垣根涼介のレビュー一覧

  • 君たちに明日はない(新潮文庫)

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    リストラ候補の社員をリストラする業務を受託した、辞めさせ屋の主人公、リストラ候補にされた社員たちの再生の物語。
    うん、おもしろい。

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    2026年01月08日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    リストラ面接官が主人公の「君たちに明日はない」シリーズ第四弾。

    中篇四篇いづれも、仕事とは何か、を考えさせられるお話で甲乙つけ難いが、敢えて順番をつけると、ノー・エクスキューズ、永遠のディーバ、リブ・フォー・トゥデイ、勝ち逃げの女王の順。

    全てフィクションながら、想像するモデルはそれぞれ、山一證券、ヤマハ、すかいらーく、JAL、とある程度はイメージを持ちやすい一方で、その裏ではこんな人間ドラマが本当にあったりするのかも、と思わせる筆力は素晴らしい。

    表題作の「ディーバ」は日本語では「歌姫」。20代で売れ、(本作発表の2010年代前半には)40代で小さな箱で細々と演奏している、という、設定に橘いずみ(現在、和(いずみ))をイメージした。本作のようにフェニックス・プロジェクトとしてもう一度売れて欲しい。

    ノー・エクスキューズの山一證券の話では、エース営業マンが会社にしがみつかず、営業を実質的に引き継いだメリルリンチからの退職勧告に淡々と応じた「潔さ」が格好良く描かれ、共感を感じる一方で、清武英利氏の著作「しんがり 山一證券最後の12人」で描かれた、顧客向けの後始末業務に誠実に向き合った監査部のお話にも同じく共感出来、仕事に何を求めるかで、正解は全く異なるのだろう、と思った。

    P123 ノー・エクスキューズから
    「いいこと教えてやるよ」小平は言った。「人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて、新たに必要とされる場所を探したほうがいい」

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    2026年02月14日
  • 蜻蛉の夏

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    水観、炎観、月観。止観という幻術を操る三人の男女が人知れず歴史の裏面で織田信長と対峙していた、という歴史時代小説。よくもまあこのような術を思いつき描き、史実と絡ませて紡ぐものだ。『室町無頼』もそうだったが、この作家が描いて見せる修行の有様が滅法面白い! またそれぞれの幻術の描写の凄さよ。三人の主役の人物造形も素晴らしい。自分、登場人物に感情移入するような読みはレベルが低いと思っているが、炎観の遣い手平助の鬱屈自意識には大いに感情移入し、大いに泣き笑った。実に愛すべきキャラクターである。読んでよかった! それにしても織田信長のことがかなり嫌いになったな。

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    2025年12月30日
  • 午前三時のルースター

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    テンポがいいミステリー
    ストーリーの中に出版当時のベトナムという国の歴史的背景もちりばめられており、ストーリーとシンクロしていました。

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    2025年12月25日
  • 午前三時のルースター

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    Google mapを開きながら読みました。

    異国情緒を感じながら、謎解きを楽しみました。
    先が気になる小説でした。

    設定にちょっと無理があるような気がするけど、
    ま、小説ってそういうものかな。

     

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    2025年12月18日
  • 蜻蛉の夏

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    「蜻蛉」。最初に本を手に取った時は「とんぼ」と思っていましたが、実は「かげろう」と読むものでした。
    本文でその記述が出てきた時に改めて、すごく考えられたタイトルだなぁ、と感心しました。
    止観という創作的な概念と実在の歴史とを上手く融合したストーリーは、ものすごく緻密に構成されていました。
    なかなか読み応えがあり、読み終えた時はぐったりしてしまいましたが、素晴らしい作品でした。

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    2025年12月14日
  • 蜻蛉の夏

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    結構なボリュームながらあっと言う間に読み切ってしまった。著者が「エンタメに振り切った」と言うだけあって飽きさせないストーリー。

    デジタルに支配され、LEDで全てを白日のもとに照らしてている現代においては、人ならぬ者、妖かしの術が存在できる隙間はもうどこにもなくて
    水や火や闇を畏れる世界観はもう文字通り別世界だ。だけどどこか懐かしい感じがするのも確か。

    20歳位の時に読んだ司馬遼太郎の「梟の城」の読後感を思い出した。

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    2025年12月13日
  • 蜻蛉の夏

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    私が今一番お気に入り作家の最新作。今回は歴史小説に鬼滅の刃を思わせるフィクション的要素が多分に入り込んだ内容で、純粋に歴史小説が好きな方からしたら評価が分かれる作品かなと感じる。なかなか思い切った一冊です。

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    2025年12月04日
  • 光秀の定理

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    信長の定理と同じく、有名な定理を歴史上の人物の個性を説明するために引用するという独自の試みです。
    光秀本人ではなく主に架空の第三者に語らせるところが信長の定理とは異なり、完全なワンパターンを避けているところが良い。
    歴史に「〜たら」を言っても仕方ないですが、光秀が天王山で秀吉に敗れていなかったら日本はどうなっていたのか。もしかしたら徳川幕府も誕生せす、全く違う現在だったのかもしれません。

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    2025年12月03日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    下巻は一気読みでした。
    面白かったです。
    なんで映画化されてないのか不思議なくらいスケール感があって、テーマも重い。
    THE BOOMの宮沢和史さんが解説で書いていたが、「半島を出よ」に近いですね。

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    2025年12月01日
  • 武田の金、毛利の銀

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    歴史の転換期にあって、それぞれの生き方を貫くことの難しさがうまく表現できていて、四人旅にもどこか剽軽さが感じられる。作者はもっぱらギャングストーリーがお得意と思っていたので、意外に時代ものオッケーやんって感心しました。ぜひ読みましょう。

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    2025年11月06日
  • 蜻蛉の夏

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    織田信長が天下統一へ向け着々と歩みを進めていた元亀元年、「止観の道士」たちの運命が交差する。修行の末に彼らが得た止観の力は、織田家との戦いに大きな影響を与え…。

    「光秀の定理」「信長の原理」を描いてきた垣根涼介、今度の作品は同時代ながらも武術から幻術に世界を拡げた。何だかポケモンのバトルや里見八犬伝を思い起こすような展開だったけれど楽しく読めた。
    (B)

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    2025年10月27日
  • 蜻蛉の夏

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    既に時代小説としての地位を確立した著者。本書も十分に面白い内容だが、どうも妖術っぽい話は個人的に好みではないので、評価4で。しかもちょっと無駄に長い気もする。

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    2025年10月17日
  • 涅槃 上

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    幼少期のことがあまりわかっていない宇喜多直家が主人公。

    エロ要素も少しあり、時代物娯楽小説として楽しめる。

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    2025年09月18日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    映画が観たかったので先に原作を。
    映画がマカロニウエスタン風と呼ぶにも軽すぎるBGMのせいで残念な出来となっていたので、先に読んでおいて本当に良かった。
    上巻では才蔵の成長を中心にワクワクする展開で読み進めながら、一揆が起こるまでの時代の流れを理解できて良かった。
    なんとなく、男性の夢が詰まった物語の流れのような気もしたりして。

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    2025年09月13日
  • ワイルド・ソウル(下)

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    下巻も面白かったな〜
    復讐の話なので重いテーマではあるが、あんまりそれを感じさせないバランスが絶妙。「結局誰も救われない」等、そういう暗い気持ちを引きずらなくて済む。ただし、復讐が成功して爽快という感じもない。
    登場人物のそれぞれのキャラが良い味を出して、作品の進行を軽やかにしてくれてる感じ。

    初めての作家さんだったので、他の作品も読んでみようかな。

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    2025年09月08日
  • ワイルド・ソウル(上)

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    戦後の移民問題がテーマ。全然詳しいことを知らなかったから勉強になった。もちろん、ストーリーも魅力的だ。

    暴力的に描かれがちなストーリー展開であるにも関わらず、感情的に暴力を振うシーンはあまり見られず、むしろ理性的で各種配慮ある犯罪シーンに圧倒される。犯罪については法で裁かれるべき行為ではあるものの、犯罪者たちのキャラは憎めない。むしろ、愛嬌がある。

    どう完結するのかな。下巻も楽しみ。

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    2025年09月01日
  • 室町無頼(上)(新潮文庫)

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    映画に触発されて気がつけば2度目の原作読みであった。
    道賢、兵衛との立場を超えた友情と因縁。
    そこに映画で描かれていない才蔵の生い立ちからの成長物語。
    才蔵の師匠も含め登場人物の台詞に含蓄深いものがあり、折を見て振り返りたくなる上巻であった。

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    2025年08月10日
  • 武田の金、毛利の銀

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    今までの筆者の歴史モノの中では1番ユーモラスな作品だったかな。
    光秀、新九郎、愚息そして長安の旅路を理路整然と描いているだけでなく、珍道中のような軽妙なやり取りでも描いているのでとてもメリハリがあって読みやすかった。
    そして信長の深淵さもサクッと描いていてスパイスが効いているように思われる。
    でもって、わかる人はわかっていたのでしょうが長安がまさかあの大久保長安だとは知らなんだ。
    実際、彼らにこんな出会いがあったら夢があるなと思わせる作品。

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    2025年07月26日
  • 信長の原理 下

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    垣根氏がどのような意図を込めて描いたかは別として、結局のところ明智光秀の謀反は信長が織田陣営の全ての人を自分の都合のいいように動かせる手駒としてしか見ていないことに尽きると感じました。つまり、信長が発見したつもりになっている定理も、根底にある彼の傲慢さによる勘違いかもしれません。
    謎のままである本能寺の変の真相がこれだと言われれば納得します。

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    2025年07月05日