垣根涼介のレビュー一覧
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私達は歴史上の人物達を勝手にイメージしてしまいます。
直接会う事も出来なければリアルタイムで情報を得る事が出来ないからかもしれません・・・
モノを伝えるという仕事を行う人達は、歴史という商品を面白おかしくしたり、衝撃的なものにしたりしてしまいます。
それは、時代時代の道徳観念や主権をとろ人達への媚びにより影響は間違いなく受けるモノだと思います。
それ故に読み手は社会が作り出した固定観念に囚われず色んな観点から観察しなければいけないのではと思いました。
でなければ、戦国時代の大悪人、闇属性、趣味:暗殺謀殺などとネガティブなイメージしかない宇喜多直家の物語がこんなに清々しい物になるわけがない!!! -
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過日読んだ『ワイルド・ソウル』(2004年)があまりにも面白かったので、垣根涼介さん2作目に本書を選びました。2001年のデビュー第2作で、シリーズ化(4作)の第1作です。本作では、ストリートギャング、裏金強奪団、ヤクザの三つ巴の攻防を描いています。
いやはや、本作も期待以上に面白かった! 垣根涼介さん、凄いです。何なんでしょう、この熱量!
さらに他作品を読んでみたいと思わせますね。"垣根沼"に引き摺り込まれそうな予感が‥。時代ものも沢山あり、最近そっちで直木賞ですもんねー。悩む〜‥"o(-_-;*) まぁ追々、少しずつかなぁ。
本作の行間か -
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垣根涼介さんの歴史小説が大好きです!
明智光秀、織田信長、応仁の乱前夜ときて、まさかの宇喜多直家!!!?
【黒牢城】は荒木村重、【じんかん】は松永久秀、そして本作【涅槃】が宇喜多直家!!!
最近、世の中の流行りかSランク、Aランクの武将を抑えてBランク以上Aランク未満の武将を題材とした歴史小説が多くなってきてるような気がします!
ゲームや漫画で主人公になりにくい武将達のブームが来ているのでしょうか?
そして、垣根涼介の歴史小説といえば何らかの達人の成長譚も見どころです!本作の宇喜多直家は最初、武芸に励んでいたのですが まさかの・・・
幼き時に城を失った八郎は商人の家で養われていた! -
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日本の移民政策の非をどう追及し、どう復讐を果たすのか? 目が離せない下巻の幕開けです。
段階的に進む復讐劇のスリルに、ハラハラドキドキさせられますが、決して軽さを感じさせないのは、やはり背景に衝撃的な"巨悪の実態"が重く根底部分を支えているからでしょう。
また、著者の筆致も、テーマの重さと疾走感・爽快感の両立が図られている気がします。
下巻の読みどころは、復讐を仕掛ける犯人側・追う警察側・報道するTV局側それぞれの視点の切り替わりと心理描写の緻密さが見事に絡まり、大きなうねりとなって読み手に迫ってくる展開でしょう。
彼らの復讐は、移民一世の直接的な憎悪や怒りとは異質の、二世とし -
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たった1回の予告編で「観たい」と思わせる映画は久しぶりかもしれない。そのまま原作を読む運びとなった。
映画の方(来年1月公開)はエグい描写もあるようだが、不思議なもので原作版だとそこは何の気なしに読み進められる。(※あくまで!個人の感想です) (下)で全てをまとめようか迷ったけど、(上)から凄かったので各々書いていくことに決めた!
時は室町時代後期、応仁の乱前夜。
土倉の用心棒として雇われていた天涯孤独の青年 才蔵は、ある事件をきっかけに骨皮道賢に見込まれる。道賢(恐らく姓名ともに偽名…)は市中のならず者を率いる頭目でありながら、幕府直々に市中警護役を任されている。
やがて才蔵は蓮田兵衛(こ -
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極楽征夷大将軍が良作だったので、勢いそのままに作者の別作品にトライ。大作である極楽征夷大将軍を凌ぐ、上下巻合わせて900ページ強の超大作。ただ読みやすさは極楽征夷大将軍以上で、こちらも引き込まれるように読めた。
私はそもそも知らなかったが、悪名高いと評判の宇喜多直家が主人公。武士の家に生まれながら幼少期に商人の家で育ち、家を再興した後も根っからの武士にはなりきらず、商人としての才を十分に発揮しながら、毛利、織田等の強国と渡り合いながらも、自身の領土を盤石なものにしていくストーリーは本当に面白かった。
一方、直家が幼少期から成長いていく中で、女性との出会い、情事がこれでもかとたっぷりと描かれてい -
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昔の移民政策の当事者達の復讐劇のお話。移民後の政府の説明とかけ離れた現地での惨状から始まり、時間は経ち、日本での当時の政府関係者達への報復へと移り変わっていく。
章ごとに視点が切り替わり、登場人物それぞれにストーリーがあり、皆んな何かを抱えており、全員に魅力を感じた。
前半では、移民後の凄惨な実態が語られ、日本政府へ憤りを覚え、衛藤達の報復を自然と応援したくなる気持ちになっていた。
とにかく後半の計画の実行になってからは、疾走感が心地よく、読み手を飽きさせない。
最後は、とても綺麗な終わり方で、ドラマの終わりを観ているような感覚…!
出会えて良かったと思える一冊でした。 -
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垣根涼介さんのハードボイルドな小説!
ヒートアイランドやワイルドソウルとは少し違う話。
コロンビアの移民の話や、子供の精神医学の話は少し興味が湧きました。
私の子供の頃の話ですが、学校の授業で母の似顔絵を描くという課題があったのですが、ほとんどの生徒がバストアップや顔だけの似顔絵を描くのに対し、1人だけ全身像を描いている子がいたのを思い出しました・・・
コロンビアの私のイメージは、マフィアやシンジゲート達が政治にも影響を及ぼし、貧困に喘いでいる国と思いましたが、一年中春の地域や秋の地域があり、住みやすそうな地域が存在する事が解りました、流石に軽い気持ちで行ってみたいとは思いませんが、様 -
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本のバックボーンは極めてシリアスなのだけど、入念に練られた復讐劇そのものは、最高のエンターテイメントだった。ほぼ一気読み。こんなに面白い本があるのか、という感じだった。
ブラジル棄民日系二世ケイとテレビ局報道部貴子の恋愛は、外務省襲撃事件の犯人とそのスクープ者というありえないような緊張関係の中でのもので、ハラハラしっぱなしだった。
外務省で棄民政策を実行した人の言い訳、自己正当化を読むと、ナチスでホロコースト運行列車を忠実に運営したアドルフ・アイヒマンを思い出した。曰く、「私の罪は従順だったことだ。」
私に命令した人がいる、悪い人がいるとしたらそいつであって自分ではない、と言いたいのだろう