西條奈加のレビュー一覧

  • 隠居おてだま
    「隠居すごろく」の続編。

    すごろくの次はおてだま。人生なんてそんなに簡単に上手くいかないモノ。あっちに振られ、こっちに振られ、隠居後の生活を上手く表現しているなと思った。

    前作で上手く収拾ついていたように思えたものが、次々ともうひと悶着あって、、、しかしながら、それらも何とか上手く収まりそうだっ...続きを読む
  • とりどりみどり
    江戸期の人情ミステリー。主人公は大店の5番目の末っ子11歳の鷺之介。1年の殆どを船上で商いをする父親代わりをしっかり者で心優しい長男が担う。鷺之介の目下の悩みは、母違いで個性的な3人の姉達が早く嫁いでくれる事。大店の子供らしい制約がある生活の中で怪しい出来事に遭遇し解決しようとする。兄姉の性格がとて...続きを読む
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)
    重い。それでも、このような人生があったのだなと思える。江戸時代の江戸以外の様子が描かれている。八丈島への島流し、そこでの生活など考えたこともなかった。最後の鈴の音(ね)。文字よりも耳に残った。
  • まるまるの毬
    ほっこりした作品を読みたいと思って読み始めたら想像以上に優しい物語でよかった。わたしもまるまるでありたい。
  • 隠居すごろく
    居場所を見つけていく話だった。
    すごろくのように、少しずつ転がって、ぴたりぴたりと収まっていく。
    多少戻りはあっても、盤そのものがひっくり返されるようなことは起こらない。
    読後感の良い作品だった。
    続編があるという。この、ぴたりと収まった後、子どもたちの更なる成長が見られるのだろうか。あるいはご隠居...続きを読む
  • ほろよい読書 おかわり
    今回も面白く美味しそうなお酒と食事ばかりでお酒に興味のない私も飲みたくなる。特に「オイスター〜」は牡蠣が苦手なのに食べたいなとオイスターバーを検索してしまった。「君はアガベ」中学生の極端な清潔さに可愛さと危うさ。奥田亜希子さんは初見、他のも読んでみよう。「きのこ〜」は兄妹どっちがそうなのか読んでる間...続きを読む
  • 隠居おてだま
    この人の本を読み始めてもう何冊にもなるけど、初めて結末にちょっと納得いかない感じがした。途中まで各家庭のごちゃごちゃがあって、大本に嶋屋の娘のゴタゴタがあってとても面白かったのに、最後がなー。そもそもこの娘が全部悪いんだから、もうちょっと長くしんどい想いをしてもらいたい。だってあんな仕打ちはご隠居が...続きを読む
  • 姥玉みっつ
    西條さんの江戸モノ、楽しくほっこり読める。こんないい結末は、現実には、ほとんどなかっただろうけど…。「人生とは波のように、次から次へと押し寄せるしがらみの連続」「そもそも何事にも解を得ようとするのが悪い癖だ。スッキリしないものを抱えうじうじ悩み、悔いやら無念やらをだらしなく引きずっていくのが人の生か...続きを読む
  • 姥玉みっつ
    最初は うるさい婆さんたちの話しです。
    うっとおしいわ!
    と思っていると 助けた女の子を教育しなくちゃいけなくなる。
    おっかさんに死なれた可哀想な女の子
    婆さん3人は それぞれの味を生かして世話をする。
    そうすると 3人の力倍増
    いい人じゃん!
    特に お修が先妻の娘から 体を売ってる卑しい商売をして...続きを読む
  • 千年鬼
    「無垢な心のままに罪を犯すと、ときに鬼の芽を生じる」

    あかん!
    鬼の芽ができるかも?
    私!無垢な心持ってるし〜♡

    その鬼の芽を摘むのに、現在、過去を奔走する小鬼たち、それには、
     悲しい
     悲しい
     悲しい
    出来事が…

    しかし、鬼の芽を持った人が、人鬼になる時って、そら鬼にでも何にでもなってま...続きを読む
  • いつもが消えた日
    神楽坂の花柳界にいたお蔦さんと孫の望の話。望の中学の後輩有斗の家族が行方不明に。二人は有斗の面倒をみながら真相を追う。涙なくして読めない話。
  • うさぎ玉ほろほろ
    和菓子の南星屋シリーズ3作目。中間がやって来て、家をすぐ出ろ、手紙を預かってくれと言う。直後に大火発生。この謎がずっと続きつつ、別件の話と和菓子の話の連作短編集。

    ずっと変わらないクオリティ。和菓子と人情のハーモニー
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記
    ダニみたいなダメ亭主の借金に追われてこの世の終わりに遭ったかの如く絶望していた絵乃が公事宿に拾われて他所のもめ事に関わっていくうちに経験値を上げて逆にダメ亭主を陥れる話。女性の敵はことごとく滅びよ。

    江戸時代の離婚したい妻って縁切寺に駆け込むしか方法が無いのかと思っていましたが、公事宿なんてものも...続きを読む
  • ほろよい読書 おかわり
    前作と同じく極上の短編集。どれも良かったけど、どうしてもSNS絡みの話は生々しすぎて読んでてしんどくなる。忖度できず発言し炎上し抹殺され復讐する、って多分この心情を本当に理解できるのは全く同じ目にあった人だけなんだろうな、と思うと美味しそうな描写が全然楽しめなかった。最後のお話の一瞬ファンタジーかと...続きを読む
  • 心淋し川
    江戸時代、心町(うらまち)のとある長屋をめぐる連作短編集。直木賞受賞作品でずっと気になっていたけど、やっと読めた。

    最後の最後、陽気でおせっかいな差配さんが隠し持っていたものが胸にくる。
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    同じ祭りをテーマにしたアンソロジー。
    同じ天下祭の説明の部分を比較しても面白いです。
    もしかしたら一つの祭りに色々なエピソードが組み込まれていたのではと想像しても楽しめます。
  • 心淋し川
    江戸の長屋のお話。
    人とのつながりをもち、色々恨み言もありながら逞しく生きていく人々が描かれている。
    女性って芯が強いな〜と思った作品でした。
  • うさぎ玉ほろほろ
    菓子屋「南星屋」さんのシリーズ
    元武士の治兵衛が作るお菓子は全国の郷土菓子。
    珍しいお菓子も沢山あって興味深い。
    今回は弟の石海の初恋物語の"初恋饅頭”がとてもよかった。ほろりとし、心温かに。
    中間の鹿蔵が絡んだひと騒動もあったが、南星屋さんのお菓子はいつも温かく美味しそう。
  • 曲亭の家
    直木賞受賞後第1作。思っていたよりも新しい作品だった。
    朝井まかてさんの馬琴を読んでから読んだのだが、こちらはお路の視線で描かれているので、対比するととても面白かった。
    以下ネタバレの内容を含みます。

    これは馬琴の長男の嫁となった、お路の目線で描かれた馬琴の家の様子だ。嫁というだけではない、まさに...続きを読む
  • 心淋し川
    心町でひっそりと、だけど様々な関わりを通して、たくましく暮らしている人達。
    苦労はあるけど、その人なりに生きていく、その姿はやはりポジティブでした。
    とくに女性の逞しさ、これを江戸の物語は感じさせてくれます。