西條奈加のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「南総里見八犬伝」を著したことで有名な、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の息子に嫁いだ、お路(みち)の生涯。
人気戯作者の息子と、我が娘との縁談!とややミーハーな両親は舞い上がり、馬琴のせっかち(実は占いに従ったともいう)も手伝って、見合いから約半月で結婚した。
しかし、夫・宗伯(そうはく)は病的な癇癪持ち(DV?)、姑もエキセントリック、そして舅の馬琴はいちいち口うるさく事細かく、女中が居つかない。
もう!「リコカツ!!」と実家に帰るところから始まるが、お路の人生という船はすでに大海に漕ぎ出して、後戻りはできなかった。
なんとも壮絶な、女の半世紀だった。
嫁いだ頃は、“ただの戯作者”何がそんなに偉いのか、と腹の底で思っていた。
辛い経験を積んで、人生を一段ずつ登るごとに、それまで見えていないものが見えるようになっていった。
お路本人の前では決して口にしなかったが、馬琴の篤い信頼をも得て、あんなに夫・宗伯が求めてやまなかった境地へ、辿り着くことができたのだった。
一 酔芙蓉(すいふよう)
二 日傘喧嘩
三 ふたりの母
四 蜻蛉(かげろう)の人
五 禍福
六 八犬伝
七 曲亭の家
・印象に残ったのは、あれほど不仲であった夫を、長い看病の末に喪うくだり。
・もう一つは、版元の丁子屋平兵衛が、本が売れなくなったと嘆くところ。
天保の改革前後の厳しい言論統制、有名作家が次々と逮捕され、板木を召し上げられて失意のうちに病没し、力のある書き手がいなくなった。
それに加えて、後に続く作家たちも捕縛を恐れるあまり、萎縮して無難なものしか書かなくなった。面白いはずがない。
皆が楽しんで読めるものを世に出すのが生きがいなのだ、と語る。
今に通じる、編集者の肉声。
星5つでも足りない読み応えでした。
ちょっと、宮尾登美子を彷彿とさせる。 -
Posted by ブクログ
「人に生きる望みを持たせる。」御師として主人公も成長していく清々しい作品。 本屋で西條奈加フェアをしていた。御師というものは、時代小説で読んだことのないジャンルだったので購入してみた。
御師は伊勢神宮などの寺社に参拝に向けて、積み立て、旅の手配をする仕事をする人々で、ツアーコンダクターのようなものだと考えればよいらしい。ただ、J○○のような民間企業ではなく、寺社が元締め。ほとんどの御師は「おし」と読むところ、伊勢神宮だけは「おんし」と読むのだそうだ。
貧しい庶民から、信仰をタテになけなしの金を巻き上げる御師という仕事に屈託を持つ主人公。しかし様々なトラブルに見舞われながら、御師として成長していく。「人に生きる望みを持たせる。」のが御師の役割だと最後は悟る。
訳ありで御師になった主人公と、これまた訳ありで伊勢参りをする豪商。一緒に旅をする仲間。様々な人間がそれぞれの思惑で伊勢に向けて旅を続ける。裏切られたり、命を狙われたり、引きこもごもの話が絡みあい、エンディングに向かっていく。
よい話だった。シリーズになったら必ず買う! -
購入済み
心淋し川が良かったのでこちらも読んでみました。大鶉と南天月、食べてみたいなぁ。
人情話に初めて取り組んだのがこの作品だったそうですが、本当、この世界にずっといたいなあと思う作品でした。読み終わるのが名残惜しかった。
こちら続編があるんですね。続編も読みます! -
Posted by ブクログ
ネタバレ掏摸やかっぱらいでなんとか生きてきた十五人の孤児たち。
捕まったことをきっかけにまっとうな仕事を始めた兄貴分の勝平と子供たち。
彼らの周囲には悪意や偏見に満ちた目がある。それをはねのけて生きていく彼らの元に届く小さな謎。
それを解きながら成長する彼ら。そして彼らの身元引受をしてくれている武家の長谷川家の次男、柾が戻ってきて……。
懸命に生きていく子供たちが何よりも魅力的な一冊です。
こういう話は『お蔦さんの神楽坂日記』に通じるものがあって、厳しいけれども生きていくためには必要なんだよねと思わされます。
こちらも楽しかったです♪ -
Posted by ブクログ
祝・直木賞ノミネート!
猫飼いさん(猫好きさん)はもれなく、自分のことを猫の下僕だと思ってると思うんだけど。
この作品は、そう思ってる人にピッタリのお話!
猫に操られる「猫の傀儡」。
私たちはやっぱり猫に操られていたんだと、納得した 笑
猫好きさんは是非読んでみて〜!
他の動物も出てくるから猫だけじゃなくて、動物好きな方なら必ず楽しめると思うよ!
あくまで猫が主役だけどね。
連作短編だから、読みやすいし口調が小気味良くて一気読み。
普段時代小説読まないけど、面白くてぐいぐい読めるから、今まで時代小説読んだこと無い人にもお勧め。
西條奈加さんはファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作を読んで、すごく面白くてその後いくつか読んだ作品も全部面白かった。
今回の直木賞ノミネートでもっと色んな人に知られて欲しいなぁと思ったよ。