垣根涼介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
垣根涼介さん3作目。本作はビジネス小説です。主人公は村上真介33歳、「リストラ請負会社」で辞職勧告を促す有能面接官‥、恐ろしい設定です。
そもそも、人減らしの首切り専門会社なんて、あり得ませんよね。社員の個人情報を社外へ提供しているし、会社の経営難による人員削減や優遇条件での退職勧奨が適法でも、下手をすれば不当解雇にもなりかねません。
現実社会でも、不景気やコロナ禍の相次ぐ企業倒産など、余りにも身近で切迫感があり、リアルな描写になっています。
真介は、人の運命を預かる仕事ゆえ、手を抜かず用意周到な面接により、リストラ候補者を希望退職に追い込んでゆきます。当然、恨みを買うことも多々あるし、成果を上げることは相手会社社員のクビの量と同義で、やり切れなさも感じています。
あまり共感を得られないような主人公ですが、不思議な魅力を醸し出しています。血も涙もない冷酷人間ではありません。好きな仕事を続けるためになりふり構わない男との面談で、かつての自分を投影し、何とか救いと願いを持つのでした。
登場人物たちも、家族や生活を抱える生身の人間であり、リストラに怯え苦悩する様子と、葛藤しながらどう折り合いをつけていくかが絶妙に描かれています。首を切る側と切られる側の人間ドラマは、興味深いものがありました。
元々『CHOKER』タイトルで小説新潮に連載、改題し2005年に刊行。同年、山本周五郎賞を受賞。第5作までシリーズ化。チョーカーは、首にピッタリのネックレスだが、"首を絞める"意味もあり、改題した本タイトルも頷けます。