西條奈加のレビュー一覧

  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    傀儡とは
    あやつり人形の意味
    猫町の猫のミスジ(三筋)は
    猫仲間の頭領から
    行方不明になった
    前任の頼松の後任として
    傀儡師を命じられる 
    おっとり長屋の狂言作家の安次郎が傀儡だ
    町での事件?
    猫のミスジの手引きで安二郎は解決していく
    ユキちゃんという女の子の猫が可愛い

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    2022年03月03日
  • 九十九藤

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    季節の名から取った「冬屋」という口入屋を差配する女性・藤の物語。フユ屋と最後まで読んでいたが、最後の解説で「カズラ屋」と読むのがわかった。本のタイトルも「九十九藤:ツヅラフジ」で、文中にも女衒から逃れた時に「葛藤:ツヅラフジ」に行く手を阻まれながら運命的に武士に助けられる。最後のシーンも「藤にからめとられても、自力で這い出す」とフジヅルが象徴的に描かれている。
    主人公が祖母や母の教えを受け、知恵と度胸で成功する物語のようで、実はアツい恋愛物語だった。最後のシーンが良かった。

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    2022年02月21日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    最上徳内とアイヌの人々の歴史小説。
    徳内がアイヌの文化を尊重しながら交流していた姿がえがかれていて良かった。
    蝦夷の厳しい寒さの描写もあり、個人的に寒い雪降る夜に静かに読む本としてピッタリでした。

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    2022年02月01日
  • 雨上がり月霞む夜

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    雨月物語を題材にした物語。
    なるほどーと、面白かった。
    あくまでフィクションなんだけど、つい「本当にこうだったのかな」と
    錯覚してしまうほど。
    「遊戯」が可愛い。

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    2022年01月25日
  • 千年鬼

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    これよかったー。好き。

    千年に渡り、鬼の芽を集める小鬼と黒鬼。なぜそれが必要なのか、徐々に理由がわかってくる。

    最初から引き込まれた。
    人間と出会い、過去世を見せ、最後に鬼の芽を回収する。しばらくそのパターンが繰り返されるけれど、まったく飽きなかった。つらさを抱えた人間の心の危うさにハラハラするし、乗り越えた先の結果に安堵する。小鬼の健気さや、残酷な現実にも心が揺さぶられた。

    後半は、民とのエピソード。展開がいちいちつらい。不憫でならないよ。でも救いはある。嫌じゃない終わり方。

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    2022年01月24日
  • 曲亭の家

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    「南総里見八犬伝」の著者・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路の半生を描いた物語。

    昔、子供向けに優しく現代語訳にされた「南総里見八犬伝」を読ませてもらった私だけど、まさか著者がこんな偏屈&傲慢クソジジィだとは思わなかったな。そして、その作品の完成には息子の嫁であったお路の助けが必要不可欠であったことも知らなかった。滝沢家は嫁ぎ先の家としては最低最悪で、特に前半はどこに良いところがあるのか探すのが難しすぎるくらい。その中でも日々の小さな幸せを見つけ出すお路の逞しさと賢明さには恐れ入った。後世に残る超大作に携えたことは彼女の人生の大きな誇りになるかもしれないけれど、それはその時にはまだ分からなか

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    2022年01月21日
  • 刑罰0号

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    ネタバレ

    死刑に代わる新たな刑罰0号。被害者の記憶を加害者に追体験させる死刑にかわるような贖罪システムとして開発されたが…

    表紙とタイトルから勝手にもっとライトな少年誌系の物語と思ってたけどゴリゴリに旨みの詰まった濃いめの青年誌のような物語

    軸となる刑罰0号の話からいろんな話に発展していく連作短編集でめちゃんこ面白い

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    2022年01月02日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    文庫本の表紙絵からは、時代小説の形を借りたライトノベルの様相。しかし、内容はしっかりとした小説。
    思わぬことから箱根関所の番士を命じられた「武一」と、親友の「騎市」とを中心に話が進められる。
    表題作の『関越えぬ』は、武一と呼ばれる若者が、出会った女性に一目惚れをする話し。
    2編目の『氷目付』。箱根関所の番士の武一と彼の上司の話は、現代の新入社員の物語に似通う。
    関所で起こる事件ともつかぬ出来事が3,4,5編と綴られて、最終編でにわかに一転スリリングな展開となる。
    関所番士の武一が、あろうことかある人物の関所破りを騎市から依頼される。命を賭けて、友を助ける友情物語は清々しい読後感をもたらす。

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    2021年12月31日
  • 曲亭の家

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    『南総里見八犬伝』の作者・滝沢(曲亭)馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の物語。
    なんともバラバラ、不仲な家族なのです。
    「智に働けば角が立つ」を地で行き、家族を含め周囲の人間と衝突を繰り返す舅の馬琴、癇癪持ちで馬琴と路の不義を邪推する姑のお百、病弱で突如激昂するDV夫の宗伯。一方、路も「善き嫁」ではなく、それらに強く反発し、頭に血が登れば人を傷つける発言をします。もっとも、そんなみんなが頑なで不仲な修羅の家庭を、小さな喜びを日々に探しながら、何とか繋止めているのも路でなのです。路の頑張りが報われ、ごく稀に家族が寄り添うシーンも有ってホッとします。
    並行して馬琴の創作に対する執念についても語られます

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    2021年12月24日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    「そこがうらやましくもあり、眩しくもある。わからぬと言いながら、おまえの描く先々には、必ず望みがあるからな」

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    2021年12月23日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

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    加助の過剰な親切心がトラブルに発展するお決まりのパターンが中心ですが、今回はなんと言っても儀右衛門とお俊夫妻の懐の大きさが際立つタイトル作が秀逸でした。
    続編の上梓を首を長くして待とう。

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    2021年12月21日
  • 雨上がり月霞む夜

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    紅蓮白峯/菊女の約/浅時が宿/夢応の金鯉/修羅の時
    磯良の来訪/邪性の隠/紺頭巾/幸福論

    秋成と雨月どこかで聞いた二つの名前??
    妖兎の遊戯と二人は不思議にであって行く。

    ああ あの物語……脳内イメージがふくらんでいくふふふ

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    2021年12月20日
  • 閻魔の世直し―善人長屋―

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    善人長屋シリーズ二作目。
    前作が短編集の体をなしていたけれど、本作は最後まで「閻魔組」を名乗る世直しを風評する若者を巡ってのお話。
    長屋の纏め役儀右衛門の娘、お縫の初恋も絡んで終盤が面白かった。
    早速三作目を購入。

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    2021年12月20日
  • 四色の藍

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    ネタバレ

    2021/12/15
    普通に面白い人情噺。
    でもとびぬけてではなかった。
    東雲屋をもうちょっと見せてくれたらとびぬけたかも。

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    2021年12月19日
  • 銀杏手ならい

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    嫁して3年、子供ができずに実家に戻された「萌」
    父親から受け継いだ手習所「銀杏堂」で
    悩みながらも懸命に教え子たちに寄り添おうと努力する。

    銀杏の木の下に置き去りにされていた赤ん坊。

    子供たちと共に成長する、人情小説

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    2021年12月13日
  • 雨上がり月霞む夜

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    有名な雨月物語
    脱稿から刊行までの空白の8年間
    諸説あるものの謎である…らしい

    秋成と雨月、話す子兎と共に雨月物語になぞらえた9編の怪異話
     
    西條奈加さんが創り出した空白の8年の物語
    流石です西條奈加(^^)
    やはり暖かく、心に沁みる…

    昔々、雨月物語がこんな風に作られたなら素敵♪

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    2021年12月07日
  • 烏金

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    ざっと読んだことがあったのだけど、「はむ・はたる」の後に読み直し。どちらかを知らなくても影響ないけれど、読むと深まる。そうかそうか、この時の子どもたちが…、と納得。
    いつもながら、女性たちがかっこいい。
    また、算学の存在が印象的で、当時のレベルの高さが窺え、身分を越えて交流を深めるものでもあったことに感心する。

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    2021年12月04日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初西条氏の本。王道のストーリーを詰め込んだ作品で、あっという間に読んだ。
    義兄の四代目が死ぬ直前に義妹お凛に遺した遺言と遺書。次の五代目は弟子の職人5人と外部の職人の合計6名を、3年後にお凛が選ぶのが遺書の内容。
    遺言では外部の職人を牢から受け出す事がお凛に課せられた。外部の職人は天才的な技術を持つが、人との交わりが出来ない。お凛との結婚も絡み、弟子と外部の職人との大揉め。時は緊縮財政の水野の改革時代。贅沢な細工も禁止されて、世相も店も仕事が無くなり、更に店の雰囲気が悪くなる。親戚の大店から個人的な千両の仕事で何とか店が纏まる。完成するも贅沢禁止に引っ掛かり、職人が牢に繋がれる。2つ目の遺書が

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    2021年11月27日
  • 雨上がり月霞む夜

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    私は伝記的小説がとても苦手なのだが、この小説は、人ではなく、対象の人物が著した小説がモチーフになっているところが良かった。
    人にスポットを当ててしまうとどうしても、事実と物語性とに違和感を感じてしまう。
    けれど、この話ではそう言った違和感なく物語として読めた。とても楽しかった。

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    2021年11月25日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    202110/箱根の関所を舞台に関所役人・関所を超えようとする人達のエピソードを描いた短編連作集。主人公の「武一」こと武藤一之介が律儀で実直だけど、堅苦しさはなく能天気という性格なのも良かった。それぞれの章タイトル(せき越えぬ/氷目付/涼暮れ撫子/相撲始末/瓦の州/関を越える者)も見事。関所役人の日常描写等も面白かった。

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    2021年11月24日