西條奈加のレビュー一覧
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タイトルに惹かれて購入
おはぎ長屋にそれぞれ暮らす3人の老婆たち
(現代の年齢ではまだまだお若いけれど)
もともと幼なじみの3人の会話劇はテンポも良く心地よい
女三人寄れば姦しいとはこのことかと、口許も弛む。
そんな3人のところに、幼女のお萩が現れるところから
物語は始まる。
口の聞けないお萩。
出生も何も分からない幼女に3人はそれぞれ得意分野を教えながら、共に暮らしていく。
その日々はかけがえがなく、大切な存在へとなっていく。
一方で、お萩がこのままここで暮らしていくことが本当にこの子の幸せなのかと、いつかは離れる時が来るのでは?というほんのりとした寂しさを抱えている様は、現実としてそうであっても、そんなラストは見たくないなぁと思ってしまった。
それでも、目が離せず一気読みしたこの作品。
最後の数行が、素敵だったのでまたもや、口許が弛んでしまった。 -
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六隻の船を抱える廻船問屋の「飛鷹屋」は押しも押されぬ万両店。主人の鳶右衛門の名に因み、子どもらの名にも鳥がついている。
長男の鵜之介、長女のお瀬己(せき)、次女のお日和(ひわ)、三女のお喜路(きじ)、末弟の鷺之介。
皆それぞれ性格も異なるが母親も異なる。
末弟の鷺之介の目下の悩みは姉たちのこと。
伝法で喧嘩っぱやい長女に、おっとりした口調で毒を吐く次女。そして頭は良いが可愛げのない三女。
鷺之介はそんな三姉妹に事あるごとに連れ回され、行く先々で彼女たちの傍若無人な振る舞いに身の縮む思いをしていた──。
姉妹たちをめぐるちょっとした事件があり、終盤は鷺之介の出生にも触れられる。
周囲がどんな風に自分たちを見ているのか重々承知の上であんな態度をとっている
三姉妹たちが いっそ清々しい。
結局、皆 鷺之介が可愛くて可愛くてしかたがなかったということかな。 -
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西條奈加の連作ミステリ作品『無花果の実のなるころに お蔦さんの神楽坂日記』を読みました。
西條奈加の作品は、2年前に読んだ『六花落々』以来ですね。
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お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。
もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者だ。
そんな祖母と僕は神楽坂で暮らしているけれど、幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。
神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する! あたたかな人情と情緒あふれる作品集。
解説=小池啓介
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東京創元社が発行している文芸雑誌『ミステリーズ!』に2008年(平成20年)から2009年(平成21年)に掲載された作品に書き下ろし作品1篇を加え2011年(平成23年)に刊行された作品……お蔦さんの神楽坂日記シリーズの第1作です。
■罪かぶりの夜
■蝉の赤
■無花果の実のなるころに
■酸っぱい遺産
■果てしのない嘘
■シナガワ戦争
■解説 小池啓介
父の転勤に同行せず、神楽坂の祖母と暮らすことを決めた中学2年生の望……包丁も持てない祖母は面倒くさがりで、気が強くて、決して世話好きには見えない、、、
でも「お蔦さん、お蔦さん」と誰からも頼られるような、不思議な吸引力を持っている……そんなお蔦さん目当てに人が集まってくるから望も何かと忙しくて……。
お蔦さんや学校のみんなに振り回されつつも少しずつ成長していく望の、あたたかくて少しだけ波乱のある爽やかな日常……表題作を含む6篇収録の短編集。
神楽坂の穏やかな日常に、小さな歪みがそっと差し込まれる連作ミステリ……事件の余韻が静かに心へ沈む佳篇がそろっていましたね、、、
そんな中で印象に残ったのは、
“蹴とばし魔”として望の幼馴染の洋平が逮捕され、お蔦さんが少年の魂胆を見抜くフーダニット……真相後に望が犯人の心理を思う場面が胸に残り、静かで複雑な余韻が印象的な『罪かぶりの夜』 、
文化祭で傷つけられた絵画の謎を、傷の形状や道具から解く端正なハウダニット……しかし物語はそこで終わらず、絵を描く者の孤独がにじむ意外な結末が読後感を深める『蝉の赤』
お蔦さん不在の中、望たちが拉致された友人を救うため奔走する異色篇……伏線を活かしたアクションが爽快で、望の成長物語としても魅力的な『シナガワ戦争』、
の3篇かな……日常の中に潜む影と、望の揺れる心を丁寧に描いた短篇集でしたね。
本シリーズ、機会があれば、読んでみてもいいかな……望の成長が愉しみですね。 -
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ネタバレ以下、大いにネタバレです。ご注意ください。
「向日葵の少女」
自分のことで頭一杯の人だらけですね。資金援助をするとはいえ、既に結婚した娘に執着して、その家庭のありように口出しする親。事情があるとはいえ、抗うでもなく離婚に応じたりその後会いもしないのは、その程度のご縁だったということだが、子どもの気持ちはどうやら全く顧みていない両親。順風満帆の時しか見ずに、幸せな家族という思い出だけを温めていたその空々しさを、切り裂いたのかもしれない。
そして、子どもの知佐子の気持ちを無視したのは祖父母と両親だけではない。知佐子自身もだ。離婚した当時ならともかく自分の意志で行動できる歳になっても、父親とはコンタクトを取っていない。自分が傷ついたことを絵に託し父親を嫌な気分にさせたところで、可哀そうな子どもからは抜け出せない。子どもの頃にされたことときちんと向き合った方がいい。見捨てられた知佐子ちゃんを助けてあげられるのは、もはや自分だけなのである。だからこそ、お蔦さんは二人を会わせることにしたのだと思う。自分の気持ちを優先した親なので和解なんかしなくていいけれど、子どもの知佐子ちゃんの気持ちは解放してあげて欲しい。
そのあとも、相手に確認したら取り越し苦労だったとか、好意と称して自分勝手に振る舞うことの不愉快さといった話しが続く。人との係わりは、不測の事態が起きたり、利害がぶつかったり、大事に思うことが違ったり、上手くいかないことだらけだ。それでも、それぞれを尊重し向き合えば落としどころはあるかもしれない、と希望が持てる展開だった。 -
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ネタバレ【収録作品】
向日葵の少女
青い鳥
二月に憂鬱な君へ
渦中の人
春の朝(アシタ)
深い緑の部屋
家路
神楽坂で、料理ができない祖母のお蔦さんと料理上手な高校生男子の望が暮らす日々を描くシリーズ第5巻
お蔦さんの気っぷの良さと啖呵が気持ちいいシリーズ。
「向日葵の少女」 切り裂かれた絵を別れた父に渡してほしいという依頼。
「青い鳥」 認知症の老婦人と女子高校生の交流。
「二月に憂鬱な君へ」 不思議な宛名が書かれた便箋に添えられた暗号のような図とメッセージ。
「渦中の人」 不倫で巷を騒がせている有名人の来訪。
「春の朝(アシタ)」 楓の父親である放浪の画家蝉丸こと奉介への思い。
「深い緑の部屋」 ギャラリーストーカーの撃退。
「家路」 鈴木フラワーの央子の結婚話。
ギャラリーストーカーの話については、この間読んだ本にもでてきたし、「ギャラハラ」みたいな言葉にして認知を広めたほうがいい気がする。ほんとに気持ちが悪い。
料理してくれる孫、いいなぁ。 -
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「南星屋」シリーズの3冊目。
親子三代、主の治兵衛に出戻りのお永と孫娘のお君の三人に、流れ者の職人・雲平も居着いたところから始まる7つのお話。
雇い中間として諸国を巡る菓子好きの鹿蔵が絡んだちょっと不穏な話から始まって、どうなることかと思っていたが、続く四話は多少謎めいた作りが目新しいものの、まあ通常運転。
その中では若き石海の寺修行の日を描いた「初恋饅頭」が良かったが、全体的にはいささか薄味。
最後の二話で最初の話の回収に入ったが、悪党たちの立ち回りも話の展開もなんだか間延びした印象。
季節にあわせて作られる和菓子は相変わらずおいしそうだったけどね。
ラストで平戸の河路様の名前が出たが、お君の今後がどうなるのか。
修蔵への心は決まったお永だが、雲平の気持ちはどうなのか。
まだまだ話は落ち着かない。待て、次巻。