垣根涼介のレビュー一覧
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上下巻の作品って上巻がピークで下巻はそこまで……っていう経験が何度かあるのですが、この作品は上巻の勢いのまま最後まで読めた。
最後まで、この人死んじゃう?生き延びる?捕まる?逃げ通す?これが最後の別れ?また会える?とハラハラしながら読み進められました。
あくまでも作品の主役は復讐する側なので、キレものの警察が登場するのがだいぶ後半って言うのも面白かった。
事件をどう解決するか、はサイドストーリーで事件を通して何を伝えるか、が重要だった。
個人的にはケイ目線の世界も見てみたかったなあ。
衛藤のことや自分の境遇のこと、どう受け止めて生きてきたんだろう。
でもあの飄々としたケイのおかげで、テン -
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ネタバレ3.5
渋谷でファイトパーティーを開くストリートギャング雅のトップ、アキとカオル。裏カジノから強奪された大金を巡って、2つのヤクザ、裏金強奪のプロ柿沢達との4つ巴の攻防を描いたハードボイルド。カオルの生い立ちも面白い。官僚の次男だが、独学を選び大検へ。自分で考えることの大切さ。アキも含め、どのグループでも各々の思惑が蠢き垣根小説らしく面白い。最終的に、アキとカオルは他の3つのグループをやり合わせ難を逃れたが、柿沢らとの力の差も。アキを誘うシーンも良い。欲望と焦燥が都市で熱を持つヒートアイランド。
解説の大沢在昌曰く大藪春彦の後継者だろうとのこと。 -
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初めての垣根さん作品。
ハードボイルドでスリル満点の面白い一冊だった。
宝飾を取り扱う会社の社長から、孫で跡取りの少年・慎一郎の卒業旅行に添乗して欲しいと頼まれた旅行会社営業マンの主人公・長瀬。行き先はベトナムのサイゴン。
4年前に新拠点の下見にベトナムへ出かけた慎一郎の父親が失踪していた。サイゴンの市場を映したドキュメンタリー番組で父親を見つけた慎一郎は、父親を探し出し日本に連れ戻したいと思っていた。
長瀬の悪友・源内と3人でサイゴンに乗り込み、現地で運転手役のビエンとガイド役のメイを仲間にし父親の足跡を追うが、予想外の危険が待ち受けていた。
遂に再会できた父子。
父親はベトナムの地 -
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垣根さんって物語を練って、そして魅せていく天才なのかなと思っている。ワイルド・ソウルも、午前三時のルースターもそうだけど、話の種を蒔いてそれを成長させ、盛り上がりをつくる。そして何をおしてもクライマックス以後が秀逸なのだ。つくりがうますぎて叫びだしたくなる(実際に叫んだ)。
主観的な話をすれば、この人の本は長編なのにだれないのだ。テンポがよくて話がぐいぐい進む。リーダビリティ溢れるので途中で息継ぎせずにクライマックスに入れる。クライマックスに入ってしまうと息つくひまもないので気づいたら終わっている。話がまとまっていて面白いのでそのスピードで読むと疾走感があり、読後の爽快感もすさまじい。
あえ