垣根涼介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リストラ面接官が主人公の「君たちに明日はない」シリーズ第四弾。
中篇四篇いづれも、仕事とは何か、を考えさせられるお話で甲乙つけ難いが、敢えて順番をつけると、ノー・エクスキューズ、永遠のディーバ、リブ・フォー・トゥデイ、勝ち逃げの女王の順。
全てフィクションながら、想像するモデルはそれぞれ、山一證券、ヤマハ、すかいらーく、JAL、とある程度はイメージを持ちやすい一方で、その裏ではこんな人間ドラマが本当にあったりするのかも、と思わせる筆力は素晴らしい。
表題作の「ディーバ」は日本語では「歌姫」。20代で売れ、(本作発表の2010年代前半には)40代で小さな箱で細々と演奏している、という、設定に橘いずみ(現在、和(いずみ))をイメージした。本作のようにフェニックス・プロジェクトとしてもう一度売れて欲しい。
ノー・エクスキューズの山一證券の話では、エース営業マンが会社にしがみつかず、営業を実質的に引き継いだメリルリンチからの退職勧告に淡々と応じた「潔さ」が格好良く描かれ、共感を感じる一方で、清武英利氏の著作「しんがり 山一證券最後の12人」で描かれた、顧客向けの後始末業務に誠実に向き合った監査部のお話にも同じく共感出来、仕事に何を求めるかで、正解は全く異なるのだろう、と思った。
P123 ノー・エクスキューズから
「いいこと教えてやるよ」小平は言った。「人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて、新たに必要とされる場所を探したほうがいい」 -
Posted by ブクログ
水観、炎観、月観。止観という幻術を操る三人の男女が人知れず歴史の裏面で織田信長と対峙していた、という歴史時代小説。よくもまあこのような術を思いつき描き、史実と絡ませて紡ぐものだ。『室町無頼』もそうだったが、この作家が描いて見せる修行の有様が滅法面白い! またそれぞれの幻術の描写の凄さよ。三人の主役の人物造形も素晴らしい。自分、登場人物に感情移入するような読みはレベルが低いと思っているが、炎観の遣い手平助の鬱屈自意識には大いに感情移入し、大いに泣き笑った。実に愛すべきキャラクターである。読んでよかった! それにしても織田信長のことがかなり嫌いになったな。