西條奈加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私は月村さんの作品のような、バリバリの戦闘シーンが大好きだ。いわゆる血沸き肉躍るってゆうやつ。しかし精神的には興奮するものの、読後の疲れも半端じゃない。
そんな時に西條那加さんの作品を読むと、精神が柔らかく落ち着いてくる。まるで暖かい母親の腕に抱かれているような安心感。今回の烏金もそうだった。内容は結構スリリングな場面もあったのに暖かい。ラストにはびっくりするようなシーンも待っていたのだが、それがまた泣ける。しかも暖かい涙だ。
月村さんの作品で精神が疲弊したら西條さんの作品で心を癒し、そしてまた戦場へ向かうように月村さんへ向かう。これがこのところの読書ルーチンなんだなぁ。 -
Posted by ブクログ
主人公は、かっぱらいから足を洗い商いにせいを出す、捨てられた子供たちの集団の頭、知恵ものの勝平と、諸国を放浪して江戸に戻ってきた、身元引き受け人である武家の次男坊、柾さま。仲間の子供たちの身近で起こる悪事を勝平の知恵と仲間それぞれの特技と、柾さまの大人の脅しで解決していく短編集。悪事を解決していくなかで、柾の放浪の理由が少しづつ明らかになっていき、みえてくる「はむ・はたる」の存在。柾はどのように過去に始末をつけるのか。
勝平を始めとして、さまざまな個性を持った、子供ながらに一本芯の通った仲間たち。厳しいけど、子供思いの婆さまたち、いつも笑顔で優しく子供の味方だけど、時折心の影を見せる柾など