あらすじ
手習所「銀杏堂」に集う筆子とともに成長していく、新米女師匠・萌の奮闘物語
子に恵まれず離縁され、実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。
感情タグBEST3
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子供との繋がりは血ではない情だという萌先生は正しい。これが普通なのに、貴重な先生に写るのは職業としか見てない先生が多いから、犯罪をする様な先生も大量に居る。朝校門で子供達を見守る本物の先生はどれだけか、一挙手一投足見てるとは思えない。萌先生に出会える子供は幸せだ。1番好きな話は五〇の手習、染みた、子供の気持ちと親方の自分から寄り添う気持ちと萌先生の想いと行動と。子供達が色々出てきて物語になるのも良かった。善人長屋を思い出す。小日向水道町はどの辺なんだろう
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手習いの師匠である萌先生と、子どもたちとの交流の物語り。子どもたちと誠実に向き合う手習いの師匠たちと、それを受け入れていく子どもたちそれぞれの事情や関係が素晴らしい。この世界に浸っていたいと思わせられる。
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最後の書評にもありましたが、ITが発達して、匿名性の中で荒んだ振る舞いが目立つ世の中で、心温まる小説を読みたい時にぴったりでした。
学習障害のある子たちも、物語の中で包み込み、江戸時代はこんな感じで生きてこれたのかしら、とも。
他の作品も読みたいです。
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初めてこの作家に巡り合えました。
ややこしい大人の世界が描かれず、若くして離縁させられてしまった主人公、萌が教える手習所に通う子供達との温かいお話。
一番良かったのが「五十の手習い」、無口な親方の描き方もよいけれど、高田郁「あきない世傳」の話の柱になっている伊勢型紙職人が描かれている。
西條さん、高田さんの援護射撃をされている様な…。
そう考えるだけでも嬉しくなる。
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手習所の新米師匠、萌の物語。
筆子たちとともに成長していく姿に元気づけられます。子どもたちを町の皆で見守る江戸の社会が今でも当たり前であって欲しい。年齢や家業、子供たちの得手不得手それぞれに合わせた教育が、現代でも普通であって欲しい。
さらにそこでもうまく導かれずにいた子どもたちを受け入れる「椎塾」の存在に救われます。
銀杏の木が全編にわたって静かに金色の光を注いでいるような美しいお話でした。実をつけてもつけなくても価値があるのですよね。
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子供に恵まれずに婚家を出された萌先生。家業の手習い所を父に任されたが若い女性であることで筆子が減ってしまい、また筆子との向き合い方に悩んでしまう。
子供達のそれぞれの悩みや成長に寄り添い、捨て子のお美弥を育てることで自分自身も成長していく。
ぜひ続編をお願いしたい!
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父から江戸で手習所を継ぐことになった萌。教えることの難しさ。結婚したのに子ができず離縁された悲しみ。
めちゃくちゃ良かった短編集。女だから舐めてる生徒、捨子等テーマ多数。こういう本を読んでると本て良いものだなとしみじみ思う。
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時代人情小説は、味わい深くてやっぱりいいなぁ。
新米女師匠の萌と、手習所に通う子どもたちが繰り広げるストーリー。
“女先生”と悪童らに侮られ、新米故に悩みながらも、日々子どもたちにまっすぐに向き合い奮闘する萌。
手習所に通う、身分も性格もさまざまな子どもたち。そして、子どもたちを取り巻く家庭の事情。
得手不得手もさまざまで、そのせいで自信を失くし、行き場を失ってしまう子がいるのは今と何ら変わらない。
一見いい加減に見える椎葉先生の言葉にはグッときた。
『どんなことでもいい、大人からすれば無益に見える事柄でも構わない。己にも得手がある。できることがあると気づかせてやるのが何よりの一義。たとえ人並みに及ばずとも、己を信ずることさえできれば、この先も生きていけよう。』
萌と子どもたちの、人の温度が感じられる関わりあいに安堵する。
大人も子どもも、互いに関わりあって一緒に成長していく。
子どもを通して見る世界は、とても賑やかで豊か。
子どもたちの未来が楽しみになりました。
温かく清々しい読後感。
成長した子どもの背中を見送るシーンは、清々しく感慨深かった。
久しぶりの時代小説を堪能しました。
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西條作品は、筋が読めてしまうものや、結末を急いた感を覚えるものもあり、そこはともかく(笑)、共通して、読後の大きな感動というものはないのですが、穏やかな温かい気持ちになれますね。私も母親なのですが、世のお母さん、中でも育児に追われるお母さん、教育や支援に携わる方には、とりわけ沁みる1冊になると思います。
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子供たちと共に成長する手習い所の萌先生。
親や先生が教えたいことと、子供自身が学びたいことが、同じとは限らない。
一人一人と向き合い、寄り添い、周囲の人達と助け合って導いていく。
理想の教育が描かれている。
是非シリーズ化して欲しい作品。
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子に恵まれず離縁され、実家の手習所『銀杏堂』を継ぐことになった萌。
離縁されたことを引きずり、先生として中途半端だった萌が、子どもたちや周りの人たちとの関わりの中で、少しずつ強くなっていく様子が読んでいて気持ちよい。
子どもたちも、悪ガキだったり、引っ込み思案だったり、のんびりだったり、皆それぞれの味があって、愛おしく思えてしまう。
短編集のように沢山の話があるので、一つ一つをもう少し深く長く読みたいと感じるところはあるが、この作家さんとは相性が良いのか今まで読んだどの作品も、読み終えた時に「好きな作品だなぁ」としみじみ思います。
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「まるまるの毬」で、気に入った西條奈加氏の作品。時代小説って、ほとんど読んだことがないが、試しに読んでみることにした。
手習い所の先生としての奮闘と、捨て子を引き取り、娘として育てる物語。何となく、「赤毛のアン」シリーズを彷彿とさせるような、居心地の良さがあり、さらさらと読み進めた。時代ものであることも、そこまでは違和感はなかった。
若き教師仲間との交流もあり、魅力的な人物がたくさん登場する。シリーズになるといいなあ、と思う。
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嫁して3年、子供ができずに実家に戻された「萌」
父親から受け継いだ手習所「銀杏堂」で
悩みながらも懸命に教え子たちに寄り添おうと努力する。
銀杏の木の下に置き去りにされていた赤ん坊。
子供たちと共に成長する、人情小説
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純粋に学ぶことの意味を考えさせられる作品。
学ぶことを通して大人も子供も成長してゆく様子が素晴らしい。
やらされる勉強は嫌だけど、目的があれはモチベーションが全く変わるのは昔も今も同じです。
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西條さんの作品は、史実からのお話よりも今作品のような市井で生きる人々の話の方が好きかもしれない。大人でも悩んで迷って嫉妬して羨んで、でも己を生きる姿が素敵だった。
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再読して やっぱりいいです、これ
江戸時代の話なのに 現代の教育の問題に向き合っている。
特に、読めるけど書けないとか 読めないけど、覚えるのはすごいとか ディスレクシアのことだよね。
西條奈加さんの他の作品には あまりこういう視点のものはない気がするけど
もう一度読んでよかった。
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嫁いで三年、子供が出来ず、離縁され身一つで実家に戻った萌。
手習場を営む実家で、新しい人生を再び始めるのだか……。
西條奈加さんは子供を描かせたら、天下一品ですね。
素敵な一冊です(^^)
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夢中で読ませてくれる作家さんのひとり。銀杏の葉の黄色に彩られた物語で、出戻りの萌先生の屈折や前を向く姿などに共感する。最後、駆け足気味だったけれど、それも緊張感があってよかった。ただ、「すべからく」の一文がちょっと気になった。
須らくは「すべて」ではなく、「(当然)なすべきこと」。
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手習所『銀杏堂』に通う子供たちと女先生と周りの人たちのお話し。
子供たちに教えることの意味を考えてしまう。生き抜くための力というか、基礎という土台を少しでも良いものに少しでも荒波に耐えうるものにするように手を貸す。
そんな風に思う
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小日向水道町の手習指南所「銀杏堂」で、読み書き
算盤を教える出戻りの萌。だが、親たちは
女師匠と侮り、子供たちは反抗を繰り返し…。
若き手習師匠の格闘の日々を鮮やかに描く時代小説。
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子供の将来に真剣に取組む萌の姿はそれなりに良かったのだが、普通の量に7章も詰め込んでいるので深さが少々足りないような気がした。赤ちゃんが拐かされて出てきた本当の母親も、あっという間に消えてしまったし、父親が亡くなって将来を諦めた子供のその先を読みたかった。最初は苦手だったのんべ先生や江戸一番の塾の嫡男との恋の行方があるかと思ったが、全く気配が無かった。そう言う意味ではシリーズ化して、その後を読みたいと言うところか。
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自身も捨て子だった主人公の萌、
子供ができず実家に戻って、手習い所を手伝う。
子供たちと向き合う内、両親が血の繫がらぬ萌を慈しみ、愛情深く育ててくれたことを理解する。
子供一人一人に合わせた教育
様々な内容の手習い所、選択できる教育
現代日本の教育と比較してどうなのでしょう。
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萌の、子供達一人一人と真っ直ぐ向き合う姿が印象的な1冊だった。小学生の時、あまりいい先生に恵まれなかったので、こうやって向き合ってくれる萌先生の元にいる子供達が少し羨ましかった。
ひとりとして、同じ性質の者はいない。
先生じゃなくても、一人一人向き合うのが必要だと、おしえてもらったように思います。
また、大銀杏の下に捨てられていた赤ちゃんを養子にし、先生をしながら慣れない子育てを頑張る萌の姿も、一人の女性として、応援しながら読み進めていました。その萌の子供に対する、萌の母、美津の姿に、微笑ましくなります。
ほっとする、とても優しい、江戸時代のお話でした。