垣根涼介のレビュー一覧
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十兵衛光秀の話ではあるが、破戒僧の愚息と兵法者の新九郎の語りが加わり、物語は進んでいく。
光秀の人となりを作り上げたものが、美濃源氏の嫡流の血筋であったり、田舎者ゆえの人を惹きつける純朴さであったり、はたまた友垣である愚息と新九郎と共に過ごすうちに得た考え方であった、など深く面白く考察されている。
この小説でスッタニパータや釈尊の教えにまで触れられるとは思いもよらなかったので、その奥深さに舌を巻いた。
事変は起こるべきして起こった。
初志を貫徹しようとする者は多くの場合滅ぶ。
生き方を変えられぬ者は生き残れない。
四つの椀が二つになったときに、その初手の選択が変わるように、世の中も変わってい -
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ネタバレ登場人物がこんがらがってしまったので、軽く読み直した。
外務省の良い事ばかりの謳い文句に騙され、ブラジル入植募集に応募し、海を渡った開拓者達が国に復讐する話。
広い土地を与えられ、土壌の質的に作れないことを伝えられず、野菜は作られていないから、飛ぶように売れると言われ、希望のみを持って行った人達。外務省は全く感知せず、病で死ぬ人、逃げ出しても身を売ってしか生活できず、日々生きるだけ。終いには外務省にパスポートを奪われ、ブラジルで奴隷扱いされていた。
衛藤は妻と弟と来るが、2人に先立たれ、開拓地を後にする。貧しく辛い人生を送り、青果市場で成功する。残った野口家族に開拓地に戻る約束をしていたが、 -
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愚息が特に魅力的。知性があり、物事の本質を見極めることができる。権力者におもねることが一切ないところは、気持ちが洗われる。。
愚息と新九郎の、息がピッタリ合った関係性が心底、うらやましい。
そんな二人とかけがえのない友情を築いたという点で、光秀の人間くささが際立つ。それゆえ、有能だけれど、愚直で不器用なところが魅力的に思える。
愚息が熱弁した釈迦の論理、かりそめの一場面にいたずらに惑わされず、その背後にある連続する必然を見よ。これは、心にとめておきたい。
根本的に、信長と光秀は見ている世界、目指す世界が違った。歴史の一場面だけを切り取ると、人間の行いが引き起こしたことであり、必然ではない。でも