西條奈加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「秋葉原足止め交番幽霊付き」のネタバレも含みます。
終わりは、さらりとしていて、突然終わったように感じた。そのまだ続くような終わりも良いのだけど。くどいハッピーエンドも読みたかったなと感じる。前作と同様、ずっと読んでいたいと思える幸せで懐かしい読書体験を味わった。キャラクターがほぼ出来上がっている続き物の良さというものもある。
「秋葉原足止め交番幽霊付き」でも思ったが、西條奈加先生は、登場人物にとって酷いことでも起きたことは起きたとはっきり書く。基本的にはハッピーエンドでも、完全無欠のハッピーエンドにしない。「~幽霊付き」では主人公を生き霊みたいにすることもできたと思うがしなかった。最悪 -
Posted by ブクログ
2025.11.11 ★4.5
心町(うらまち)を流れる澱んだ川の心淋し川(心川)。
澱が沈んだ、流れの無いような川沿いにある長屋の住人たちの短編集。
流れていないように見えてしっかりと流れている心川のように、ある一点で留まってしまったような住人たちの人生も少しずつ前へ進んでいる。
貧しくともその流れの先に幸せがあることを願わずにいられない心が温まる物語だった。
↓↓↓内容↓↓↓
江戸、千駄木町の一角は心(うら)町と呼ばれ、そこには「心淋し川」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もが -
Posted by ブクログ
江戸時代中期、出羽の貧農に生まれながら和算、天文学、測量を習得し、アイヌ語、ロシア語にも通じ幕臣にまでなった最上徳内。
幾度となく蝦夷地を踏破し、クナシリ、エトロフ、カラフト(作中では意図的にカタカナ表記)まで探検した徳内の前半生記。
田沼意次政権下に企画された調査団に加わり初めて蝦夷地に赴いた徳内は、アイヌたちと交流しながら蝦夷の各地を巡るうち、北の大地やアイヌたちの魅力に取り憑かれ、松前藩の横暴に苦しめられるアイヌたちの境遇に胸を痛める。
時代人情物を得意とする作者らしく、主人公とアイヌたち、探検団員、和算塾の師や同輩、嶋屋の人たちとの交流は温かく、お互いへの思いやりに満ちていて、松前