【感想・ネタバレ】涅槃 下のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年03月03日

極楽征夷大将軍が良作だったので、勢いそのままに作者の別作品にトライ。大作である極楽征夷大将軍を凌ぐ、上下巻合わせて900ページ強の超大作。ただ読みやすさは極楽征夷大将軍以上で、こちらも引き込まれるように読めた。
私はそもそも知らなかったが、悪名高いと評判の宇喜多直家が主人公。武士の家に生まれながら幼...続きを読む少期に商人の家で育ち、家を再興した後も根っからの武士にはなりきらず、商人としての才を十分に発揮しながら、毛利、織田等の強国と渡り合いながらも、自身の領土を盤石なものにしていくストーリーは本当に面白かった。
一方、直家が幼少期から成長いていく中で、女性との出会い、情事がこれでもかとたっぷりと描かれているのが特徴的。これは官能小説?と何度思ったことか笑
いろんな意味で大人になっていく直家の様子が気になってしょうがなかった。
それはさておいても、あの群雄割拠の戦国時代を武力だけではなく、権謀術数を弄してのし上がっていく姿、でありながら引くときは引く潔さ、常に最悪の場面を想定し何手も先を見て生き抜く姿には感服した。
また一つ歴史が好きになった。当分歴史小説にハマりそうだな。。

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購入済み

渾身の一作

2022年03月11日

歴史上悪役とされる人物は数多い。宇喜多直家もその一人。彼に興味を持ち、関係する城跡をめぐったりして情報を手に入れようとしても人物像を明確にできていなかった。情報量が少なすぎる。
 本書で彼の人間形成、業績の過程をここまで綿密に書き上げられたことに敬意を表するとともに、描き出された直家の人生に感動した...続きを読む。最後のページで彼の継室に語らせる言葉は重く、ゆえに歴史への興味は尽きない。

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Posted by ブクログ 2022年03月10日

少し読み進めただけで、これは間違いない!と思わされた。他の方の評価はいまいちなようですが、私にとっては過去に読んだ歴史小説の中でもトップクラスの面白さだった。宇喜多直家、こんなに面白い武将がいたなんて。

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Posted by ブクログ 2022年01月10日

久々に良かった時代小説。武門が栄えるには富力が必要。大河ドラマ軍師官兵衛を観てたことが理解にとても役立った。

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Posted by ブクログ 2022年01月24日

備前国(現在の岡山県)の宇喜多直家の物語。この時代は、大河ドラマ「麒麟がくる」や「官兵衛」で予備知識はあったが、宇喜多直家についてはほとんど知らなかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月02日

宇喜多直家の生涯を描いた『涅槃』の下巻。お福さんが正室になった頃から、黒田満隆との再会、城下町の建設、善定の死、浦上家の滅亡、黒田家を通して秀吉の配下になり、直家の死、まで。その後の本能寺の変があったり、諸々の歴史的な流れあって、宇喜多家は関ケ原の戦いで滅ぶのだけど、それはあっさり説明だけで。
宇喜...続きを読む多直家という、商人になりたかった武将の人生が、たっぷり詰まっていて面白かった。善定の死の間際の言葉が印象的だった。結局、商人も武士も本当の意味では何も持ってない。今生では生き抜くために働き続けるしかない。涅槃というタイトルの意味が、よくわかるエピソードで好き。
これ、大河ドラマとかで、映像で見てみたいなぁ。

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ネタバレ購入済み

久々痺れた小説

2021年11月19日

表現することができません。
本書を読む前までは宇喜多直家は真田昌幸と同類という先入観でいましたが、そうではないという感想。
自身の立場と立ち回りの中で求められることを、立ち回った人。
マーケティング力が長けた経営者という印象でした。

マジで面白かったです
ありがとうございました。

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Posted by ブクログ 2021年10月15日

宇喜多直家は斎藤道三・松永久秀と並ぶ戦国時代三大梟雄と言われているが、小早川秀秋の焚書もあり、結局天下をとった徳川官軍の歴史で以後脚色され続けているので、実像はわからないというのが正解。確からしい史実の行間を膨らませて想像力豊かに人物像を描くのが小説家の仕事。これは垣根版宇喜多直家本。木下版宇喜多直...続きを読む家本「宇喜多の捨て嫁」と米澤穂信「黒牢城」を続けて読むと面白いと思う。
光秀・信長ときて、直家ですか。垣根涼介氏も今や立派な歴史小説家、といっても歴史上の人物を主人公にその時代を舞台設定にしているだけで、描きたいことやものは以前とあまりかわっていない。この直家の解釈はあまりにも好意的だと思ったが、この時代に凡人とは違うスマートな思考回路をもった戦国武将のサバイバル術は、読んでいてとても面白い。合戦描写が少ないのも「捨て嫁」と同じく好印象。歴史小説としてではなく、今から550年前を舞台にしたハードボイルド大河ドラマとして読めば間違いなく傑作。

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Posted by ブクログ 2024年03月24日

いざ下巻。涅槃のポーズで読書しながら、この小説と涅槃の意味を考える。

権謀術数渦巻く戦国の世において、敵味方も日々入れ替わり、時に親族さえも殺める。権力欲と肉欲を持ちながらも、しかし、配下の生活や義理人情を重んじる。こうした生々しい俗世から、どこか浮世離れしていく思考は、死と隣り合わせの日常におけ...続きを読むる「命の軽さ」ゆえか。死ぬ事が当たり前の時代、今よりもっと、人生とは自らを思想的にも世俗的にも「成り上がり」を目指すゲームみたいなものだったのではあるまいか。

こうした戦国時代を生きた宇喜田直家の生涯を著者垣根流に書き上げたのが本作。エンタメ要素は強いが、だからこそ、一層面白い。

世俗を達観した到達点に、涅槃がある。いや、それは単に現世にしがみつく事への諦めの境地ではないのか。全ての因縁から自らを解き放つ。そんな事を涅槃のポーズをしながら、ダラダラと。私は、ただ横たわる仮初の涅槃、起き上がり俗物。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月27日

垣根節を堪能した。
滅亡の淵に会った宇喜多の家を一代で50万石まで持って行った直家の話し。下巻は信長、秀吉、小早川、吉川、安国寺恵瓊、黒田官兵衛など戦国のスターたちが登場して直家と絡んでくる。
最初は信長に付いたがその後毛利との軍事同盟、結局信長に付くという2大勢力の狭間で自国を大きくしながらも綱渡...続きを読むりの外交を展開する。そんななかで発病して54歳で亡くなってしまう。その約半年後に信長も本能寺に斃れる。さらに18年後に宇喜多家も関が原で滅びてしまう。まさに諸行無常。

作品紹介・あらすじ
死後440年、蹴りに蹴り続けられた男、宇喜多直家。その実像を浮き彫りにする。『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』――歴史小説界に革命を起こし続ける著者が描く、戦国史上最悪と呼ばれた梟雄の素顔。自分は何故、零落した武門に生まれたのか。どうして自分は、このような孤独な星のもとに生まれたのか……答えは出ない。豪商・阿部善定は、没落した宇喜多家の家族をまるごと引き取る決意をする。まだ幼い八郎の中に、稀有な非凡さを見い出したがゆえである。この子であれば、やがて宇喜多家を再興できるのではと期待を寄せた。一方、八郎は孤独な少年時代の中で、商いの重要性に早くから気付き、町や商人の暮らしに強く惹かれる。青年期に差し掛かる頃、年上の女性・紗代と深く関わり合うことで、自身の血に流れる宿命を再確認する――八郎は、やがて直家となる。予め定められた星の許に生まれ、本人が好む好まざるにかかわらず、常に極彩色に血塗られた修羅道を突き進むことになるだろう。歴史は、常に勝者の都合によって捏造され、喧伝される。敗者は、彼岸にて沈黙するのみである。少年は、運命から自由になりたかった。だが、幼少の頃から武門の再興を定められていた。織田と毛利を天秤(はかり)にかけ、夢と現(うつつ)の狭間をあがき続ける。宇喜多家の存続のためには、どんなことでもする。我が死でさえも、交渉の切り札に使う。世間でいう武士道など、直家にとってはどうでもいい。そんなものは、犬にでも呉れてやる。直家は宇喜多家を再興し、石山城(岡山城)を国内商業の拠点と定める。同時に、近隣の浦上や三村と激しくつばぜり合いをくり返し、彼らの背後にいる巨大勢力の毛利・織田の狭間で、神経を削りながら戦い続ける。直家の生来の臆病さを良く知る妻のお福。生涯の恩人となった阿部善定。旧縁である黒田満隆と官兵衛の親子。直家が武士に取り立てた商人・小西行長……様々な人との関わりから、直家は世の理(ことわり)に気付いていく。――人の縁で、世は永劫に回り続けていく。

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Posted by ブクログ 2022年07月17日

宇喜多直家、名前は知れども来歴はあまり知らなかった。創作要素も多いのかもしれないが、著者の歴史小説に一貫してある、理の通った話で楽しめた。

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Posted by ブクログ 2022年07月11日

戦国時代の備前周辺の話という事で、人間関係に馴染みがなく、途中まで勢力の分布が理解できずに読み進めている感じもあったが、秀吉達が出てきて以降は理解も進み各人のうごめきを楽しめた。

お恥ずかしながら、実は終わりの方まで宇喜多秀家の話かと思ってたくらいで…新鮮な戦国物語。
岡山城に行ってみたくなったな...続きを読む

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Posted by ブクログ 2022年05月09日

宇喜多直家の士農工商や性別、外見にとらわれない柔軟な物の見方に胸がすく思い。歴史物があまり得意ではないので、特に後半、史実の記載が多く退屈に感じてしまったが、全体的には面白かった。

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Posted by ブクログ 2022年04月03日

途中失速したものの、とても読み応えがありました。戦国史上最悪と言われた梟雄との宇喜多直家。垣根さんの描く直家は不遇な幼年期を過ごしながらも、人との関わりを大切にしている為人が感じられました。
『歴史は、常に生き残った勝者の都合によって捏造され、喧伝される。滅んだ系譜ー敗者は、その歴史の中で沈黙するの...続きを読むみである』と言った所でしょうか。
「黒牢城」を読んだので黒田官兵衛とも繋がっていて思い入れ深く読みました。
父とも仰ぐ善定の今際の場面を医者の待合室で泣きなが読みました。
自分もいつか誰かに恩義を返していけたらと思います。

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Posted by ブクログ 2022年03月31日

40数年前。
小学生だった頃。
吉川英治さんの宮本武蔵を覚えるほど読んだ記憶がある。
その時のことを思い出した。
なかなか楽しい時間を過ごせた。

あんまり難しいことを考えずにひたすら量を読む。

ただ、艶ごとをあんなに多量に含めないといけないかなぁ、とは思った。
そこはちょっと残念。

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Posted by ブクログ 2022年03月24日

宇喜多直家の生涯。梟雄と言われるがこの小説ではうちに厚く一族郎党を守る為なら自からの汚名を物ともしない。商人との交流や生き残った知恵、作者の想像力の中で花開き軍記物としても面白い。
そしてお福と出会ったことは直家にとって何よりの幸せだった。この物語の中で凄い描写もあるが、何故か微笑ましくもあった。

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Posted by ブクログ 2022年02月21日

一人の人物に焦点を当てるというより、流転を表現した小説なので、人物の物語として読もうとしたら面白くないかもしれない。
気分がすごく高揚するようなものでは無いですが、人生の一抹の寂しさと人並みの幸せを感じるところは好き。

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Posted by ブクログ 2022年02月12日

宇喜多直家の生涯の後半だ、戦国時代一国一城の主になり如何に国を守り領土を広げ、臣下を守り生き抜くか現代の会社経営にも通じるものがある。会社を興し今に至る当社辞める社員が殆どいないな、なんて思いながら読みました。

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Posted by ブクログ 2022年01月19日

下巻P16〈武士道とはそもそもが畜生道〉どこまでも冷静な直家をもっても、
誰がどう動くか正確に読み取ることはできない。
それぞれが懸命に生きたということ。
心理戦にもぐいぐい引き込まれ、虚しい気持ちを共有したような気分。
黒田官兵衛のことをもっと知りたいと思う。興味は尽きない。

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Posted by ブクログ 2021年12月10日

戦国の梟雄宇喜多直家の生涯を知ることができてよかった。中国地方の戦国というものもだいぶわかったし。
ただ光秀や信長を主題にした小説とは違って、ハッとするような歴史の解釈的なものはそんなにない。商人のことやセックスの細かい描写かな、特徴的なのは。

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Posted by ブクログ 2021年12月09日

光秀、信長の生涯をその行動原理から解き明かした著者が稀代の梟雄といわれる宇喜多直家を解題する。

策略、謀略を重ねたという直家だが、その行動原理に加え、生い立ち、立ち位置、時代背景から、極めて合理的かつ信義に篤くに行動する人物と描く。

現代人にとっても非常に共感できる人格となっている。

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Posted by ブクログ 2021年12月08日

戦国武将の宇喜多直家を扱った作品。名前を知っているだけで、よく知らない武将を取り扱った作品が刊行されているが、どれも好意的に取り上げており、この作品も同傾向。それでも、史実を丹念に広いあげながら、作者なりの人物像に仕上げており、説得力、深みのある作品に仕上がっている。宇喜多直家の生涯を描いているので...続きを読む仕方がないが、彼亡き後の宇喜多家について、もう少し踏み込んで頂けたら良かったと思う。

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Posted by ブクログ 2021年12月05日

享年54歳、策士、梟雄と言われた直家。善定、柿谷、紗代、九郎右衛門…多くの人にかかわり生かされ、戦国の時代を生き抜く。家内や部下は大事にしながら他国には手段を選ばす謀略を尽くした直家だが、最後は、利害の伴わない愛した妻に看取られて涅槃に旅だつ。幸せな人生だったろう。人に生かされ世間に動かされる…、こ...続きを読むの人を主人公に選んだのはそれを描きたかったのだろう。

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Posted by ブクログ 2021年11月26日

『光秀の定理』『信長の原理』を読んでいたので同時時代の背景が重なり、面白さが広がった。また
男女の営みの深さに感慨無量。人の一生に置けるあり様生き様が涅槃なのかな。

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Posted by ブクログ 2022年12月02日

戦国の梟雄の宇喜多直家を描く歴史小説の下巻。

下巻はお福との出会いから直家の死までが描かれていて、エピソードでお福や秀家の最後まで触れていたのは良かったです。
宇喜多直家を見直す点では木下昌輝さんの「宇喜多の捨て嫁」に先を越されましたが、物語の流れやボリュームとしてはこちらの方が直家の心情に迫って...続きを読むいたと思います。
お福と再婚する理由付とは思われるエロい描写が無くなった後半からは一気に面白くなったと思います。

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Posted by ブクログ 2022年04月03日

『歴史は、常に生き残った勝者の都合によって捏造され、喧伝される。滅んだ系譜ー敗者は、その歴史の中で沈黙するのみである』by お福

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Posted by ブクログ 2022年01月06日

上下巻合わせて、900ページ超えてたな。読み応えあった。上巻は、主に宇喜多家を再興するまでの話。下巻は再興後、維持・拡大していく話。派手さは全然なくて、、、痛快に感じることもあまりないんやけど、戦国時代のひとつのパーツとして読んで、面白かった。

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Posted by ブクログ 2021年10月29日

仕物(暗殺)を得意にした卑怯な謀略家というイメージの宇喜多直家の物語下巻。

こちらでは勢力を拡大しつつある織田信長に付くのかどうかの葛藤、長年の付き合いがある黒田満隆・官兵衛親子を通じての秀吉からの取り込み工作、毛利家・三村家・浦上一族・尼子一族などの一大勢力と渡り合い領地と石高を増やしていく様子...続きを読むなどが描かれていく。

上巻のレビューでも触れたが、木下昌輝さんの「宇喜多の捨て嫁」とは家族関係も描かれ方が違う。
最初の妻やその間に生まれた娘たちとは距離があり最後まで和解することはなかった。だが後添いであるお福と彼女の連れ子、そしてお福との間に生まれた嫡男(後の秀家)とは睦まじい。睦まじ過ぎて上巻同様、お福と直家との性描写たっぷりだ。

上巻では最初の妻の父・中山信正を暗殺したことについて、仕えていた浦上家の命による仕方のないものとして描かれた。下巻では他の暗殺についてどう描くのかと注目していたが、暗殺ではなく戦の中で滅ぼす形になっている。そして嫁がせた二人の娘たちはかねてからの直家との不仲により実家に戻ることを良しとせず自害している。
そんな親子関係を見て哀しむ後妻のお福の図も描かれる。

いきなりラストシーンに飛ぶが、お福の『歴史は、常に生き残った勝者の都合によって捏造され、喧伝される。滅んだ系譜ー敗者は、その歴史の中で沈黙するのみである』という言葉が作家さんの訴えたいことなのだろう。

この作品で描かれる直家は臆病者で戦を苦手とする。『猜疑心が強く、常に人の裏を窺うような男』であるが故に『せめて宇喜多家直属の家臣たちだけは互いを信じ、一枚岩でいてくれるように(中略)方向づけてきた』。
『権謀策数を弄し、汚れ役と他家からの悪評を背負う役目は、武門の棟梁たるこのおれ一人で充分なのだ』という覚悟を持っている。

また幼いころに阿部善定という豪商の庇護のもと育ったことにより、領地を治めるのに武力ではなく経済的に豊かな町にすることを考えたり、戦も武士の人数や力ではなく銭勘定や損得勘定を元にした駆け引きを考えているところは興味深い。
そしてそういう武士としては新しい考え方は、皮肉にも直家が嫌う信長に似ている。

終盤は「宇喜多の捨て嫁」でも出てきた『尻はす』なる業病と闘いながら宇喜多家の勢力を保ちつつ嫡男・八郎へ渡そうとする姿が描かれる。そのためなら自分の病すら明かし、その情報も利用しようとする徹底した姿勢がある。
直家が病で世を去った同じ年に信長が本能寺の変で自害するのも奇妙な縁だ。
そしてさらに直家の息子・秀家は関ヶ原で破れたものの、関ヶ原で戦った武将たちの誰よりも長生きしたというのも興味深い。
新たな宇喜多直家像を読めて楽しかった。

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Posted by ブクログ 2021年10月17日

 この小説で宇喜多直家の名前を知った。
 その人物評は、謀殺を繰り返す悪人であると。
 しかし、この小説で描かれる宇喜多直家は、裏切りを繰り返す武士の世に対し、武士こそが世を混乱の原因であると考え、自らは武士ではなく商人でありたいと願っていた。

 「人は、その血に応じて生きていくしか仕方なきものだ...続きを読む
 自分というものを、一生持ち越して過ごしていくものだ」

 武家の血からは逃れられない。
 ならば、できることをするを全うするのみ。
 備前を治めたのち、直家の理想で築城したのが石山城、今の岡山であうr。
 そこは、商家を城下町に含んだ、武と商の都市だった。

 西に毛利、東に織田と挟まれた戦乱の世で、一度は没落した宇喜多家が再び一国の主となるまでを描く。

 世の流れに乗って、大きいものにつくために裏切りを繰り返す。
 しかし、それは家の保身のため。
 常に保険をかけておき、先の先を読むことで一度の失敗で破滅に追い込まれない強かさが必要だ。
 世の流れを読む。
 世界の変化が急なときにこそ、先手先手が必要だ。

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