西條奈加のレビュー一覧

  • 千年鬼

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    泣けた、、、1000年の間思い続ける小鬼の願いが届けられる。
    女の子と小鬼の物語が短編で綴られる一冊。

    人が鬼と化すのを1000年ずっと見守って、鬼にならないようにひたすら守り続ける小鬼の姿が、健気でどうしようもなく心奪われます。

    女の子は人。
    何度も生まれ変わり、場所を変え、人を変え、鬼になりかける子どもを、ずーっと見守る小鬼。

    とにかく。泣けます。

    もうなんというか。泣けます。

    切なくて、真っ直ぐで、綺麗な心の鬼に。やられます。むしろ、わたしの方が鬼と呼ぶにふさわしいくらいに邪気があるのでは。と、思わずにいられない鬼の姿に心が打たれます。

    短編、読みやすいファンタジー?なのかな

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    2021年11月20日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

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    2009年刊行の『恋細工』を2011年に文庫化したものを、直木賞受賞で、改題の上再刊

    江戸の錺職(金銀細工工房)椋屋の四代目親方が早世し、「次の親方を3年後に義妹で三代目の娘お凜が決めること」という遺言を残し、「平戸」という線細工の技術を持つ時蔵を入れる。孤高の時蔵は他の職人と折り合いが悪くトラブルが続くが、お凜は平戸の技術を真似いくうちに時蔵に惹かれる。
    しかし、水野忠邦の天保の改革によって奢侈として金銀細工は禁じられて、工房は危機に立たされるが、販売を担当する同族の生駒屋から、密かに千両で錺神輿の製作が依頼され、工房は一つになって取り組む。生駒屋の政界工作で神田祭で神輿が披露されると民衆

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    2021年11月18日
  • 銀杏手ならい

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    純粋に学ぶことの意味を考えさせられる作品。
    学ぶことを通して大人も子供も成長してゆく様子が素晴らしい。
    やらされる勉強は嫌だけど、目的があれはモチベーションが全く変わるのは昔も今も同じです。

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    2021年11月03日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    せき越えぬ/氷目付/涼暮れ撫子/
    相撲始末/瓦の州/関を越える者

    武藤一之介 武一と呼ばれる彼は、文より武が得意。柔らかなその頭で考えながら物事に対処していく。相手の地位を横において人として付き合う姿勢には好感しかない。
    彼は友の難題にどんな対応をしていくのか……清々しくて嬉しくなった ふふふ

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    2021年11月01日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    箱根の関所。

    改めて、どうして? ここまで厳しくしなくればならなかったのか、初めて意識しましたね。

    歴史だけではわからないこともあるなぁとしみじみ。

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    2021年10月24日
  • 刑罰0号

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    面白かったー!!!この方法は効果がありそうな気がする。できたら、頭の中で傷みも伴うようになればさらに期待できるんじゃないだろうか。

    イマイチな犯罪者には隔週で色々受けさせるのも良さそう。

    相手の気持ちを考える。
    被害者遺族の気持ちを埋め込んでもありかなぁ。

    そんなふうに思える一冊でした。

    実際に使えるようになったらなお良さそう。と、思えるほどに画期的なシステムでした。

    この短編でだんだん未来に移って行く描き方も、その後がずーっと繋がってて面白かった!!!!!!

    この著者はいっとき大ハマりしましたが、またハマりそうな予感!!!!

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    2021年10月16日
  • はむ・はたる

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    最年長でも現代の小学六年生〜中学一年生くらい?こんなにも賢く逞しく世を渡っていけるんだろうか、と思ってはいけませんね。

    子どもたちは大人たちが考えているよりずっと賢く、他人の顔色や家庭内の事情を敏感に察します。新事業へのアイデアも豊富!

    彼らと対等に接し、少しだけお手伝いをしてくれる素敵な大人たちの存在がまた良いです。
    これ映画とか連ドラとかアニメになっても良さそう。

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    2021年10月08日
  • 六花落々

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    江戸時代を舞台に、知ることへの欲求に生きる男の物語。
    「何故なに尚七」というニックネームをもつ彼がこの時代にヨーロッパから持ち込まれる先端知識に対して興奮する様子が純粋で良い。
    後半は政治的にきな臭い部分が多くなってきて、この時代には仕方がないこととはいえ、もともとのトーンで終わっても良かったかも。

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    2021年09月26日
  • 銀杏手ならい

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    西條さんの作品は、史実からのお話よりも今作品のような市井で生きる人々の話の方が好きかもしれない。大人でも悩んで迷って嫉妬して羨んで、でも己を生きる姿が素敵だった。

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    2021年09月22日
  • 三途の川で落しもの

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    現代っ子の男の子、そっちの難しい方で考えるか?と引っかかりつつも、奪衣婆と懸衣翁にぎゅっと掴まれましたね。耳から得た情報が先だと、勝手なイメージで思い込むことはよくやりがちなので共感しました。
    死後の世界へのイメージも、刷り込みが無い子供だったらこんな風にも思っちゃえるんだなと。
    読み進めると少年がその考え方になる理由もちゃんと書いてあって、全部繋がって読後安心出来ました。

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    2021年09月21日
  • 永田町小町バトル

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    永田町でのバトルはあんまりなかったけど、平穏無事を大事にする婚家とか、匿名の隠れ蓑を纏った世間とか、色んなものに向き合いながらもブレずに真っ直ぐ歩くシングルマザーのシビアな現実。

    最低限の生活を護る国の仕組みが依って立つ価値観を再考しなきゃダイバシティは成り立たないな、とストンと納得出来る啓蒙の書でした。

    小町さんもかっこいいけど、菓音ちゃんが最高に素敵です。

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    2021年09月15日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    面白かった。
    猫からみた人間の洞察が面白く、何度かハッとさせられた。短編完結ものかと思ったら、ある意味長編で、展開にドキドキした。
    物語とは関係ないんだが、時雨が根付拵えをして、その実入りだけでたつきをたてていたとの文章にとても惹かれた。何回も声に出して読んだ。私も実入りだけでたつきをたてたいと思い、何をしようか考え中だ。甘ったれているかもしれないけど。

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    2021年09月05日
  • 永田町小町バトル

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    作者の関心の強さが一貫して感じられ、ストーリーよりも知識のインプットの方が多かった印象です。こんな思いを持った政治家が少しでもいれば世の中もっと良くなるんだろうなと純粋に思いました。

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    2021年09月03日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    意外な展開で、最後じんわりしてよかった。雪華の香炉を見れるなら実物をみてみたい。
    「日々の暮らし道具を拵えるのがそれが職人だと宇一がいった。」「技や意匠をいくら精進してもひとりよがりではやさしい品にはならない」「百年にひとりの傑物だ。だからこそ職人にはなりきれねえ。奴には才がありすぎるんだ。」

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    2021年08月31日
  • 曲亭の家

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    『南総里見八犬伝』を著した滝沢馬琴の息子に嫁いだ、お路のお話。『八犬伝』と言えばその昔、薬師丸ひろ子主演の映画で見たり、日本史や国語の年表で見たくらいですが…いやはや、中途失明からの口述筆記という物語があったとは知りませんでいた。ただでさえ扱いづらい夫や姑がいて、子育てや家事全般をこなすのも大変だろうに、しょっちゅう変わる女中の仕込みやら、引越しひとつとっても考えるだけでゲンナリです…。それでもへこたれずに凛と生きる女性を描くのが西條さんは実に上手いですね。

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    2021年08月24日
  • 曲亭の家

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    曲亭馬琴の息子に嫁いだお路、癇癪もちで病がちな夫と口ばかり達者な姑に極め付けの偏屈な舅、女中も居つかない滝沢家で苦労しながら自分の居場所を見つけていく。
    戯作者の苦悩、ことに八犬伝にかける思いも伝わってくる。特に最後の口述筆記のあたりは神気迫る迫力だった。

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    2021年07月24日
  • 上野池之端 鱗や繁盛記

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    料理茶屋とは名ばかりの鱗やに奉公に出たお末。
    持ち前の智恵と芯の強さと優しさで、店を改革使用とする若旦那を助けて、他の奉公人も巻き込んで、店を建て直していく。
    でも、その裏には若旦那の悲しい過去が・・・

    胸がすっとして、希望が見える終わりで、良かった。

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    2021年07月17日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    時代小説の連作短編集。しかも猫が人間を操る“傀儡師”という設定も面白い!
    登場するのは人間に猫にカラス。そしてちょっとした謎解きも楽しめます。

    時代小説初心者さんにも読みやすくて、猫好きにはたまらない設定。
    シリーズ化して欲しい作品でした♪

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    2021年07月17日
  • 永田町小町バトル

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    どうしても説明クサくなってしまうのを差し引いても面白い作品だった。
    子どもは本当に親をよく見ている。これは多分いつの時代も変わらないと思う。親はやっぱりカッコイイと思いたいのだ。

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    2021年07月02日
  • 曲亭の家

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    西條奈加さんの直木賞受賞後第1作。南総里見八犬伝の作者,滝沢馬琴の家に嫁いだ女性・路の物語。日本人で知らない人のない小説誕生の裏にこんな物語があったとは全く知らなかった。こう言うとこに目をつけるのが西條さんらしい。そして江戸時代後期の幕府の迷走ぶりが文芸にも影響を及ぼしていたことに驚き。

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    2021年06月18日