【感想・ネタバレ】銀杏手ならいのレビュー

あらすじ

手習所「銀杏堂」に集う筆子とともに成長していく、新米女師匠・萌の奮闘物語
子に恵まれず離縁され、実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・銀杏手ならい
・捨てる神 拾う神
・呑んべ師匠
・春の声
・五十(いそ)の手習い
・目白坂の難
・親ふたり

喧嘩ひとつしたことのない夫と、諍いひとつなかった義理の両親から、結婚三年目の日、子どもができなかったことを理由に離縁された萌。
そこには血の通った人間である萌と、実は全く心を通わせようという思いすらなかった夫家族の仕打ちに傷ついた萌は、実家が営む手習所・銀杏堂を手伝っていたの。

ある日突然父親が隠居を宣言し、萌がその後を継ぐことになった。
しかしもえにはその覚悟も自信もないのだった。

江戸時代、子どもたちが読み書きそろばんを習うのは「寺子屋」と学校では習ったが、田舎はともかく江戸では「手習所」が主流だったそうだ。
武家の子どもだけが通うような私塾もあったが、たいていは武士の子ども・町人の子ども・百姓の子どもを問わず、男女机を並べて勉強をしていたらしい。

年齢もバラバラ、生活環境もバラバラなので、勉強の進み方もそれぞれだ。
手習所の師匠は「筆子」一人一人に適した課題を与え、進捗を見極める。

大人ではあるが、萌の成長物語ではあるのだ。
離縁されたこと、手習所の女師匠として子どもたちの持つ問題を解決する手助けをすること、そして銀杏堂前に捨てられた捨子の美弥の母となること。

けれど、「筆子」の子どもたちもまた、いいのよ。
男子は12~3歳で手習所を去る。
世の中に出る前の、実践的なことをこれからは勉強するのだ。
しかし、身分制度が固定化されていた江戸時代とは言え、向き不向き、興味のあるなしはある。
自由にのびのび過ごせる最後の場所が、手習所なのだ。

武家や商家の子はともあれ、長屋に住むその日暮らしのような家の子どもも手習所に通っていたとは知らなかった。
だから日本の識字率は高かったのだな。

萌は、手習とは嵐のような世間で生きていくための「板きれ」のようなものだと考える。
船を持つものは、その板切れを櫂のように使うこともできる。
けれど、体しか持てるもののない者でも、板切れにつかまって浮いていることはできる、と。
だからこそ、家の事情などで通えなくなった子のことを思うのだ。
貧乏から脱出するためには、その板切れが必要だと知っているから。

あと、個人的に気に入っているのは、普通の手習所からは落ちこぼれてしまった子の得意を伸ばしてやる吞んべ師匠こと椎葉哲二や、大手手習所「志水館」の四代目である国村露水と安易に恋愛関係にならないところ。
シリーズ化したらそういう流れもあったかもしれないけれど、まずはきちんと子どもたちに向き合う師匠同士の繋がりというのが好い。

江戸時代も後半になってくると、女師匠の数も男師匠より多いくらいに増えているというのも、江戸時代への固定観念をひっくり返してくれて、よい。
面白かったし、勉強にもなった。

0
2026年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嫁いで三年、子供が出来ず、離縁され身一つで実家に戻った萌。

手習場を営む実家で、新しい人生を再び始めるのだか……。

西條奈加さんは子供を描かせたら、天下一品ですね。

素敵な一冊です(^^)

0
2021年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夢中で読ませてくれる作家さんのひとり。銀杏の葉の黄色に彩られた物語で、出戻りの萌先生の屈折や前を向く姿などに共感する。最後、駆け足気味だったけれど、それも緊張感があってよかった。ただ、「すべからく」の一文がちょっと気になった。
須らくは「すべて」ではなく、「(当然)なすべきこと」。

0
2020年10月23日

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