西條奈加のレビュー一覧
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「金春屋ゴメス」の3冊目。
って、前の巻を読んだのは2009年5月(15年前!)で、今は「芥子の花」に変わっているタイトルも「異人村阿片奇譚」という版だった。今ごろ続きが出ようとは…。
なので、どういった話かをすっかり忘れていて、“人が月に住む近未来の日本で、関東と東北の間に人工的に江戸時代を再現した「江戸」という国が存在”という設定にそんな話だったかと驚き、自分の以前のレビューを見て、そうだったんだと思った次第。
登場人物も話の流れも前2作を受け、鬼赤痢や阿片などの事件にも触れられるが、覚えていなくても問題はなかった。
お話はその阿片流出事件について日本から査察団が入ってきたところからスタート。査察団の隠された真の狙いを前にして、ゴメスをはじめ長崎奉行所の面々が奔走する。
江戸の風情の上に、殺人事件の謎解きや大火の中での脱出劇、ハイテクローテク織り交ぜながら進む話は、「江戸国」という設定が良く活かされていて、最後まで面白く読める。
あることによって動きを封じられたゴメスに代わって、辰次郎と朱緒を中心に裏金春の面々は元より幕閣のお偉方やら役人までもがそれぞれ良いところを見せるのが今回のミソだが、何やかや言いながらゴメスについていく面々がなかなかかわいらしくて好ましい。
また忘れた頃に続きが出るのかしらんね? -
Posted by ブクログ
ネタバレ直木賞作家 西條加奈作品
1668年 徳川4代家綱の頃 江戸幕府は鎖国の時代
尾張から材木を積んで江戸へ向け出港した船が、江戸で荷を下ろし
今度は尾張藩への植木などを積んで帰還するはずが、悪天候にあい外洋へと流され
フィリピン バタン島へ漂着した。その史実をもとに 書かれた作品
主人公 和久郎は船大工になろうとしたが その道をあきらめ、幼馴染の門平の乗る尾州廻船で水夫になる。
情があり知恵もある「船頭」志郎兵衛のもと
個性豊かで諍いもあるが、仕事には手を抜かない海の男たち15人
江戸からの帰り 悪天候にあい 様々な困難を乗り越えながら漂着したのは
見たこともない肌の色をした ことばもわからぬ島だった。
乗組員それぞれが個性豊かで、前半は荒波をみんながア適材適所
知恵を出し合いながら乗り越えていく。
手に汗握る展開で 読む手が止まらない。
縦割り社会の役割 船乗りの男気 未知の国・島民たちとの駆け引き・・・
主人公たちのやり取りなどはフィクションだとわかっているものの
船に乗り 生死をさまよいながらも「母国に帰ろう」とする熱い想いは
グッと迫るものがある。
尾張大野村(愛知県常滑市)に残された資料を基に NHKが『池内博之の漂流アドベンチャー』でヨットでチャレンジしたそうだが そちらも見たかった。
男くさい漂流アドベンチャーです。おすすめ。 -
Posted by ブクログ
寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。
同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。
史実や文献を調べ、船の構造や船員個々の役割分担、ランビキという海水から真水を精製する知恵と工夫が詳細に描かれているのもこの作品ならではの特徴だ。
ストーリーは、15人の漂流者の人間関係、苦境を耐え抜く精神力を根底に、嵐の中での漂流シーン、島での奴隷のような生活、島民との友情の芽生えなど波乱万丈で予期せぬ展開が魅力。
1年7か月ぶりに帰国するまでの間に培われる船員たちの絆、帰国してからの苦悩など、多くの感動的な場面も散りばめられている。