西條奈加のレビュー一覧
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下総古河藩の小松尚七は日頃から「何故なに尚七」と揶揄されるほど、あまたのものに興味をもつ下級武士だったが、あるきっかけで後の鷹見泉石に出会い、藩主の御学問相手に抜擢される。
この藩主は、『雪華図説』を執筆した土井利位(としつら)であり、尚七、鷹見泉石の三人でこの美しい雪の結晶の本を完成させたのであった。
他の方のレビューで知ったが、地元では利位は今も「雪の殿様」と言われ、学校の校章が雪の結晶の形だったりするそうだ。(茨城県なのに)
著者は鷹見泉石の伝記を書こうとしたが、資料がありすぎるため、下級武士の小松尚七を主人公にし、比較的自由に創作したそうだ。
鷹見泉石といえば、渡辺崋山の「鷹見泉石像 -
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寛文8年(1668)、江戸から母港となる尾張に向けて航海中の颯天丸(はやてまる)は、母港に到着寸前に突然の嵐に見舞われて難破、そして漂流することになる。
乗組員は全員で15名、絶望の淵から三つの島を見つけ、なんとかその内の一つに上陸する。
そこには先住民が暮らしていて、上陸早々に諍いを起こしてしまう。
武器を持っていない颯天丸の乗組員たちは、住民たちの下男として働く道しか術はなく、極限状態に近い暮らしを強いられる。
主人公の平水夫である和久郎は、いっとき船大工を目指して修行していたのだが挫折し、颯天丸で働く幼馴染の門平を頼って水夫となった。
そんな時に嵐に遭遇し、漂流することになってしまった -
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江戸時代に、東北の貧農の身から幕臣まで登りつめた、蝦夷のエキスパート、最上徳内の物語。異文化好きなので好きなジャンルの本だった。
題名については、何この長ったらしい題名は、と思っていたのだが、そういう意味だったのか。
歴史には本当に疎いのだが、松前藩の横暴については、いろんな本やドラマなどで知っていたが、なぜ改易にならないのか不思議でならない。松平定信という人物についても、これを読む限り、反感しか覚えない。
『夷酋列像』という、松前藩がアイヌを手懐けるため作った肖像画は、江戸時代のものとは思えない精緻さ、色鮮やかさだが、ほとんどフランスにあるのだろうか?残念。
本はきちんと読むのが好きなので -
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時代人情小説は、味わい深くてやっぱりいいなぁ。
新米女師匠の萌と、手習所に通う子どもたちが繰り広げるストーリー。
“女先生”と悪童らに侮られ、新米故に悩みながらも、日々子どもたちにまっすぐに向き合い奮闘する萌。
手習所に通う、身分も性格もさまざまな子どもたち。そして、子どもたちを取り巻く家庭の事情。
得手不得手もさまざまで、そのせいで自信を失くし、行き場を失ってしまう子がいるのは今と何ら変わらない。
一見いい加減に見える椎葉先生の言葉にはグッときた。
『どんなことでもいい、大人からすれば無益に見える事柄でも構わない。己にも得手がある。できることがあると気づかせてやるのが何よりの一義。たと -
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幽霊となって目覚めた主人公と凸凹コンビの警察官の繰り広げる、秋葉原ドタバタ事件簿な一冊でした。
主人公はある日山の中で目覚めた、何故か足しかない女性の幽霊。その山の近くの交番に勤めていたイケメンだけどポンコツのお巡りさんは、足だけになった幽霊が見えているらしく、謹慎処分で秋葉原に異動になった彼と一緒に幽霊の彼女も秋葉原に行くことに。辿り着いたのは秋葉原先留交番。ほとんど駐在所のようなそこで、トドのような身体に鋭い洞察力を備えた先輩警官とポンコツだけれど幽霊の見えるイケメン警官、足だけでしゃべることのできない幽霊の二人と一体は、主人公の事件について追いかけていくことに。日々起こる秋葉原なら