【感想・ネタバレ】無暁(むぎょう)の鈴(りん)のレビュー

あらすじ

家族に疎まれ寒村の寺に預けられた武家の庶子・行之助は、手ひどい裏切りにあって村を捨てた。絶望から“無暁”と名を変え、ひょんなことから一緒になった万吉と江戸に向かう。悶着をきっかけにやくざの用心棒になった無暁と万吉――波瀾万丈の人生が始まる。信じるものを見失った無暁が、最後にたどり着く圧倒的な境地とは? 傑作が待望の文庫化!!

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Posted by ブクログ

分厚いので身構えたけど3日で終えた。いやあ重い終わり方だった、無暁の半生だけど簡単ではない、とても真似出来ない正解とも思えない、ただ無暁が自分から選んだという事実だけである。即仏心の事は知っているけど千日行がその為のものとは知らなかった。その先にあるのが即仏心で、その為に修行に耐えることが出来るのか?蓋を閉める暗闇で鈴を鳴らす、嫌だ死にたくないが本心だった、いやそうなるよ、干物の様に海水掛けられて。小坊主3年から江戸の生活に末吉にしのに、島生活に、繋がるのかと、辛い。見て来た様に書く西條奈加さんは流石

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2023年10月23日

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生とは何か、
死とは何か、
信仰とは何か、
真摯に向き合う無暁の姿は、時として読み手である自分に跳ね返る。

ーお前はどうなのだ?
と。
人生に迷いを感じている時だったので、問答するように読む。

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2022年11月15日

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人に支えられて育ち、島流しの経験も経て支える立場になってからは円満な終焉が読めるのかと思っていたけれど、最も厳しい事を自らに課す主人公。
飽くことなく読んでしまいました。

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2021年07月31日

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生きることの苦しさ、死ぬ事の辛さ、どちらも地獄だとしたら、人間はそこから何を選ぶのだろう。重い内容だった。読み続けるのも苦しかったが、読まずには居れなかった。作者の無暁との道行を想像しながら、自分もいつか死を前にして抗うのかと思ったりする。無為に生き続ける事は出来ないと思った。

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2021年07月08日

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戸田家の庶子として生まれた垂水行之助は、あまりの利発さが災いしてか、義母と義兄から疎まれる。
行之助は我慢ができず、義母と義兄に暴力を振るったため、小菅村の西菅寺に預けられた。
住職から久斎と云う名を与えられ、小坊主として修行して13歳を迎えていた。
武家の出ということから兄僧から辛く当たられていたが、早朝に出掛ける水汲みの先で、村の娘のしのに会うことが唯一の楽しみだった。
しのの父親が亡くなり、葬儀代の代わりとしてしのは住職から陵辱され、それを苦に崖から身を投げて命を絶った。
絶望感に苛まれた久斎は寺を飛び出し、目的のない放浪者となる。
「もう自分の人生にもう朝は来ない」と考えた久斎は、無暁と名乗ることにする。
そんな時に同じ歳の放浪者の兵吉と出会い、二人して江戸に向かう。

二人は気が合い、運良く吉原でやくざ者として生計を立てることになる。
自分たちの今後に何となく見通しを立てることができるようになったころ、敵対する組との諍いで兵吉が命を落とす。
その意趣返しで無暁は人を殺め、八丈島へ島流しとなる。
無暁は一生を八丈島で終える覚悟を持っていたのだが、反目していた父親の力で恩赦が与えられ20数年振で江戸へ戻ることができた。
江戸に戻ってからの無暁は、世のため人の為になる僧を目指しての修行に入る。
無暁が寺から逃げ出して以来、どれ程の人たちに救われてきたのかを常に心に抱いている無暁は、何が人を口から救うことができるのかとの答えを求めての修行の過酷さが綴られている。

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2025年05月12日

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遠島・流刑という言葉は日本史の授業で習いましたが、実際に流された罪人たちが配流先でどうやって生活していたのかまでは知らなかったのでまずそこに驚き、さらに後半は修験者が即身成仏に至る過程にも驚き…と、驚きの連続でした。ただ、内容が非常に重く…この前読んだ『バタン島漂流記』も相当重かったですが、こちらの方がさらに重かったです。

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2025年03月02日

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著者の時代小説はやはり独特である。江戸時代後期の武家の庶子が主人公で、その波瀾万丈の一生を描いている。主人公に肩入れして、状況の好転を望む気持ちが出てくるが、まったく想像しない方向に向かっていく驚きがある。当時の仏教界についてよく理解できるが、晩年はシリアスで宗教色も強くなる。かなり重い小説だ。

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2025年02月16日

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挫折に次ぐ挫折で、最後は1000日回峰を達成し上人となったが、更なる高みを目指して即身仏となった無暁の物語。全編を通して重い内容が続く。
宇都宮藩の重役の家に庶子として生まれ、本妻と兄弟に虐められ、10歳で寺に預けられる。寺でも武家と覚えの良いので、先輩達から虐められ、13歳で出奔する。この時、無暁と名乗る。同い年の友達ができて、二人で江戸へ。ひょんなことから二人でヤクザの家に厄介となる。この友人が無暁を助けた事で殺され、仇討ちで多勢を殺し八丈島に島流し。艱難辛苦の島暮らし。更生した事で亡き父親の手配りで20年間の島暮らしを脱する。
多勢の亡くなった人々を弔いながら、出羽三山での修験道。50歳の無暁には肉体的にも厳しい修行で辛い。
何故修行するのか、何が真理なのか、即身仏となるため入定塚の中で、今だに生きている証の鈴の音が鳴り響く。最後に生きることに未練が出て苦しむ無暁が悲しい。

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2024年06月16日

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重い。それでも、このような人生があったのだなと思える。江戸時代の江戸以外の様子が描かれている。八丈島への島流し、そこでの生活など考えたこともなかった。最後の鈴の音(ね)。文字よりも耳に残った。

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2024年04月15日

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 裏表紙のあらすじからは、破戒僧のピカレスクロマンのようにも見えるが、ピカレスクロマンではなく、単純な仏教小説でもない。
主人公が、社会の不条理に翻弄され、社会の不条理と向き合い、せめて人々の心の救済を求めていく物語。あえていえば、江戸時代の仏教をテーマにした「罪と罰」か?ちょっと違うけど。

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2025年12月07日

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ネタバレ

主人公無暁の波瀾万丈の人生。激しい浮き沈みの中で、彼の心の中には、現実に反発する一方、人生への諦めを感じる。
厳しい人生の中、弱い者への温かい視線を感じる。
退廃した宗教に失望しつつ、もう一度、自分の身を削って信仰に身を捧げる求道者の姿を見た。
江戸時代の八丈島の暮らしや、出羽国の山伏や即身是仏といったなかなか知ることのできない史実も、とても興味深いものだった。

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2022年09月24日

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武士の息子から寺の小坊主
出奔して江戸でヤクザ
罪を犯して八丈島へ流刑

その後、主人公が選んだ道は・・・

とにかく重くつらい内容
己を見つめ仏の道に進むには
あまりにも純粋な主人公が最後に選んだ道が
凄まじく厳しく心を打たれます

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2022年05月30日

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良かったかな・・・主人公の一生の話でした。そうか、行き着くところはそこだったのかとちょっと驚くような展開ではあったけど、そういう生き方もありかと思った。
出会いに焦点があったような内容だと思った。

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2022年05月04日

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202104/重くて苦しかったけど、ページをめくる手が止められなかった。死生観、人生観。正解がない問いを突き付けられたようで読後も思考がぐるぐる…西條奈加じゃなかったら読むことはない系統の作品だった。

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2021年06月08日

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滑稽な部分の無い厳しいお話だった。
常に周囲から疎まれ続けた幼少期〜寺での生活、欲まみれの住職への幻滅、ただただ胸苦しく読み進めた。友と出会い江戸で生きた期間は、任侠時代劇のようでスピード感に溢れていた。そしてお決まりのように容赦なく大切な人たちと死別する。
島送りとなり、この人の人生は何なのだろうと一時読むのが辛くなるのだけれど、不思議と止められなくなり、常に助けてくれたり見守ってくれたりする人がいることに救われる。
出羽での修行時代に出会う人たちも懐が深い。弟子となった二人との短い間の生活が最も微笑ましかった。
著者さんの他作品にもたびたび見られる善人と悪人との境目を考えさせられたり、自死と入定の違いは?宗教とは?信仰とは?様々な問いが浮かぶ。
重いけれど、読んで良かったとは思う。

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2021年06月04日

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行之助は家族に恵まれず、久斎として暮らした寺にも裏切られた。飛び出した先で出会った万吉には無暁と名乗り江戸をめざす。
しまい込んでいた感情が表に出るのは気持ちが破裂した時だとは、一体どれだけ我慢してきたのだろう。それでも彼は考えている。何かを見つけようと考え続けている。自分に鞭打つような暮らしの中で何かを求めて。
求め続けたその先で何かを見つけられたのだろうか。

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2021年05月11日

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苦しい。こんなに苦しく重い作品だと思わず読んでしまったので、奈加さんの作品にしては時間がかかってしまいました。
あえて苦しい道を行き、自分の探してるものは何なのかを追い求める人生。波乱万丈過ぎて、現代の私から見たら想像を絶します。人生観を突き詰めるとはこういうことなのかと。うまく言葉にできません。
江戸時代の飢饉がすごかったとは知っていても、詳しくは知らなかったので、この作品でわかってよかった。あと、島流し先の島民の生活も。

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2021年05月05日

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西條さんのお話にはいつも懸命に生きていく人達がいる。その力強さと輝きが眩しくとも気持ちいい。
寺に預けられた子供の一生。月間誌に連載されていたらしいのでもしかすると連載期間が決まっていたのかもしれない。一生を描くには少し短いようにも思えたが、夢中で読んでしまったと言う事なんだろうと思う。

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2021年04月22日

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武家の妾腹の子として産まれた行之助は父の正妻や兄弟から疎まれ西菅寺に入れられるが、寺でも物覚えの良さを疎まれ、また尊敬の念を持っていた住職が実は集落からお金を搾り取り、また不義を働いていたことを知り出奔する。
名前を無曉と変え江戸に向かった行之助はやくざの世話になるとこになったが、抗争に巻き込まれ人殺しの咎で八丈島に流される。数十年の時を経て赦免された行之助は厳しい修行に耐え、最終的には即身仏になろうとする。波瀾万丈の男の一生を描く長編小説。

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2025年05月14日

Posted by ブクログ

西條さんの作品にしては予想以上に重い内容でした。
八丈島の流人生活を具体的に長期間にわたって描いている小説を初めてだったのでかなり興味深く読みましたが、最後は本当に即身仏まで突き進んでしまうとは、、

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

妾腹の子として生まれた故に、寺に出され、でもどこに行っても冷たい目で見られる無暁。
たった一人心とゆるし姉のように慕うしのが、自害するのを助けられず、その後兄弟のように過ごした万吉を失い、殺人を犯し島流しに・・・
そこで人々の悲しみを知り、暖かい心を知り・・・
最後には人々を救うために究極の道を選び、即身仏へと・・・

激しい人生

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2021年08月01日

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