西條奈加のレビュー一覧

  • 心淋し川

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    小さなドブ川沿いに暮らす人々。一番良かったのは「はじめましょ」かな。飯屋を営む与吾蔵が出会った幼い女の子。自分が昔捨てた女との再会、明かされる事実。三人の明るい未来を予感させるものだった。怖かったのは「冬虫夏草」。母の息子への歪んだ愛情、息子の理不尽さはそんな母へのせめてもの抵抗なのか。「灰の男」長屋の差配人の過去、息子の仇を十二年間見守る不思議な関係。

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    2024年08月08日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    警官2人とゆうれい1人(?)のミステリー。

    警官2名の凸凹感が素晴らしい。
    こち亀の両津と中川ってわけでもないが、コンビとして、非常に完成されている。
    そこに、3人目として、ゆうれいのツッコミが刺さりまくるという形。

    舞台は秋葉原。
    実在する名称も多く、馴染みやすい。
    扱うテーマもそれらしく、フィギュアやメイドさんなど。

    連作形式で1話あたりはコンパクトで読みやすい。
    話が進むに連れて、徐々に色々な社会風刺もうたわれていく。
    そのため、単なる娯楽小説ではない印象も受けた。

    結末も一捻りされており、なるほど関心。
    続けられそうな終わり方がされているので、是非とも続編を読みたい一作。

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    2024年08月08日
  • バタン島漂流記

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    四代家綱の時代。
    江戸を出た弁才船が三河沖で遭難。
    1ヶ月あまり漂流しバタン島に漂着。
    島民に奴隷のように使われる。
    そして、船乗りたちは自力で船を再建し日本へ戻ってくる。
    これ、史実だという。

    船の構造、専門用語などもわからないことは調べながら読み進めた。
    「板子一枚下は地獄」
    荷を乗せ波に揉まれ目的地に帰り着くまで皆で無事を祈る。
    西條奈加さんの手により人間味あふれる作品に仕上がっている。
    島民との交流も読み応えあり。

    当時は多くの海難事故があったという。
    命を落とすこと無く日本に戻ったからこそ
    今の時代まで語り継がれている。
    命あってのもの。
    頭たちの声が聞こえてくるようだ。

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    2024年08月02日
  • 隠居すごろく

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    Audibleにて。

    隠居したお爺さんと、その孫、そこに集まって来た子ども達のほのぼのいい話。
    タイトルにあるすごろくの意味がわかった時、うるっと来た。あがりの無いすごろくが、ずーっと続いていくって良い表現。

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    2024年07月26日
  • バタン島漂流記

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    途中から小生の子どもの頃に読んだ十五少年漂流記を思い出しながら読んだ。もう昔のことなので内容など全く覚えていない。本書は十五人の水夫が図らずも乗った船が難破してバタン島に漂着し日本に戻る苦難の道のりの話しだ。それも鎖国時代のこと。生還したとはいえ彼等の御苦労は大変なものだ。なかなか細部まで語られていて素晴らしかった。

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    2024年07月24日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    西條奈加さんは時代小説の人と思いきや、現代物も良作をお書きになる。
    ゆうれい付きなのでちょっとだけホラーっぽいかな。とはいえそんなに怖くはない。
    ゴリラ系オタクの権田さんと、イケメンで武術ができるけど脳みそが残念な向谷さんが、足だけの幽霊の通称足子さんがどうして足子さんになってしまったのか?を解き明かすミステリーが軸になった作品。
    機能不全家族だったり、秋葉原のメイドカフェだってり、それなりに時事的な問題を含ませつつ、さすが西條さんという人情もの。

    続きもありそうな雰囲気だけど、本当に続きはあるのだろうか。あるなら読みたい。

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    2024年07月24日
  • 心淋し川

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    千駄木町の一角、心町(うらまち)。そこに流れる川の名前は心淋し川(うらさびしがわ)という。
    趣があるのは名ばかりで淀んで汚くすえた臭いがする川である。
    その川のどん詰まりにある貧乏長屋には心に淀みを持った訳ありの人々が暮らしている。
    そこに住む訳ありの人々と差配の茂十の話だが、どの人も生き辛い悲しみや切なさを抱えている。6作収録されているが、最後の茂十の悲しい過去の話「灰の男」が読み手の心をグッと掴む話になっている。
    「誰の心にも淀みはある。事々を流しちまった方がよほど楽なのに、こんなふうに物寂しく溜め込んじまう。でも、それが人ってもんでね」と茂十が言った言葉。
    物事を簡単に割り切れたらどんな

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    2024年07月21日
  • 亥子ころころ

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    行き倒れた菓子職人雲平を怪我をした治兵衛の助っ人として雇う南星屋。雲平の弟弟子が出奔した謎を追う。お茶て優雅な趣味だけどとにかくお金がかかるからね。この時代の旗本は物価が値上がりしたのに幕府からの禄は変わらず懐具合が厳しかったから値札も確かめず買ってくる趣味人は頭痛の種だね。どんなに素晴らしい茶道具でも家を潰してまで集めるものじゃないだろ。
    雲平が南星屋に残ったことでこの先お栄と、と言うこともあるのかな。

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    2024年07月21日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

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    浮気と借金を繰り返す亭主に愛想をつかすも、離縁する権利は亭主側にしかなくいいように使われてしまう絵乃。
    そんな絵乃が出会ったのが、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代椋郎。
    その出会いにより、絵乃は狸穴屋の手代見習いとして住み込みで働くことになる...。

    江戸時代に弁護士事務所のような役割を果たす公事宿というものがあったなんて、初めて知った。
    妻の方から離縁をすることができないということも知らなかった。

    西條奈加さんの作品はいくつか読んでいるが、「人情味溢れる江戸時代」という分かりやすい括りにせず、
    身分、格差など、あの時代の生きることの厳しさについてもきちんと描かれているところが

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    2024年07月20日
  • 婿どの相逢席

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    よくある?時代小説なのかなーと読んでみたが、それだけではなく、ちょっと感動してしまった。
    親の気持ち、子供の気持ち、最後は涙してしまった。
    鈴之助さんの優しさが胸に染みる。
    鈴之助の奥さんのお千瀬ちゃんの妹たちもかわいい。

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    2024年07月19日
  • バタン島漂流記

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    漂流物の歴史小説と言えば、無人島での12年にわたるサバイバルを描いた吉村昭の『漂流』、ロシア漂着後に艱難の末にペテルブルグまで行き女帝エカチェリーナ2世に謁見して帰国した大黒屋光太夫を描いた井上靖の『おろしあ国酔夢譚』などの名作があります。本書も上記と同じく実際に起こった事件(江戸時代の口書が残っている)を元に描かれた本格的な漂流物の歴史小説です。
    流された先は現在のフィリピンの一部であるバタン島。そこで主人公達15人の日本人は未開の地の人々に捕らわれ、なかば奴隷のごとく働かされながら、まともな道具も無い状態で11人(3人死亡、1人は島に残った)が乗れる船を作って帰国しました。そうした史実的な

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    2024年07月19日
  • まるまるの毬

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    武家の家を出て諸国を巡り修行をして菓子職人の腕を磨き南星屋を営む治兵衛、娘のお栄、孫のお君。
    江戸時代は今みたいに気軽に旅には行けないし物産展やアンテナショップがあるわけじゃないし諸国の銘菓を出す南星屋が繁盛するのは頷ける。治兵衛の家族は実家も含めてお互いを思い合って温かな家族で理不尽としか言いようのない苦難も乗り越える。続編もあるようなのでまた楽しみなシリーズに出会うことができました。

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    2024年07月18日
  • 亥子ころころ

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    2017年に読んだ「まるまるの毬」の続編。
    7年も間が開いているが、前作の説明が所々に挟まれていることもあって、細かいところは別として大まかなところは思い出せた。

    親子三代、主の治兵衛に出戻りのお永と孫娘のお君の三人で営む「南星屋」。
    今回は、治兵衛が手を痛め粉を捏ねるのもままならぬところに、店の前に行き倒れていた男を助けたところから始まる物語。
    その男・雲平は京から出てきた菓子職人で南星屋を手伝うことになるが、かつての自分に似た境遇の雲平に職人として刺激を受ける治兵衛の姿にまず好感。
    かつての旦那とよりを戻しつつあったお永も何やら気もそぞろで、そんな母を見て気を揉むお君。
    三人三様の気持ち

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    2024年07月07日
  • 心淋し川

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    「心町」と書いて「うらまち」。まるで「心の裏」のようだ。
    誰もが心に抱えている鬱屈。
    上手く行かない人生。生まれながらの不幸等…多かれ少なかれ今居る場所で足掻いている。
    そんな足許の影ばかり眺める中で、ふとうつむいた顔を上げた瞬間にさす光のような物語。



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    2024年06月28日
  • 姥玉みっつ

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    うばたま、「鳥羽玉」って、餡子を寒天で来るんだ丸い和菓子だよね・・・
    最後の最後にタイトルの種明かし。
    なるほどね!

    あらすじ。
    悠々自適の老後を夢見た「お麓(おろく)」の
    長屋にお菅、お修の二人の幼なじみが転がり込んできた、
    お麓の日々は理想とはほど遠く・・・
    そこへお萩という口の利けない少女まで加わって・・・
    閉口していたはずのお麓だが、いつのまにか毎日の
    暮らしが明るく彩られていることに気づく・・・
    そこへ問題が発生、はてさて・・・

    当初は、女三人のかしましさに辟易、
    途中で投げようかと何度も思ったけれど・・・
    後半、俄然面白くなる。

    シニアとしては、三人の女の生き方に、
    ふんふん

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    2024年06月26日
  • 心淋し川

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    時代小説風で言葉も一昔前のもののようだが読みやすく集落の暮らしぶりも体験しているかの様だった。
    物語も「心淋し川」に住む六つの話から成り立っていて家族や友人、仲間の愛憎や人生が描かれており一見汚れている町でも、想いは残る場所だった。

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    2024年06月25日
  • 心淋し川

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    相変わらず掌篇達者な作者。この傾向が作者の時代小説なのかしら。読みやすいし面白い。作者の長編時代劇が読んでみたいなぁ

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    2024年06月18日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    挫折に次ぐ挫折で、最後は1000日回峰を達成し上人となったが、更なる高みを目指して即身仏となった無暁の物語。全編を通して重い内容が続く。
    宇都宮藩の重役の家に庶子として生まれ、本妻と兄弟に虐められ、10歳で寺に預けられる。寺でも武家と覚えの良いので、先輩達から虐められ、13歳で出奔する。この時、無暁と名乗る。同い年の友達ができて、二人で江戸へ。ひょんなことから二人でヤクザの家に厄介となる。この友人が無暁を助けた事で殺され、仇討ちで多勢を殺し八丈島に島流し。艱難辛苦の島暮らし。更生した事で亡き父親の手配りで20年間の島暮らしを脱する。
    多勢の亡くなった人々を弔いながら、出羽三山での修験道。50歳

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    2024年06月16日
  • 千年鬼

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     舞台は平安時代から江戸時代にかけて、鬼の登場する短編集のように見えて、最後の章まで読むと千年にわたってひとつに続いた物語であることがわかる。一つ一つ読んでも、通して読んでも、それぞれにちょっと切ないような、心が温まるような物語。雰囲気もあってなかなか良かった。

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    2024年06月04日
  • 永田町小町バトル

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    子供の貧困問題を真正面から取り上げた作品。
    普段は時代ものが多い西條さんですが、本作の熱量からこの問題に対する彼女の本気度が伝わってくる。
    最後も爽快な終わり方で良かったです。

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    2024年05月31日