西條奈加のレビュー一覧

  • バタン島漂流記

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    江戸時代初期に新造船颯天丸で江戸を出帆した一行が、不意の嵐に見舞われ遭難してしまう。楫も帆も失い、水や食糧も底を尽きかけたとき、前方に3つの島影を発見する。
    “バタン島”なんてふざけた名前だと思ったがフィリピンに属する実在の島で、Wikipediaによればこうした出来事は実際に何度も起きているのだそうだ。
    前半の嵐との戦い、後半の島での辛苦など読み応えのある海洋冒険小説だった。15名の船乗りたちの性格や人間性の書き分けも素晴らしかった。

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    2024年10月26日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    「金春屋ゴメス」の3冊目。
    って、前の巻を読んだのは2009年5月(15年前!)で、今は「芥子の花」に変わっているタイトルも「異人村阿片奇譚」という版だった。今ごろ続きが出ようとは…。

    なので、どういった話かをすっかり忘れていて、“人が月に住む近未来の日本で、関東と東北の間に人工的に江戸時代を再現した「江戸」という国が存在”という設定にそんな話だったかと驚き、自分の以前のレビューを見て、そうだったんだと思った次第。
    登場人物も話の流れも前2作を受け、鬼赤痢や阿片などの事件にも触れられるが、覚えていなくても問題はなかった。

    お話はその阿片流出事件について日本から査察団が入ってきたところからスタート。査察団の隠された真の狙いを前にして、ゴメスをはじめ長崎奉行所の面々が奔走する。
    江戸の風情の上に、殺人事件の謎解きや大火の中での脱出劇、ハイテクローテク織り交ぜながら進む話は、「江戸国」という設定が良く活かされていて、最後まで面白く読める。
    あることによって動きを封じられたゴメスに代わって、辰次郎と朱緒を中心に裏金春の面々は元より幕閣のお偉方やら役人までもがそれぞれ良いところを見せるのが今回のミソだが、何やかや言いながらゴメスについていく面々がなかなかかわいらしくて好ましい。

    また忘れた頃に続きが出るのかしらんね?

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    2024年10月19日
  • バタン島漂流記

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    ネタバレ

    直木賞作家 西條加奈作品
    1668年 徳川4代家綱の頃 江戸幕府は鎖国の時代
    尾張から材木を積んで江戸へ向け出港した船が、江戸で荷を下ろし
    今度は尾張藩への植木などを積んで帰還するはずが、悪天候にあい外洋へと流され 
    フィリピン バタン島へ漂着した。その史実をもとに 書かれた作品

    主人公 和久郎は船大工になろうとしたが その道をあきらめ、幼馴染の門平の乗る尾州廻船で水夫になる。
    情があり知恵もある「船頭」志郎兵衛のもと 
    個性豊かで諍いもあるが、仕事には手を抜かない海の男たち15人
    江戸からの帰り 悪天候にあい 様々な困難を乗り越えながら漂着したのは
    見たこともない肌の色をした ことばもわからぬ島だった。

    乗組員それぞれが個性豊かで、前半は荒波をみんながア適材適所
    知恵を出し合いながら乗り越えていく。
    手に汗握る展開で 読む手が止まらない。

    縦割り社会の役割 船乗りの男気 未知の国・島民たちとの駆け引き・・・
    主人公たちのやり取りなどはフィクションだとわかっているものの
    船に乗り 生死をさまよいながらも「母国に帰ろう」とする熱い想いは
    グッと迫るものがある。

    尾張大野村(愛知県常滑市)に残された資料を基に NHKが『池内博之の漂流アドベンチャー』でヨットでチャレンジしたそうだが そちらも見たかった。

    男くさい漂流アドベンチャーです。おすすめ。

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    2024年10月15日
  • 婿どの相逢席

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    全く違う背景なのに登場人物の心情を理解できるような本だった。穏やかな感じでめっちゃ面白かった。もう一回読むべき!

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    2024年10月13日
  • 烏金

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    主人公が何を目的に行動してるのかが最後の方まで明かされず、ちょっとやきもきしつつ読んでしまった。何もかもがうまく行った訳ではないけど、納得のいく終わりかただったと思う。そして何よりどこかで聞いた名前がたくさん出てきて、ご隠居シリーズ読み返さなきゃと思っている。

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    2024年10月06日
  • 婿どの相逢席

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    逢見屋の婿/閻魔の休日/井桁の始末/初午の災難/
    菱に片喰/墨堤・花見の宴/伊奈月の宵/落ち椿/
    悲喜交々/因果応報

    のほほんとした鈴之助は、終いまでパリッとはしなかった。難題をゆっくりほぐして、ほっこりおさめる。ひょっとして出来た人?と一瞬思ったけど違うね。その のほほんさが良いのだよきっと

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    2024年09月23日
  • 婿どの相逢席

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    読み始めは時代物にしてはどこか綺麗過ぎる感じが…と思いましたが、読み終わる頃には新しい視点だなと感じ方が変わりました
    実際のあの時代に生きた人達にもきっと生きづらさを感じた人は居ただろうし、同調圧力や偏見の目は今より強かったはずだろうと想像したら、なんだかよしながふみの大奥と似たようなものを感じました
    若旦那と若女将とその子供が生まれてから逢見屋がどう変わっていくのかも読んでみたいです

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    2024年09月22日
  • ごんたくれ

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    バラバラだった江戸時代の絵師の知識が繋がって、人物像が肉付けされてストーリーとなり、そういう意味でも嬉しい。
    これからは美術館や博物館で彼らの作品に出会っても、親しみを持ってみることが出来ると思うと楽しみでしかない。
    この作家の実在する人物の小説もどれも面白く、他作品もオススメ。

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    2024年09月19日
  • バタン島漂流記

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    寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。
    同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。
    史実や文献を調べ、船の構造や船員個々の役割分担、ランビキという海水から真水を精製する知恵と工夫が詳細に描かれているのもこの作品ならではの特徴だ。
    ストーリーは、15人の漂流者の人間関係、苦境を耐え抜く精神力を根底に、嵐の中での漂流シーン、島での奴隷のような生活、島民との友情の芽生えなど波乱万丈で予期せぬ展開が魅力。
    1年7か月ぶりに帰国するまでの間に培われる船員たちの絆、帰国してからの苦悩など、多くの感動的な場面も散りばめられている。

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    2024年09月15日
  • 婿どの相逢席

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    主人公の鈴さんが、なんだかかわいらしくて。ホントいい人で人たらし。
    家族の今後も気になるし、続きが読みたいですね〜。

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    2024年09月14日
  • 心淋し川

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    心町(うらまち…裏町が転じてこの字になったという)の貧乏長屋に住む住人たちのお話
    住人曰く塵芥の吹き溜まりのような場所
    そんなところに住んでいる老若男女、皆事情を抱えていますが、幸せな話も壮絶な話もゾッとする話もあります。
    そして最終章のまとめ方がとても綺麗。
    各章でいい味を出している人物の話を
    最後の締めにすると言う構成はほかの小説でも見たことがありましたが、悪目立ちしていないというか、全体の話の流れとして全く不自然なところがなくとても納得できる終わり方でした。

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    2024年09月13日
  • 善人長屋

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    私は、現代ものしか無理って思ってたけど、コレなら読めた。江戸時代、町人文化は、なんとか受け入れられそうなので、このシリーズ続けようかな

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    2024年09月08日
  • 歴屍物語集成 畏怖

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    短編集だがどの物語も個性がありストーリーがリアリティがありテーマがありとても引き込まれた!これは世に埋もれた快作だ!

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    2024年09月06日
  • バタン島漂流記

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    自分だったら、どうする?止まるか万に一つの無事航海に賭けるか。帰国しても妻は再婚。仕方ないとはいえ哀しい。鎖国政策、ここまで徹底?「異国への渡りようを覚えた者たちを船に乗せる訳にはいかない」あまりに狭量だけど…

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    2024年09月03日
  • 九十九藤

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    ちょっとストーリーに無理がないか?と思いつつも面白さに一気に読んでしまった。
    お藤さんの女っぷりに痛快な気分になれます。

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    2024年08月27日
  • とりどりみどり

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    この人の描く良家のお坊ちゃんはほんとに可愛らしい。世間知らずだけど、友達と家族だけじゃなく使用人にも優しい。そんな子が個性的な三人の姉とちょっとしたことに巻き込まれていく連作短編集。この姉さんたちがどうも好きになれんな…と思ってたのは最初の一編だけで、一人一人にフォーカスを当てた話を読むたびにちょっとずつ好きになり、最後には家族の温かさに号泣。どうしても自分勝手な最後三ページしか登場しない父親と、ゴシップ記者みたいな三女がちょっと気にかかるので星4つ。あと私長女の母親みたいな気っぷのいい姐さんが多分すごく好きなのだ。

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    2024年08月25日
  • バタン島漂流記

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    江戸時代の実話を基にした小説。江戸から尾張へ向けて荷を積んだ舟が港を目前にして嵐の為、流されて今のフィリピンの北の島に辿り着く。言葉も通じない島民達との確執もありながら15人全員で日本に帰る希望を捨てずに暮らして行く様子が胸を打つ。和久郎と門平の友情、白鷺のシーンが哀しかった。

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    2024年08月20日
  • 隠居すごろく

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    糸問屋嶋屋六代目として勤め上げて還暦を機に隠居した徳兵衛。根っからの商人で暇を持て余すも孫の千代太が次から次へと拾い物をして持ち込む動物や人に振り回されるうちに第二のすごろくが始まる。
    最初は子供とはいえなんか持ち込んでは「お祖父様お願い!」の千代太や施されるのは嫌でも強請るのは当たり前の子供達にイライラした。読むのを止めようかと思い始めた時に千代太屋が立ち上がりそこからは楽しく読めた。最後は徳兵衛さんのお葬式で幸せな第二のすごろくの上がりを感じて嬉しかった。

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    2024年08月17日
  • 善人長屋

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    善人ばかりだと言われる長屋の住人はみな裏稼業を持つ者ばかり。唯一の善人加助が持ち込む難題をみんなで解決する連作短編集。

    面白かった。悪人なのに人情あふれる人達。それぞれの過去や江戸時代らしい設定とストーリー展開。素晴らしく良かった。

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    2024年08月12日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    秋葉原の交番に現れた足だけの幽霊。便宜上足子さんと呼び交番に持ち込まれる事件を解決しながら足子さんの事件を追う。
    典型的なモラハラ父親で家族みんなが逃げ出して、残された父親はその後どうなったのかな。
    お母さんが逃げ込んだのが新興宗教と出てきて嫌な想像をしたけど本当に人に寄り添ういい人たちでよかった。
    「神のために人がいる」宗教ではなく「人のために神がいる」宗教だった。
    足子さんはこのまま交番に居続けていくのかな?

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    2024年08月12日