西條奈加のレビュー一覧
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裕福な商家に生まれたが火事で一文無しになり、奉公に出された米屋を出奔、旅の砂絵師に師事して絵師となった、豊蔵・深山筝白。
武士の家に生まれるが家族との軋轢を抱え、家督を弟に譲って円山応挙の弟子となった、彦太郎・吉村胡雪。
片や、“変人”“狂人”と罵られ、片や尊大で身持ちが悪いと評判の『ごんたくれ』
会えば憎まれ口、皮肉の応酬で、喧嘩ばかり。
しかし、相手の絵には大きな魅力を感じるのを認めざるを得ない。
悔しいがうっかり褒めてしまう。
読んでいくうちに、だんだんと二人が可愛らしく感じられてきた。
絵を描くことに限らず、芸術は孤独な作業であり、憎しみと区別のつかないほどのライバル心があってこそ -
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中学3年生の滝本望とその祖母、滝本津多代(通称お蔦さん)の二人が主人公で日常の事件を解決していく「無花果の実のなるころに」の続編。
ところが今回は日常の事件ではなかった。望の中学の1年生、金森有斗の家族が大量の血糊を残して突然失踪したことから始まる殺人事件を想起させる事件に巻き込まれる。
何が起こったのか?お蔦さんの推理と行動が、警察をも引っ張り、次から次へと明らかになる謎を解き明かし、悲しい過去の事実と怖ろしい現実をも、最後は幸せになるように解決するところがほっとさせてくれる。
今回も色々な神楽坂町内会の人達の他、お蔦さんの顔の広さを伺える色々な人が登場し、わくわくさせてくれる。 -
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一穂ミチさん目当てで読み始めた一冊。
序盤は、読んでいる間はそれなりに気分が高揚して、まさにタイトル通り「ほろよい気分」にはさせてくれる。だけど、いざ読み終わってみると、あとに残る余韻があまりにもサラリとしすぎていて、どこか物足りなさが残る読後感だった。
お目当ての一穂ミチさんの一編を読み終えたときは、思わず「やったね!」と心の中で思った。やっぱりこの作家の描くものは毒薬だ!「ほろよい」どころか悪酔いしそうな、人間の不穏な心理描写は健在で、この強烈な一杯は楽しめた。
他にも、下戸だと言い出せない青年の葛藤を描いた一編には、男だからこそ「飲めない」と言えないリアルな空気感を感じて、身につま -
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ネタバレおもしろかったです。
物語は全6話で構成された、連作短編です。
社会の底辺の貧しい環境にあっても、
主人公たちが小さな希望や幸せを願って、寄り添いながら生きていく姿が胸に……。
各短編に登場する人物たちが交錯し、最後には
長屋全体の連帯感へと収束していきます。
川のよどみに囚われていた人々が未来へ向けて動き出すのです。
孤独の「点」が、お互いを救う「線」になって行きます。
「澱み」から「流れ」へ
流れないドブ川(心淋し川)のほとりから、それぞれの人生の「流れ」を取り戻すラストへと進みます。
人は他者と関わることで、過去の傷を乗り越え、
生き直せることを……。
作品の完成度も -
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大好きな南星屋シリーズの最新作を文庫で。久しぶりに読む。江戸は麹町にある和菓子屋の話で、短編が詰まった人情物。国中を旅して地方の菓子のレシピを書き留めて歩いていた主が、江戸に腰を落ち着け、出戻りの娘と孫娘と3人で人気の菓子店を営んでいる。
前作で雲平という中年の菓子職人を新たに店の仲間に加えて迎えた3作目。冒頭に登場する旅好き菓子好きの中間が、なにやら事件に巻き込まれて行方不明になるところから始まる。
その謎が物語を貫く縦のモチーフではあるが、後続の話はしばしこの事件から離れた日常に起こる事件や騒動とそれを粋に解決する南星屋のエピソードになる。毎度登場する菓子がなんともおいしそうで、人情話