垣根涼介のレビュー一覧
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信長の原理も気になっていましたが、
上下巻ということもあり、
まずは先に発刊されていたこちらをと手に取りました。
結果…とても面白かったです。
なんですか、これは…!
読み進めていく中で、
「最後の最後まで面白いじゃないか…!嬉泣」
という一言が思わず。苦笑
最初は、愚息と新九郎がメインで、
光秀はいつ登場して活躍するんだろうかと思っていたら。
光秀の人柄、周囲の人物、時代背景、
途中から光秀がどんどん走り始めます。
だけど、やはり愚息と新九郎が魅力的で。
その二人と光秀の友情というか、縁というか。
最後の最後まで全部が楽しかったです。
信長目線の「信長の原理」も読まなくてはです。 -
Posted by ブクログ
鎌倉幕府倒幕と室町幕府創設の立役者となった足利尊氏の生き様を描く歴史大作。
物語は尊氏の少年時代から病死までの一代記で、弟の直義と執事の高師直の視点で交互に描かれる。
第169回直木賞受賞作品。
◇
北条宗家の有力御家人である足利家。だがその庶子に過ぎない又太郎と次三郎は、家中で誰にも期待されないし、自らも多くを望まないという日々を送っていた。
足利家の執事を務める高家の次期当主である師直も、又太郎たち兄弟が日の目を見ることはないように思っていた。
実際、次三郎から見ても兄の又太郎は学問や武芸に励むでもなく日がな波打ち際で遊ぶことを好み、野心どころか前途を悲観 -
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歴史小説ではなく現代小説。
2023年10月読了。
「歴史小説」に於いて、これ程有名で王道のテーマであるのに、現代の日本人に“今、此処に在る私達が考えるべき問題”として直接突き付ける「現代小説」として書き切った、著者の筆力と発想の奇抜さ、そして論理構成の巧みさに、心からの拍手を送りたい。
小説内の人物は(架空であるにせよ)、意図的に「現代の言葉」で語っている。それは「ある一時代の歴史」ではなく「普遍的な真理」について、有る者を糾弾し、また別の者を弁護しているからだ。そしてそれらは、決して小説内ではなく、恐ろしい程の精度で読者、即ち”読んでいる私達“へと向けられているからなのだ。
未読の方には、篠田節子氏の簡潔にして -
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「涅槃」に続き読み応えたっぷり
の歴史大作。
登場人物が多彩でしかも刻々と局面が転換していく時代を、作者の切り口で克明に語る物語に圧倒された。これまでモヤモヤしていた場面も納得出来たところがか多く作者の洞察力にただただ敬服。直木賞受賞も納得。 -
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2:6:2のパレートの法則を信長の天才的な洞察力と組み合わせた、垣根涼介技ありの歴史小説。
天才的な視点と洞察力による発想が常人には理解されない信長と、それらを理解できずに抱く焦燥感と恐怖に苛まれる家臣達とのズレの描写は、筆者は実際にそれらを見て書いたのではないかと思ってしまうほどリアルに感じられた。
個人的には、有能であるが故に光秀や秀吉のような飛び抜けた才能がないことも自覚し、生き残るために勝馬に乗るしかないと腹をくくる丹羽長秀には去来するものがあった。
先に発表されている「光秀の定理」を読んでからこちらを読まれるとさらに楽しめると思います。