【感想・ネタバレ】ワイルド・ソウル(上)のレビュー

あらすじ

その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。

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Posted by ブクログ

戦後間もなく始まった移民政策。
しかしそれは移民とは名ばかりの口減らしの棄民政策だった。国家に裏切られ絶望のまま異国の土に還っていった家族や仲間のために、過去への復讐が始まる。

上巻は移民した当時の話で、絶望的な状況を必至で生き抜こうとする人々が描かれており、政府への怒りと犯人への共感を覚える。

下巻は恋愛あり、アクションありのエンターテイメント色が強い。ケイと貴子の掛け合いも笑える。

復讐劇なのだがケイの能天気なキャラクターもあり読後感は爽快で、万人に勧められる作品だ。

ただ前作も感じたが、やはり車などのマニアックな描写は人を選びそうだ。私はもうちょっとタイトにしてほしかった。

まあ、そんなことはどうでも良いくらい文句無しに面白かった。

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2025年11月19日

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日本政府に"騙され棄てられた"戦後ブラジル移民1世・2世の衛藤、ケイ、松尾。彼らの復讐にテレビ局ディレクターの貴子、警察の岩永らが絡み合い、壮大なスケールの物語となっている。最初は少し重苦しかったけど、途中から一気読み。素晴らしい本でした。

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2025年09月28日

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ブラジルに移民した人達がこのような悲惨な生活をしていたと知って心が痛んだ。どれほど、後悔したことでしょう。こういう事実を知るきっかけとなりました。

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2025年02月25日

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ホラーでいう「ひとこわ(人間の仕業だったのかよ...)」に入るんじゃないだろうか。
人間がする所業には思えない。
フィクションであれ、似たような事が実際起きただなんてものすごく衝撃的だった。
愛も恨みも遺伝していく怖さも学んだ。
だれも恨まずに生きていくのが理想だけれど、もし私がケイ達の環境におかれたらどうなってしまうのだろうか。
私の今の環境が恵まれたものなんだと改めて感じた。

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2024年10月23日

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昔の移民政策の当事者達の復讐劇のお話。移民後の政府の説明とかけ離れた現地での惨状から始まり、時間は経ち、日本での当時の政府関係者達への報復へと移り変わっていく。
章ごとに視点が切り替わり、登場人物それぞれにストーリーがあり、皆んな何かを抱えており、全員に魅力を感じた。
前半では、移民後の凄惨な実態が語られ、日本政府へ憤りを覚え、衛藤達の報復を自然と応援したくなる気持ちになっていた。
とにかく後半の計画の実行になってからは、疾走感が心地よく、読み手を飽きさせない。
最後は、とても綺麗な終わり方で、ドラマの終わりを観ているような感覚…!
出会えて良かったと思える一冊でした。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

「君たちに明日はない」に続いて、垣根涼介作品を読む。

前半の棄民政策時代の話は読んでいて辛い。
時代と場所が現代(に近い)日本に移ってからのスリリングな展開との対比が際立つ。

外務省関係者が本作を読むとどういう感想を持つのか大いに気になるところ。

下巻が楽しみだ。

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2023年12月16日

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劣悪な環境でも毅然とした態度で生き延びようとする登場人物に尊敬の念を抱いた。今生きている環境は当たり前じゃないと親に散々言われてきたが、この本を読んでそれを痛感した。
外務省の人でなしな仕打ちに対して反逆を目論む主人公たちを自然と応援している自分がいた。下巻も楽しみだ。

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2023年09月23日

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戦争も戦後の混乱も知らない世代だけど、凄く引き込まれる。ブラジル、コロンビア・・・と、グーグルマップで知らない土地を彷徨いながら、どっぷりストーリーにのめり込んでた。(^_^)v

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2023年04月29日

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タイトル通り、大きな裏切りや悲しみにあいながらも己の魂の火をたぎらせ続け、苦境に立ち向かっていく姿は読んでいて熱くなる。
人間1人というのはとてつもなくちっぽけな存在だけど、だからこそ大きなものに立ち向かってやるという意志の強さがかっこいい。

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2022年12月17日

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アツすぎる。
壮大な映画を一本分観るくらいの面白さがあって、非常に濃厚なテーマとストーリーがある。
著者が書く、登場人物一人一人の心の声やその背景などの表現が好きで読んでいて心を奪われる。
電車の中はもちろん、家に帰っても、気付けばトイレの中にまで持ち込んで隙間時間を見つけては読み進めていた作品。

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

日本史でも、ほとんど日本人の南米移民に関する話題に触れられてこなかった記憶があるが、
それも政府が関わった負の歴史として未だに隠蔽されていることも沢山あるのではないかとおもった。
ワイルド・ソウルはフィクションだけれど、
少なからず似たような経験をされてきた方達が存在すると思うと、自分達の歴史としてもっと深く知っていくべきだと思った。

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2022年10月30日

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戦後、日本政府の募集でブラジルに渡った約4万人の人たちは入植先で極めて過酷な運命に遭った。
上巻の前半では、未開拓の入植先がいかに過酷な環境だったが記される。道路、電気、水道のインフラはなく、土地は酸性で痩せていて、開墾した側から洪水で流される。マラリアなどの伝染病が襲いかかる。
中盤から後半ではそんな過酷な環境をなんとか生き抜いた者たちのある企みが記される。
下巻で何が起こるのか。なんとなく想像はつくがハラハラが止まらない。

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2022年09月19日

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ネタバレ


ブラジルに半ば騙される形で移民して地獄を見た日本人が日本政府に四半世紀ほど経ってから復讐をするというストーリー。フィクションといえども戦前のブラジル移民の事情など事実を元にして書かれていたので勉強になった。そんなひどい移民政策が昔日本で行われてたとは。気になってネットで調べたらドミニカへの移民がまさにこの小説で描かれている地獄に近いんだとわかった。臨場感のある文章が素晴らしい。特に下巻の方で松尾がマリオを助手席に乗せたままFDで狂ったように速度を上げていくシーンは息を呑んだ。小説とは思えないような緊迫感があった。あと語彙力もだいぶ上がった。難しい言葉も多く使われてて勉強になった。しかし、こんだけの長さの話をかけるってすごすぎるなぁと思った。

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2021年02月08日

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多くの現代日本人が知らないであろうブラジル移民の歴史。
その大きな史実を土台に描かれるフィクション。

序盤の100ページだけで1つの作品として成立するであろう濃密かつ重厚なテーマ。

下巻でいよいよ復讐劇が幕を開けるのだが、
おそらく彼らが望む結末には至らないのではなかろうか。

悲しい結末でないことを願いつつ下巻へ。

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2021年01月04日

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戦後日本政府の募集でブラジルに渡った日本人たち。彼らはすでに田畑や家がありお金を稼ぐことができると信じ、未知の地へ発った。しかし入植地は密林で、移民らは病気で次々と命を落とした。

現実にその様なことが起こっていたと考えると、なんとも無念である。
国を信じたのに、国に裏切られる。

それから生き残りの同志たちの、日本政府への復讐劇が始まる。下巻での復讐劇の内容が楽しみ。

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2020年06月06日

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ネタバレ

幼い頃、「何で南米の人なのに日本人みたいな名前なんだろう。。。」と疑問に思い、答えを知らぬまま時が過ぎましたが、この作品を読んで答えがわかりました。歴史は「授業で教えてもらう知識」という認識でしたが、教科書を作る日本政府にとって都合の悪い歴史は授業内容から取り除かれている情報も多い。知る為には自分で疑問を持って調べなければならないことを再認識しました。

まるで官僚による組織犯罪。省庁・政府・国会周りはグレーな印象を抱かせる問題提起が多いです。火のない所に煙は立たないと思うので、一般市民は日々国に対して興味を持ち続けなければならないと思いました。

また大きな組織にいると、他責の念から無意識に他人を傷つけているかもしれない怖さを感じました。今後仕事をする上でも、内向きな視線ではなく広い視野で判断を下していきたいと思います。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

垣根涼介にしてはかなりの長編だし、南米移民の話ということで敬遠してたんだけど、かなりお勧め。めっちゃ面白いです。

最初は戦後の南米移民の話で、かなり悲惨な状況が続くんだけど、その後は現代の話で、垣根涼介らしく、やはりクルマ(今回はRX-7のFDの改造車)が登場し、女子アナと絡んで、とてもセンス良くストーリーが展開していきます。

また、日本の移民政策(棄民政策)については、山崎豊子の「大地の子」がとても良い本で、学校では触れられない日本の恥部を知ることができますが、南米移民も同様な事が行われていたことも日本人として知るべきと思う。
小説から歴史を知るって、たぶん偏っている事が多いだろうけど、それでも学校では教えてくれない部分を知っておくことは必要だと思う。
そういう意味でも、この本はお勧め。
私は、南米移民の人たちの苦労を、今まで知らずに生きてきたことが恥ずかしいです。

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2020年04月16日

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戦後の移民問題がテーマ。全然詳しいことを知らなかったから勉強になった。もちろん、ストーリーも魅力的だ。

暴力的に描かれがちなストーリー展開であるにも関わらず、感情的に暴力を振うシーンはあまり見られず、むしろ理性的で各種配慮ある犯罪シーンに圧倒される。犯罪については法で裁かれるべき行為ではあるものの、犯罪者たちのキャラは憎めない。むしろ、愛嬌がある。

どう完結するのかな。下巻も楽しみ。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

旦那に勧められてたやつやっと読んでみた。
上巻は事を起こす原因の方ー設定がいい。戦後間もないブラジル移民のコミューンを取り扱った社会派サスペンス。
壮絶。この人達がどうなるのか気になって仕方がない。

下巻は本格的な復讐劇だろう。
マフィアのエログロやハードボイルド系はお腹いっぱいだし、サスペンスはあまり好きではないが

この小説には
その復讐劇に至る心理過程に強い衝撃と丁寧な説得力がある。人間の闇と生命力に魅せられ、夜を徹して読んでしまうくらい

印象的だったのは
「白米が食べたい」って言葉…
切実に遺伝子レベルに訴えてきた

棄民の事は詳しくは知らないが事実ではある。ルポや歴史本を読もうと思う。

 こういう人を人と思うわぬ思考停止の政府や官僚にとって今も氷河期世代を打ち捨てるぐらい何とも思ってないでしょうな

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2025年05月07日

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前に読んだ葉真中顕『灼熱』がよかったので南米移民について書かれているという本書を手に取る。

当初思っていたような、戦前の移民ではなく、1960年代の移民の話で驚いた。この時代になっても、棄民政策が取られていたとは。
ただし、南米編はごく最初だけで、あとは現代の東京で外務省に復讐するパートが続く。私としては、ブラジル編がもっと読みたかったのだが。これから長い下巻、どうストーリーが展開していくのだろう。

また、このような本にありがちな、無駄なお色気シーンはあまり要らない。書くとしても、さらっとでいいのでは?

後半へ続く。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

珍しく一気読みした。ブラジルとか南米に移民した人たちが、現地に行ったら条件が全く違ったこの話は実話なんだね。聞いたことはあったけど、まさかここまでだとは。

北朝鮮への帰国事業と変わらないくらい嘘じゃない。しかも、あれは祖国に帰れる人もいたけど、南米行きは、全く関係ない場所だもんね。日本って、つくづく国民を大切にしない国だと思った。

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2022年08月15日

Posted by ブクログ

日本人が昔、開拓して成功する夢を持ちどこかの国へ家族と移住したが、大変な苦労をした。そんな話しは漠然とテレビか何かで聞いた事があった。


まさにそれだった。こんなに酷かったのか、、
フィクションノンフィクション、、線引きが付かない。
でも過酷さは想像を絶するものやったんやろなぁ、、

そこから這い上がった日本人。その後の半生、、
おもしろい。下巻にすぐ移ろう!

このストーリーはフィクションではあるけど、事実起こった事を深掘りしたくなった。でも辛いなぁ。

世の中には知らない事がいっぱいあるなぁ。

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2022年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物がこんがらがってしまったので、軽く読み直した。
外務省の良い事ばかりの謳い文句に騙され、ブラジル入植募集に応募し、海を渡った開拓者達が国に復讐する話。
広い土地を与えられ、土壌の質的に作れないことを伝えられず、野菜は作られていないから、飛ぶように売れると言われ、希望のみを持って行った人達。外務省は全く感知せず、病で死ぬ人、逃げ出しても身を売ってしか生活できず、日々生きるだけ。終いには外務省にパスポートを奪われ、ブラジルで奴隷扱いされていた。

衛藤は妻と弟と来るが、2人に先立たれ、開拓地を後にする。貧しく辛い人生を送り、青果市場で成功する。残った野口家族に開拓地に戻る約束をしていたが、生き残っていたのは息子のケイイチのみ。両親を亡くした子供のケイイチはインディアン化。途中で助けてくれた女性と結婚し、ケイイチを育て、娘のマリアが生まれる。
ケイイチは青果市場を継ぎ、妻と娘は殺される。

山本は貧しく辛い人生の途中の金山で出会い、のち再会する。体には爆弾を抱えている。

松山は開拓地にいた家族の1人で衛藤の後に開拓地を後にするが、移動中の船で海賊に両親を殺され、その半年後にシンジケートのボスに拾われ、養育される。
幼少期、ケイイチと遊んでいた。

この4人で復讐を計画し、下巻でその計画が実行される。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

戦後のブラジル移民計画政策。事実との差がどれ程かわからないが、こんな政策が真面目に行われていたのかと思うと許せない。
最近読んだ、葉真中顕の「灼熱」からこちらの作品を思い出した。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

自分の普段の悩みがちっぽけだと感じた。
ブラジルへの移民の話。過去にそんな過酷な歴史があるとは知らなかった。日本の歴史についても学びたいと思った。前半は辛い話が多かったが、後半は軽快に話が進んだ。結末が気になるので、下も読みたいと思う。

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2021年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ブラジル移民の歴史を題材にした小説。
国ぐるみでいい謳い文句だけで人を集め、悲惨な仕打ちを受けさせられた多くの日本人。
劣悪な環境におかれ、牢人とまで揶揄された移民たち。主人公の衛藤もその1人である。
過酷すぎる惨状に、読んでいても重苦しい気持ちになった。

国がそんなに非道なことをするはずない。そんな考えが全く通用しない役人の無責任さに憤りを覚える。

前半つらい部分が多いが後半からスピード感があり、つながっていく部分も多く、気になって読み進められた。

衛藤、山本、ケイ、松尾。壮絶な背景を持つ者たちがこれから何を起こすのか。

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

知らなかった、ブラジル移民の歴史。日系外国人の発祥。。。衝撃に包まれながら、先が気になり読む手が止まらない。どう着地するの⁈ 下巻へ!

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2020年12月05日

Posted by ブクログ

希望を抱いてブラジル移住に応募した人たちが、日本政府の裏切りで、未開拓の密林に放置された。人口増に対する口減らし政策だったのか。運よく身持ちのよくなった主人公ら数人は、復讐を企てる。著者は現地に入ったのだろうか。綿密に記されている。下巻が楽しみ。2019.2.7

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2019年12月07日

Posted by ブクログ

まだ途中なのでわからないけど、下巻への期待を込めると星4つなのだが、一旦中立の3つにしておきます。
文学というか、言葉の美しさ表現の豊かさというかそういうとこではなく、単にハードボイルドな内容に期待、というとこです。

これに限らずですが、武器の名前が出てくるたびググって調べながら楽しんでます。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

「そもそも眼中にない、やたらと気を遣ってみせるだけが能の鼻毛野郎、その優しさも模造品でしかない。ろくでなし。」

そんなのばかりが、ぐさぐさと刺さった。それぞれの『立場』をろくでもないところから、繊細なところまで、見事に描写している。

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2019年06月25日

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