垣根涼介のレビュー一覧

  • 狛犬ジョンの軌跡

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    ネタバレ

    狛犬の化身・黒犬のジョンと、建築家・太刀川要の衝撃的な出会いと、同居生活と、事件と、別れのお話。
    とにかく描写が丁寧。ちょっとくどいくらい。でも、そこがまた良かったりもする。
    ジョン(というか黒犬と呼んだ方がしっくりくるのだけど)が神社を抜け出した切っ掛けが切なくてプロローグを何度も読み返してしまった。相方の宮獅子をなくした「激しい喪失の悲しみと、気も狂うような怒りが、ある晩に爆発した。」という一文が、最後まで読んで、またプロローグを読み返して、胸にくるものがある。
    エピローグも良い。私とは何だろう?という疑問を持って神社を逃げ出したジョンの答えのようなものがまとめられていて面白かった。
    要く

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    2022年08月19日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    珍しく一気読みした。ブラジルとか南米に移民した人たちが、現地に行ったら条件が全く違ったこの話は実話なんだね。聞いたことはあったけど、まさかここまでだとは。

    北朝鮮への帰国事業と変わらないくらい嘘じゃない。しかも、あれは祖国に帰れる人もいたけど、南米行きは、全く関係ない場所だもんね。日本って、つくづく国民を大切にしない国だと思った。

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    2022年08月15日
  • 信長の原理 下

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    なぜ信長は自分を裏切った松永久秀を許したのか。
    作中では、松永は信長に似ていると信長自身が考えていたと描かれている。世の根本を疑い、自前の見方を持っていると。そして、それを突き詰めることができている人物は多くない。信玄や謙信でさえも、できていない。

    しかし、人はその姿勢を貫き続けることはできないと、久秀は信長に最期の反旗を翻した。人はこの世の摂理に反してはならないのだと。無限の膨張を志す組織はやがて疲弊し色褪せ、崩れ落ちていく。

    信長は過去の実績に関わらず、使えない家臣達を次々に放逐するようになった。どこかで「働き蟻」の原理を乗り越え、世の摂理すら支配しようとしていたのではないか。

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    2022年08月03日
  • 信長の原理 上

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    明智光秀は好きな武将なので、『光秀の定理』からの流れで読み始めた。

    『定理』では信長は、光秀でさえ分からなかったベイズ推定を、たちどころに理解してしまうほど合理的な人物として描かれている。(『信長の原理』は『定理』と同じ時間軸なのだろうか。)
    信長の父、信秀は彼を評して「心が渇いている」と述べていた。思うにその渇きとは、孤独な、寄る辺なき「個人」の、人を動かす「原理」を求める強い衝動のことではないかと思った。

    信長は退屈に任せ蟻を観察するうち、懸命に働く蟻と中途半端に働く蟻、そして働かない蟻が、2:6:2の割合で存在するという、現代で云う「パレートの法則」を掴む。約すと1:3:1。同じ割合

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    2022年07月21日
  • 涅槃 上

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    面白いんだけど、直家のうらやまけしからんエピソードに引っ張られた感はある。
    もっと男臭くい話で良いかとも思いました。やっぱりうらやまけしからん。

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    2022年07月19日
  • 涅槃 下

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    宇喜多直家、名前は知れども来歴はあまり知らなかった。創作要素も多いのかもしれないが、著者の歴史小説に一貫してある、理の通った話で楽しめた。

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    2022年07月17日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    ネタバレ

    目がしばしばする( ¯꒳​¯ )ᐝ一気に読み切った。

    政府への復讐、、

    でも人を殺めない。目的はそこでは無い。

    綿密な計画が進んで行くスリルさ。

    衛藤、松尾、山本、ケイ、それぞれの決意が1つになり信頼を生みここまでやれてしまう。

    そんな中でのケイと貴子の計画外の動きがちょっとしたスパイスだけでは無く実は重要なストーリー展開の芯にもなる設定。

    ケイと貴子、魅力的やった。
    山本、、、切ないなぁ、、、
    松尾、どこかで幸せになれたかなぁ、、、

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    2022年07月16日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    日本人が昔、開拓して成功する夢を持ちどこかの国へ家族と移住したが、大変な苦労をした。そんな話しは漠然とテレビか何かで聞いた事があった。


    まさにそれだった。こんなに酷かったのか、、
    フィクションノンフィクション、、線引きが付かない。
    でも過酷さは想像を絶するものやったんやろなぁ、、

    そこから這い上がった日本人。その後の半生、、
    おもしろい。下巻にすぐ移ろう!

    このストーリーはフィクションではあるけど、事実起こった事を深掘りしたくなった。でも辛いなぁ。

    世の中には知らない事がいっぱいあるなぁ。

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    2022年07月14日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    君たちに明日はないシリーズ第四弾!

    すでに本シリーズを読んでいる方は、本作の主人公村上真介がリストラ面接官である事をご存知かと思う。今回の真介の受け持つリストラ対象者は

    航空会社の勝ち逃げCA
    CAの給料が思ったほど高くない事に驚き!

    楽器メーカーの元バンドマンの課長
    才能、技術、努力、持ってるものと、持ってないもの何かを続けるための努力と姿勢に考えさせられた!

    潔い証券会社のOB達
    昭和の時代のエリートサラリーマン達との雑談が心地よい

    接客業の神の夢はバスの運転手
    先を見据えなければならない仕事というのはストレスである事に違いない!


    色んな業種の色んな話、再就職を考えている人、

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    2022年07月13日
  • 涅槃 下

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    戦国時代の備前周辺の話という事で、人間関係に馴染みがなく、途中まで勢力の分布が理解できずに読み進めている感じもあったが、秀吉達が出てきて以降は理解も進み各人のうごめきを楽しめた。

    お恥ずかしながら、実は終わりの方まで宇喜多秀家の話かと思ってたくらいで…新鮮な戦国物語。
    岡山城に行ってみたくなったな。

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    2022年07月11日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    仕事とは?働くとは?ひいてはしあわせとは?につながる問いを投げかける。
    とうとう最後。
    社会の変化に伴って、仕事や会社のありようも変わる。そしてリストラ屋も。秀逸な終わり方。名残惜しい。

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    2022年06月17日
  • 涅槃 下

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    宇喜多直家の士農工商や性別、外見にとらわれない柔軟な物の見方に胸がすく思い。歴史物があまり得意ではないので、特に後半、史実の記載が多く退屈に感じてしまったが、全体的には面白かった。

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    2022年05月09日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    まあまあ面白かった
    最初のエピローグの感じで進んでいくのかと思いきやハードボイルドだった
    個人的にはエピローグの方向性のままのほうが好きかな
    それにしても信長といい
    この作家はちょっといいかも

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    2022年05月09日
  • 涅槃 上

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    ちょっと隆慶一郎っぽい。しかし垣根涼介節。
    ちょっといい男すぎだろー、という。
    前半、中盤、盛り上がる。
    宇喜多直家のことは名前しか知らないレベルだったので、今後戦国時代を別の目線で見られるかも。

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    2022年04月17日
  • 涅槃 下

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    途中失速したものの、とても読み応えがありました。戦国史上最悪と言われた梟雄との宇喜多直家。垣根さんの描く直家は不遇な幼年期を過ごしながらも、人との関わりを大切にしている為人が感じられました。
    『歴史は、常に生き残った勝者の都合によって捏造され、喧伝される。滅んだ系譜ー敗者は、その歴史の中で沈黙するのみである』と言った所でしょうか。
    「黒牢城」を読んだので黒田官兵衛とも繋がっていて思い入れ深く読みました。
    父とも仰ぐ善定の今際の場面を医者の待合室で泣きなが読みました。
    自分もいつか誰かに恩義を返していけたらと思います。

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    2022年04月03日
  • 信長の原理 下

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    支配地域が拡大するにつれ、優秀な者を家臣として取り込む一方これまで優秀なはずだった佐久間や林などが使えなくなっていく状況を目の当たりにする。この排除される恐怖に支配された家臣の中では松永や荒木などこの枠組みを抜け出そうと謀反を起こすものが出てくる。そして最後に残った柴田、丹羽、羽柴、滝川、明智、徳川の中から働かない"1"を滅ぼそうと信長は動き出す、、、

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    2022年04月01日
  • 信長の原理 上

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    弱い尾張兵を強くするべく次男坊・三男坊を中心に馬廻り衆を作る信長。経済感覚に優れ、楽市・楽座や農閑期に拘らなくて良い常備軍の設置、土地の管理を請け負い、代わりに扶持を与えることで豪族を家臣化する、身分に拘らない人材登用など新しい制度を創造するが、あるとき人間を含めた生き物は2対6対2の割合で働く者、それに追随する者、働かない者がおり、働く者だけを残してもこの割合は変わらず新たな働かない者が出てくることに気づく。

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    2022年04月01日
  • 涅槃 下

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    40数年前。
    小学生だった頃。
    吉川英治さんの宮本武蔵を覚えるほど読んだ記憶がある。
    その時のことを思い出した。
    なかなか楽しい時間を過ごせた。

    あんまり難しいことを考えずにひたすら量を読む。

    ただ、艶ごとをあんなに多量に含めないといけないかなぁ、とは思った。
    そこはちょっと残念。

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    2022年03月31日
  • 光秀の定理

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    十兵衛光秀の話ではあるが、破戒僧の愚息と兵法者の新九郎の語りが加わり、物語は進んでいく。
    光秀の人となりを作り上げたものが、美濃源氏の嫡流の血筋であったり、田舎者ゆえの人を惹きつける純朴さであったり、はたまた友垣である愚息と新九郎と共に過ごすうちに得た考え方であった、など深く面白く考察されている。
    この小説でスッタニパータや釈尊の教えにまで触れられるとは思いもよらなかったので、その奥深さに舌を巻いた。

    事変は起こるべきして起こった。
    初志を貫徹しようとする者は多くの場合滅ぶ。
    生き方を変えられぬ者は生き残れない。
    四つの椀が二つになったときに、その初手の選択が変わるように、世の中も変わってい

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    2022年03月31日
  • 涅槃 下

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    宇喜多直家の生涯。梟雄と言われるがこの小説ではうちに厚く一族郎党を守る為なら自からの汚名を物ともしない。商人との交流や生き残った知恵、作者の想像力の中で花開き軍記物としても面白い。
    そしてお福と出会ったことは直家にとって何よりの幸せだった。この物語の中で凄い描写もあるが、何故か微笑ましくもあった。

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    2022年03月24日