西條奈加のレビュー一覧
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中学3年生の滝本望とその祖母、滝本津多代(通称お蔦さん)の二人が主人公で日常の事件を解決していく「無花果の実のなるころに」の続編。
ところが今回は日常の事件ではなかった。望の中学の1年生、金森有斗の家族が大量の血糊を残して突然失踪したことから始まる殺人事件を想起させる事件に巻き込まれる。
何が起こったのか?お蔦さんの推理と行動が、警察をも引っ張り、次から次へと明らかになる謎を解き明かし、悲しい過去の事実と怖ろしい現実をも、最後は幸せになるように解決するところがほっとさせてくれる。
今回も色々な神楽坂町内会の人達の他、お蔦さんの顔の広さを伺える色々な人が登場し、わくわくさせてくれる。 -
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ネタバレ宮部みゆきさんの江戸ものを一通り読み終わり、また江戸ものが読みたいと思って色々探し、西條奈加さんの『善人長屋』をシリーズ3作まで購入。
善人長屋と近所で評判の長屋だけれど、実は住んでいるのは裏稼業を持つ“悪党”たちという設定。でも、そこに手違いで本当の善人・加助が住むことになり、そこから起こる騒動を描いている。
一口に悪党といっても、その稼業は美人局や情報屋、窩主(けいず)買いなど様々。善人の加助が困っている人に同情して連れ帰ってくるたびに、みんなで知恵を絞って助けてあげる。率先して手伝う人もいれば、厄介ごとを持ちこむ加助を疎んでいる人もいる。その塩梅がまた面白い。水戸黄門のようにパターン -
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西條奈加さんの現代小説。
珍しい!と思って手に取ったのですが、実はシリーズ4作目。それでも前作未読でも問題なく、楽しく読めました。
舞台は神楽坂。
元芸者で、今は商店街の人気者のおばあちゃん・お蔦さんと、料理上手な高校生の孫・望くんを中心に、7つの短編が描かれます。
万引き事件や、行方不明になった美術作品、ちょっと切ない家庭の事情など、日常の中の小さな出来事がテーマ。でもどの話にも、人の弱さや優しさが静かに滲んでいて、読み終わるたびに立ち止まって考えさせられました。
中でも印象に残ったのは、過去と向き合う大人たちの姿や、子どもに対する「深追いしない優しさ」。正解を押しつけない距離感が、こ -
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2025.11.11 ★4.5
心町(うらまち)を流れる澱んだ川の心淋し川(心川)。
澱が沈んだ、流れの無いような川沿いにある長屋の住人たちの短編集。
流れていないように見えてしっかりと流れている心川のように、ある一点で留まってしまったような住人たちの人生も少しずつ前へ進んでいる。
貧しくともその流れの先に幸せがあることを願わずにいられない心が温まる物語だった。
↓↓↓内容↓↓↓
江戸、千駄木町の一角は心(うら)町と呼ばれ、そこには「心淋し川」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もが