垣根涼介のレビュー一覧

  • 涅槃 下

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    戦国大名あまたいる中でも、悪名高い梟雄(きょうゆう)の一人、宇喜多直家を主人公にした歴史大作。
    戦国の梟雄としては、斉藤道三や北条早雲、松永久秀らが有名ですが、この人も成り上がりの出自や手段を選ばない策略家という点では、彼らに勝るとも及ばない悪人として知られています。

    しかし、本書で描かれる直家は少しイメージが違います。
    没落豪族の嫡子として生まれ、一時は商人に預けられなど艱難辛苦の末、お家を再興。その過程で権謀術数の限りを尽くすわけですが、当時としては当たり前のことだったのではないかと思います。
    むしろ彼の素顔は、忍耐強く、受けた恩を忘れず、部下のことにも深く思いをきたす誠実な武将として描かれているのです。

    興味深い点が二つ。
    一つは彼が早くから重商主義的な考えを持ち、領土を闇雲に広げることよりも、産業の発展や人々の往来の活発化による金銭的利益を重視したこと。
    これは、幼少期に商人の薫陶を受けたことから発した、当時としては斬新な考え方だったと思いますが、天才信長の先を行っていたことになります。

    もう一つは嫡子、宇喜多秀家の育て方。
    彼は徐々に勃興してくる織田家、特に秀吉と接するうちに、これからの時代は、自分自身のように孤高を保ちまさに虎狼の如く生き抜く時代は終わったと気づきます。
    これからは大組織の中で、人々の人望を得られるような人好きのする明るい人間が重宝される時代になると考え、息子をそのように伸び伸びと育てていきます。
    本書では、秀家の時代は描かれていませんが、後に秀家が豊臣家に忠義を尽くし、関ヶ原で敗れ島流しされた地で慕われて天寿を全うしたことを考えると父直家の遺志が繋がったとの感慨を持ちました。

    現代のリアルなアクション・サスペンスの名手、垣根涼介さん!
    「光秀の定理」以降、良質な歴史小説を多数書かれています。今後の活躍に期待しましょう!

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    2026年04月25日
  • 極楽征夷大将軍 下

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    全然興味がなかったことだけど、面白かった!
    尊氏めっちゃ好き。
    こいつバカか、と思いながらもお兄ちゃんラブな直義も良かった

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    2026年04月24日
  • 涅槃 下

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    上よりはやや落ちてついてしまったのでは。棟梁としての差配話が中心になってしまったからかもしれない。が周りの優秀な人材がイキイキと動くのがすごく良い。歴史に埋もれない。全般には面白い歴史小説だった。出会いに感謝。

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    2026年04月14日
  • 光秀の定理

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    モンティ・ホール問題を軸にした少し変わった構成の物語で、知的な面白さがある一冊。ラストでは本能寺の変にも触れられていて、明智光秀の性格が細かく描かれているのも印象的だった。光秀を扱った作品は多いけど、本作は少し違った角度から描かれていて新鮮に楽しめた。

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    2026年06月17日
  • 信長の原理 下

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    信長の生涯をある程度カバーしないといけないので上巻に比べると普通の歴史小説だなぁと思ったが最後はなかなかよかった。光秀の定理を読んだからそう思うのかもしれないが、最終的に作者は織田信長より明智光秀が好きなんだろうなという印象。というのもあってか光秀の定理のほうが好み。

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    2026年04月06日
  • 信長の原理 上

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    働きアリの法則を本作の信長のキャラクターに違和感なく絡めていて、そのぶん歴史小説のビジネス書的な側面が強まっているので自分の職場などに置き換えて考えてみたりするのも面白いかもしれない

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    2026年03月29日
  • 午前三時のルースター

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    ベトナムのむせ返るような熱気と混沌に、自分までどっぷり浸かってしまった。異国の風に吹かれ、主人公の凝り固まった価値観が剥がれ落ちていく様子に、自分の心まで解き放たれるような感覚になった。
    泥臭い家族の絆や、もがきながら自分を探す彼らの熱量がダイレクトに響き、読み終えた今は「自分もまだ見ぬ世界へ飛び出したい」という衝動が止まらない。一気に駆け抜けるような物語の勢いに圧倒され、人生の等身大の自分を見つめ直す、濃密で刺激的な時間だった。

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    2026年03月26日
  • 光秀の定理

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    お椀の話はモンティ・ホール問題というらしいが、不思議だ。創作の新九郎と愚息という魅力的なキャラクターを上手く使って諸説ある明智光秀が本能寺の変に至った考えをひとつの説得力のある形にしている。冒頭にダーウィンの進化論に関する言葉があるが、まさにそれが本作の主題という感じで上手く組み立てられている。

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    2026年03月22日
  • 光秀の定理

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    色々考えさせらつつ、納得したりの・・・、とにかく楽しくないと続かないって事だね。 久しぶりに一気に読んでしまった!

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    2026年03月14日
  • 迷子の王様-君たちに明日はない5-

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    リストラ面接官が主人公の「君たちに明日はない」シリーズの第五弾にして完結編。

    全四篇のモデルといえそうな会社は、それぞれ、カネボウ化粧品、シャープ、文教堂書店(公文書店という店名と店舗数28という規模感から)、そしてラストでは、主人公の勤務先自体が自主廃業によりリストラの対象となるわけだが、この会社のモデルはよく分からない。たぶんないのだろう。

    三篇目の「さざなみの王国」の書店員、佐久間香織が何とも気に掛かる存在だ。極端な人見知りながら、とても誠実に生きている様子が好感が持てる。ラストの作品で、再登場する人物、2の「借金取りの王子」、4の「永遠のディーバ」、5の「さざなみの王国」の3名は、きっと作者のお気に入りの人物なのだろう。

    人生における「仕事」の位置付けについて悩んだことは一度もない、というひとでない限り、本シリーズの一篇くらい読んでみて損はない。読まなくても明日は来るけれど、読めば、きっとよりよい一日になると思う。


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    2026年03月09日
  • 涅槃 上

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    そこまで性的な描写の必要があったのかはあるが、今まであまり馴染みの無かった宇喜多直家が苦悩しながらのし上がる様は面白い。

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    2026年03月07日
  • 張り込み姫-君たちに明日はない3-

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    回を重ねるごとにじわりじわりと村上真介というフィルターを通して垣根涼介先生の職業観が伝わってきます。
    すっかりこのシリーズの虜になりました

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    2026年02月22日
  • 武田の金、毛利の銀

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    ネタバレ

    武田の金、毛利の銀をテーマにした話
    毛利の銀は読みにくかったけど、全体は垣根涼介的な面白さだった「もちろん創作だと思う」
    武田の金から出てきた土屋十兵衛長安、後の大久保長安が物語を通じた主人公だったのかー

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    2026年02月04日
  • 蜻蛉の夏

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    垣根さん、もうすっかり時代小説家。ハードボイルド、推理小説読みたいのに。時代小説に超能力は…と思ったら面白かった。北陸攻めはクエスチョンだけど、確かに本能寺、誰にも気付かれず光秀軍が進軍できたのは止観を操る道士の活躍があったのかも。垣根ワールドの主役たちは清々しくていい。「人には、そういうものが必要だ。人が人に与える無償の気持ちが必要だ」朝刊に習近平が軍制服組トップを失脚させたニュース。信長と同じ…。時代変わっても…。

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    2026年01月25日
  • 君たちに明日はない(新潮文庫)

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    リストラ候補の社員をリストラする業務を受託した、辞めさせ屋の主人公、リストラ候補にされた社員たちの再生の物語。
    うん、おもしろい。

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    2026年01月08日
  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-

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    リストラ面接官が主人公の「君たちに明日はない」シリーズ第四弾。

    中篇四篇いづれも、仕事とは何か、を考えさせられるお話で甲乙つけ難いが、敢えて順番をつけると、ノー・エクスキューズ、永遠のディーバ、リブ・フォー・トゥデイ、勝ち逃げの女王の順。

    全てフィクションながら、想像するモデルはそれぞれ、山一證券、ヤマハ、すかいらーく、JAL、とある程度はイメージを持ちやすい一方で、その裏ではこんな人間ドラマが本当にあったりするのかも、と思わせる筆力は素晴らしい。

    表題作の「ディーバ」は日本語では「歌姫」。20代で売れ、(本作発表の2010年代前半には)40代で小さな箱で細々と演奏している、という、設定に橘いずみ(現在、和(いずみ))をイメージした。本作のようにフェニックス・プロジェクトとしてもう一度売れて欲しい。

    ノー・エクスキューズの山一證券の話では、エース営業マンが会社にしがみつかず、営業を実質的に引き継いだメリルリンチからの退職勧告に淡々と応じた「潔さ」が格好良く描かれ、共感を感じる一方で、清武英利氏の著作「しんがり 山一證券最後の12人」で描かれた、顧客向けの後始末業務に誠実に向き合った監査部のお話にも同じく共感出来、仕事に何を求めるかで、正解は全く異なるのだろう、と思った。

    P123 ノー・エクスキューズから
    「いいこと教えてやるよ」小平は言った。「人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて、新たに必要とされる場所を探したほうがいい」

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    2026年02月14日
  • 蜻蛉の夏

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    水観、炎観、月観。止観という幻術を操る三人の男女が人知れず歴史の裏面で織田信長と対峙していた、という歴史時代小説。よくもまあこのような術を思いつき描き、史実と絡ませて紡ぐものだ。『室町無頼』もそうだったが、この作家が描いて見せる修行の有様が滅法面白い! またそれぞれの幻術の描写の凄さよ。三人の主役の人物造形も素晴らしい。自分、登場人物に感情移入するような読みはレベルが低いと思っているが、炎観の遣い手平助の鬱屈自意識には大いに感情移入し、大いに泣き笑った。実に愛すべきキャラクターである。読んでよかった! それにしても織田信長のことがかなり嫌いになったな。

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    2025年12月30日
  • 午前三時のルースター

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    テンポがいいミステリー
    ストーリーの中に出版当時のベトナムという国の歴史的背景もちりばめられており、ストーリーとシンクロしていました。

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    2025年12月25日
  • 午前三時のルースター

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    Google mapを開きながら読みました。

    異国情緒を感じながら、謎解きを楽しみました。
    先が気になる小説でした。

    設定にちょっと無理があるような気がするけど、
    ま、小説ってそういうものかな。

     

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    2025年12月18日
  • 蜻蛉の夏

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    「蜻蛉」。最初に本を手に取った時は「とんぼ」と思っていましたが、実は「かげろう」と読むものでした。
    本文でその記述が出てきた時に改めて、すごく考えられたタイトルだなぁ、と感心しました。
    止観という創作的な概念と実在の歴史とを上手く融合したストーリーは、ものすごく緻密に構成されていました。
    なかなか読み応えがあり、読み終えた時はぐったりしてしまいましたが、素晴らしい作品でした。

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    2025年12月14日