【感想・ネタバレ】信長の原理 上のレビュー

あらすじ

「垣根涼介の時代小説こそ
真に『独創的』という言葉がふさわしい。」
――恩田陸氏

何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのか――。
斯界の絶賛を受けた歴史長編、ついに文庫化!

織田信長は、幼少時から孤独と、満たされぬ怒りを抱えていた。
家督を継ぎ、戦に明け暮れていた信長はある日、奇妙な法則に気づく。
どんなに鍛え上げた兵団でも、働きが鈍る者が必ず出る。その比率は、幼い頃に見た蟻と同じだ。人間も、蟻と同じなのか……と。
信長は周囲の愚かさに苛立ちながらも、軍事・経済の両面で戦国の常識を次々と打破。怒濤の血戦を制してゆく。
不変の“法則”と史実が融合した革新的エンタテインメント!

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Posted by ブクログ

織田信長は早くから働き蟻の定理に気が付いていた。だったら全てを働き蟻にすれば良いと考えるが上手くいかない。今川義元を討った桶狭間の戦いでは皆が決死の覚悟で働き蟻になる事で勝利出来たと考える。さらに思考を進めていく。
信長の内面を検討して実験をしていたとするのが面白い。さらには秀吉がそれに気が付いていたと考え光秀は察する程度と差があったとしているのも、その後を考えるとよく出来ている。

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2023年09月09日

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2:6:2のパレートの法則を信長の天才的な洞察力と組み合わせた、垣根涼介技ありの歴史小説。
天才的な視点と洞察力による発想が常人には理解されない信長と、それらを理解できずに抱く焦燥感と恐怖に苛まれる家臣達とのズレの描写は、筆者は実際にそれらを見て書いたのではないかと思ってしまうほどリアルに感じられた
個人的には、有能であるが故に光秀や秀吉のような飛び抜けた才能がないことも自覚し、生き残るために勝馬に乗るしかないと腹をくくる丹羽長秀には去来するものがあった。
先に発表されている「光秀の定理」を読んでからこちらを読まれるとさらに楽しめると思います。

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2023年07月16日

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262の原理パレートの法則を自軍と蟻の動きにより気付き理解する信長
戦のシーンはほぼ無く、信長の一人称と思考で自身や家臣たちを考察していく進め方がとにかく面白い
彼らの複雑な内面を分かりやすく読ませてくれる

とても分かりやすく信長の考え方や性格、それによる対処を描写していて楽しい

蟻の群れを軍に見立てて思考する信長、そして絶望と対策
一般人にもわかりやすく信長の魅力を伝えている作品だと思う

結末がわかっているからこそ、そこまでを作者がどう導くのかが楽しみで仕方ないです

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2022年12月25日

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当初の質にこだわる厳しさから、蟻を見て気づく原理の厳しさへの変容がストーリーに合わせて進み今までにない面白さ。

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2021年07月01日

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垣根涼介の歴史本にはなぜかどんどん引き込まれてしまう。それは単なく歴史の叙述の域を完全に超えており、人の心に焦点を当て、その結果の行動が我々の持つ歴史上の人物へのイメージに合致するからだろう。下巻に勢いよく没入できること間違いナシ。

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2021年05月05日

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率直に面白かったと思う。
歴史小説として、上巻では桶狭間の合戦描写も良く描かれていた一方、現代ビジネスにも通ずる組織論としてもなるほどと書かれており、興味深く読めた。

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2021年02月26日

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2013年に「光秀の定理」という作品が出ていて、光秀をよりわかるためには信長もよりわかるべきとのことで書かれた作品のようです。私は先にこちらを読んでしまいました。後々、「光秀の定理」を読んだとしたらこれが吉と出るか凶と出るかは不明です。本作、とんでもな面白さです。史実にかなり忠実に描かれているものと思いますが、セリフや心理描写は厳密にいえばフィクションなのだと思いますが、それにしてもこの面白さは凄い。戦国時代そのものを理解することでより誰もが知っている史実が変わってみえてきます。やはり時代をわかるということが非常に大事なんだと改めて思い知らされました。何度も言いますが、これ凄い作品です。

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2021年02月07日

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面白くてぐいぐい読める。

ちゃんと道三が父子二代であることなど
最新の説を踏まえてあるだけでなく、
信長は、きっとこう考えたであろうという
仮説をうちたてていて、面白い。
後半が楽しみ

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2020年09月29日

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一般的に言われているところの信長の長所短所はそのまま採用したうえで、配下の行動原理として2-6-2の法則を持ち出すとは、そしてそれが信長の逸話と妙にマッチしているところが確かに独創的です。
良く知られている戰や出来事の扱いがさらりとしているところも良い。下巻が期待できます。

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2025年06月28日

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会社の上司から勧められて『光秀の定理』を読み、今回はその第二弾として本書を購入。
戦国時代を「組織」の切り口で描かれていている一冊。結局は組織として機能した側が勝つ。そのためにリーダーができることは何か。

今回の学びはリーダーの役割は戦略を自分が立てること。具体的な戦術については、自分が完璧だとは思わずに皆んなに議論をさせた上で判断すること。2・6・2の法則は根拠は分からないけど確かにあるからこそ、下の20%の底上げすることで当たり前の水準を引き上げることが大事だということ。最後に、自然の摂理に逆らわないこと。

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2025年04月30日

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一気読みできてしまう歴史小説という触れ込みを見て手に取ってみました。確かにその通りだった上巻は、織田信長の幼少期から京都にのぼるあたりまでのストーリーでした。
どこからどこまでがフィクションかわからないくらい、織田信長という人物について深く考え、その視点になってみると、きっとこの通りだったのではと思えてきて、おもしろい!
歴史上の著名人もたくさん登場しますが、史実とされているそれぞれのその後を知っているだけに今後の展開が気になるところ。個人的には柴田勝家の心理描写や、帰蝶と信長のやりとりなどが読み応えありました。
現代リーダーシップやマネジメントにつながる話も多く、現役の管理職をされている方にも刺さるかもです。

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2025年01月20日

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織田家の尾張統一から姉川の戦いまでの話。

歴史小説の中ではかなり読みやすい。

信長の心情を細かく描いており、本当にこんな風に思っていたのかもと感じることができる。

歴史の流れも理解できるので良い。

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2024年03月17日

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戦国時代は明智光秀入りの私にとって、織田信長ほどの暴君は他におらん!と恐ろしくなっていたが、この本を読んで、信長も推せると思った笑。いろんな人が登場して訳分からなくなったけど、全体の流れはしっかり伝わってきましたぞ!
心にハッときたフレーズを逐一書き留めているけど、この本に登場する信長のサッパリとした考え方はとても素敵だったし、たわけモードの信長の心情にとても共感できて、記録が膨大な量と化してしまった。下巻も楽しみ!

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2024年02月21日

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ネタバレ

2:6:2の割合。どんなに優秀な兵を登用しても2割が懸命に働き、6割が流される日和見、残り2割は逃げ出す。
信長少年が幼い頃に観察した蟻の働きと全く同じ、、、。何故だ?孤独と怒りを抱えながら、家臣に疎まれ、自身の思いを理解されず苛立ちながらも独特の思想と思考が徐々に家臣からも一目置かれる存在に。
事の任せ方、意思決定のための情報収集など今に通ずる話題が盛り沢山。

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2023年09月07日

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明智光秀は好きな武将なので、『光秀の定理』からの流れで読み始めた。

『定理』では信長は、光秀でさえ分からなかったベイズ推定を、たちどころに理解してしまうほど合理的な人物として描かれている。(『信長の原理』は『定理』と同じ時間軸なのだろうか。)
信長の父、信秀は彼を評して「心が渇いている」と述べていた。思うにその渇きとは、孤独な、寄る辺なき「個人」の、人を動かす「原理」を求める強い衝動のことではないかと思った。

信長は退屈に任せ蟻を観察するうち、懸命に働く蟻と中途半端に働く蟻、そして働かない蟻が、2:6:2の割合で存在するという、現代で云う「パレートの法則」を掴む。約すと1:3:1。同じ割合だけど後々効いてきそう。

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2022年07月21日

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弱い尾張兵を強くするべく次男坊・三男坊を中心に馬廻り衆を作る信長。経済感覚に優れ、楽市・楽座や農閑期に拘らなくて良い常備軍の設置、土地の管理を請け負い、代わりに扶持を与えることで豪族を家臣化する、身分に拘らない人材登用など新しい制度を創造するが、あるとき人間を含めた生き物は2対6対2の割合で働く者、それに追随する者、働かない者がおり、働く者だけを残してもこの割合は変わらず新たな働かない者が出てくることに気づく。

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2022年04月01日

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歴史の流れとしては至って通説に沿ってる。
働き蟻の割合に気がついていた信長がいかにしてこれを打破できるかを考え続ける話。
上巻は明智光秀・松永久秀登場にて終わり。今後展開するのか。下巻が楽しみ。

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2021年11月14日

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ネタバレ

歴史に興味があるわけではないけど垣根涼介作品なので読んだ。
信長ならではの人を評価する基準がだんだんと浸透していくところ、お互いの腹を探り合っているところが読んでいて面白かった。
まぁ、弟を殺めたり、平等院鳳凰堂焼き討ちにしたりする行動は、心情描写をいくら加えても、わからないけど。

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2021年05月30日

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これは組織論、状況適合理論、動機付け理論などが詰まった時代小説というよりビジネス書という感じ。
信長の飽くなき探究心は、帰蝶に言わせれば「地獄者」...。ではいざ下巻へ。

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2021年05月19日

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織田信長の憂鬱、と最近読み直しているラノベタイトルに倣って言い換えても良いのではないかと思う。

己の才覚に振り回され、周りの理解を得られずも、突き進んでは実績を上げていく信長の苛烈な為人と、それでも原理を見つける冷静な観察眼の対比が面白い。

ここで出てくる原理は、現代ではパレートの法則、あるいは働き蟻の法則(2:6:2の法則)と呼ばれるものだ。効率的に人を支配するのにどうすればいいか、それを考え続けた信長の発見が戦国の世を動かしていく。

木下藤吉郎、明智光秀という諸将も現れ、物語は下巻へ。

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2021年04月20日

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信長の視点、思考って、「蟻」なんだ。
史実かどうかよりも、着眼点が面白いと感じた。
信長の嗜好がそのまま視点や思考につながっていて、納得できた。

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2021年03月02日

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信長の性格を知性と暴虐によって構築されている。新しい信長像。
蟻を観察して怠けているのは何故か、答えを必要以上に考え帰蝶にも相談する。正妻を尊敬している面もあり威厳より生身の人間を際立たせてる場面もありこの人の書く信長像は好きだなぁと思う。

スピード感もないのでか読み終わるのに時間がかかった。

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2020年11月25日

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光秀の定理が面白かったので本書の文庫化を心待ちにしておりました!

本作は働く蟻とサボる蟻について考える信長という形に整えられております。

前半は幼少期から浅井長政の裏切りまでの話!

印象的だったのは柴田勝家達を許す信長
光秀の大抜擢
松永久秀への信頼などの描き方が良かったと思います。

取り敢えず下巻も楽しみ!


因みに信長のやっている事は少年ジャンプの連載陣を決めるやり方と一緒だと思った!

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2020年10月25日

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歴史小説にしては、とっつきやすく、読みやすい。展開も早く、戦闘シーンよりは、登場人物たちの心理描写が細かくて、面白い。

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2020年10月23日

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戦国時代の作品は好きな部類なので興味深く面白く読める。
一人の人物が、書き手の見方によって如何様にでも変わってしまう。
どれが正しいのかは分からない。だから楽しい。
下巻に期待が膨らむ。

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2020年10月05日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読み始めた。
二・六・二もしくは二・八のパレートの話に自然に気がついた信長がそれを家臣の統率にどう活かしたものかと逡巡するまで。

司馬遼太郎もので元亀天正の史実(に近いもの)は一通り頭に入っていたつもりだけど、本作では信長の頭の中が記述の中心なので、飽きずに読めた。

下巻が楽しみだ。

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2024年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

垣根涼介先生のことだから知りながらもテンプレ
信長像で作品を展開する
多くの小説がそうであるように、謎の行動に対し
個別の理由を叙述して合理的説明があると快感で
ありソレが有名な信長となれば大好物であります

社会心理学的に有名だと思うのですが、蟻の集団
で働く個体と怠ける個体が一定であるという法則
部下の兵士としての練度を高め最強の側近を造る
ため熱心に取り組んだものの一定の割合は最初か
ら本気を出さない・・・蟻と同じだ
信長はこれに気が付き探求心に火が付くのですが
その様をもって信長君の性格を強調して、あとは
歴史的事実の背景を合理的に説明しようとするの
だと予想します(後半が楽しみ)

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

「働き蟻の法則」に頭を悩ませる信長。蟻の大群を相手にした〝実験〟がちょっと滑稽。お決まりの合戦シーンは少なめで、しかもサラッと描かれているのが良い。読むのはあの大傑作「ワイルド・ソウル」以来の垣根作品、時代小説も悪くないと思いつつ下巻へ。

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2020年11月15日

Posted by ブクログ

(上下巻共通)
信長に社会学的視点とキレやすい性格と理性的な性格を持たせてみた話。
各人物の行動はその通りなんだけど、思考に独自性がありますね。
途中そこまで法則通りになるのかなぁと思わないこともないけど、あり得そうな気もするのが作者の力でしょうか。
最終盤の展開が幾分強引に感じないでもないですが、それは登場人物がそれぞれ歳を取ってそれなりに思考がかたくなになってしまったんだろうということで。

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2020年11月01日

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