西條奈加のレビュー一覧

  • 隠居おてだま

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    時代が変わっても人の営みは一緒。頑固、意固地な性分、わかっていても変えられない徳兵衛さん、分かる。隠居暮らしが存外難しいのも…「慣れぬお手玉をを三つも四つも手にしているよう。ひとつ放り投げても、また一つ手に返ってくる。身内や周囲の悶着はまさにお手玉に似ている。ただ安穏と無縁だったからこそ達者でいられたのかも。安穏に身を置けばたちまち腐り出す。それもまた一つの真理」「日常のそこかしこに諍いの種は落ちていて、隙があればたちまち芽吹く。ひとつずつ丹念に摘み取っていくのが、長く営む唯一の秘訣かもしれない」「調子のいい者は、嘘やへつらいを紛れ込ませるために口達者にならざるを得ない」人生訓もたっぷり。

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    2023年07月09日
  • みやこさわぎ

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    お蔦さんシリーズ、2作目。読む順番が違ったかもしれないけど、この本は短編集だったので、平気。望のご両親も登場。お蔦さんの活躍だけでなく、望も活躍。料理以外で!

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    2023年07月09日
  • 睦月童

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    ネタバレ

    悪事を働き、やましいことがあれば、その目を見ると金色に光るという座敷童の少女イオ。時代物、ミステリー、ファンタジー、家族小説の要素を併せ持つ。

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    2023年07月04日
  • 曲亭の家

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     偏屈な人たちの物語で、少し疲れる。しかし、八犬伝など文筆業にかける馬琴の執念、全てをおろそかにしない姿勢、反発し合いながら相手を認め合う嫁との関係は、素晴らしかった。

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    2025年12月07日
  • うさぎ玉ほろほろ

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    ネタバレ

    ほのぼの南星屋シリーズの3冊目。
    ほのぼのかと思いきや、今回はなかなかにスリル溢るる展開で、大捕物まで出てくる仕掛け。
    雲平さんも加わり、登場人物も賑やかに。
    お菓子は相変わらずどれも美味しそうで、挿絵があったらもっと良いのになぁと。
    初恋饅頭は若かりし頃の石海さんのお話。
    今発売されてるのは3冊のようなので、次が待ち遠しい。

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    2023年06月29日
  • 亥子ころころ

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    時代小説。親子三代で営まれる和菓子屋・南星屋シリーズの第二作。和菓子が美味しそう。登場人物がみんないい人で、ほっこりします。

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    2023年06月29日
  • とりどりみどり

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    万両店の廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は11歳。
    かしましい3人の姉に振り回される日々が続く。
    滅多に帰らない父や
    優しい長兄、姉たちに可愛がられているのは
    鷺之介自身も重々承知なのだが。
    3人の姉たちには早く嫁に行ってもらい
    静かに過ごしたいと思っている。

    姉たちの贅沢三昧ばかりが目につくが
    それぞれに悩みを抱え生きているようだ。
    鷺之介は周りで起こる事件を姉たちと解決していく。

    優しい長兄・鵜之介がいてくれて良かった。
    西條奈加さんらしい細やかな演出が光っている気がする。

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    2023年06月28日
  • 御師弥五郎 お伊勢参り道中記

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    御師の手代見習い、弥五郎は助けたことが縁で、材木商の
    巽屋清兵衛のお伊勢参りに用心棒として、同行することに。
    訳ありの弥五郎と清兵衛の道中には、様々な事件が待ち受ける。
    第一話 旅立ち  第二話 小田原  第三話 浜松
    第四話 桑名   第五話 松坂   第六話 伊勢
    最終話 大和
    参考文献有り。

    伊勢講の御師の手代たちの道中での仕事や様子が知りたいと
    思っての読書でしたが、物語自体が面白かったです。
    行く先々での事件の連続、立ち回り、恋愛、ミステリー、
    事情を抱えた人物たちは如何に?な、エンターテイメント。
    登場人物それぞれの個性が光り、その心情も切ない。
    特に、弥五郎と清兵衛の、双方の事

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    2023年06月22日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

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    シリーズ3作目。安定の面白さだった。やっぱり短編も良いな。空き時間に1話ずつキリ良く読める。
    今作はお縫ちゃんのお兄さんとお姉さんも登場。儀右衛門さんとお俊さんの馴れ初め話もあり、千鳥屋の家族事情が明らかになる。好きなシリーズなので、続編が出たらいいなあ。

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    2023年06月20日
  • とりどりみどり

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    大好きな西條奈加さん♪
    今作は万両店「飛鷹屋」のお話。
    一代で財を成した廻船問屋の主人・鳶右衛門
    正妻の子・鵜之助
    妾達の子・お瀬己、お日和、お喜路の三姉妹

    主人公の鷺之助は末っ子の十一歳ながら個性豊かな三姉妹に振り回されて疲れる毎日をぼやきながら送っています。

    「姉さん、また事件ですか⁈」の帯にあるようにちょっとした事件を起こしたり、巻き込まれたり…

    西條さんらしく読みやすくてテンポ良く暖かい。
    三姉妹の個性は大店の娘特有の鼻持ちならない嫌な女達と思いきや、話が進むにつれ好感が持てる。

    鷺之助が自分の事を「鷺はね…」なんて言うからもう可愛いです(⑉︎• •⑉︎)
    その鷺の出生にまつわ

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    2023年06月17日
  • とりどりみどり

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    主人公の鷺の介(さぎのすけ)は11歳。
    日本橋の廻船問屋『飛鷹屋(ひだかや)』の末っ子である。
    父親の鳶右衛門(とびえもん)は行商人から成り上がり、一代で身代を築いた。
    うなるほど金がある。

    さて、鷺之介は三人の姉たちに振り回される毎日にうんざりし、早々に三人とも嫁に出して、静かな生活を送りたいと望んでいる。
    彼が尊敬するのは、「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」を商人の心得と教えてくれた、長兄の鵜之介(うのすけ)だ。
    姉たちに反感を抱くのは、11歳という年齢になって、鷺之介が自分の頭で考えることに目覚めたためかもしれない。

    たとえば、金持ちの家に生まれた自分と比べ、そうでない同年代の

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    2023年06月16日
  • 亥子ころころ

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    ネタバレ

    相変わらずお菓子が美味しそうで和菓子食べたくなってしまった。
    お君ちゃんの縁談とか色々気になるところがあるけど続くって感じなのがたまらんー。続きが楽しみ。
    後継者問題(?)は私も気にしてたので(←何様?)最後に雲平さんがお店にとどまってくれて良かった!

    還暦近くなっても甘いものをバクバク食べられる五郎おじさんがすごいよ(笑)

    しばらくはおやつに和菓子を選ぶ日が続きそう(笑)

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    2023年06月16日
  • 涅槃の雪

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    わずか2年の短命に終わった天保の改革を背景に、その時代を生きる幕閣から女郎に至る人々の生き様が描かれています。信念を貫くとはどういう事か、個性豊かな登場人物を通じて問いかけられているように思います。
    物語はとても面白く読みやすい。エンディングなんて最高です。頭からゆっくり読んでください。桜吹雪でお馴染みのお奉行様も出てきます。

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    2023年06月14日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

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    最初は言葉遣いが慣れないな〜と思いながら読んでいたけど、ストーリーが面白くて引き込まれていってむしろハマってしまった。

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    2023年06月13日
  • 善人長屋

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    設定が絶妙。
    本棚のカテゴリを「時代もの」としたが、ミステリーとしても面白く、人情ものだけれど、起こっていることは案外と社会派な題材だったりして、さらっと読めるけれどなかなか深い一冊だった。
    特に、最後に「善人」加助の物語を知ることで、作品全体の深みが一層増す構成は秀逸。
    続編を読みたい。

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    2023年06月13日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

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    時は江戸時代、天保の改革のころ。主人公は女錺職人・お凛。錺職の老舗・椋屋の四代目だった義兄が若くして亡くなり、五代目選びに巻き込まれる。四代目の指示に従い雇い入れた職人・時蔵への恋心。その恋は実らず、予想外の事態となるが、最後はほのぼの。読後感はとても良かった。

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    2023年06月11日
  • 閻魔の世直し―善人長屋―

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    ネタバレ

    前作同様、善人長屋の差配と店子たちのキャラクターが良くて楽しい。今作は長編ということもあって、事件も江戸を騒がす大きなもので、ハラハラする場面もあった。お縫ちゃんの恋心もちょっと唐突だった感じはあるものの、うまくストーリーに盛り込まれていた。前作から読んでいると、お縫ちゃんは文吉とお似合いだと思うんだけど、この二人は進展するんだろうか。次の「大川契り」も読みたい。

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    2023年06月05日
  • とりどりみどり

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    廻船問屋「飛鷹屋」の末っ子、鷺之介は、齢11。
    クセが強過ぎる三人の姉たちに振り回される日々を過ごす。
    万両店での事情、身分の違い、男女の事情、そして謎解き。
    ・螺鈿の櫛・・・お瀬己の嫁ぎ先で大事な櫛が行方不明に。
          知るのは家の事情と男女の心の行き違い。      
    ・ふういんきり・・・芝居小屋で仲良くなった五百吉は、怪しい
          男たちに狙われていた。事件の原因は、封印切!
    ・箍の災難・・・箍回しを小僧の根津松に教わるが、侍に難癖を
         付けられてしまう。根津松の決心とお日和の心情。
    ・とりかえばや・・・戯作者に弟子入りしたい、お喜路に付き添う。
       が、訪ねた一刻

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    2023年06月03日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    「箱根の関所破り」である。
    タイトルからして派手な冒険話になりそうだが、そうではなかった。逆に、そうではないからこそ、リアルなのかもしれない。
    キャラ立てが良く、続編が出たら読みたい。

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    2023年06月01日
  • 隠居すごろく

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    人の変化、子どもの成長、そういったものがしみじみと心に迫る感じのいい時代小説でした。

    主人公となるのは代々続く糸問屋の主人だった徳兵衛。店を息子に任せ悠々自適にすごそうと考えていたものの、趣味も見つからず暇を持て余す日々。そんな中、徳兵衛の元に孫の千代太が訪れるようになり、徳兵衛の周囲はにわかに騒がしくなっていきます。

    まず徳兵衛の心理の書き方が絶妙。引退を引き留められるかと思いきや、思ったほどの反応は得られず、自分より女将さんのほうが頼られる瞬間に悶々としたり、そんな女将=妻にどこか遠慮がちになったり。

    隠居する徳兵衛のこの年ならではの悲哀、というほど大げさなものではないけど、自尊心と

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    2023年05月21日