垣根涼介のレビュー一覧
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感想
人外の力を持つには半死半生の努力が必要。その割には報われないのが痛い。
炎観と信長が出てきた時から最後はこういう風になるんだろうなと思っていたが、最後にちょっぴり裏切られる展開だった。
あらすじ
円四郎は子供の頃に伊賀下忍に拾われ、死にそうな厳しい修行を受ける。ある日、承元という僧に拾われる。そこでも厳しいながら充実した修行を積み、幻術の一種である止観と水観を習得する。
時は戦国時代、織田信長が勢力を伸ばしていた。円四郎が18歳になる頃に師匠から独立して英気を養えと言われ、師匠に呼び出される時を待つ。
娼家に生まれ、湯屋掘り出された平助は果心居士に弟子入りして炎観を習得する。平助は山で月観を操る桂月に精気を吸われて死にかける。京にて円四郎と対峙し、取り逃がす。
円四郎と平助は、自ら死にそうな体験をすることで行法を体得していく。桂月は双子の義母に習い、月観を習得する。自分に会いに来た円四郎を寝殺し、記憶を読み取る。円四郎は生かして返す。
松永弾正に付いた果心居士は信長に平助を差し出す。平助は十兵衛付きとなり、戦の手助けをする。円四郎は承元が長島で一向一揆の手助けをしていることを知り、承元の頼みで信長に水観を試みるも通じない。
平助は里芋平助として信長に好かれる。叡山の焼き討ちに参加して功をあげる。桂月は岩村城に武田の患者として潜り込むが織田方のお艶と情念を交わしてしまう。岩村城は武田に寝返り、桂月もそこを離れる。円四郎は一乗谷の殲滅戦に参加し、風観の風我を倒す。しかし信長の苛烈なやり方に納得が出来ずに出奔する。出奔したところを果心居士に襲われるが、承元に救われる。その後、二人は桂月のところで手当てされる。
承元と円四郎は伊勢に手助けに行くが、承元は死ぬ。円四郎と平助と桂月は反織田を掲げて、一向一揆を支援する。桂月と平助は石山本願寺の伽藍を焼失させるのに一役かう。桂月と平助は、光秀が本能寺を襲う際に月観を使って、光秀隊が本能寺に近づくのを気づかせるのを遅らせる。 -
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下巻になると、足利直義と高師直のダブル主人公で物語は進みます。→尊氏のキャラは強いが存在感の薄さが際立ちます。
楠木正成や新田義貞を抱える後醍醐天皇派と全国の武士の代表足利尊氏軍の戦は大詰めを迎えます。
更に、幕府開闢後の直義、師直の苦悩と二人を悩ませる周囲の展開が関係性の良かった二人の関係に一個一個亀裂を打ち込んでいきます・・・
ここからの見所は
・新田・楠木にボコられた後にどう逆転の道筋があるのか?
・尊氏の長男嫌いは何処まで師直達を悩ませるのか?
・この苗字は戦国時代以降に登場するあの人の先祖?
・大器晩成、成長著しい足利尊氏!
と言ったところでしょうか!
いずれに致しましても、現代の日本では三大悪人
の一人として数えられる足利尊氏ですが本書を読むと後醍醐天皇側に大きな問題があるような気がします。
器から溢れる水には新たな器が必要なように、政治機構の能力を超えた権力からは不満が溢れるもので、世間というものはどんな器であれ、溢れたり溢れたりしない器を待ち望んでいるという事なのでしょうか。 -
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ネタバレリストラ請負会社で働く30代の主人公が様々な会社のリストラ候補の社員と面談をベースに話が進んでいく。
特に印象に残ったシーンはfile5の音楽プロダクションを経営している会社のリストラ候補者との面談シーン。リストラ候補A(石井)は会社に安定的に利益貢献することを第一に考えているため、実績のあるベテランミュージシャンを優先して、堅実に淡々と利益を積み上げていくスタンス。対して、リストラ候補B(黒川)は売れるか分からない若手ミュージシャンの起用に力を入れているため、利益にバラツキはあるものの、所属ミュージシャンへの思いが溢れていた。この両者の人物像の対比が面白かった。
本文の中で、「(黒川は)親切とか、優しい、ということではない。イメージングなのだ。相手の立場になって付き合えるかどうか。そうすれば自然と涙は出る。飯だって奢る。その共感性の高さがつながりを密にする。相手を信用させる」という内容は腑に落ちた。
PS:最後のシーンで陽子が急に泣きたくなった理由について分かる方教えてください…。 -
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いわた書店の1万円選書でチョイスされた本。
楽しく読めましたが、個人的には上巻と下巻で印象が大きく異なる作品でした。ブラジル移民の過酷な現実や歴史の歪みを描いた上巻は、細部の描写や思想的な厚みが際立っており、社会派小説として強く引き込まれました。
一方、貴子とケイを軸にした下巻は一気にエンタメ感が増し、痛快な展開の面白さはあるものの、上巻で感じたリアリティや重みはやや薄れた印象です。
それでも、「人が人へと恩をつないでいく」というテーマや、国家やシステムに翻弄される個人の姿には一貫した力強さがあり、十分に読みごたえのある作品ではあったと思います。
全体としては、重厚な歴史小説と復讐劇の両面を併せ持つ作品であり、その振れ幅の大きさこそが評価の分かれどころであると同時に、本作の魅力でもあると感じました。 -
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いわた書店の1万円選書でチョイスされた本。
楽しく読めましたが、個人的には上巻と下巻で印象が大きく異なる作品でした。ブラジル移民の過酷な現実や歴史の歪みを描いた上巻は、細部の描写や思想的な厚みが際立っており、社会派小説として強く引き込まれました。
一方、貴子とケイを軸にした下巻は一気にエンタメ感が増し、痛快な展開の面白さはあるものの、上巻で感じたリアリティや重みはやや薄れた印象です。
それでも、「人が人へと恩をつないでいく」というテーマや、国家やシステムに翻弄される個人の姿には一貫した力強さがあり、十分に読みごたえのある作品ではあったと思います。
全体としては、重厚な歴史小説と復讐劇の両面を併せ持つ作品であり、その振れ幅の大きさこそが評価の分かれどころであると同時に、本作の魅力でもあると感じました。