垣根涼介のレビュー一覧
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匿名
購入済み上巻の最後の章で、婚家が滅ぼされ、宇喜多家に保護されたお福が、直家と結ばれるのが冒頭。
「一殺多生」を信条とし、なるべく味方を殺さずに領地を護ったうえ、拡大していく宇喜多直家は、戦闘よりも領地経営を好み、商家の目をもって本邦初の「城下町」を今の岡山に造り上げる。
東の方で勢力を拡大してきた織田についたり、その織田に領地を脅かされると感じるようになると毛利についたりするが、最後には旧知の黒田満隆(官兵衛の父)に説得されてまた織田側につく。
その間の葛藤が細かく描写され、また、備前や美作などの地名や領主の名がたくさん出てきて少々混乱させられたが、その中で生き残っていくのは難しかっただろうなと -
匿名
ネタバレ 購入済み5~6歳の宇喜多家の嫡男八郎は、両親とともに城を追われて備前福岡の寺に隠れ住んでいたが、その噂を聞いて訪れた豪商・阿部善定に、家族ごと引きとられ養育されることになる。
そのためか、八郎は、武士としてより商人になりたいと思うようになるが、宇喜多家の再興を期待されていることもわかっており、また使命であると思いながら成長していく。
上巻は、そんな八郎が、主家である浦上家に仕えて初陣を迎え、兜首を上げて城と領地を得、元服して直家と名乗り、その領地の経営と周辺との戦に乗り出していくところまで。
戦で親を失い遊女屋に売り飛ばされ、そこから逃げ出した過去を持つ年上の女性・紗代に恋をし、「男女のこと」を教 -
Posted by ブクログ
昌男はリストラ面接をきっかけに自分がどうして経済学部を選んだのか。何故企業精査部での仕事にこだわっていたのかゆっくりと思い出す。
出世競争に負け会社での立場が悪くなるとともに、自分の仕事に対する本当の気持ちを見失っていた。
実家の建具屋をシスティマティックな会社に変え、親父に仕事の誇りを持たせ、お袋にはもっと生活を楽にさせたいというささやかな思いが自分にはあった。
基本に戻れば、いつだって物事はシンプルになる。
なら、そういうチョイスをすればいい。それが自分にとっての仕事の幸せだ。
これがやりがいに繋がっていくのだろう。
つまるところイメージングなのだ。相手の立場になって付き合えるかどうか。そ -
Posted by ブクログ
映画を愉しく観たので、原案になった小説を読んでみようと思い付いた。上下巻から成る小説の上巻を手にして、愉しく読んだ。
本作は複数の視点人物が入れ替わりながら綴られるという物語であると思う。有名な「応仁の乱」に突入する少し前の時期を背景にした物語である。
主要視点人物は17歳の少年である才蔵、才蔵と出会う骨皮道賢や蓮田兵衛、道賢や兵衛と関わる女性の芳王子だ。蓮田兵衛に関しては、寧ろ他の主要視点人物達との関りで言動が見える感なのだが、本作で描かれて行く事態の鍵を握る人物として大きな存在感を示している。
上巻に関しては、才蔵が主人公的に感じられる。完全に零落した武家の出で、子どもの頃から苦労が絶えな