西條奈加のレビュー一覧

  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    ネタバレ

    あらすじを読んで興味を持ったのと、「心淋し川」が良作だったのが同著者の本作を読んだ理由。

    幽霊含め、主要人物が明るいテンポで進めていくのが救いであり良いところ。権田が悪い方のステレオタイプのオタクではなく、存外良識ある。というか普通に友達とか同僚にいると頼もしいタイプ。ビジュアル化されたり異性目線で見たりするとやはり印象変わるのだろうか。

    結果、読んで満足のいく内容だった。足だけが見えるのはそれ以外が生きているから説を推していたのだが、そこまでご都合展開ではなかったか。

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    2026年03月22日
  • 隠居おてだま

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    めでたしの先/三つの縁談/商売気質/櫛の行方/のっぺらぼう/隠居おてだま

    堅物のご隠居が子供たちや近くの大人たちと付き合いながら少しは丸くなったかと思いきや……
    まだまだ四角いお人で、、、

    それでも少しずつ少しずつ
    尖った角が減っている感じはある
    あんまり丸くなっても面白くないので
    適度にとんがって適度に丸いと良いのかなぁ

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    2026年03月14日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    何度も幕府に裏切られ、それでもアイヌのために蝦夷へ戻った徳内。
    心を折られていた時に立ち直らせてくれた妻のおふでさんの大らかさ、夫を信じる気持ちに自分の小ささを反省…
    壮大なスケールの物語、またゆっくりと再読したい。

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    2026年03月12日
  • 牧谿の猿―善人長屋―

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    久々の善人長屋。勧善懲悪(…と言っていいのか、なんせ長屋の人々善かと言われれば微妙だし)の分かりやすい連作。やっぱり子どもを扱う話はついついのめりこんで読んでしまう。木材問屋の旦那が短い登場シーンのわりに印象に残る書き方だったけど、今後出てくるのかな。

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    2026年03月09日
  • 睦月童

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    最初は宮部みゆきの描く霊験捕物帖のような物語を想像していた。
    不思議な目を持つイオと酒問屋のダメ息子、央助が情緒溢れる江戸で怪異や日常の謎を解き明かしていく……と油断させといて、後半は一変。気付けば雰囲気が冷んやりとして、『遠野物語』も真っ青なガチの神域に足を踏み入れたような壮大なファンタジーだった。

    睦月童たちの異能力は、人間離れしていて少年のように心がワクワクする。
    でも、神憑った力は良いことばかりでなく、むしろ人間の闇をも暴き出し、もし自分がイオの前に立ったら、隠していた黒歴史が公開されてしまいそうで精神的にかなりヤバイかも。
    ヽ(; ゚д゚)ノ ビクッ

    『かぐや姫』や『八百比丘尼伝説』といったレジェンド達が「そう来るか!」という角度で絡んでくるのも面白いポイント。
    睦月神の正体も日本の八百万神、全てのものに神が宿るという伝承を見事に具現化されており予想外の結末にまたもや驚愕。
    最後は「えー、そんな終わりかた悲しすぎるよ!」切なさに胸がギュっと締め付けられるが、一筋の光に希望とあたたかさが心に残る。

    読後、「もしかしたら自分の周りにも睦月の童がいるのではないか」と、思わず周りを見回してしまいそうな不思議な余韻に包まれた作品だった。

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    2026年02月28日
  • 四色の藍

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    時は江戸時代。
    女4人の復讐譚。

    夫を喪った女主人・環。
    兄を喪った女剣士・伊織。
    環の想いに共鳴した商売女・お唄と洗濯婆・おくめ。

    歳も境遇も違う4人の女たちの交流と
    復讐の行方。

    終わりにはきれいな伏線回収が待っていてミステリ的な面白さだったけれど、そう読むと前半の描写はいわゆる“信頼できない語り手”のそれになっていて、楽しむ角度のつけ方が少し入り組んだ作品。
    とはいえエンタメとして、十二分に楽しめる作品だったと思う。

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    2026年02月20日
  • 隠居おてだま

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    あー…そうですかそうですかそういうエンディングですか…としか言えない( ̄(工) ̄)
    お登勢さんは、結構好きなキャラなので。
    わたしも前作の読後感の方がよかったなあ…

    それでも、戦国時代の小説の合間に、こういった江戸時代の市井モノを読むとやっぱりホッとする(^^)

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    2026年02月19日
  • うさぎ玉ほろほろ

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    シリーズ3作目。今作ではミステリー要素が入っている。
    7つの短編だが、最初に出てきた怪しい中間が謎の言葉を残し行方不明になる。敵が襲いそうになる不穏な空気を感じながら進んでいく。話の中心は全国の銘菓。それに夫婦や恋人達の微妙な機微の人情噺を挟む。本来なら美味しい話や恋愛話に集中したいところだが、事件の行方が気になってしまう。中間の妹を自称する女が現れ事件が動き出す。南星屋の旗本出身の出自を生かし、事件に当たる。意外な事件の結末にホッとしてしまう。

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    2026年02月14日
  • よろずを引くもの

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    ネタバレ

    目次
    ・よろずを引くもの
    ・ガッタメラータの腕
    ・いもくり銀杏(ぎんなん)
    ・山椒(さんしょ)母さん
    ・孤高の猫
    ・金の兎
    ・幸せの形

    西條奈加にハズレはないからなあ、と油断して、シリーズの最新刊をうかつにも読んでしまった。
    しかも時代物ではなかったよ。

    神楽坂で履物屋を営む元芸者のお蔦さんと、その孫の望(のぞむ)が、町で起こったちょっとした事件を解決していくシリーズ。
    料理なんぞまったくやらないくせに、元芸者だっただけあって舌の肥えているお蔦さんの家で食事を担当しているのが、孫である高校生の望。
    彼の作るおいしそうな料理も、このシリーズの売りの一つと思われる。

    けれど、読みながら「シリーズを遡ってまで読まなくてもいいかな」とも思っていた。
    面白く読んではいるものの、この程度の本なら他の作家もたくさん書いているからなあ、と。

    なんでこのように感じてしまうのか、つらつら考えるに、重たいものを背負っていないからではないか。
    現代に生きる男子高生と、元芸者はさておき履物屋さんの前に、頻繁に重大な秘密や背負いきれない重圧を背負った人間は現れない。
    身分制度があるわけでもない現代で、命の危機も逃れられない運命もさほどない。

    と思ったのだけど、『孤高の猫』を読んで、また考えが変わる。
    現代は現代の、どうしようもない境遇や閉塞というものがあるのだった。
    『いもくり銀杏』でのワンオペ育児に疲れた母、『孤高の猫』でのSNSが暴く過去の不祥事に翻弄される家族。

    やっぱり最初から遡ってみようかな。

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    2026年02月10日
  • 隠居すごろく

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    商売一筋の糸屋の主人が隠居を決意するが、なんせ商売以外に何の趣味も持たない人生だったのでする事がない。ところが、気弱な孫の面倒を見てる間にどんどん貧しい子供達が集まるようになり、最初は嫌々ながら彼らに知恵を貸しながら自力で生活できるように導いていくうちに、皆を幸せにしながら少しずつその努力が花を開いていく。
    ご隠居と子供達のやりとりが何とも微笑ましく、良いお話でした。

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    2026年02月09日
  • 隠居おてだま

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    隠居シリーズ第二弾。
    頑固で気難しく、周りが手を焼く徳兵衛だが、実は、不器用なだけで、本質は孫の千代太と同じ、お人好しで、情に脆い。なので、周りがあたふたしながらも、きっと、みんな幸せに暮らすのだろうなと。

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    2026年02月08日
  • 隠居おてだま

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    ネタバレ

    なるほどのタイトル。
    禍福は糾える縄の如しとはよく言ったものだ。
    今回は「振り上げた手の下ろし方」指南だったように思う。
    と、いっても徳兵衛の回りの人々が頑張ったのだが(笑)、それだけ徳兵衛が愛されているという事だろう。

    人はいくつになっても良くも悪くも間違える。
    それも良きかな。

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    2026年01月23日
  • 隠居すごろく

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    最初はいやいや巻き込まれた人助けがどんどん拡大していく様子に人間関係や情の大切さを教えられた。おもしろかった!

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    2026年01月17日
  • ほろよい読書 おかわり

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    好きな作家さんが多くて、面白かった。
    最後の作品を読んで、あまり普段飲まないけど日本酒が飲みたくなった。

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    2026年01月16日
  • まるまるの毬

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    表紙の和菓子はまるまるの毬ではなかったけど。

    家族の愛があふれてる江戸のお菓子屋さんの物語。主人公のバックグラウンドがやんごとなくて、小説っぽかった。

    お君ちゃんのことが残念だったけど、江戸時代だからかな、そういう運命も受け入れてしまえるのは、今の時代感覚とは違うところ。
    治兵衛もだけど、与えられたその位置で、懸命に生きてる感じは、清々しく羨ましくもある。
    今の時代よりも窮屈なところもあるけど、今よりも生きやすいところもあるんだろうなぁと感じる。

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    2026年01月14日
  • 亥子ころころ

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    諸国の菓子を日に2種類だけ作る江戸の南星屋で繰り広げられる温かな人間模様。
    みな、どこか心に悲しみを持つ人達が、互いを思い合い、よりそい、思いやり、最後は大団円で終わる。
    文字で菓子の美しさ、美味しさを表現する筆者の筆も素晴らしい。
    善人長屋、無暁の鈴、心寂し川と作者の作品を読んできたが、本作品は、もっとも読後感が明るく、穏やかなだった。

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    2026年01月11日
  • 銀杏手ならい

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    ネタバレ

    目次
    ・銀杏手ならい
    ・捨てる神 拾う神
    ・呑んべ師匠
    ・春の声
    ・五十(いそ)の手習い
    ・目白坂の難
    ・親ふたり

    喧嘩ひとつしたことのない夫と、諍いひとつなかった義理の両親から、結婚三年目の日、子どもができなかったことを理由に離縁された萌。
    そこには血の通った人間である萌と、実は全く心を通わせようという思いすらなかった夫家族の仕打ちに傷ついた萌は、実家が営む手習所・銀杏堂を手伝っていたの。

    ある日突然父親が隠居を宣言し、萌がその後を継ぐことになった。
    しかしもえにはその覚悟も自信もないのだった。

    江戸時代、子どもたちが読み書きそろばんを習うのは「寺子屋」と学校では習ったが、田舎はともかく江戸では「手習所」が主流だったそうだ。
    武家の子どもだけが通うような私塾もあったが、たいていは武士の子ども・町人の子ども・百姓の子どもを問わず、男女机を並べて勉強をしていたらしい。

    年齢もバラバラ、生活環境もバラバラなので、勉強の進み方もそれぞれだ。
    手習所の師匠は「筆子」一人一人に適した課題を与え、進捗を見極める。

    大人ではあるが、萌の成長物語ではあるのだ。
    離縁されたこと、手習所の女師匠として子どもたちの持つ問題を解決する手助けをすること、そして銀杏堂前に捨てられた捨子の美弥の母となること。

    けれど、「筆子」の子どもたちもまた、いいのよ。
    男子は12~3歳で手習所を去る。
    世の中に出る前の、実践的なことをこれからは勉強するのだ。
    しかし、身分制度が固定化されていた江戸時代とは言え、向き不向き、興味のあるなしはある。
    自由にのびのび過ごせる最後の場所が、手習所なのだ。

    武家や商家の子はともあれ、長屋に住むその日暮らしのような家の子どもも手習所に通っていたとは知らなかった。
    だから日本の識字率は高かったのだな。

    萌は、手習とは嵐のような世間で生きていくための「板きれ」のようなものだと考える。
    船を持つものは、その板切れを櫂のように使うこともできる。
    けれど、体しか持てるもののない者でも、板切れにつかまって浮いていることはできる、と。
    だからこそ、家の事情などで通えなくなった子のことを思うのだ。
    貧乏から脱出するためには、その板切れが必要だと知っているから。

    あと、個人的に気に入っているのは、普通の手習所からは落ちこぼれてしまった子の得意を伸ばしてやる吞んべ師匠こと椎葉哲二や、大手手習所「志水館」の四代目である国村露水と安易に恋愛関係にならないところ。
    シリーズ化したらそういう流れもあったかもしれないけれど、まずはきちんと子どもたちに向き合う師匠同士の繋がりというのが好い。

    江戸時代も後半になってくると、女師匠の数も男師匠より多いくらいに増えているというのも、江戸時代への固定観念をひっくり返してくれて、よい。
    面白かったし、勉強にもなった。

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    2026年01月10日
  • 心淋し川

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    audible⭐︎
    とても聴きやすい物語だった。
    短編でもその物語は濃く主人公の葛藤に苦しくなる。いつの世も人はそれぞれ煩悩をを持っている。

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    2026年01月08日
  • 隠居すごろく

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    audibleにて。大店の主人徳兵衛が還暦を機に隠居する。妻とは別居の形になるが、隠居の住まいを巣鴨に構え趣味人として生きようと試みる。しかし、商売が生き甲斐だった徳兵衛には退屈で仕方ない。そこへ孫の千代太が犬を拾って訪ねて来て、あれよあれよという間に、子どもたちやその親、あげく狂言作者まで出入りするようになる。その過程で、徳兵衛は情をかけ、金銭では買えない人間関係を築き始める。人生とはあがりのない双六、とはいいえて妙な、、、。江戸の人情話が好きな人は読んでみてほしい。次々と事件が起こるし、人の情にほろりとする。

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    2026年01月04日
  • 睦月童

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    イオと央介の、ファンタジーな人情物ミステリー
    …と思いきや…
    後半は流れが変わります。
    温かいだけではないこの感じ
    好みは分かれるかもしれませんが、私は好きです。

    人間って心の中に色々なものを抱えていて
    白黒はっきり分けられない。
    それでも日常の中に小さな幸せを見つけて
    懸命に生きて死んでいく
    改めてそんなことを感じさせてもらいました。
    満足な一冊です。

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    2026年01月03日