西條奈加のレビュー一覧
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「南総里見八犬伝」の著者・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路の半生を描いた物語。
昔、子供向けに優しく現代語訳にされた「南総里見八犬伝」を読ませてもらった私だけど、まさか著者がこんな偏屈&傲慢クソジジィだとは思わなかったな。そして、その作品の完成には息子の嫁であったお路の助けが必要不可欠であったことも知らなかった。滝沢家は嫁ぎ先の家としては最低最悪で、特に前半はどこに良いところがあるのか探すのが難しすぎるくらい。その中でも日々の小さな幸せを見つけ出すお路の逞しさと賢明さには恐れ入った。後世に残る超大作に携えたことは彼女の人生の大きな誇りになるかもしれないけれど、それはその時にはまだ分からなか -
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文庫本の表紙絵からは、時代小説の形を借りたライトノベルの様相。しかし、内容はしっかりとした小説。
思わぬことから箱根関所の番士を命じられた「武一」と、親友の「騎市」とを中心に話が進められる。
表題作の『関越えぬ』は、武一と呼ばれる若者が、出会った女性に一目惚れをする話し。
2編目の『氷目付』。箱根関所の番士の武一と彼の上司の話は、現代の新入社員の物語に似通う。
関所で起こる事件ともつかぬ出来事が3,4,5編と綴られて、最終編でにわかに一転スリリングな展開となる。
関所番士の武一が、あろうことかある人物の関所破りを騎市から依頼される。命を賭けて、友を助ける友情物語は清々しい読後感をもたらす。 -
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『南総里見八犬伝』の作者・滝沢(曲亭)馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の物語。
なんともバラバラ、不仲な家族なのです。
「智に働けば角が立つ」を地で行き、家族を含め周囲の人間と衝突を繰り返す舅の馬琴、癇癪持ちで馬琴と路の不義を邪推する姑のお百、病弱で突如激昂するDV夫の宗伯。一方、路も「善き嫁」ではなく、それらに強く反発し、頭に血が登れば人を傷つける発言をします。もっとも、そんなみんなが頑なで不仲な修羅の家庭を、小さな喜びを日々に探しながら、何とか繋止めているのも路でなのです。路の頑張りが報われ、ごく稀に家族が寄り添うシーンも有ってホッとします。
並行して馬琴の創作に対する執念についても語られます -
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ネタバレ初西条氏の本。王道のストーリーを詰め込んだ作品で、あっという間に読んだ。
義兄の四代目が死ぬ直前に義妹お凛に遺した遺言と遺書。次の五代目は弟子の職人5人と外部の職人の合計6名を、3年後にお凛が選ぶのが遺書の内容。
遺言では外部の職人を牢から受け出す事がお凛に課せられた。外部の職人は天才的な技術を持つが、人との交わりが出来ない。お凛との結婚も絡み、弟子と外部の職人との大揉め。時は緊縮財政の水野の改革時代。贅沢な細工も禁止されて、世相も店も仕事が無くなり、更に店の雰囲気が悪くなる。親戚の大店から個人的な千両の仕事で何とか店が纏まる。完成するも贅沢禁止に引っ掛かり、職人が牢に繋がれる。2つ目の遺書が