垣根涼介のレビュー一覧

  • 極楽征夷大将軍

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    足利尊氏は優柔不断で出世欲もなく、たまたま名門の一族に生まれてしまっただけの「極楽様」のような平凡な人間だった。

    そんな男が鎌倉幕府崩壊の混沌とした時代でトップに上り詰めてしまった理由は、全くタイプの違う2人、足利直義と高師直に支えられていたからだ。

    直義と師直の2人が活躍すれば、主人公尊氏の存在はかすみ、 2人が窮地に陥れば、尊氏は秘めた力を発揮する。そんなシーソーバランスが延々と続いたのが南北朝時代だった。

    自分の足りないところを補ってくれる他人は必ずいる。そんな根拠のないことを信じ続けたことで念願の征夷大将軍の地位を手にすることができた足利尊氏。力を抜きつつ、自分のできることだけを

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    2025年10月19日
  • 極楽征夷大将軍

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    司馬遼太郎作品の中の大村益次郎が、「足利尊氏のように、朝廷に刃向かう物が西から出てくる場合に備えて、熊本城と大阪城に火薬系兵站を充実させるべし」という主旨のことを唱える場面を何度も読んだので、足利尊氏は西郷隆盛のように、朝敵となることも厭わない豪傑・英傑なのだろう、というイメージを持っていたが、本作における足利尊氏は、ひたすらヘタレ。

    弟の足利直義、家宰の高師直に只管引っ張ってもらいながらも、ここぞという時には妙に求心力を発揮する。

    室町幕府が在京なのは、武士が公家化したからなのかと思っていたけれど、建武の新政前後は、京都が政治の中心地でそこを離れられないくらい政治が流動化していたから、と

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    2025年10月18日
  • 蜻蛉の夏

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    既に時代小説としての地位を確立した著者。本書も十分に面白い内容だが、どうも妖術っぽい話は個人的に好みではないので、評価4で。しかもちょっと無駄に長い気もする。

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    2025年10月17日
  • 涅槃 上

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    幼少期のことがあまりわかっていない宇喜多直家が主人公。

    エロ要素も少しあり、時代物娯楽小説として楽しめる。

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    2025年09月18日
  • 極楽征夷大将軍

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    大作で読み応えあり!!
    ただ、歴史を忠実にたどっているのでしょうが、終盤のつばぜり合いが、味方、敵がいったりきたりなど、少し混乱しました。。。

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    2025年09月17日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    映画が観たかったので先に原作を。
    映画がマカロニウエスタン風と呼ぶにも軽すぎるBGMのせいで残念な出来となっていたので、先に読んでおいて本当に良かった。
    上巻では才蔵の成長を中心にワクワクする展開で読み進めながら、一揆が起こるまでの時代の流れを理解できて良かった。
    なんとなく、男性の夢が詰まった物語の流れのような気もしたりして。

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    2025年09月13日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    下巻も面白かったな〜
    復讐の話なので重いテーマではあるが、あんまりそれを感じさせないバランスが絶妙。「結局誰も救われない」等、そういう暗い気持ちを引きずらなくて済む。ただし、復讐が成功して爽快という感じもない。
    登場人物のそれぞれのキャラが良い味を出して、作品の進行を軽やかにしてくれてる感じ。

    初めての作家さんだったので、他の作品も読んでみようかな。

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    2025年09月08日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    戦後の移民問題がテーマ。全然詳しいことを知らなかったから勉強になった。もちろん、ストーリーも魅力的だ。

    暴力的に描かれがちなストーリー展開であるにも関わらず、感情的に暴力を振うシーンはあまり見られず、むしろ理性的で各種配慮ある犯罪シーンに圧倒される。犯罪については法で裁かれるべき行為ではあるものの、犯罪者たちのキャラは憎めない。むしろ、愛嬌がある。

    どう完結するのかな。下巻も楽しみ。

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    2025年09月01日
  • 極楽征夷大将軍

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    人生でおよそ20年ぶりの歴史小説。
    歴史小説は大好きだったのが今は少し遠のき、これだけブランクが開くとまぁ進まないむ進まない(笑
    単純に教養の無さと読む時間が取れなかったのが理由ではありますが…。

    しかし、室町幕府の成り立ちを一つ知ることができました。
    果たして尊氏はどんな人間だったのか…大変興味深かったので、読んで正解。

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    2025年08月19日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    映画に触発されて気がつけば2度目の原作読みであった。
    道賢、兵衛との立場を超えた友情と因縁。
    そこに映画で描かれていない才蔵の生い立ちからの成長物語。
    才蔵の師匠も含め登場人物の台詞に含蓄深いものがあり、折を見て振り返りたくなる上巻であった。

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    2025年08月10日
  • 極楽征夷大将軍

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    大河ドラマ、鎌倉殿の13人の続編のような運びで、ドラマにハマったのでとても楽しめました。とにかく大作なので、読み終えるのに時間がかかりました。あと、逃げ上手の若君も登場しますよ。

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    2025年08月05日
  • 極楽征夷大将軍

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    なんだ。
    やればできるではないか。


    死の直前。尊氏によって幽閉と言う名の保護下にあった直義が、精力的に動き、南朝との交渉、反幕府軍との戦争、幕府の運営と、今まで決してやらなかった源氏の棟梁、征夷大将軍としての役目を立派に果たしている兄の姿をみて、ポツリ、と浮かんだ言葉が、なんとも可笑しいけれども、なにやら切ない。

    やる気がない、すぐに丸投げする、丁寧に家臣を思いやることもなければ、手を尽くしてやることもない。
    そんな『極楽』征夷大将軍を、必死に支えてきた足利直義と高師直。
    浮かぶ瀬もないというか、できるなら、最初から自分でやってくれればよかったのにと思っただろう。
    いや、足利一族いや兄の

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    2025年08月04日
  • 武田の金、毛利の銀

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    今までの筆者の歴史モノの中では1番ユーモラスな作品だったかな。
    光秀、新九郎、愚息そして長安の旅路を理路整然と描いているだけでなく、珍道中のような軽妙なやり取りでも描いているのでとてもメリハリがあって読みやすかった。
    そして信長の深淵さもサクッと描いていてスパイスが効いているように思われる。
    でもって、わかる人はわかっていたのでしょうが長安がまさかあの大久保長安だとは知らなんだ。
    実際、彼らにこんな出会いがあったら夢があるなと思わせる作品。

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    2025年07月26日
  • 信長の原理 下

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    垣根氏がどのような意図を込めて描いたかは別として、結局のところ明智光秀の謀反は信長が織田陣営の全ての人を自分の都合のいいように動かせる手駒としてしか見ていないことに尽きると感じました。つまり、信長が発見したつもりになっている定理も、根底にある彼の傲慢さによる勘違いかもしれません。
    謎のままである本能寺の変の真相がこれだと言われれば納得します。

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    2025年07月05日
  • 信長の原理 上

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    一般的に言われているところの信長の長所短所はそのまま採用したうえで、配下の行動原理として2-6-2の法則を持ち出すとは、そしてそれが信長の逸話と妙にマッチしているところが確かに独創的です。
    良く知られている戰や出来事の扱いがさらりとしているところも良い。下巻が期待できます。

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    2025年06月28日
  • 極楽征夷大将軍

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    やっと読み終わりました。長かったです。さすが直木賞、物語としてダレることなく、時間はかかりましたが最後まで面白く読むことができました。
    読んでいてようやく自分でわかったことがありました。小生、戦国時代の物語などがあまり得意ではなく、本作も直木賞作品でなければ手に取っていなかったと思いますが、要は合戦の描写がぼやっとして上手く頭に描けないから苦手なんだと思いました。味方と敵が、どちらからどちらへ動いて、どうなっているのかが混沌としてわからない。どちらが勝ったのかは分かる。いっそのこと合戦場面を読み飛ばして、勝ち負けだけ把握すればいいとも思いましたが、それだと合戦ものを読む意味がないなと。よって距

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    2025年06月27日
  • 極楽征夷大将軍

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    大作であったが、読み始めたら止まらなくなり、2日で読み終わった。尊氏をこんな風に描いたのが新鮮だった。

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    2025年06月18日
  • 午前三時のルースター

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    旅行代理店に勤める長瀬は取引先の社長に頼まれて、社長の孫のベトナム旅行に同行することになる。実は少年の父親は、ベトナムで行方不明になり、恐らくは何かの事件に巻き込まれて亡くなっていたはずなのだが…

    ベトナムを舞台とした、冒険小説。

    長いこと積読状態で、なんで本棚にあるのかも思い出せないくらいでしたが、読み始めたら、まぁ止まらないこと。スピード感が半端じゃない。

    多少ご都合主義というか「あり得ないだろう!」なところがありましたが、小説ですから、いいんです。

    タイトルの理由がわかるラストはお洒落ですね。

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    2025年06月14日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    久々、旅中にエンタメ小説を楽しみたくて垣根涼介を手に取る。室町時代のこと。登場する蓮田兵衛や骨皮道賢は実在したと言われていて、舞台となる寛政の土一揆に関しても史実として残るもの。だが勿論そこは自在に想像を膨らませて脚色され、非常に楽しく読める仕立てになっている。

    少し違うが武士の時代が重なる事もあって、漫画の『バガボンド』を思い出す。強くなるための修行、その力を用いる意義、正義とは何か。

    時代背景としての「租税や飢餓」。権力と民衆における対立構造があり、その攻防の延長に一揆があるが、どちらに正義があるか。そのストーリー展開が楽しい。

    映画では、蓮田兵衛を大泉洋が演じているが、最近読んだ『

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    2025年06月14日
  • 光秀の定理

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    作中の言葉を用いるなら、
    「敗者は、歴史の中で沈黙するのみである。」

    明智十兵衛光秀について、彼にかかわる周りの人物の視点からを中心に描かれる物語。敗者の側の世界から、現在表となっている世界が描かれていました。

    十兵衛が信長に取り上げられるきっかけとなった理は、凡人の私には理解が追いつかないけれど、変わっていくことの意義は感じることができました。

    あと、仏教の釈迦の教えについて、知りたいと思いました。恥ずかしながら仏教徒で葬式に出たりしてるのに、本質は知らない‥まさに、これがこの国の性なのでしょうか、自分が不勉強なだけなのでしょうか‥

    いずれ、じっくりもう一度読みたい、と思う一冊でした

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    2025年05月25日