西條奈加のレビュー一覧

  • 心淋し川

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    初読みの作家さんでした。

    江戸の澱む川のほとりの長屋の住人たちを描いた六篇の物語。心に抱えたものを捨ててしまえば、忘れてしまえば楽になれるのに、と思ったけれど、それを抱きながら生きていくのも人生の深みを増すことになるのかな。
    生きづらさもあるけれど、力強く生きる人たちと倹しい生活を送っているからこその人の優しさに胸が熱くなった。
    世の中から弾き出されたからこそ、人の心の傷に寄り添えるのだな。

    口は悪いのにどこか優しさのある4人の妾の物語がよかった。

    生きにくいけれど居心地のいい場所、が彼らにとっての長屋なんだろうな。

    ※なんとなくChatGPTに「江戸の町人の優しさを描いた小説って?」

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    2025年08月06日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

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    自身も離縁したい主人公が離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」(まみあなや)の手代見習いとなる話

    公事とは、訴訟のこと
    公事宿(くじやど)とは、訴訟のために地方から江戸に出てきた人が泊まる宿のこと

    江戸時代、原則として離縁する権利は夫側にしか認められていなかった。妻が別れたいと思ったときは、夫から「三行半」(みくだりはん)と呼ばれる離縁状をもらうことが必要となる

    主人公は、狸穴屋を訪れる人々の様々な離縁問題を解決しながら自身の離縁にも向き合っていく

    主人公が、打ち込める仕事や、信頼できる仲間との交流を通して変わっていく様子が描かれていて、この時代の女性が自分の人生を決断することの大変さ

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    2025年07月29日
  • 紙魚の手帖Vol.23

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    ホリー・ジャクソンの最新作先行掲載が気になりすぎて、初めて購入。読みたい作品もたくさん出来てしまった、、辻堂ゆめさんの連載も途中からだけど続きが気になってしまうし、寺地はるなさんの短編も安定の良さ。気になる作家さんの短編をたくさんつまみ食いできた感覚で、満足度が高かった。

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    2025年07月18日
  • 心淋し川

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    江戸時代の庶民を描いた作品としてはかなり珍しい、いわゆる最下層に近い人たちの人生をテーマにした短編集。
    そんな舞台なだけに決してハッピーエンドとは言えないものの、どこか優しさや温かさがある味わい深い昨日でした。
    ただ、直木賞かと言われれば西條さんの作品の中で突出した印象でもなかったような。

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    2025年07月09日
  • 心淋し川

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    この時代の人たちの生き方や暮らしかたはは分からないのに、まるで登場人物かすぐそばで生活してたかのようにしっかりと物語の風景がみえました。

    どれも何とも言えない終わり方でこういう物語もたまには良いかもしれないなと思いました。

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    2025年07月03日
  • まるまるの毬

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    表紙絵の和菓子。
    名前いっぱいあるけど、この場合、御座候よなー。
    あ、でも江戸が舞台なら違うのか。
    とか、ちょっとウキウキしながら読み始めるも、すぐに雲行き怪しくなってしまった。

    あまりに何も起こらない。
    趣のある和菓子の表現にごまかされてる気がする。
    このままじゃ脱落する。
    と思い始めたら、中盤の「大鶉」で待ったがかかる。
    ほっとするも、ありきたりではあるなぁ、と少し逆戻り。

    そして最終話の「南天月」
    人情に厚い話で見事逆転。
    その後を知りたいと魅力に落ちました。

    どうやら、謎解きや事件があって当たり前になってしまっている。
    戦国の世じゃない平和な時代って事も考慮すべきだったな。

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    2025年07月02日
  • 婿どの相逢席

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    久しぶりの西條奈加さんの本

    どうしても読めない一冊はあるが それ以外はとても読みやすい 

    おうみや 逢見屋 に婿入りした鈴之助の物語 
    あまりにも 上手くできすぎてると思ってしまう西條さんのこれは 鼻につかない好きな本 

    毎日の慌ただしい暮らしの中で 違う世界に入り込める時代物に 手が出てしまう

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    2025年06月24日
  • 銀杏手ならい

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    父から江戸で手習所を継ぐことになった萌。教えることの難しさ。結婚したのに子ができず離縁された悲しみ。

    めちゃくちゃ良かった短編集。女だから舐めてる生徒、捨子等テーマ多数。こういう本を読んでると本て良いものだなとしみじみ思う。

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    2025年06月16日
  • まるまるの毬

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    シンプルだけどやわらかくて美味しそうな装丁に惹かれて購入
    西條奈加先生の作品は初めてだったが、綺麗であたたかくて読みやすかった
    すべてが綺麗事だと嘘くさくて読んでて萎えてしまうけど、ほどほどに人間臭さもあってバランスがよかった
    無性にお菓子が食べたくなった
    罪深い作品だ

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    2025年06月15日
  • 首取物語

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    ネタバレ

    武士だったと思われる生首のおっさんオビトと悪童トサとのバディ珍道中。
    疑似家族的でもあるのかな。

    装画からほのぼのとした話を想像していたがけっこうシビアだった。
    トサとオビトに何らかの因縁があるだろうとは、ある意味お約束なので想像がついたのだが、トサの来し方がかなり壮絶で驚いた。
    自分さえ助かるなら他人を犠牲にする人間の醜さを描きつつも、それもまた状況のせいだとする懐の広さがいい。
    憎み合っている人々も出会い方が違えば友人になれたかもしれないのだ、トサとオビトのように。

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    2025年06月15日
  • ほろよい読書 おかわり

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    audible98冊目。

    前作が良かったので、わたしも「おかわり」しました。

    お酒も本も好きな身に、ピッタリしっくり、おすすめします。
    子どもの頃大好きだった「読書」が、大人になるにつれて「課題」のための読書になったり、読み始めるとすぐに爆睡してしまうになったりと、わたしの中では紆余曲折を経てきましたが。

    やっぱり、読書はたのしい。
    お酒もおいしくて、たのしい。
    大人になってから楽しむ読書も、とても良い。

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    2025年06月03日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    最上徳内は悪名イメージでした。なぜかはわかりませんが・・・。
    このお話の徳内は、素晴らしい人でした。
    アイヌの少年との交流は感動ものです。

    これは面白い!

    船戸与一の「蝦夷地別件」と同じ時代、同じ騒乱を描いていますが、こちらのほうが血の匂いがしません。

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    2025年06月03日
  • バタン島漂流記

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    ついつい手に取ってしまう西條奈加さん。今回は、今まで読んできたものとはやや趣きが異なる「漂流記」。実話に基づいていることを読後に知った。
    「万に一つ」の生還につながる「理由」に納得感があり、特に、多様なメンバーをとりまとめ一つの方向に進めていく知恵には、目を見開かされた。究極の状況だからこそ、何がほころびとなり、何がよすがとなるのか、鮮明に見えてくるのだろう。
    残酷なルールや振る舞いも、貧しく厳しい島の暮らしを成り立たせる視点では必須。そこに「未来への希望」が加わることで、変化が生まれていく。生還後の後日譚にはもの悲しさも漂うが、物語は清々しい笑顔で終わっていた。
    逞しく生き抜いていきたい。

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    2025年05月26日
  • アンソロジー 料理をつくる人

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    ファンタジーに、恋愛に、家族に、ゾッとするお話まで、「料理をつくる人」という1つのテーマで、こんなにもいろんな雰囲気の物語ができるとは。どれも前向きな結末があるなかで、千早茜さんの「白い食卓」だけは冷たく恐ろしいようなお話だったのでどうしても印象に残った。深緑野分さんの「メインディッシュを悪魔に」もキャラクターを想像しながら楽しく読めた。

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    2025年05月22日
  • バタン島漂流記

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    史実に基づいた漂流譚。バタン島は台湾の先あたりにある島なんですね。とりあえず生きて島に流れ着いたものの、奴隷のような扱いを受けながら何とか日本へ帰る手段を考える水夫たち。挙句、労働力と見なされなくなった者には過酷な運命が待ち受ける。原始的村社会を維持するためとはいえ、苛烈である。更には、ようやっと日本に戻ったら戻ったで、また別の試練が待ち受ける。当時の日本が鎖国中であったため、やむを得ないことではあるけれど。
    内容はすごく面白かったのですが、如何せん船に関する漢字が難しかったため、スラスラと読めなかったのが残念。

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    2025年05月18日
  • アンソロジー 料理をつくる人

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    アンソロジーって、作風掴むまで疲れること多いけど、
    どれも面白かったし、
    読みやすかった。
    料理を作ってくれる人に感謝。、

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    2025年05月17日
  • 姥玉みっつ

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    長屋の三人老女が娘を世話し始めて暮らす中娘の素性を巡って騒がしくなり。

    三婆の掛け合いが面白く、人情味溢れる王道の時代小説。大立ち回りこそないが三人の活躍が炸裂する後段はスカッと気持ちのいい流れで、ラストもいかにもな爽快感でした。

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    2025年05月16日
  • 亥子ころころ

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    前作「まるまるの毬」で江戸の菓子職人の人情話に心を温められ、引き続き本作を手に取りました。
    人は人と出会うことによって、人として成長していくものなのだとあらためて実感しました。
    特に、渡り職人の雲平の登場が、南星屋の人々の心を解きほぐし、前に進む力を与えていました。そして全話を通じて、南星屋のお菓子がいいタイミングで人々の五感に優しく染み込んで、心を癒していくのでした。
    それを読んでいるこちらも言葉でお菓子を味わうことかできて、またまた心温まるのでした。
    それから、自分の地元のお菓子が登場するとやはり嬉しくなるものですね。これは、三作目も読み味わわなくては…。

    ところで、南星屋のお菓子に使わ

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    2025年05月15日
  • 心淋し川

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    ネタバレ

    『首取物語』が面白かったので、こちらも読んでみた。やはり西條奈加作品はよい……!

    解説にもあったが、これも厳しさと優しさの物語。お気に入りは「はじめましょ」。希望に満ちたラストは見ているこちらも嬉しくなる。一方で怖かったのは「冬虫夏草」。親離れできない子どもの話かと思ったら、子どもなしには生きられない母親の話だった……。なるほど冬虫夏草。そして、物語全体を通してでてくる差配がいい味出していて、最終話でその人となりがあばかれるのだが、この心町で生き直した茂十の過去がまあ壮絶で……。でも、こういう町というか共同体の距離感は羨ましくもある。淀みを抱えて生きててもいいんだーって。

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    2025年05月14日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    戸田家の庶子として生まれた垂水行之助は、あまりの利発さが災いしてか、義母と義兄から疎まれる。
    行之助は我慢ができず、義母と義兄に暴力を振るったため、小菅村の西菅寺に預けられた。
    住職から久斎と云う名を与えられ、小坊主として修行して13歳を迎えていた。
    武家の出ということから兄僧から辛く当たられていたが、早朝に出掛ける水汲みの先で、村の娘のしのに会うことが唯一の楽しみだった。
    しのの父親が亡くなり、葬儀代の代わりとしてしのは住職から陵辱され、それを苦に崖から身を投げて命を絶った。
    絶望感に苛まれた久斎は寺を飛び出し、目的のない放浪者となる。
    「もう自分の人生にもう朝は来ない」と考えた久斎は、無暁

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    2025年05月12日