返してます。愚息と新九郎という架空の人物と実在の明智光秀を中心に話が進んでいくのですが、この愚息と新九郎がいいキャラしてるんです。その分、光秀には少々イライラしながら読んでいたものですが、何度も読み返している内に本の中で言われている「可愛げ」なるものが分かるようになってきました。だから愚息と新九郎も身分を超えて親しくしていたのでしょう。
「光秀の定理」でモンティ・ホール問題、
「信長の原理」でパレートの法則を扱ってますが、ここまできたなら三部作として何かまた出して欲しい。そう思う今日この頃です。