垣根涼介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前半の予想から大外れはしないものの
研修の中身(島の歴史や島民の暮らし)が
割合に重くて、ただの娯楽小説では
なかったのかぁと少し驚いた。
巻末の謝辞によれば小笠原の歴史や自然、
日本への返還前後の話は実際の話を聞きながら
書かれたものとあり、今まで知らなかった
多くの歴史に触れた。
日本への返還と言えば沖縄のことしか
考えが及ばなかったが、小笠原に
激変の時代があったこと、その歴史的背景
を受けての観光産業の在り様、
読み始めの印象とは大きく変わって
考えさせられることが多かった。
セミナー後の登場人物の変化も楽しい。
主人公が語る、今の日本ではどういう生き方だって
自由だ。でもそれと引 -
Posted by ブクログ
いざ下巻。涅槃のポーズで読書しながら、この小説と涅槃の意味を考える。
権謀術数渦巻く戦国の世において、敵味方も日々入れ替わり、時に親族さえも殺める。権力欲と肉欲を持ちながらも、しかし、配下の生活や義理人情を重んじる。こうした生々しい俗世から、どこか浮世離れしていく思考は、死と隣り合わせの日常における「命の軽さ」ゆえか。死ぬ事が当たり前の時代、今よりもっと、人生とは自らを思想的にも世俗的にも「成り上がり」を目指すゲームみたいなものだったのではあるまいか。
こうした戦国時代を生きた宇喜田直家の生涯を著者垣根流に書き上げたのが本作。エンタメ要素は強いが、だからこそ、一層面白い。
世俗を達観した -
Posted by ブクログ
雑誌のインタビューで著者自身が次のように語る。「斎藤道三・松永久秀と並んで悪名高き備前の戦国大名・宇喜多直家の生涯。悪人である宇喜多直家は、言われているほど非道でもなく、むしろとても現代的でモダンだ。いわゆる武将の枠をはみ出す異色の経歴。いち早く戦国の世において武士道的な非合理性より経済合理性を追求するその姿勢。かつて司馬遼太郎の『竜馬がゆく』が無名だった坂本龍馬の位置づけを変えたように、本作は日本史上の宇喜多直家の位置づけを転換させる大胆な解釈を施す」
歴史好きだけではなく、恋愛小説としての読みどころもある第一級のエンタメだと。『信長の原理』や『光秀の定理』で有名な垣根涼介氏。私はこの二作 -
Posted by ブクログ
(下)はもっと駆け抜けた!こんなに疾走感のある小説を読んだのは久しぶり…!
本題に入る前に訂正しておきたいのが、(上)のレビューで才蔵の修行について「ユニークだ」と書いたこと。(上)では彼の成長をワクワクしながら追っていたけど、冷静に考えれば半端なく命懸けである。
深手の傷を負えばまだ良い方で、身体が不自由になったり下手すれば落命することだって充分ありうる。自分ならまず生きて帰ってはこれないだろう。自分に置き換えるのもおかしな話だが…汗
そんな修羅のような特訓メニューを生き延びた彼の戦場での無双っぷりが、物語の疾走感を助長させていた!(それでいてあどけなさのギャップがまた凄まじい笑)
「だ -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったー!
登場人物が魅力的に描かれてるのがまず良かった。主人公の長瀬は器用で何でもそつ無くこなす感じ。でもそんな自分について理解もしてるからたまにちょっと嫌になるという人間らしさもある。
もう1人の主人公とも言える少年、慎一郎も16歳とは思えない冷静さで子供ならではのうるささ、青さみたいなのがほとんど感じられず(彼の生まれ育った境遇によるもの)もしかしたら不自然というかこんな子供いないのかもしれんけど…読んでるぶんには無茶なことしたりせんからイラつかされんで良かった。
ベトナム現地の運転手のビエンや娼婦のメイ、長瀬の友人(と素直に言えるのか分からんくらいには仲良しこよしって感じの関係性で -
Posted by ブクログ
何度も挫折しそうになりながらもようやく読破。なんで挫折しそうになったかというとシンプルに自分の知識量の無さ故…当時の方々は様々な名前を持っていて漢字も読みづらいし誰が誰だかよく分かんなくてついていけなくなる瞬間が何度かあった。
途中から物語の大枠だけ捉えられるように、あまり気にしないことにした(笑)
でも織田信長だけでなく、それぞれの登場人物の心の移り変わりなども事細かに描いていて、読んでいる時は感情的に心が揺れ動き、あとがきを読んでいろいろと納得。
好きだなと思った人は松永久秀。彼と織田との関係が好きだった。もちろん主人公は織田信長なので、自然と信長に肩入れをしていた私…ラストはグッときて静 -
Posted by ブクログ
リーダーとして大事なのは裏切らない、切り捨てない。
そんな事が出来る人がいるだろうか?
裏切られない為に、裏切らない。
見切られないように、切り捨てない。
最終的に自分の利益を追求する人が一番多くて
次が組織の利益
そして、一番最後に他人の利益
つい最近、Yahoo!ニュースで見たのですが、日本人は自分が得をするよりも他人が得をする事が嫌なそうです。
悪く言えば礼儀正しくて意地が悪い民族らしいです・・・
本作品の主人公のリキコバヤシは理想的なリーダーです。
ネガティヴなモノに突き進んでいるため、自分を大切にしていないせいかも知れませんが、部下との約束を大事にしています。部下も大事にしま -
Posted by ブクログ
『君たちに明日はない』第5弾。
リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト』の面接官・村上真介。
『トーキョー・イーストサイド』 老舗化粧品ブランド『コフレ』のエリアマネジャー・まりえ。
大手化学メーカー『ワコウ』に買収され…
『カネボウ』と『花王』かと。
鐘紡自体を知るだけに、なんとも…
結局は学歴は強い、なんだかんだいっても…
やっぱり。
『迷子の王様』 家電メーカー『セネッシュ』のエンジニア・時夫。
『自分が求めているものをつくる。あるいは、誰かが切実に求めているものを作る。そんなものを作る。そして、人に喜ばれる。それが、本当に報われるってことだろう。』
機能が多すぎる、そん